UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY Anthology

リリースデータ

メンバー

GLAY7thアルバムのアンソロジー。Anthologyシリーズの一般発売では8作目(『GLAY Anthorogy』が2011年にFC&公式通販限定で発売されているので通算では9作目)。2002年9月の発売から20周年を半年近く過ぎたタイミングでの発売となったが、発売20周年を迎えた直後の2022年10月にアルバム再現ライブ『GLAY Anthology presents-UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY 2022-』を4ヶ所6公演開催。このライブの模様を今作のDISC-3でBlu-ray化するのを発表すると同時に今作の発売が告知されていた。

前作『ONE LOVE』では収録しきれない未収録曲が大量発生して11曲に及んだがそれらはそのまま放置された。前作に続いて競紀行がリミックスを担当し、DISC-2のライブ音源も担当している。リマスターは前田康二が担当し、Blu-rayのマスタリングも担当、DISC-2は瀧口“Tucky”博達が担当している。

DISC-1は本編13曲+追加3曲をリミックス&リマスターで収録。今作の収録範囲では未収録になっていたのが「逢いたい気持ち」「BROTHEL CREEPERS」「GIANT STRONG FAUST SUPER STAR」の3曲しか無かったため、3曲ともそのまま追加収録された。
DISC-2はデモ音源とライブ音源を収録。今回は本編13曲はデモかライブ音源のいずれかが1曲(一部デモ2曲)は収録されていて飛ばされた曲は無い。
DISC-3はアルバム再現ライブ『GLAY Anthology presents-UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY 2022-』最終公演2022年10月24日アクトシティ浜松公演を全曲収録したライブBlu-ray。今回は再現ライブが前提にあり、再現ライブをアンソロジーに一緒に収録するために今作の発売時期がずれ込んだものと思われる。

Disc1 Remix&Remastering 2023
今作自体があまり聞き込んでなくてシングル以外は1曲1曲であまりちゃんと覚えていないというのもあるものの、今回も特に違和感のある変なバランス感ではなく、前作でエンジニアが競紀行に変わったのは引き続き良い感じになっているように思う。ただ前作では公式インタビューで丁寧なレビューや競紀行本人の解説も載せていて意図も明確になっていたのに対して今作は公式が何も上げていない。なので各リミックスにどのような意図があるのかは不明である。「Friend of mine」ではオリジナルには無かったけっこう重めのエレキギターのリフが終始鳴っているのは今作の中でも格段に目立つ改変だがさすがにこれは説明が必要なのではないか。このシリーズで新規録音はしていないはずだから、お蔵入りしていたギタートラックを今回発見して使用したという事にはなると思うんだけど、とにかく目立つので賛否は分かれそう。あと「逢いたい気持ち」もイントロからなんか聞き覚えのないギターの音色が聞こえるな…。細かく聞いていくとそういう箇所は多いのかもしれない。改めて今作を聞いたことでけっこういい曲も多かったんだなという事にはオリジナルを聞いた時よりも多く気づけたので好印象なリミックスではあった。

Disc2 Demo&Live
デモの中にふいにライブ音源も出てくるが、ライブ音源で当時のものは翌03年のライブからの「航海」だけで「夏の彼方へ」「LL STANDARD IS YOU〜END ROLL〜」はBlu-rayの最終公演の1つ前の千葉県市川市文化会館(10月19日、20日の2日間のうちどっちかは不明)公演の音源なのでコンディション的にはBlu-rayと差はない。概ねデモだなぁ…という未完成な感じの音源が並んでいるが、前作でも見られたふざけたデモ歌詞は今回も一部で健在で「girlish MOON」の最初のデモでは"Toshiは世田谷市民でも無税"だの"会いたい時にあなたはシカゴ"などと完成版とは全く違うふざけた歌詞が繰り返し大真面目に歌唱されるのがシュールだった。

Disc 3 Blu-ray
今回は当時の映像ではなく、アルバム発売から20周年のタイミングで行われた最新ライブの模様を収録。当時ツアーが行われなかったため、20周年にして初のアルバムツアーとなった。ドラムのToshi Nagai、キーボード&ストリングスアレンジも担当した村山☆潤に加えて、ストリングス6名、コーラス2名の女性サポートが参加、さらに「WE ALL FEEL HIS STRENCTH OF TENDER」、「Friend of mine」〜「Only One,Only You」には専門学校と高校の学生コーラス隊も参加。本編全曲を曲順通りに演奏+最新シングル「Only One,Only You」、アンコールではバンドメンバー+ストリングスを入れて3曲を演奏。きっちり2時間のライブとなっている。なおアルバムでは「Way of Difference」のサビ始まりがカットされたアルバムバージョンになっていて今作でもアルバムバージョンのリミックスになっているが、このライブでは普通にサビ始まりのシングル準拠で演奏されている。そこは細かくこだわる部分ではなかったらしい。

いつもと違うカッチリした厳かなスタイルのライブとなり、声出し禁止の中でアンコール以外は着席スタイルでじっくり見せていく構成がちょうどよくハマっている。また最初と最後に登場しての学生たち含めた素顔の熱いコーラスワークも感慨深いものがある。エンドクレジットにあるメイキング映像では案の定直前までマスク姿で練習させられている様子が少し映し出されているが、ステージでの彼らは素顔で感情全開で楽しそうに歌っている。GLAYの醸し出す空気が良いというのもあるがそれにしてもかなりの熱量がこもっていて、クラスメイトの顔を見た記憶が無いような状態で卒業を迎える事になったであろうこの世代の学生にとってこうした素顔で活動できる瞬間の貴重さ、その素顔の記録を残せたことは非常に大きい出来事だったと思う。

アルバム自体はやはりそんなに好きではないな…という感じではあるんだけど、通しでライブでやる事によりある程度は良さも見えてくるというのはあるのと、今作でのTERUは非常に調子が上がっているのが印象的。少し前は髪を下ろして顔の輪郭を不明瞭にしても隠しきれない太っTERU状態で他のメンバー3人がそのまま年齢を重ねているのに対して1人だけ人相が変わりかけていたが、このライブでのTERUはすっかり痩せTERU。人気絶頂期のあのシュッとしてカッコよかったTERUがそのまま年齢を重ねたような容姿になっていて驚いた。これかなり本気でダイエットしたのではないだろうか(ライザップのCM出てたっけ？というレベルの変貌っぷり)。これまでも何度か少し痩せTERUか？と思ったらまた太っTERU…と繰り返していたが今回はそういう次元ではない。同時に声もなんか凄く良い。以前はキーは下がっていないものの見た目に反して声は痩せてきTERUなぁ…でもあの高音を40代、50代と出し続けるの難しそうだし仕方ないだろうなと思っていたんだけど、今作では終始安定していて高音部でも変わらず声が伸びていく。近年は改めて60代以降も歌い続けていく目標を語ってもいるし、本格的に長く続けていくために色々努力されているのかもしれない。20年前のアルバムの再現ライブとして中央に立つボーカリストがこの状態の良さというのは本当に進化しか感じさせない凄さがあった。このライブ映像も含めて、改めて良さが見えたところもあったので、今作自体の印象はオリジナル当時よりも一段上がったかなと。

付属のブックレットは今までは当時の雑誌インタビュー記事なども随所に掲載されていたが、今作ではインタビュー記事が一切ない。確かに『ONE LOVE』までに比べると格段にプロモーションが少なく、なんかあまり騒がれずにリリースされたアルバムだった記憶はあるが、インタビューもあまり受けていなかったんだっけか…？公式のインタビューやレビュー一切なし、ブックレットにもインタビュー掲載なし…今作はとにかく何も説明しない、語らないというアルバムなのだろうか(ライブMCではさすがにTAKUROがアルバムについて少し語る部分はあるけど)。代わりにBlu-rayのライブ写真を他会場の模様も含めて掲載しているが、発売約20年前のアンソロジーシリーズなのにほぼ最新のメンバー写真の方が多いくらいになってしまったな…。

印象度★★★★☆

2023.3.19更新

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