サスケ シングルレビュー

90年代末期にゆず、19などが相次いでブレイクし、アコースティックギターを抱えて路上で歌うスタイルのストリートブームというのが来た。サスケの2人が活動を開始した頃はまさにストリートブームの全盛期か少し越えた頃だったと思われるが、ブームがR&B系や青春パンク、HIP HOPへ移動していく中でストリートブームは終息。そんな中で「青いベンチ」が発売された。タイミングが逆に良かったのかこの曲は年内にかけてロングヒットを記録し、立て続けにリリースしたミニアルバム『Smile』もヒットした。しかし、この時点で内部では大きな問題が生じていたようだ。song writing supported by 西脇唯。この謎のクレジットはシンガーソングライターの西脇唯がサポートをしているという程度だと当時思っていたが、その後のサスケは年1でかろうじてシングルを1枚出す程度。ライブも活発に行っていたといえるほどではなく、当然そんな状況で人気が続くはずもなく、09年にそのまま解散してしまった。フルアルバムは解散時のベストアルバムが初めて。未発売曲が大量に取り残されたままとなった。

サスケが所属していたのはインディーズレーベルだったが実質的にはエイベックス。そして西脇唯が現在は削除されているが、ゴーストライターになってしまった事を自身のページで告白した事などからかなり複雑な事情が絡んでいた事は容易に想像できる。当時公式サイトで西脇唯の名前を書き込むと問答無用に削除されていたとも言われている。それだけに復活など到底ありえないと思っていたが、2011年にはなんとテゴマスが「青いベンチ」をカバー。さらに2014年には「青いベンチ」10周年を記念して再結成を果たした。それを記念して過去のシングル楽曲を引っ張り出して久々に聞いてみた。

なお彼らが活動の拠点としていたのは我らがさいたま市の大宮駅前とされている。しかし地元のくせに彼らが売れるまで全く知らなかった…。

2014年執筆。全曲「シングル感想」においてリリース当時の感想が掲載されているが、当時の感想を読み返すことなく、2014年時点で改めて聞き返しての感想となっている。

1st 青いベンチ
03年10月25日(大宮限定)、04年4月7日
言わずと知れた代表作。最早サスケの知名度よりも曲の知名度の方が高いくらい1人歩きしている感もある。song writing supported by 西脇唯と表記されているが、ゴースト騒動を察知しているファンや西脇唯のファンの間では暗黙的にこの曲は完全に西脇唯の作風である(特に歌詞)、とされているようだ。西脇唯のサポート表記は他にもあるので、これだけが他人の曲だからクオリティが高いというわけではまずないわけなんだけど、それでもこの曲はやっぱりずば抜けている。すっかりストリートブームが忘れられたような頃だったが、チャート上位を占めていたのはHIP HOP流れのラップやR&B流れの乾いたリズム、青春パンク、ミクスチャーなど。そんな時代にこの優しくも普遍的で素朴なサウンドは本当に心地よかった。解散時に再録音されたほか、2014年の再結成もこの曲から10周年を記念したものとされていて、さらに10th Anniversaryとして再録音されている。再録音バージョンは2作とも全国的にはアルバム収録のみだが、どちらも大宮限定でシングルCDとしても発表されている。
★★★★★
ミニアルバム『Smile
ベスト『
青いベンチ〜好きだった…誰にも言えない恋だった〜
ベスト『
青いベンチ〜好きだった…誰にも言えない恋だった〜』(Like a street ver.)
10周年アルバム『sasuke』(10th Anniversary)

青いベンチ


2nd 永遠の夏/輝く明日の方へ
05年7月6日

永遠の夏
シングルA面で唯一"song writing supported by 西脇唯"が無い楽曲(ベスト盤では一括クレジットされているが、シングル盤のクレジットでは「#2」と表記されており、つまり「輝く明日の方へ」だけとされている。)シングルA面でこの曲だけは完全に自力で作った楽曲ということになるはず。前作同様に切ないメロディーラインが印象的で、さらに過去の夏を振り返る幻想的な雰囲気と歌声がマッチしていていい感じ。パッと聞きでは地味かと思ったんだけど、じわじわ来るタイプの良曲だと思う。正直「青いベンチ」以上の楽曲は無いと思うんだけど、続くNo.2楽曲としてはこの曲以外に浮かばない。
★★★★☆
ベスト『青いベンチ〜好きだった…誰にも言えない恋だった〜

輝く明日の方へ
ストレートな応援系アップテンポナンバー。最初に聞いた時はこっちの方が印象に残ったんだけど、あっさり突き抜けていってしまいすぐに飽きてしまった。「輝く明日の方へ」もサビで出てくるんだけど、サビ頭は「夢を止めないで」であり、しかもこのフレーズは1サビに2回も出てくるのでタイトルもそのまま「夢を止めないで」の方が印象に残りやすくて良かったんじゃないかという気が。
★★★☆☆
ベスト『青いベンチ〜好きだった…誰にも言えない恋だった〜

永遠の夏 / 輝く明日の方へ


3rd 卒業の日
06年1月25日
タイトルそのまま卒業ソング。C/Wなしの1曲入りで楽譜を封入するなどしていたので、リリース時期的にもみんなに歌ってもらおうという意識が多分にあったと思われる。ただ意外と言葉数が多いのでメロディーも覚えにくくて合唱するには難しい楽曲だ。ヒット曲としてみてもこれまでのサスケらしい素朴な良さや切なさはあるんだけど、ちょっと地味目。結果的には卒業ソングとしても全く定着しなかった。
★★☆☆☆
ベスト『青いベンチ〜好きだった…誰にも言えない恋だった〜

卒業の日


4th もしも時を飛べるなら
07年1月24日
まさかの1年ぶりシングル。アレンジャーを変更した効果もあり、これまでにない鋭さを併せ持ったセツナ系アッパーチューン。正直存在を忘れかけていたので期待値も低かったんだけど、これは「青いベンチ」とは異なる方向性でのインパクトがあるんじゃないかと思う。こういう落ち目というか減り行くファンしか聞かなくなっているような時にふいに名曲が生まれるから、忘れずにチェックしていないとこういう曲を聞き逃してしまう。新たなサスケの可能性を提示した個人的にはNo.3楽曲。しかし結果的にはすぐ解散してしまったので単なる異色楽曲となってしまったのが残念。
★★★★☆
ベスト『青いベンチ〜好きだった…誰にも言えない恋だった〜

もしも時を飛べるなら  [Maxi]


5th Friend/TIME
07年11月7日

Friend
友情ソング。前作で期待値が高まったものの…とりあえずここまでで形成されているサスケっぽい曲という以上の印象が無い普通にいい曲。友情ソングといっても主人公が学生時代の友人とあの頃の輝きを懐古している内容。友人を励ますような感じになっているんだけど主人公自身の方がどうにも夢破れているというかお疲れ気味っぽい。一方で肝心の友人の現在の姿は全く明言されておらず、主人公も別の場所にいる感じなので、友人を励ましているようで自分自身に言い聞かせているような気がする。「輝く明日の方へ」で夢を止めないでとかまっすぐに歌っていたところからすると、現実の厳しさを痛感する楽曲だが、当時のサスケの2人含めておそらく思うようには行かなかった、あの頃が眩しいというこの曲の世界観に共感する人の方がきっとリスナーにも多い。当時のメンバーが29歳。当時まだ学生だったのでこの歌詞の内容までは意識して聞いていなかったけど、偶然にもこの文章を書いている時点での俺も当時のメンバーと同年齢に達した事で改めてこの"学生時代を振り返る視点"が理解できるようになった。当時学生だったリスナーが年月を経て改めて聞くとたぶん聞こえ方がかなり変わる1曲だと思う。これがラストシングルになったというのがなんとも暗示的だ。
★★★☆☆
ベスト『青いベンチ〜好きだった…誰にも言えない恋だった〜

TIME
失恋バラード。両A面なのに最後のアルバム収録から外されてしまい、唯一放置されたA面曲。当時もなんともパッとしないと思ったのとアルバムから外されてその後聞く機会がほとんど無かったこともあって、今回この曲だけは聞き返すまで思い出せなかった。
★★☆☆☆
アルバム未収録

Friend/TIME

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