うたいろ
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考、原曲 |
1 | 少年 | 北川悠仁 | 北川悠仁 | 本間昭光 | ゆず |
2 | アイネクライネ | 米津玄師 | 米津玄師 | 島田昌典 | 米津玄師 |
3 | 初恋 | 村下孝蔵 | 村下孝蔵 | 本間昭光 | 村下孝蔵 |
4 | 冷たい頬 | 草野正宗 | 草野正宗 | 島田昌典 | スピッツ |
5 | 500マイル | HEDY WEST 日本語詞:忌野清志郎 |
HEDY WEST | 島田昌典 | HEDY WEST HIS(細野晴臣、忌野清志郎、坂本冬美)による日本語詞カバーをカバー |
6 | 糸 | 中島みゆき | 中島みゆき | 本間昭光 | 2nd配信シングル 中島みゆき |
7 | ヘイヘイブギー | 藤浦洸 | 服部良一 | 本間昭光 | 笠置シズ子 |
8 | さらば恋人 | 北山修 | 筒美京平 | 本間昭光 | 堺正章 |
9 | 哀しい妖精 | Janis Ian 日本語詞:松本隆 |
Janis Ian | 島田昌典 | 南沙織 |
10 | World In Union | John Skarbek Charles | Gustay Holst | 本間昭光 | 2nd配信シングル(カット) ラグビーワールドカップテーマ曲 組曲「木星」の一部を独立させた賛美歌に歌詞をつけた曲 |
11 | 夢で逢えたら | 大瀧詠一 | 大瀧詠一 | 多羅尾伴内 | 1st配信シングル 吉田美奈子 大瀧詠一『Best Always』収録のセルフカバーバージョンのオケをそのまま使用 コンピ盤『EIICHI OHTAKI Song BookV大瀧詠一作品集Vol.3「夢で逢えたら」(1976〜2018)』収録曲 |
Strinsg Arranged by 山下達郎(11)
リリースデータ
2018年10月24日 | 初登場3位 | 売上4.3万枚 | Sound Produced by 本間昭光(1,3,6,7,8,10)、島田昌典(2,4,5,9) | Epic Record |
いきものがかりボーカル吉岡聖恵のソロ初アルバムでカバーアルバム。2017年1月の放牧宣言によりいきものがかりが活動休止して以降、提供活動を続けていた水野良樹以外は表立った活動を休止していたが、吉岡聖恵は2018年3月の「夢で逢えたら」のカバーを集めたコンピ盤『EIICHI OHTAKI Song BookV大瀧詠一作品集Vol.3「夢で逢えたら」(1976〜2018)』に新たに収録する「夢で逢えたら」カバーを先行配信してソロでの歌手活動を開始。続けて4月にはCMソングとして「糸」のカバーを配信限定でリリースしていた。その後カバーアルバムの企画が持ち上がり、今作が制作された。
放牧から2年近くが経過してのようやくのソロでのCDリリースとなり、いきものがかりの活動再開は相当先になると予想される中、今作発売直後に集牧宣言によりいきものがかりの活動を再開することが発表された。このためいきものがかり休止中唯一のソロアルバムとなった。初回盤はスリーブケース&デジパック仕様。また早期購入特典としてクリアファイルが付属した。
「World In Union」はラグビーワールドカップのテーマ曲であり、吉岡聖恵バージョンが2019年日本開催のW杯公式テーマ曲となっていたため、2019年9月のW杯開催タイミングで"再配信"という形でジャケットを新たに制作して単独配信という形で配信限定でシングルカットされた。
いきものがかりは水野良樹によれば自分たちはあくまでソングライターとボーカリストのグループであり、演奏に対してのこだわりはないとしている。実際にクレジットには常にエレキ・アコースティック双方のギターのサポート表記があり、メンバー2人(エレキは水野、アコースティックは山下)がサポートと分け合ってギターを演奏しているのか、100%お任せで一切弾いてないのか、曲によりけりなのかは詳しく明言されていないため不明となっている。常にサポート表記があるのでギターを全部メンバーで弾いてないのは確実という事だけだ。よって吉岡がソロでカバーアルバムとなるとアレンジャー次第でソロっぽくなるか、ほぼいきものがかりそのままになるだろうなと思っていたんだけど、公式サイト等発売案内では作詞作曲表記まででアレンジャーは何故か伏せられており、CDを手に取ってブックレットを見るまで誰がアレンジャーなのか分からなかった。
今作を実際に手に取ってようやく判明したアレンジャーだが、オケ流用カバーの「夢で逢えたら」以外は本間昭光、島田昌典の両名でいきものがかりと同じだった。恐らく多くのリスナーが今作をいきものがかりだと思うだろうけど、いきものがかりが前述のようにレコーディングでメンバーがギターを全て弾かないスタンスを取っている以上はいきものがかりとアレンジャー(とその周辺スタジオミュージシャン)が同じであれば今作はもういきものがかりのCDとほぼ同じ演奏という事になってしまう。そんなわけでいきものがかりらしい王道ストリングスポップなカバーアルバムというのが率直にして最大唯一の印象。いやしかし「ヘイヘイブギー」と「哀しい妖精」以外で全部ストリングス鳴ってるって、確認しなくても使いすぎじゃないか。
いきものがかりそのままなのは悪いわけではなく、実に聞きやすく、選曲も若者から年配まで幅広くカバーしていて全年齢対象、誰が聞いても楽曲の良さ、まっすぐな歌唱に一定以上の良さを感じられるカバーアルバムの教本のような優等生なカバーアルバムだと思う。
ただ教本的でありすぎてどうしても面白みには欠ける。選曲に関してはインタビューでもあまり意図を読み取れるような発言があまり見られず、それぞれの曲に対してどういう思い入れがあるのかが良く分からない。どんな曲でも歌います!という感じはあるんだけど、この曲を歌いたいんです!というのがどうも見えにくいというか…。ソロシンガーとしての新たな魅力や曲調に挑んでみた感じにも乏しく(「World In Union」が全英語詞なので英語詞に挑んだくらい)、せっかくのソロなのにどこまでもいきものがかり。これではソロである必然性がほとんど感じられなかった。いきものがかりがソングライターとボーカリストのユニットである以上、他人の曲を歌うといきものがかりではなくなってしまうのでいきものがかりとしてカバーをやらないというスタンスを取っていればソロでカバーというのに確かな意味は生じたと思うんだけどそういうわけでもない。
1st〜5thという初期のシングルC/Wでいきものがかりはカバーを毎回入れていた。その当時は江口亮、湯浅篤がアレンジを担当していたのと若かったこともあって今作よりももう少し元気さを前面に出していたのでカバーとしての独自性というか面白さは確かにあった。今作にそれが無いのはやはりアレンジャーを本間昭光、島田昌典の2人だけで固めてしまったところにあると思う。この2人に任せればそりゃこうなる。彼ら2人が期待ハズレであるわけではなく、そもそもこうしたくして彼ら2人を起用したんだろうし、期待通りの王道な仕事っぷりではあるんだけど、新しい人と組んでのカバーであれば確かに今作がソロのカバーアルバムになったと思うので惜しい。いきものがかりとして今作を出した場合、確かに2人のメンバーをどう扱うかに難しさはあるけど、選曲意図なんかは特に語りたがりの水野良樹だったらインタビューやTwitterでどんどん勝手に語ってくれそうだし、もう少しハッキリした感じのカバーアルバムになったと思う。
印象度★★★☆☆
2018.12.13更新