SHOW WESUGI 2020 MEMORIAL BOX 防空壕

[BOOK]
自伝 世界が終るまでは…2 上杉昇

[PHOTO BOOK]
2020.5.24 東京

[DVD]
SHOW WESUGI ACOUSTIC TOUR 2019 防空壕
SPECIAL LIVE DVD
No タイトル 備考
1   オープニング
2 赤い花咲く頃には 6thシングル『Survivor's Guilt』C/W
3 青き前夜 2ndアルバム『The Mortal』収録曲
4 防空壕 8thシングル 発売前新曲
5 FROZEN WORLD 4th(配信)シングル
6 Same Side WANDS 10thシングル
7 火山灰[Not Song of War] 7th(会場限定)シングル
8   スタッフロール BGM「防空壕」(CDバージョン)

リリースデータ

2020年9月30日 音楽DVDチャート初登場10位(総合33位) 売上0.04万枚 有限会社オフィスポジョ

上杉昇2ndBOX。2018年の『SHOW WESUGI 25th ANNIVERSARY BOX「世界が終るまでは」』に続くBOX作品。続編の自伝本+フォトブック+ライブDVDで前回と同種のBOX収納となっている。今回はCDが付属しないため、O社ではDVD作品扱いとなり、音楽DVDチャートが低レベル週だった事もあり、300枚台でトップ10入りを果たした(総合は33位)。

自伝本
前回同様にWANDS時代から信頼している付き合いの長いライターを本人が指名して、その人に話した事を本人の語り調でまとめてもらうという形式で書かれている。半生を振り返るのは前回行っているため、今作では前回触れなかったインターネットやファンとの付き合い方や距離感について、政治への考え方、ライブや楽曲制作に対する考えなど、本人の考えをより深堀りしていくような内容でまとまっている。このため前回はかなり気を遣ってあまり出てくる相手に対して感情的な書き方や批判的な事を書かないようにしていたのが今作ではもう少し踏み込んで当時の印象をハッキリ語っていて、これに伴い補足説明の形でスタッフ視点による証言も随所で併記される体裁となっている。また本気で揉めたらしき相手は名前を出さずにイニシャルで実名を伏せる形も取っている。

こういった構成の中では前回の内容をさらに詳細まで明かした部分もあり、WANDSリスナーが気になっているところとしては過去最大級に明かされたのがal.ni.co解散時の事務所との揉め事の詳細について触れる中で、これまで公然の事実として説明されていたのとは異なる柴崎浩のWANDS脱退経緯からal.ni.co解散時の行動といった新事実が明かされていてこれはなかなか衝撃的だった(al.ni.coを先導した人物がまさしくイニシャルトークで名前を伏せられているほど)。スタッフも柴崎サイドがどう考えていたかまでは把握していないため柴崎の真意は不明のままとしていて柴崎さんも語らないだろうからこれ以上は不明だとは思うが、少なくとも上杉さん本人はそこも含めても特に悪い感情は現在持っていないようではあるので安心はした。また柴崎がWANDSを再始動させた理由にも繋がっていくのかなという気はした。解散時に揉め事があってソロでの再始動に時間がかかった事などは今までも語られていたが、al.ni.coのスタートがどういう経緯だったのか、解散時にどういう揉め事があったのかがちゃんと明らかになっているのでそれを知りたい人は必読かも。

それ以外の思想的な部分や、活動スタンスについての大半の話はそもそもソロ以降の作品はほとんど知らないのでそういった状況で読んでいくにはややお門違いで理解しきれない部分もあり、正直あまり興味が無い部分もあった。ただちょいちょい色々なアーティスト名が飛び出てくる中でも中島みゆきへの言及が多いかなといった印象ではあった(実際カバーとかもしている)。「世界が終るまでは…」のアジア展開で共演が増えた織田哲郎に坂井泉水との比較で詩人としての性格やスタンスについてさらっと評された事を、そういうレッテル的なものは…と織田さんリスペクトは変わらないことを明言しながらもきっちり説明してきていたりと、かなり丸くなったとはいえ、色々と譲れない部分や上杉昇はこうだと固定されるのは嫌がっているのかなというのはちょっと感じた(スタッフ証言では織田さんの指摘通りで正しいと思う、としている)。

PHOTO BOOK
新コロ緊急事態宣言が開ける直前5月24日にゴーストタウン状態の東京で静かな誕生日を迎えた上杉昇の都内各地での姿を収録した50P程度の冊子。自伝本が前回より60Pくらい短くなっているが、この冊子があるのでBOXの厚みは前回と同じ。人の少ない都会でどの写真でもほぼ同じような仏頂面をした長髪眼鏡帽子バンダナ髭スタイルのオッサンがひたすら映し出されているという内容。状況的にもたぶん性格的にも笑顔はもちろん優し気な表情も無く基本的には終始怖め。正直良く分からないがこの渋い感じがカッコいいという見方(ファン需要)もあるのだろう。

DVD
2019年のツアー「ACOUSTIC TOUR 2019 防空壕」の9月6日神戸CHICKEN GEORGE公演からの抜粋+「火山灰[Not Song of War]」のみ10月6日岡山MO:GLA公演の映像。アコースティックギター平田崇、キーボード森美夏との3人編成のアコースティックライブとなっている。ツアータイトルになっている「防空壕」は発売前の新曲でこの後12月にシングル化されたが、アコースティックではなくゴリゴリのロックサウンドとなっていて、そのバージョンはエンドロールのBGMとして使用されている。

前の本でも近年はアコースティックなソロ活動も行っていると語っていたり、収録されていた3曲のライブCDもアコースティック+ストリングス編成のものだったりしたが、今回はさらに音数の少ないシンプル編成。今回「Same Side」はあるが前回のようにWANDS曲オンリーではなく、現在のファン向け。かなり地味な佇まいで曲も割と似たような感じの暗いものが続くのでいきなり聞いてすぐに良さが分かるようなものでもなく、正直あまりピンとは来なかった。個人的にソロにはあまり興味が持てないままであくまでWANDSの後追いリスナーで上杉さん本人にそこまで思い入れもないのを改めて感じた。しっとり歌うだけでなく「防空壕」や「Same Side」のサビなど一部ではだみ声を張り上げて歌う部分もあり、現在のボーカリストとしての凄みも一定以上は感じられるもののこの辺りの歌い方はさすがにだいぶ変わった感じはする。あと「Same Side」の1番で本人がいなくて(椅子が空席)、黙々と演奏するサイドの2人となんか中央の壁ばかりやたら映すな…と思って良く見たらここにいるよとばかりにけっこう必死にカメラが暗闇の奥にいる後ろ姿を映そうと頑張っていてステージの最奥で後ろ向いて歌ってたっていう…(2番で戻ってくる)。これはどういうパフォーマンスだったのだろうか…。

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印象度★★★☆☆

2020.11.7更新

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