acacia

No タイトル 作詞 作曲 編曲 備考
1 Age of our innocence 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆  
2 哀しみをください 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆  
3 110°F 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆  
4 リアリティ 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆  
5 MIDNIGHT RUN 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆  
6 acacia[アカシア] 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆  
7 Summer Junction 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆  
8 TWINS 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆 34thシングルC/W
9 Song For Bride 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆 35thシングルC/W
10 Lundi 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆  
11 So long long ago 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆 33rdシングルC/W
12 幸せになるために 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆 34thシングル 最高6位 売上10.1万枚
13 7TRUTHS 7LIES〜ヴァージンロードの彼方で 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆 35thシングル 最高16位 売上8.2万枚
14 PARTNERSHIP[after] 松任谷由実 松任谷由実 松任谷正隆 33rdシングル 最高18位 売上4.1万枚 キー上げ再録音

リリースデータ

2001年6月6日
2013年10月2日(廉価再発)
初登場2位
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売上22.0万枚
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Produced by 松任谷正隆 東芝EMI
EMI RECORDS

松任谷由実31stアルバム。同表記の6曲目は「アカシア」と読みが振られているが、アルバムタイトルは「アケイシャ」と読む。前作から1年7ヵ月ぶりで、恒例の冬リリースでは無く、82年の『PEARL PIERCE』以来の夏リリース(6月)となった。前作以降の3シングルに収録されていた新曲は6曲全て収録された(35thシングルは結婚をテーマにしていたためC/Wには他に過去の結婚関連の楽曲をシングルカットで収録)。「So long long ago」はシングルでは松任谷由実が演奏していたピアノが松任谷正隆の演奏に変更されている。「PARTNERSHIP」はキーを上げて再録音されており、新たに[after]という表記が追加された。シングルでの大型タイアップがどれも大きなヒットには繋がらず、今作も前作からさらに10万程度下げたが、20万枚を越えたオリジナルアルバムもこれが最後となった。なお00年1月にポケットビスケッツと共演したYuming+Pocket Biscuits名義の「Millennium」が発売されていたが松任谷由実、ポケットビスケッツ双方のアルバムに未収録となりシングルオンリーの作品となっている。

ユーミンのオリジナルアルバムは基本10曲というフォーマットを1stから守っており、2回ほど11曲というのはあったが今作の14曲というのは異例だ。いつになくシングルが3作リリースされ、C/Wまで6曲も収録したためだが、どれも後半に配置されており、しかもA面は最後に3曲まとめて配置。本編が「So long long ago」まででボーナストラックでシングル3曲を付け加えたみたいな構成になっている。シングル曲が浮いているというほどではないが、シングルは3曲とも打ち込みメインになっていて特に「7TRUTHS 7LIES〜ヴァージンロードの彼方で」のイケイケなノリはアルバム本編にはハマらないか…。

アルバム全体、特に新曲で固めている前半部分は1曲ごとに様々な曲調が飛び出していき、攻めの姿勢が全開。「リアリティ」では当時人気絶頂だった3人時代のm-floからLISAをFeaturing Vocalとして招いたりと、流行りも積極的に導入。一方で表題曲「acacia[アカシア]」は実にユーミンらしくも感じる。今にしてみるとこの曲の方がシングル3曲よりもシングルっぽい。決して落ち着きすぎることは無く、もちろん時代遅れな感じもないし、攻めまくりながらも無理している感じもしないというバランスは絶妙でここ数作の中ではなかなか会心の1作だと思う。

ただこの時期、とにかく「落ち目」という空気が呪いのようにつきまとっていた。古くからのファンには枯れたと言われまくり、売上を見ても分かるようにどんどん聞かれなくなり、聞かれても枯れた・落ち目という先入観で聞かれているような状態だったのでは…。意欲的にリリースした大型タイアップのシングル3作もどれも散々だった。曲が…というより曲にまつわるタイアップがどれも大型なのになんだか貧乏くじだったというかなんていうか。

「PARTNERSHIP」はシドニーオリンピックの日テレのタイアップだったが、高橋尚子が金メダルを取ってhitomiの「LOVE 2000」を聞いていたのが報道されたので「LOVE 2000」がヒットしたり、NHKはZARD、テレ朝は福山雅治だったのは記憶しているが、正直ユーミンがオリンピックタイアップとしてかかっていた記憶が全くない

「幸せになるために」は「TSUNAMI」「桜坂」の200万級大ヒットで一躍大ブームになっていた『未来日記』テーマソング。続くTUBEも久々のヒットになり、その次のGLAYはミリオンだったが、その次がこの曲だ。ユーミンとしては久々にトップ10入りして久々に10万を越えたのでそれなりにタイアップ効果はあるにはあった。ただ既に「未来日記」ブームが急速に冷めており、タイアップ効果も薄れたのがハッキリして「未来日記」もう飽きられたな…(今で言う「オワコン」化)といった負の印象ばかりのしかかる事となり、タイミングとしてはかなり微妙だった。

「7TRUTHS 7LIES〜ヴァージンロードの彼方で」はドラマ『ムコ殿』主題歌。後に第2弾も制作された久々のヒットドラマ主題歌だったが、このドラマは主人公の長瀬智也が劇中曲を桜庭裕一郎としてつんくプロデュースで歌っており、そっちが大ヒット(TOKIOにとっては初の1位)。ドラマにはつんくも出演していたのでドラマが盛り上がっていくにつれて桜庭裕一郎一色。主題歌のはずのユーミンがまるで場違い、むしろオバちゃんが随分無理してハッピーなウェディングソングを歌っていてサムい…という状態どころか、それなりにインパクトのある曲なのに最終回に向けて影の薄さが最先端から加速するという状態で今作で唯一ちょっと無理した?というくらい頑張った感じの曲なのにタイアップとしては散々なものだった。

このようにシングル3作、どれもそれぞれに力作だったのに呪われているかのように微妙な一見大型だけど実のところ他の誰でもどんな曲でもコケたんじゃないかというハズレクジのようなタイアップで「落ち目」ムードばかりが加速した。時間が経ってフラットに聞いてみるとこの時期のユーミンは決して落ち目ではない。むしろ攻めていて勢いがある。売れていた頃をリアルタイムで知る世代よりも、当時を知らない若い世代の方がこの時期のユーミンをフラットにいいと思えるかもしれない。

B00005J4YN  B00EZ2H3W22013年廉価再発盤 

印象度★★★★☆

2016.4.1更新

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