究極のベスト!
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 夏の日の1993 | 松本一起 | 佐藤健 | 十川知司 | 1stシングル 最高3位 売上115.5万枚 2024年アナログ盤 最高50位 売上0.04万枚 |
2 | もう君を離さない | class | 柘植由秀 | 関根安里 | 2ndシングル 最高4位 売上33.7万枚 |
3 | Rainy Day | 松本一起 | 北村勝彦 | 十川知司 | 1stシングルC/W |
4 | Holiday | class | class | class・十川知司 | 3rdシングル 最高16位 売上12.8万枚 |
5 | 百万本の雨 | 松本一起 | 太田美知彦 | 松本晃彦 | 5thシングル 最高29位 売上3.1万枚 |
6 | Melody | 津久井克之 | 津久井克之 | 有賀啓雄 | 5thシングルC/W |
7 | 夏にかかる Wedding Song | 松本一起 | 日浦孝則 | 斎藤誠 | 6thシングル 最高61位 売上1.8万枚 |
8 | 君だけが知っている | 日浦孝則 | 日浦孝則 | 斎藤誠 | 7thシングル 100位圏外 |
9 | Slowly but surely | 日浦孝則 | 日浦孝則 | 斎藤誠 | 4thアルバム『That's cool!』収録曲 |
リリースデータ
2005年7月27日 | 300位圏外 | ワーナー |
メンバー
津久井克之 |
日浦孝則 |
class3rdベストアルバム。1993年デビュー、1996年解散、2003年にデビュー10周年を記念して再結成してコロムビアからシングル『夏の日の1993〜2003 up to date session〜』を発売、翌2004年には5thアルバム『夏記』を発売していて、2005年には今作がリリースされた。現役時代に在籍していたレコード会社はアポロンで解散と同時期に消滅。classのCDは既に全作廃盤となっていて、2003年に再結成したものの過去作品が入手不可能の状態となっていたため、今作が現役時代の音源の久々の新品流通作となった。アポロンはとっくに消滅、再結成でリリースしていたコロムビアではなく、何故かワーナーからの発売となり(権利表記はEMOTION MUSICになっている)、曲数を絞る事で1500円(当時)に価格を抑えたワーナーの全9曲『究極のベスト!』シリーズの1作として発売された(6月と7月に2回に分けて一斉発売された)。7,80年代のレコード時代のアーティスト中心のラインナップだったため、活動期間が1993〜1996年のclassが最も新しい人選となっていた。現役時代のシングル7作、アルバム4作からの選曲。シングル7作のうち何故か10万枚を突破していた4th「永遠の素顔」のみ未収録。また今作の選曲は解散時最後にリリースされたベスト盤『class book-class 1993to1996 Best-』全15曲から9曲を抜粋したような選曲となっている。
再結成はあくまで一時的な"同窓会"的なものであり、『夏記』リリース後は活動はしていなかったが、「夏の日の1993」が収録された2007年4月発売のワーナーのコンピ盤『R35 Sweet J-Ballads』がミリオンに迫る大ヒットを記録した事で、同じく収録されていたJAYWALKらと共に懐古系の特番や企画ライブへclassとして呼ばれる機会が増えた。メンバー2人もこれに応じてclass名義で活動していた。2003〜2004年の再結成作品を除くとしばらくは今作のみが現行流通している現役時代のベストアルバムだったが、2007年6月にはWebKooから2枚組の新ベスト『BEST of BEST』が発売された。『R35 Sweet J-Ballads』効果により、新曲の要請もあったが、日浦はclassは1996年に解散していて再結成は一時的なものであるというスタンスでいたために新曲制作の件は断ったという。しかし津久井は続けたかったようで、結果日浦が脱退して新メンバーとclassを続けることとなった。脱退と新メンバー加入には日浦も同意したが、意に反して脱退理由を「家庭の事情」(当時妻が闘病中である事を公表していたのでこの事と結び付けられるのは不本意だったため)と勝手に発表されて記事にされた事からブログで苦言を呈した。オーディションをするという話だったのに何故か音楽未経験の素人であった当時classが所属していた事務所社長の岡崎公聡が新メンバーとなると発表されたため日浦は残念である旨をブログに綴った。その後「冬の日の2009」を聞いてありなのではないかと考えを改めた事で不満の意を示したブログは削除されている。
一連の脱退騒動においては日浦が自身の公式ページで経緯を説明したり、発表されている事が事実と違うという訂正などを行ったのに対して、津久井・岡崎の新生classサイドからはこれといった説明が無かった事もあり、事務所社長によってclassが乗っ取られたとしてファンの間でも騒動となっていた。新生classは2008年12月に替え歌リメイクシングル「冬の日の2009」、続けて2009年4月にアルバム『十六年と一日』を発表。ワーナーからはこれに乗じての新ベスト『プレミアム・ベスト class』が8月にリリースされた。しかし2009年年明け頃に津久井に癌が発覚、隠したまま活動を継続していたが2009年10月に津久井の死去が発表されて闘病していた事も明かされた。津久井の死を受けて岡崎は1人でclassを継続する意思はない事を表明し、これによりclassの活動は停止、終了した。その後、日浦はソロでclass時代の曲を歌う事もあり、インタビューにも応じているが、元々津久井とは気が合わなかったという事は普通に語ってもいる。
当時昔の8センチシングルのミリオンヒットを中古で集めていて「夏の日の1993」も入手、2003年にシングル『夏の日の1993〜2003 up to date session〜』が出たのもリアルタイムで知ったのでこのシングルは新品で購入していた。2年後に今作が出たので発売当時にレンタルして来たんだけど当時はちょっともう古いな…って感じでそれっきり放置。今回「夏の日の1993」から30周年、「夏の日の1993〜2003 up to date session〜」を買ってからも20周年を迎えるという事で遠い目になりながら、当時録音した今作のCD-R(と歌詞カードのコピー)が発見されたので聞いてみた次第。
2003年の再結成をきっかけに今作でclassの現役当時の音源が市場に復活したものの、その後便乗してのフル選曲のベストが2回出ているので現在はそこまで重要作でもない。とはいえ「夏の日の1993」をきっかけにさらっと聞いてみたい場合にはコンパクトにまとまった今作は聞きやすい。経済的な意味でのバブルはとっくにはじけていたが、どうにもこうにも音楽業界としてはバブル全開だったようなアーリー90'sな作風はキラキラ爽やか。80年代を色濃く引きずったようなこのバブリー感は時代性も強く、急速な時代の変化によりあっという間に古臭い過去のサウンドとなってしまったので、ヒットが続かなかったのはこれはしょうがない。こういう雰囲気の作風は1995年の壁にぶち当たって木端微塵になってしまうよなぁ…と改めて思った。1周以上回って今はこれはこれで1つの時代の音としていいなとは思うんだけど。
津久井も日浦も1993年デビュー時点で33歳と遅咲きで津久井はデビュー経験は無かったが、日浦は80年代に1度ソロでメジャーデビューするもシングル2枚アルバム3枚でアマチュアに戻って再度デビューの機会を伺っていたという。デビュー時点での年齢を考えると、もう少し大人な方向性もありだったようには思うが…「夏の日の1993」って曲はいいんだけど歌詞の恐らく意図的な"中身が何もない感"が凄いんだよな…。また明らかに当時人気絶頂だったCHAGE&ASKAに寄せようとしている感じでもあった(「夏の日の1993」のジャケ写で今作のジャケ写にも流用されている下記の写真なんかは1人が帽子&サングラスのCHAGEスタイルで完全に偽C&Aである)。CHAGEがコーラスイメージになりがちだった当時のC&Aと違ってclassにはそういった格差的なものはなくて、2人ともメインで2人ともハモりにも回っていてより対等なデュオっぽさはあったし、強みはあったと思う。後半のメンバー自作楽曲は職業作家陣によるアーリー90'sな作風よりも、もっと普遍性のある良曲といった印象もあった。
印象度★★★☆☆
2023.7.12更新