marble
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | マイナーなキス(川谷絵音より) | 川谷絵音 | 川谷絵音 | 川谷絵音 | |
2 | vanity(大沢伸一より) | AiO | 大沢伸一 | 大沢伸一 | 7/14先行配信 |
3 | マゼンタ (ミトより) | mito | mito | mito | |
4 | グッバイ蕎麦(中村正人より) | AiO | 中村正人 | 中村正人 | |
5 | FREEKY(蔦谷好位置より) | AiO | 蔦谷好位置 | 蔦谷好位置,福澤修 | 8/9先行配信 |
6 | 東京スパイラル(水野良樹より) | AiO | 水野良樹 | 横山裕章 | |
7 | I was a girl(長屋晴子より) | 長屋晴子 | 長屋晴子 | 板井直樹 |
リリースデータ
2023年9月9日 | 初登場81位 | 売上0.1万枚 | avex trax |
大塚愛3rdミニアルバム。デビュー20周年記念のコラボアルバム。デビュー20周年記念日となる9月10日の前日発売(金曜発売)となった。本人の指名による7組のミュージシャンに楽曲提供を依頼。作曲と編曲は完全に委ねており、作詞は3曲はそのまま相手に委ね、4曲は本人が担当した。featuringや×等のよくある表記ではなく、提供者が「○○より」と表記されるという独特のコラボ表記となっている。7月に「vanity(大沢伸一より)」、8月に「FREEKY(蔦谷好位置より)」を先行配信。
初回盤は3月に行われたピアノ弾き語りライブ「AIO PIANO vol.9」の東京公演(全11曲)を収録したBlu-ray付、DVD付の2種。Blu-ray付、DVD付は同額で8250円と高額に設定されており、CDのみでもミニアルバムにも関わらず3080円とほとんどフルアルバムと変わらない値段に設定された。
毎回インタビューでしれっと実はあの時こうだったというのを明かしたり、そこまで言っていいのかという本音をペラペラ明かすのが伝統芸のようにもなっているが、今作のインタビューでは前オリジナル『LOVE POP』で1stから9作続けていた『LOVE ○○』が"終わりを迎えたな"とさらっと言い出して終了していた事を明かしており、その流れとは違う作品を作るなら今このタイミングだと思ったという事で20周年記念でコラボという意識では無かったらしい。10周年と違って後半10年は"首の皮1枚でつながっている感じがずっとしていた"だの"ここまでたどり着けたのは奇跡"と言い出したかと思えば、"10周年以降の私は、世間的にはオワコンになっていたわけですよね(笑)。そこからオワコンさえ超えて仙人状態、化石状態みたいな世界にまで到達してしまって。"などと堂々発言するなど相変わらずぶっちゃけまくっていてインタビューが面白いことになっている。いつもメインでそういったぶっちゃけ発言をしていたのはビルボードインタビューだったので、ナタリーインタビューでここまで語っているのは初めてかも。
15周年時には配信でシングルコレクション(レンタルではCD化)→オールタイムベストと重ね掛けしてしまい、それからは新作はフルアルバム1枚しか出ていない上に、実質リミックスだけどリメイクと言い張った『犬塚愛 One on One Collaboration』も出していて過去のヒット曲を使った企画を20周年でやるのは到底無理な状況にはなっていた。"首の皮1枚でつながっている"と冗談めかして表現するような現状、同じくらいの年数に達した際のエイベックスの諸先輩方(TRFパイセンとかELTパイセンとかhitomiパイセンとか…)の状況を見ても企画作でも出せるだけ確かに"首の皮1枚でつながっている"状態なのかもしれない。
今作では作編曲を全て相手に委ねているので、1曲ごとに大きくカラーが異なる。1曲1曲の個性が強い。あまり作風を知らない人もいたんだけど、概ね各作家の名前や所属グループからイメージされるような作風がそのまま各楽曲から感じられる。なので「vanity(大沢伸一より)」、「FREEKY(蔦谷好位置より)」が最初に配信された時はエレクトロ路線かと思ったんだけどMONDO GROSSO的な作風や蔦谷好位置が得意とする方向性がそのまま強く出ていただけで、川谷絵音が提供すれば川谷絵音っぽいし、クラムボンのミトが提供すればこれは彼が提供していた豊崎愛生や花澤香菜っぽいイメージになっていてこれらはポップ色が強い。中村正人の「グッバイ蕎麦」は歌詞でだいぶふざけており、曲自体がそんな感じだったのでふざけることにしたようだが、サウンド自体にそんなにはっちゃけた感じがせず、意識的に少しダサい打ち込みサウンドに仕上げているな程度。大塚愛の過去のヒット曲のコミカルさに比べるとそうでもない気がしてしまい、中村正人の遊び方はちょっとセンスがピンと来なかったところがある。水野良樹は自身のソロプロジェクトで大塚愛を招いたばかりで同い年として対談もしたりと交流があったためか、かなり意識的にいきものがかりっぽいまた水系(放牧中に提供しまくった際のまた水野かと思うようなバラード)ではなく、大人っぽいポップスに仕上げていてなかなか面白かった。いきものがかりでもそろそろこのくらい大人っぽく攻めてもいいのに…。緑黄色社会の長屋晴子は今作の中で唯一20代(28歳)で若手と言える年齢だが、大先輩への提供という感じで少し自分の曲より大人っぽい雰囲気にしたのかなという感じはした。
普段とは違う大塚愛のコラボ企画アルバムとしては充実した1作。少なくとも同じミニアルバム形態で過去曲をリメイクしたり、リミックスした『aio piano』や『犬塚 愛 One on One Collaboration』よりは本人の作曲ではないだけで"新曲"が聞けるアルバムになっているし、先行で配信された2曲は何故かトラックメイカー寄りだったけどそれ以外はポップス路線なので大塚愛の一般的なイメージのままで聞いても聞きやすいアルバムになっている(ていうか先行が何故この2曲だったんだ…)。ただこれを経て今後どこへ向かうのだろうか。『LOVE
〇〇』が終わっていたなんて今更明かしているのでこれまでとは違う作風に挑んでいくのか、エイベックス諸先輩方と同じコース(新作停止)になってしまうのか。なんだかんだ面白いシンガーソングライターなので40代の新作も聞かせてほしいところ。
印象度★★★★☆
2023.10.7更新
※今作はAmazon Musicのみで視聴したためCD(ブックレット)を手に取っていません。作詞作曲編曲はタワレコ参照。