The Beatles:White Album(Super Deluxe Edition)

Blu-ray
PCM Stereo(2018 Stereo Mix)
DTS-HD Master Audio 5.1(2018 Stereo Mix)
Dolby True HD 5.1(2018 Stereo Mix)
Mono (2018 Direct Transfer of ‘The White Album’ Original Mono Mix)

リリースデータ

メンバー

The Beatles9thアルバムの50周年記念エディションボックス。前作『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band:Anniversary Edition』と同様の企画で、新たなステレオミックス(リミックス)が施された本編とデモやセッション音源をまとめたBOX商品。今作はサブタイトルにAnnibversaryの文字は使用されておらず、単にDeluxe Editionとなっていて、最上位盤がSuperとなっている以外は3CD、4LP、2CD、2LPといったそのままの内容で区別されている。また本編のみの2CD盤が存在しない。

スーパー・デラックス・エディションは本編ステレオミックス2枚、イーシャーデモ1枚、セッションズ3枚、Blu-ray1枚の6枚組BOXセット。BDにはいわゆるハイレゾ音源となるPCM Stereo、DTS-HDマスター・オーディオ 5.1、ドルビーTrue HD 5.1の3音源+オリジナル・モノ・ミックスからのダイレクト・トランスファーによるモノラル音源を収録。BDに映像は収録されずに音源のみ(音源選択画面はある)となっている。また前作は同内容のDVDも付属したが今作にはDVDは付属しない。
3CDデラックス・エディションは本編ステレオミックス2枚、イーシャーデモまでの3枚組。今回は本編2枚のみでの発売は無く、最下位盤がこれとなる。
4LPデラックス・エディションは本編ステレオミックス2枚、イーシャーデモまでという3CDデラックス・エディションと同内容のLP。イーシャーデモもLP2枚に分かれている。
2LPエディションは本編ステレオミックス2枚のみのLP。LPでは通常盤に該当する本編のみの盤が存在する。

スーパー・デラックス・エディションはDVDがカットされたが本編が2枚のため、結局前作とディスク枚数は同じだが今回はBOXセットのデザインが別のものとなっているため、高さと奥行きはほぼ同じだが厚みは前作よりも薄くなり、若干の省スペース化になったのは良かった。とはいえ重量級のBOXは開封が手間で紙ケースに直入れのCD/Blu-rayやBOXサイズと同等にデカいのに通常CDサイズ時の洋楽の日本語ブックレットと同じようなペッラペラの紙質による日本語解説は慎重に読む事が要求され、率直にかなり扱いにくい…。

CD1,2　2018 Stereo Mix
アルバム本編。2015年の『1』以降に続いて今回もジャイルズ・マーティンのリミックスだが、前作までの比較的音圧を上げて迫力を出す傾向から一転して今作はそこまで音圧を上げてきていないようで、そんなに迫力が増してはいない。それよりも繊細さにかなり気を遣った感じ。割とアコースティックでシンプルな感じの曲も多いのでそういう曲で迫力出してもしょうがないとはいえ、「Helter Skelter」みたいなロックな曲はもう少しガツンとした迫力のある音で聞いてみたかった。

既にメンバーがバラバラになりつつあったと言われながらも、割とバンド感のある曲も多い、しかし曲数が多すぎて結局のところどうにも散漫…というのが今作の印象だったが、今回もそれはあまり変わらなかった。前作はもう少し劇的に生まれ変わったというか、改めていいアルバムだなと感じたのだが今作に関してはやっぱりあんまり好きなアルバムではないな…というところで印象が落ち着いた。

CD 3　Esher Demo(イーシャー・デモ)
アルバムの曲の大半は1968年2〜4月のインドでの瞑想修行の際に書かれ、帰国後の5月にジョージ・ハリスンの自宅でデモが録音されてからスタジオでのレコーディングへ突入した。このハリスン宅でのデモが"イーシャー・デモ"と呼ばれているもので、一部は『The Beatles Anthology 3』に収録されていた。今回は一挙27音源が収録されている。1〜19はアルバムと同じ曲順で並んでいて、20〜27はアルバムには未収録になった楽曲。提供されたり、『Abbey Road』のB面メドレーに使われたり、解散後に各自がソロで作り直して発表したり、そのまま未発表だったりと扱いは様々だが、いずれによ基本はアコースティックギターとラフな歌+簡易な打楽器や手拍子が入っている程度の文字通りのデモが延々27曲も続くのでなかなか長い…。ただこの後のセッションズもそうだけど、後年になるほどこの時期のビートルズはどんどん不仲になっていったとか言われているので、思いのほか和気あいあいとメンバーがデモ制作に臨んでいるのは確認できる音源かなと思う。

CD 4,5,6 Sessions(セッションズ)
今回はCD3枚に及ぶ音源集がスーパー・デラックス・エディションでしか聞けないという仕様になっている。全部アコースティックなデモ音源だったイーシャー・デモよりも進んだ段階でのバンドでの音源集となっているが、概ねアンソロジーシリーズの超拡大版のような内容。イーシャー・デモ終盤の本編未収録になった曲がこの段階で既に候補から外れているものもあれば、「Not Guilty」のようにセッションの段階まで残っていたがここまでだったという曲もあるのは面白い。またシングル曲になった「Hey Jude」「Lady Madonna」、そして発表がほぼ末期だった「Let It Be」はかなりメロディーも異なってるけど既にこの段階でセッションされていたのは少し不思議な感じ。

ただ今回は前回の「Strawberry Fields Forever」「Penny Lane」のようにアルバム本編未収録のシングル曲もデモまでしか収録されていない。完成版が収録される事は無く、また同じ曲が徐々に完成に近づいていく過程が分かるような同じ曲のデモが連続で収録されている事もないので、アルバム本編の印象同様に色々なセッションが次から次へと出てくる雑多な感じ。

Blu-ray
5.1ch環境は無いため、PCM Stereoとモノラル音源を聞いたが、現再生環境ではハイレゾ相当では再生できない。EX-AR3,AR9、その後購入したEX-AR99にはHDMI入力が無いためBlu-rayプレイヤーから光ケーブル、同軸ケーブルで繋ぐしかないがこの方法だと著作権保護機能の特性上ハイレゾ相当の音源のまま出力されずにCD相当に自動的にダウンコンバートされてしまい、PCM Stereoに関してはBlu-rayで聞く意味が無い。モノラル音源はCD未収録なので一応意味はあるが…。

Blu-ray再生可能なコンポか、HDMI入力のあるコンポ、もしくは筆者のような環境の場合はBlu-rayプレイヤーからHDMI出力できて光or同軸出力できるコンバーター等を経由してコンポに繋げばハイレゾ相当の音声をそのまま再生できるものと思われる。いずれにせよそれなりにハイスペックな環境じゃないとBlu-rayに収録されたハイレゾ音源なんてちゃんと再生できないよなぁ…。前述のように音は出せるのでダウンコンバートされてると気づかないで聞いている人も多いのでは。

こちらも前作では時期の近いシングル「Strawberry Fields Forever」「Penny Lane」の追加収録や映像の収録があったが、今回は「Lady Madonna」や「Hey Jude」など時期の近いシングルは一切収録されず映像も無いのは残念。

モノラル音源に関しては2009リマスターとは異なり、前作同様の"オリジナル・モノ・ミックスからのダイレクト・トランスファー"なので要するにリマスター無しそのまま。音もかなり小さく、モノラルとステレオという単純比較では聞けないくらいにマスタリングの差がかなり大きいと思う。

スーパーデラックスエディション　　3CDデラックスエディション　　4LPデラックスエディション　　2LP　

印象度★★★☆☆

2018.12.22更新

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