紅雀

リリースデータ

松任谷由実5thアルバム。松任谷正隆と結婚し、松任谷由実に変わってから初のオリジナルアルバム。77年には松任谷由実に改姓後、初の作品となるシングル「潮風にちぎれて」「遠い旅路」をリリースしたが、ベスト盤『ALBUM』にC/W共々4曲収録されたので今作には収録されていない。しかし『ALBUM』はCD化されていないため、「潮風にちぎれて」「遠い旅路」が入手困難になるという弊害が発生した。「潮風にちぎれて」は21世紀以降になってベスト盤収録でリマスターまでされているが、「遠い旅路」は89年に８センチCDで発売されたのが唯一のCD化となり入手困難な状況は現在も解消されていない。今作と10thシングルは同時発売だったため実質全曲新作のアルバムとなる。今作以降しばらく荒井由実時代のセールスを越えられない状態が続く。アルファレコードに版権が移動したため再発を乱発された荒井時代と異なり、松任谷由実以降の作品は一貫してEMI(現ユニバーサル)が権利を持っていたため、過度な再発やベスト乱発はされていない(それゆえ「遠い旅路」が取り残される事態にもなっているわけだが…)。99年に松任谷由実以降の80年代までのアルバムは一斉にバーニー・グランドマンによるリマスターで再発され、これが現行盤となる。2013年には全オリジナルアルバムが廉価盤で再発されている。

結婚してハッピーな作風になるどころかむしろ真逆の暗く地味な作品。元よりそんなに派手では無かったし、今作もこれまで同様にアレンジ面ではそれなりに多彩さはあるんだけど、曲自体が圧倒的に地味。今作にはこれまでの作品のような知名度の高いスタンダード性のある名曲も無い。本人も最も地味だと称しているそうなので、これ以上に地味な作品は他に無さそうだが…全体に漂うセンチメンタルさは一貫しているのでそこにハマることが出来れば恐らくそんなに悪い作品でも無い。通好みの作品といったところか。しかし何故新婚時代にこんな作風になったのか…。

99年リマスター盤　　2013年廉価盤

印象度★★★☆☆

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