LOVE is BEST

ストリングスアレンジ:弦一徹(3)、岡村美央(4,6,11)
ブラスアレンジ:YOKAN(8,9)

リリースデータ

大塚愛2ndベストアルバム。現在進行形のラブソングだけを選曲したラブソングベストアルバム。07年の『愛 am BEST』以来となる2作目のベストアルバムだが続編ではなく、一部収録曲は重複している。「Is」は新曲。「aisu×time」はRIP SLYMEのSUとのコラボで「One×Time」をリメイクした楽曲。「ふたつ星記念日〜新婚日和〜」、「甘えんぼ〜Wedding〜」、「ポケット〜Last Love Letter〜」はリアレンジ(リメイク)。「恋愛写真-春-」もリアレンジバージョンだがこちらはC/Wで発表済みの音源となる。C/Wのみの収録だった「チケット」、「drop.」、「キミにカエル。」、「甘い気持ちまるかじり」、「恋愛写真-春-」はアルバム初収録。DVD付には新たに制作した「Is」「aisu×time」「甘えんぼ〜Wedding〜」と既存の「大好きだよ。」「HEART」「さくらんぼ」のMVを収録。初回盤はデジパック仕様、ピクチャーレーベル仕様。ラブ アイズ（メガネ）封入。2作ぶりとなる1位を獲得したが、結果的に今作が最後の1位獲得作品となった。また前オリジナルアルバム『LOVE LETTER』の半分程度の売上に留まり、アルバムでは初の10万割れとなった。

2010年4月には次のシングル「ゾッ婚ディション/LUCKY☆STAR」を発売。6月に「aisu×time」でコラボしたRIP SLYMEのSUとの結婚を発表。9月にシングル「I ×××」をリリース直後に妊娠を発表。「I ×××」はNコン課題曲だったためヒットは出なくなってきていたものの少なくともこの年までの紅白出場は確実視されていたが妊娠により出場せずそのまま産休へ突入。これにより今作が独身・結婚・産休前最後のアルバムとなった。

2011年はレンタル限定で『SINGLE COLLECTION』を発売したが対象は「バイバイ」までとなっており、「ゾッ婚ディション/LUCKY☆STAR」「I ×××」は未収録。2012年秋には振付師の南流石が中心となって各所で活躍する面々が集結したバンドRabbitのボーカリストとして参加することが発表され、12月にデビューアルバム『裸人』を発売。2013年1月にはMステにも出演したが、アルバムセールスは散々(最高61位)となり、結局Rabbitの活動は3月まで行われたツアーを最後に自然消滅。2013年秋になり、ようやく大塚愛としての新作リリースを再開。セルフカバーミニアルバム『LOVE PUNCH』を挟んで、次のオリジナルアルバム『LOVE FANTASTIC』は2014年7月となった。『LOVE FANTASTIC』は産休前と以降の楽曲が混在するアルバムとなり「ゾッ婚ディション/LUCKY☆STAR」「I ×××」はそこでようやくのアルバム初収録を果たした。

リアレンジと既存曲が混ざり、アルバム未収録C/W集の役割も若干だけ果たしつつ、ヒット曲は最小限、前ベストとの被りも少しあったりする…という非常に中途半端なアルバムだが、率直にこれは年1でのアルバムリリースが決定事項となっていて契約消化のために企画されたエイベックス特有のやつだと思われる(ELTなんかは中期以降ベストとオリジナルをほぼ交互にリリースする状態になっていた時期がある。また1度"アガリ"を迎えたような扱いになると今度はなかなか作品自体がリリースされない状態へ移行するのがエイベックスのよくあるパターン)。結婚発表は翌年で、別に結婚や産休を機にした区切りの作品だったわけでもなかっただけに、出した時期も中途半端になってしまったという…。

結果的には産休自体は長く取らなかったもののRabbitを挟んで大塚愛としての新作リリースが再開されるのに数年を要してブランクが大きかったのと、これがちょうど30歳前後と重なっていたためRabbitで久々にTV出演した際にはアイドルイメージが一気に吹き飛び、元々本人の意向で女性ファン向けの発言や活動内容にシフトしておざなりにしつつあったアイドル視していた男性ファンはほぼいなくなり、人気自体が大暴落する事にも繋がった。

というわけでヒット期の大塚愛の最後のアルバムとなったがヒット期の総決算というよりかはここ1，2年続いていた落ち着いた方向性に沿った既存曲の選曲、そしてリアレンジ、新曲が並んでいる印象。コンセプト上浮いてはいないもののヒット曲なので半ば強制的に入れられたような「さくらんぼ」は今作では浮いているしいっそ無かった方がもう少し今作の色がハッキリしたんじゃないかと思う。結婚前で恐らく1番愛が熱く燃え上がっていた時期でもあったと思うので本人的にはこの前の『LOVE LETTER』とか今作でのラブラブモードは非常に自然な流れだったのかもしれない。ていうか「aisu×time」なんかはそのまま婚前カップルのいちゃつきだったわけで、リアレンジ曲に添えられた副題も結婚関係の言葉ばかりで結婚予告アルバムのようでもある。そういう意味でリスナー前提というより、独身最後結婚寸前の記念アルバムみたいでもあり、ちょっと個人的すぎる気がしなくもない。一応結婚は偶然でそのつもりだったわけではないと否定はしているが…。

ただそれでも今作はよくありがちでかつなんとなくイメージされるようないわゆるバラードベストではない。明るく元気な大塚愛は「さくらんぼ」だけで今作にはないが、かといってもう1つの王道イメージであるバラードばかりでもない。実際バラードの代表ヒットである「金魚花火」や「プラネタリウム」は今作にはない。中心になっているのはミドル〜ミディアムくらいのバラードではないがアップテンポでもなくて適度に聞きやすい落ち着いたポップスであり、大塚愛に二極(元気アップテンポ・バラード)のイメージしかないのであれば新たな良さを発見できるベストアルバムではあると思う。

DVD付　　CDのみ 　

印象度★★★☆☆

2018.8.29更新

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