SMAP 25th Anniversary 2011-2015

2011年にはついにデビュー20周年を迎えた。2011年は東日本大震災が起きたため活動を大幅に変更する事となった。思えば5周年で森脱退、10周年で稲垣メンバー、15周年は大事件は無かったがツアー中のメンバーの故障が相次ぐなど周年を何事もなく祝えた事が無かったSMAP。25周年はまさかの解散となり、SMAP「周年」の法則は最後まで発動し続けた。

基本的には2年に1回アルバムを出してツアーをするというのも恒例化。マンネリや限界説もささやかれ、木村主演のドラマといえど大ヒットすることも無くなり、逆に開始時期をズラしたりとTV局の編成にまで介入しているかのような話題作りも目立つように…。

あえてカッコ悪い面も見せてしまうという本格的にオッサンアイドル路線を開拓し始めた中で迎えたシングル50枚という節目ではシングル全曲を生放送で丸々メドレーする、2014年には27時間テレビで司会を担当し、過酷でボロボロなライブを終盤に行い、その最後には森からの手紙が朗読されるなど1つのタブーが解禁されるなど1つの到達点に達した瞬間もあった。

また音痴を公言してすっかり定着していたのでそんなに気にされなかったが、中居の声が以前よりも枯れてきてしまい、結果的に最終アルバムとなった『Mr.S』では恒例となっていたメンバー全員のソロ曲を廃止してまで中居だけソロ曲を無くす措置が取られていた。実際に本人も声枯れを自覚していたようで、喉に腫瘍が発見されたとして極秘で手術を行ったと2015年6月には明かされている。

そしてこの時期で特徴的だったのが解散の要因にもなったいわゆるジャニーズ内の派閥の露骨化だった。いわゆるジャニーズ内派閥が存在することはそれまでジャニーズファンの間では常識レベルの話だった。個人的にも学生時代にKinKiファンやV6ファンの子から派閥の解説(?)を受けたことがある。

SMAPに関しては元からカウントダウンライブなどのジャニーズ全員集合イベントには参加しない半独立体制を取っていたのでスマスマに後輩があまり出なくてもそんなに不自然ではなかった。また00年代になってからもデビュー当初のKAT-TUNとの交流はいくつかされていてスマスマにKAT-TUNが出たり、中居が主演した『婚カツ!』に後輩ポジでKAT-TUN上田が出演(中居の指名と報道された)したこともあった。このため後輩とあまり共演しないが全く共演しないわけではないという程度の認識だった。

しかし、SMAPだけが東日本大震災が起きた2011年に電力を理由にしてCDリリースを配信に切り替え、さらには電力を気にして20周年であるにも関わらずツアーも行わなかった。震災時にジャニーズは「Marching J」を立ち上げてSMAPも含めて全ジャニーズが募金活動を行うなど今となっては最初で最後のジャニーズ全員集合が見られたわけだったが、その年の後半には多くのグループが普通にツアーを再開しており、嵐や関ジャニ∞などは普通にドーム公演まで行っていた。ジャニーズ内に限らず2011年後半になると電力不足を理由にライブを控えるような事はほとんど見られなくなっていたのでSMAPだけ電力を理由にツアーをやらないというのは、結果的に浮いてしまっていてなんだか違和感があった。

震災時対応におけるSMAPの対応はまさに「国民的」ゆえの配慮だったとも考えられるが、この頃を境にして派閥が目に見えるようになっていった。分かりやすいのは2012年にKis-My-Ft2がデビューするとSMAPメンバーの主演ドラマに後輩ポジでKis-My-Ft2が出演するようになり、Kis-My-Ft2との共演だけが激増。同時に音楽番組の編成、特に震災以降に増えた大型特番の出演においても露骨にジャニーズの出演がセパレートするようになり、一般レベルでもSMAPとキスマイ(とSexy Zoneや山Pら)と嵐やTOKIOらその他大勢のジャニーズに何か壁があるのではないか?というのを感じさせるには十分な状況となっていた。

2016.9.20〜10.2順次更新(「not alone〜幸せになろうよ〜」のみリメイク、以降全て新規追加)

not alone〜幸せになろうよ〜
11年4月25日(着うた)、11年5月4日(着うたフル)
作詞:権八成裕、作編曲:菅野よう子
香取主演ドラマ「幸せになろうよ」主題歌。蓋を開けたら脚本家が1話で降板して後始末に追われたストーリー展開はハチャメチャにぶっ飛び、登場人物の誰にも共感できない、特に香取が演じた結婚相談所の職員高倉純平がいい人ぶった外道というトンデモ展開に陥り、最後はヤケになって主人公にありえない行動を連発させ笑いに走った。会員である黒木メイサに手を出した挙句に勝手にあきらめて藤木直人に託したのに「やっぱり好きなんです」「婚約取り消してくれ」「別れたら連絡をくれ」とのたまい、メイサ相手にストーキング。藤木直人には妻がいたが謎のホラー展開を繰り広げたまま回収しきれない一方で、高倉純平は「幸せにするとは言いません。幸せになりたいんです!」なる迷言を叫んでハッピーエンド!

そんなメチャクチャな怪作の主題歌だったが、当然用意された時点では月9なのでハッピーな恋愛ドラマになることを想定して書かれており、幸福感溢れる仕上がり。久々のフルバンド編成も豪華で良かった。しかし軽めの打ち込みならまだしも生バンド編成の楽曲がシングル化されず携帯配信限定になってしまったのはもったいなかった…。間もなく無事にCD化はされたので良かったけど、震災後の混乱の中でも急ごしらえでチーム・アミューズ!!がシングル作って30万枚売ってた中で、SMAPはCD30万枚は生産しないといけないから電力の問題で出せませんには無理があったよなぁ…。
★★★★☆
5thベスト『SMAP AID

2016.9.20更新


46th 僕の半分
11年12月21日
作詞作曲編曲:斉藤和義
11年ギリギリ唯一のシングルCD。20周年ツアーが予定されていたものの東日本大震災による電力不足を理由にツアーより大幅に規模を縮小したファンミーティングを行ったが、さばききれなかったファンの需要を満たすために11月に東京ドームで行われた「SMAP FaN×FuN PARTY 2011」では10数曲披露されたようでそのアンコールで先行披露された楽曲。初回盤DVD付属の「スペシャル映像」とはこの際の映像を使用したもの(映像のみで音声はCD音源)。

楽曲は地味ながら渋い味のある良曲だがとにかく暗くて物悲しい。散々日本を笑顔にしようと活動してきた2011年を締めくくる新曲とはとても思えず、これは一体どうしたことなのかと唖然とした。とにかくリリースタイミングが謎すぎる。紅白に出るのに配信だけじゃなくCDシングル1枚は出しておかないと恰好がつかないが、現状に見合った新曲を用意しておらず、当初震災が無かった頃に準備されたが震災があって白紙になっていた曲を持ってくるしかなかった…とか?しかし結局紅白では明るく締めくくれる「オリジナルスマイル」「not alone」のメドレーで今作の出番は無し。まあ当然の措置だったと思うけどそれくらい2011年の年末という時期にこの暗さは浮いていた。改めて聞くとこれはこれでいい曲なんだけどな…。
★★★☆☆
アルバム未収録

C/W 真冬のラブレター
作詞:甲斐名都、作曲:前田啓介(レミオロメン)、編曲:宗像仁志・田中邦和
こう書いてはなんだが甲斐バンドの甲斐よしひろ…の娘と、レミオロメンの…ベーシストという"じゃない方"コンビによる提供楽曲。組み合わせがまず意外だったが、この時期は甲斐名都へ前田啓介が曲提供や演奏参加していた事もあった模様。楽曲自体は王道の冬の温もり系ミディアムナンバー。少なくとも楽曲だけ聞けば"じゃない方"という見方は失礼な事は分かるくらいにはいい曲だ。
★★★☆☆
アルバム未収録

僕の半分(初回限定盤)(DVD付) 僕の半分(通常盤)

2016.9.21更新


47th さかさまの空
12年4月25日
作詞:麻生哲朗、作編曲:菅野よう子
NHK朝ドラ『梅ちゃん先生』主題歌。ジャニーズ初の朝ドラ主題歌にしてメンバーが一切出演しないドラマ主題歌というのも初。次の次の『あまちゃん』が普段朝ドラを見ない若い世代に大ウケした事もあってか、朝ドラの中でもやたら大きく取り扱われたが、『梅ちゃん先生』の方が平均視聴率は高い。というか『梅ちゃん先生』以降で『あまちゃん』を平均視聴率で下回ったのは『純と愛』『まれ』の2作品しかなく、視聴率的に見れば『あまちゃん』だけ異様にメディアにフィーバー扱いされていた事になる。『梅ちゃん先生』は03年以降長らく20%割れが続いていた中で9年ぶりの平均視聴率20%越えを達成した大ヒット作だった。

近年SMAPとの縁も深くなっていたがどちらかというとNHKとの縁の深さから起用されたと思われる菅野よう子だけに外しようもなく、安定感のあるさわやかなポップナンバー。歌詞は「Dear WOMAN」の麻生哲朗だが、今回もヒロインを応援する形ながら女性応援歌のようにもなっている(一応今回は性別問わず応援歌として受け止めることはできる仕様)。サビでメロディーが重なる部分は「ありがとう」も彷彿とさせ、SMAPらしさと朝のさわやかさが融合したかのようにも思える。これ以降のシングル曲も踏まえて聞くと、案外この曲が「国民的」を真正面から受け止めて「国民的」である事に全力で応えた最後のシングルだったのかもしれない。"花以降"の「国民的」扱いもアガリを迎えた感じもある。朝ドラは復権したものの、長い低迷から発売当時は注目度がそうでもなかったので、これ以降の朝ドラ主題歌ほど注目されてなかったのは惜しかった。

またDVD付リリースを開始したのでMVが必須になったにも関わらず、前2作ではスペシャル映像と称してスマスマ収録の合間にフジテレビ内でさらっと撮影したやつ(This is love)、ファンイベントの素材使いまわし(僕の半分)という実質的なMV制作の手抜きが横行していたが、今作以降はきちんとした形でのMV用の撮影を行ったMVがちゃんと制作されるようになった。
★★★★☆
20thアルバム『GIFT of SMAP
6thベスト『
SMAP 25 YEARS

C/W Keep my love
作詞:藤末樹・MIZUE、作編曲:藤末樹
シンプルなバラードナンバー。大きな心で持って愛を歌うバラードにしても、サビでもフック部分以外は完全にソロパートだけで回す構成にしてもここまでくるともう繰り返しの大定番みたいになってきていて真新しさはそんなにない。
★★★☆☆
アルバム未収録

さかさまの空(初回限定盤)(DVD付)さかさまの空(通常盤) さかさまの空(セブンネットショッピング限定パッケージ(CD + DVD)

2016.9.22更新


48th Moment
12年8月1日
作詞作曲:山口一郎、編曲:長岡成貢
TBSロンドンオリンピックテーマ曲。サカナクション山口一郎の提供曲だが、アレンジは前大会の「この瞬間、きっと夢じゃない」に続いて初期からのアレンジャー長岡成貢を起用。4つ打ちダンスナンバー色が強く、4年間の努力をぶつける選手の一瞬の心情を切り取ったような歌詞はこれまでのオリンピックタイアップの中でも最もオリンピックに沿ったような内容になっている。それでいて選手だけでなく、何か目標に向かっている全ての人の心に届くようにもなっていてSMAPを通して恐らくサカナクションよりも幅広い世代に聞かれる事を念頭に置いた上で思いを込めたと思われるサカナクション山口一郎のソングライティングは見事だったと思う。またこれまでは中居がキャスターやっていても特に中居をフューチャーしていなかったが、今作ではAメロ4パートは4人でソロを分け合い、Bメロは1番も2番も中居という1番おいしいところを持っていくパターンが久々に発動。ただ「freebird」の頃に比べると少し声の調子が落ちている気がしなくもない。
★★★★☆
アルバム未収録

初回盤・通常盤C/W 手を繋ごう
作詞作曲:前山田健一、編曲:清水俊也
ド直球の平和の使者SMAP路線。直球で世界平和を歌うミディアムナンバーだが、"花以降"の平和の使者SMAP路線もようやく落ち着いてきたと思ったところでまたこのド直球である。タイミング悪いというか正直こういうのはもういいよというか…。サビでも全員歌唱パートが一部にとどまり、全面的にソロパートで回すという部分含めて既聴感全開すぎる。前山田健一というと当時はももクロでかなり派手で楽しい楽曲を提供していたので、SMAPでも楽しい曲を期待していたんだけど大真面目な平和の使者SMAP路線とは正直期待外れだった。そういう要望だったのか、前山田健一が「国民的」を意識しすぎてしまったのか…。何故かA面を差し置いて『SMAP 25 YEARS』で32位にランクインしてアルバム初収録されたが、仲違いした(事になっている)メンバーに手を繋いでほしいというファンの願望の現れだろうか。
★★★☆☆
6thベスト『SMAP 25 YEARS

セブンネット限定盤C/W WOW! WOW! WOW!
作詞作曲編曲:津波幸平
セブンネット限定盤は前作でもあったが、今回はC/Wが違うという複数商法へ変化。限定盤だけに後のBOX作品でも収録を外され、『SMAP 25 YEARS』の候補曲リストからも忘れ去られており(今作以降は複数種のうち1種限定収録楽曲が増えたため、候補リストに忘れられるC/Wが続出した)、入手困難となっている楽曲の1つ。

かなり単純かつド直球なアップナンバー。サビはWOWとかカモンベイベーとか意味無さそうな単語しか並んでないし、これといったメッセージもないノリだけで突き進んでいくような勢いは逆にここに来て新鮮。サビを中居・香取、それ以外のソロパート回しは木村・稲垣・草gで回す変則編成で2組に分かれて歌っているように聞こえる。また平メロがかなり早口で若干ついていけてないが、噛まないように歌ってみやがれという制作サイドのちょっとしたイタズラかのような無茶な早口構成だ。
★★★☆☆
アルバム未収録

Moment(初回限定盤)(DVD付)Moment(通常盤) Moment (セブンネットショッピング限定盤)

2016.9.23更新


gift
作詞:麻生哲朗、作曲:菅野よう子、編曲:CHOKKAKU
アルバムのリード曲として先行着うた配信され、アルバム初回盤DVDにはMVが収録され、セブン&アイのCMタイアップにもなった(これに伴いアルバムはセブンネット限定盤も用意された)。MV制作という事でこれまでのようにTVで集中的に歌うだけではない明確なリード曲が設定された。「さかさまの空」作詞作曲コンビに盤石のCHOKKAKUアレンジが久々に登場。この時点でのSMAPど真ん中の仕上がり。真新しさは無かったけど、アルバムのリード曲としての役割、この時点でのSMAPらしさは存分に出た盤石の1曲。
★★★★☆
20thアルバム『GIFT of SMAP
6thベスト『
SMAP 25 YEARS

2016.9.24更新


MONSTERS
/The MONSTERS
12年11月28日
作詞作曲:香取慎吾、山下智久、Produced by Jeff Miyahara
香取慎吾と山下智久のユニットシングル。元々はアルバム『GIFT of SMAP』の香取のソロ曲の枠に収録していた曲で、この時は山下はゲストボーカル扱いだった。2人が主演したドラマ『MONSTERS』主題歌に起用されたことで正式にユニットを結成してシングルカットされた。名義が変わっただけなので曲自体はアルバムに入っていたものと同じ。香取のソロ曲だったのでボーカルも香取がほぼメインになっている。

初期の香取はおふざけソングや豪快なノリの曲が多く、役者としても00年代キャラモノでのインパクトが強かった。その裏で楽曲面では00年代前半頃から洋楽色を強く打ち出した方向性へと志向をかなり劇的に変化させており、これ以前にも倖田來未とデュエットした事もあった。今作はそんな変化した香取の音楽性が全面展開しているような印象のダンスナンバーだがシングル化されただけあってモーンスター モーンスター トゥナァァァイ♪のサビはインパクトがあり印象に残りやすい。山Pのクールさともあいまってカッコいい香取慎吾を実質初めて世間一般に打ち出せたのは良かったと思う。
★★★★☆
20thアルバム『GIFT of SMAP

初回A以外C/W モンスター
作詞:阿久悠、作曲:都倉俊一、Produced by Jeff Miyahara
シングル用に新規制作されたピンクレディーのカバー曲。タイトルに引っかけたシャレでの選曲と思われる。「MONSTERS」が香取メインだったためか、こちらは山下メイン。かなり個性的な原曲だが山下はソロシングルでもかなり個性的な曲を歌っていたので個性的な楽曲というのは案外ハマっている。しかし普通にカバーしただけでも全盛期のピンクレディーの楽曲はネタ色が強いな…と改めて思う。別に笑わせにきているわけじゃないのに、モンスターが来たぞっ!モンスターが来たぞっ!とか忙しない感じで歌われるとシュールだ。
★★★☆☆
アルバム未収録

初回B以外C/W MONSTERS (SPACE COWBOY REMIX)
リミックスバージョン。まだまだまだぁ!部分を随所でループさせながら曲が進行するリミックス。色々電子音で凝ったアレンジをしているんだけど、あまりに連発されるので終わってみるとまだまだまだぁ!しか覚えてない

今作リリース後に香取と山下はユニット継続に強い意思を示し、年明け早々のCDTV出演の際に新曲を作るとまで宣言。残念ながらシングルとして大々的にリリースするには至らなかったが、実際に新曲は制作され2013年9月の山下智久のアルバム『A NUDE』収録の「PAri-PArA」はThe MONSTERS名義での楽曲となっている。
★★★☆☆
アルバム未収録

MONSTERS(初回盤A) MONSTERS(初回盤B) MONSTERS(通常盤)  

2016.9.25更新


49th Mistake!/Battery
13年2月27日
初回盤A,B,C,通常盤,ユニバーサルスタジオジャパン限定盤の5種リリース。初回盤CはEPサイズジャケットである以外は通常盤と同じ。初回盤BとUSJ盤は1曲目が「Battery」に入れ替わっているがジャケットが違う以外は内容は同じとなっている。楽曲だけ揃えたい場合は初回盤Cか通常盤を入手すれば揃う。

Mistake!
作詞:いしわたり淳治、作曲:HIKARI、編曲:CMJK、アルバム・ヴァージョン編曲:川嶋可能
HIKARIは00年代半ばのTOKIOやV6で多用されていた作家だがジャニーズへの提供も多く安定感のある作家で今回もグッドメロディー。SMAPでは比較的新しい制作陣による楽曲だが、むしろここ最近よりも圧倒的にSMAPらしいと思えるカッコいいダンスナンバーで久々にSMAP王道を感じられる1曲になった。Mistake!と木村がキメるのも久々にキムタク節!といった感じで、何をやってもSMAPという"花以降"の国民的路線からSMAPをもう1度再構築していくような傾向は今作で始まった印象も。

『Mr.S』ではアレンジャーが川嶋可能に変更になりガラッとアレンジを変更。生のブラス+打ち込みで構成され、ブラスを全面に押し出している。アルバム収録でのここまでの大胆変更は「朝日を見に行こうよ」以来となるが、シングルバージョンが往年のSMAP王道と今が融合した秀逸なアレンジだっただけに、これも大人っぽくてカッコいいけどやはりシングルの方がスタイリッシュでカッコいい…という感じにはなってしまう。
★★★★☆
シングルバージョンアルバム未収録
21stアルバム『Mr.S』(アルバム・ヴァージョン)

Battery
作詞:Jeff Miyahara、作編曲:Jeff Miyahara・blackSHEEP
ユニバーサルスタジオジャパンとのコラボ企画「UNIVERSAL STUDIOS JAPAN×SMAP:WORLD ENTERTAINMENT PROJECT」テーマソング。Jeff Miyaharaサウンドプロデュースによるシングルとしては初の全編英語詞で、「MONSTERS」をさらに洋楽的な雰囲気に持っていったようなデジタルナンバー。ただ全員が英語が得意なわけでもなく、レコーディングにそんなに時間をかけるわけでもないのに全編英語詞というのはハードルが高かったのかどうも煮え切らないような感じも…。香取のソロ曲だったら割とありだったと思うんだけど。
★★★☆☆
6thベスト『SMAP 25 YEARS

初回盤C・通常盤C/W Battery (Jeff Miyahara Remix)
リミックスバージョン。元々が打ち込み全開のナンバーだったのでリミックスのようにもリアレンジのようにも聞こえる。このバージョンがUSJのアトラクション「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド〜バックドロップ〜」で使用されていた模様。歌の加工度合いはこっちの方がやや高い気がするけど、アレンジ自体は何気に今作の方が聞きやすいところもある。
★★★☆☆
アルバム未収録

Mistake! / Battery (初回盤A)
Battery / Mistake! (初回盤B)
Mistake! / Battery (初回盤C)
Battery / Mistake! (USJ限定盤)  

2016.9.26更新


50th Joy!!
13年6月5日
作詞作曲:津野米咲、編曲:菅野よう子
香取主演ドラマ『幽かな彼女』主題歌。香取が教師役を演じたこのドラマ、男子生徒にはジャニーズJr.をそこそこに配備するジャニーズ主導運営で、男子生徒の配役はジャニーズ事務所的なアレやコレやなので制作側が自由にできない反動なのか、女子生徒は将来期待の美少女を取り揃えるのにかなり本気出していた。当時有名だったのは子役時代から活躍していた森迫永依くらいだったが、演技初経験だった広瀬すずを筆頭にその後ヒロイン格に成長した女優がゴロゴロ出演。ドラマでの香取は熱血さを失った無気力教師役。ハイテンションなキャラモノが続いた反動か、偉く地味かつ終始不機嫌そうなキャラだったので初回では明らかに主題歌が場違いだったが、生徒陣のフレッシュさや香取の相手役で幽霊の杏など明るくポップな側面も強く、物語が進むにつれて生徒たちが一致団結していったので最終的にはドラマのノリに合ったにぎやかな1曲になった。実際にコーラスとMVには生徒たちの一部が参加している。誰が参加しているかは直接クレジットされておらず、「Special Joy!! Chorus:小原南中学校3年2組のみなさん」という劇中のクラス名義。MVでも大勢のダンサーに埋もれていくので登場時と一瞬移り込む背景でしか確認できないが、生徒全員ではないようだ。森迫永依や森本慎太郎、未来穂香など生徒役の中でも出番の多かった人たちの姿は確認できる。

赤い公園の津野米咲の提供で、赤い公園はもう少し非キャッチ―なサウンド重視の楽曲をやっている印象で、作家として注目されながらも御本人がネクストブレイク扱いのままなかなか売れない状況になっている。今作に関してはアレンジを近年SMAPへの参加が多い菅野よう子に任せた事でポップさが強調されて作家としては出世作で代表作になった。一見チョイダサなダンス含めて妙に陽気な楽曲だが、あれこれ考えすぎずに久々に無心で楽しくやろうぜ!というノリは大人にも…というか大人の方が刺さるメッセージソング。ここのところ特になんのメッセージもないか、国民的応援歌、平和ソングというスケールの大きさゆえにかつてのような生活感が失われて久しかったが、今作ではアラフォーに差し掛かっていたSMAPだから説得力のあるメッセージソングになったと思う。
★★★★★
21stアルバム『Mr.S
6thベスト『
SMAP 25 YEARS

ビビッドオレンジ盤C/W 世界の国からこんにちは
作詞:島田陽子、作曲:中村八大、編曲:森俊之
1967年に三波春夫、坂本九、吉永小百合、山本リンダ、叶修二、弘田三枝子、西郷輝彦・倍賞美津子、ボニー・ジャックスと異なる8社のレコード会社に所属する8組が競作で一斉発売した1970年の大阪万博のテーマ曲のカバー。当時は三波春夫バージョンが1つ抜けて大ヒットを記録したようで、現在では基本的に三波春夫の代表曲として認知されている模様。ソフトバンクとエイベックスが組んで発表したUULAのCMタイアップ。歌詞は年号の部分を2013年に変え、編曲も昭和っぽい雰囲気を一掃。現代的というかあの頃思っていた未来的な電子サウンドに変更されている。なんていうのか20世紀に思い描いた車が空飛んだりしているアトム的世界観をサウンドで表現したかのような…。昭和の映画のリメイク作品への主演などもちょくちょくやっていたSMAPは昭和の伝道師的なポジションも担っていたが、音楽面での昭和リメイクは先日のThe MonstersでのピンクレディーカバーくらいしかやっておらずSMAPではこれが唯一。俳優業で展開していた昭和の伝道師SMAP路線の集大成がひとまずはこのカバーだったのかも。
★★★☆☆
アルバム未収録

ライムグリーン盤、レモンイエロー(通常)盤C/W 掌の世界
作詞作曲:TK、編曲:CMJK
今作が50thを記念したSMAP史上最大の複数商法になった事で異なるC/Wの1つに回されてしまったが、本来は前後作と同様に両A面曲として制作されたものと思われ、MVも制作された今作C/Wで唯一のオリジナル新曲。『SMAP 25 YEARS』の候補曲リストでもこのシングルのC/Wからは今作のみが掲載された。

凛として時雨のボーカルTKによる提供曲。御本人は男女ツインボーカルで物凄い高音を張り上げているイメージが強かったがもちろんそんなキツい曲では無く、メチャクチャカッコいいアップナンバー。他の両A面の2曲目よりも格段にA面曲っぽい勢いと風格があり、50thの狂騒に巻き込まれて埋もれてしまったのはタイミングが悪かったとしか。
★★★★☆
アルバム未収録

スカイブルー盤C/W Can't Stop SMAP!!〜50 Singles Non-Stop Mix
両A面2曲目を除いた歴代50曲のシングルのイントロ部分とサビの一部を順番にリミックスで繋いだ30分に渡るメドレー。最初に30分くらいでまとめるというのが決まっていたのか、サビの半分で終わってしまう曲も多くかなり忙しない。それでも必ず各楽曲サビだけでなくイントロ部分も加えられており、改めてサビメロだけでなくイントロ部分だけでもインパクトが強かったんだなと感じた。随所では時間調整「S・M・A・P SMAP」というメンバーそれぞれの掛け声(?)が新規収録されている。とにかく次から次へと歴代ヒット曲が聞けるのが楽しい。

2013年は9月9日が月曜日だったのでデビュー記念日にスマスマの放送があり、40分生メドレーが繰り広げられた。構想としては今作と同じだったが10分ほど長くなっていて、今作よりももう少し聞かせる仕様になっていて見ごたえもあった。後半は中居が息切れしてヘロヘロになっていた辺りには年齢も感じたが…。
★★★★☆
アルバム未収録

ショッキングピンク盤C/W Joy!!(Red-T Remix)
EPジャケットサイズのショッキングピンク盤は表題曲リミックスだけ収録という数合わせみたいな仕様。リミックスとしか言いようがないリミックスで特に書くこともないんだけど、今作の場合は全種入手すると全員プレゼント特典(「Joy!!」のメンバー別ピックアップMVを収録したDVD)などもあったのでこのリミックス目当てというより全員プレゼント目当てで入手したリスナーも多そう。
★★☆☆☆
アルバム未収録

Joy!!(初回限定盤)(ビビッドオレンジ)(DVD付)
Joy!!(初回限定盤)(スカイブルー)(DVD付)
Joy!!(初回限定盤)(ライムグリーン)(DVD付)
Joy!!(初回限定盤)(ショッキングピンク)
Joy!!(レモンイエロー)

2016.9.27更新


51st シャレオツ/ハロー
13年12月18日
今作以降は常時両A面仕様となり、2曲ともMVを制作するのでまず2種(初回盤A,B)、加えて収録曲の多い通常盤や場合によっては両A面曲のタイアップ先バージョンの限定盤も制作されるようになった。今作の場合はDVD付の初回盤A、BとBのキティ仕様であるサンリオ限定盤、通常盤、通常盤にフォトブックを付けた通常初回盤の合計5種(実質3種)。また「This is love」〜「Moment」まで採用された初回盤が紙ジャケ仕様、通常盤は今まで通りのマキシプラケースというのは前2作では採用されなかったが(初回盤もプラケース)、今作以降再び採用されそのまま基本フォーマットになった。

シャレオツ
作詞:大竹創作、作編曲:Jeff Miyahara・blackSHEEP
草g主演ドラマ『独身貴族』主題歌。オシャレを業界用語風にしたものだが、「業界用語」自体がTV業界がバブリーだった20世紀(インターネット普及以前)の過去の産物みたいになっていて実際に今も使っている業界人がいるのか不明なネタ用語みたいになっている2013年にあえて堂々使用。「シャレオツ♪」と歌ってサマになる"キムタク"は前作の「Mistake!」のつぶやきと合わせて90年代SMAPが帰ってきたというか"90年代後半頃までのキムタク"が完全にカムバック!といった一面も。オシャレよりもチョイダサな「オサレ」は以前からあった単語だったとはいえさほど浸透しておらず、漫画『BLEACH』を指すネットスラングとして「BLEACH」周辺で多用されていたのでまさかSMAPがこんなところで使うとは思わなかった。いずれにせよカッコいいのかチョイダサなのかビミョーな雰囲気でも味が出るようになったのは年齢を重ねたおかげか。新しい事やるのもいいけどこれぞSMAP。平和の使者SMAP路線を脱却して、新たに目指そうとしていた大人アイドル路線の道標になるような楽曲だったと思う。また「はだかの王様」の若者がそのままいい感じに図太いまま年齢を重ねて中年になったら案外こんな感じになるのかもしれない。『Mr.S』の世界観にもハマっていたと思うんだけど何でこの曲まで未収録になってしまったのか。
★★★★☆
6thベスト『SMAP 25 YEARS

ハロー
作詞作曲:尾崎世界観、編曲:藤谷一郎
クリープハイプのボーカルによる提供曲でSMAPのA面では最も短い楽曲(3分18秒程度)。自分で世界観と名乗るくらい独自の世界観を表現しているバンドでこの時期「憂、燦々」などでブレイクしていたが、そんなパブリックイメージとはおおよそかけ離れた穏やかな温もり系ミディアム。タイアップがハローキティ40周年記念ソングだったのでそんな個性全開の楽曲にするわけにも行かなかったんだろうけど、正直もっと個性的な曲だと思ってたので偉くフツーな曲で驚いた。キティとその家族やボーイフレンド、リスナーと恋人、もしくはキティ40周年を記念してキティへのメッセージとも受け取れるが、基本的に幼い我が子に向けて歌っているような歌詞。「世界に一つだけの花」の前に槇原が最初に「Wow」という子供が生まれた喜びを歌った楽曲を提供しようとしたらNGだったという話もあり、あの時からSMAPの結婚状況は変わっていなかったが、この時点ではOKになっていたのだろうか。
★★★☆☆
アルバム未収録

通常盤C/W シャレオツ (JM Remix)
Remixed by Jeff Miyahara
JMは作編曲を担当していたJeff Miyaharaのイニシャル。電子音主体で攻めた雰囲気のリミックス。作編曲が同じだった「Battery」の作風を考えるとこのリミックスの方がイメージに近い。
★★★☆☆
アルバム未収録

通常盤C/W ハロー (twinkle ver.)
編曲:宗像仁志
リミックスではなくよりアレンジャーを変更した別アレンジ。表記も「Remixed by」ではなく「編曲」になっている。オルゴールみたいな音色を伴奏にした歌とメロディーをより前面に押し出し、楽曲の温かみがより強調されている印象。
★★★☆☆
アルバム未収録

シャレオツ / ハロー【初回限定盤A】
ハロー / シャレオツ 【初回限定盤B】
シャレオツ / ハロー【通常盤(初回プレス仕様)】
シャレオツ / ハロー

2016.9.28更新


52nd Yes we are/ココカラ
14年4月9日
今回はA面をひっくり返したDVD付の初回盤A,B、通常盤、「ココカラ」メインで初回盤B準拠だがリミックスが追加収録されたCOREDO室町限定盤の4種発売。

Yes we are
作詞作曲:さかいゆう、編曲:森俊之
TBS『Nスタ』で13年4月から14年3月まで1年間使用されていた未発表曲。使用期間が終了した直後にリリースされた。何故終わってから発売だったのか…。当時のインタビューでもレコーディングが相当昔になってしまったのでメンバーの記憶もやや曖昧になっていて新曲インタビューなのになんか思い出話みたいになっていた。

さかいゆうらしい独特のポップ感がにじみ出た楽曲でさかいゆうの王道にも近いがSMAPからかけ離れてもいない。やや表題曲としては地味なところもあるけど、聞いていて心地いい楽曲だ。平和の使者SMAP路線に近いところはあるんだけど、高らかに平和を願ったりはせず、ややユーモアも交えながらみんな愛し合ってるかい?(超訳)とする歌詞もこのくらいならそんなに気にならない。突如「Yes we can」とかいって大統領さんに言及するのはオバマ氏の事。この有名な決め台詞は大統領になる前の07,8年の予備選の頃からしきりに報道されていて定着していたフレーズだが、大統領の任期を終えるのもまたSMAP解散とほぼ重なる事となった。時代が古くなっていくとともにこのくだりの部分が意味不明になっていくんだろうな…。
★★★★☆
アルバム未収録

ココカラ
作詞作曲:和田唱、編曲:CHOKKAKU
TRICERATOPSの和田唱の提供曲。CHOKKAKUが久々に編曲を担当しているので楽曲そのものよりもアレンジでの戻ってきた感が懐かしい。時代に合わせて軽めの編曲が増えたがやはりこのくらいの厚みがある方が好きだ。タイアップは『日本橋再生計画』応援プロジェクト計画というなんだかピンとこない謎の代物。未来を意識した前向きソングになっているのは街作りのプロジェクト楽曲というタイアップもあってのことだったようだ。
★★★★☆
アルバム未収録

通常盤のみC/W Silence
作詞作曲:前山田健一、編曲:浅田将明
C/Wでは2度目、アルバム含めて3度目の前山田健一だが今回はクール一辺倒の楽曲。結局最後までSMAPではももクロのイメージに接近したような楽しい雰囲気の楽曲は提供してもらえなかった…。
★★★☆☆
アルバム未収録

COREDO室町限定盤C/W ココカラ〜ヒャダインのリリリリ☆リミックス〜
シングルは全音源入手していたと思ったらこの限定盤を把握しておらずこれだけ未入手。

Yes we are/ココカラ【初回限定盤A】
Yes we are/ココカラ【初回限定盤B】
Yes we are/ココカラ
COREDO室町限定盤 Yes we are/ココカラ(CD+DVD)

2016.9.29更新


53rd Top Of The World/Amazing Discovery
14年7月16日
A面ひっくり返した初回盤A,BとC/Wにリミックスが追加収録の通常盤、「Amazing Discovery」メインで初回盤Bのジャケット違いとなるUSJ限定盤の4種発売。2014年はフジテレビで27時間テレビを担当する事になり、その直前の発売。27時間テレビの途中でアルバム発売が発表されたがマジでメンバ―全員初めて聞いたような顔をしていてレコーディングもこれからだとか言っていた。制作スケジュールギリギリすぎだろ…。

Top Of The World
作詞:いしわたり淳治、作曲:MIYAVI、編曲:CMJK
電子音全開でメロディーよりもサウンド重視、さらには頂点を宣言するという攻めまくりの楽曲。"No.1にならなくていい"が1人歩きしすぎてなんとなくNo.1を目指すような曲は歌いにくいところもあるのかなと思っていたけど(まあ「スーパースター☆」とかド頭の歌詞が"ナンバーワン"だったりはしたけど)、シングル1曲目で頂点宣言したのはけっこうトピックだったかなと思う。1番のサビが「Oh」しかないというあの「YAH YAH YAH」をも越えるシンプルさ。ただ個人的にはカッコいい事はカッコいいがどうもこの路線は馴染めなかったのが正直なところ。"花以降"の優等生イメージから来る停滞感を吹き飛ばすような新鮮な勢いはあったと思う。
★★★☆☆
アルバム未収録

Amazing Discovery
作詞作曲編曲:中田ヤスタカ
「Battery」に続くUSJの新テーマソング。今回は中田ヤスタカを起用しているが全く同じような曲というわけではないが同じタイアップとなるとどうしても同じような雰囲気が漂う。Perfumeやぱみゅぱみゅなど女性ボーカルと比べると中田ヤスタカ×SMAPってあまり合わなかったなと思うが(SMAPのボーカルは良くも悪くも個々のイメージも出来あがっているからあんな感じに一定のトーンに加工する事が出来ないためだろうか…)、ヒットメイカーだけあってさすがに「Battery」よりもキャッチ―で聞きやすさはある。
★★★☆☆
6thベスト『SMAP 25 YEARS

通常盤C/W Top Of The World (THE LOWBROWS Remix)
Remixed by THE LOWBROWS
電子音全開のリミックスだが、元々原曲も電子音全開だったため、リミックスというより単に別バージョンみたいな印象。
★★★☆☆
アルバム未収録

Top Of The World / Amazing Discovery (初回限定盤A)
Amazing Discovery / Top Of The World (初回限定盤B)
Top Of The World / Amazing Discovery (通常盤)
Amazing Discovery / Top Of The World (USJ限定盤)

2016.9.30更新


Mr.S-SAITEI DE SAIKOU NO OTOKO-
作詞:麻生哲朗、作編曲:市川喜康・マシコタツロウ・ha-j
最低で最高の男Mr.Sとは誰なのか?という謎めいたジャジーなナンバー。のらりくらりと人物像のみが示され、作中で正体は明かされないが「S」はSMAPのSでもあり、余裕のある大人っぽい作風からも本格的に大人のアイドル路線へ進みだしたようにも思える。もしかしたら平和の使者SMAP路線を抜けた先の新たなターニングポイントになっていた曲になっていたかもしれない。ただ残念なのは作編曲がそれぞれ単独で作家として活動している3組の共同名義になっているのでかなり練りに練ったのではないかと思われる渋いアレンジなのに全面打ち込みで処理されている事。こういうアレンジならゴージャスに生バンド+生ブラスでやってほしかった。
★★★★☆
21stアルバム『Mr.S

2016.10.1更新


54th 華麗なる逆襲/ユーモアしちゃうよ
15年2月18日
A面ひっくり返した初回盤A,BとC/Wにリミックスが追加収録の通常盤、初回盤Bのジャケット違いとなるシダックス限定盤の4種発売。今作には突如「SMAPO(スマッポ)」という謎のカードが付属され、サイト登録するとポイントが貯まるというサービスが開始された。意味ありげに付属したSMAPOカードには実は何の意味もなく、小さくURLコードが書いてあるだけ。本当に重要なのは封入チラシの方だった。カードが無くてもチラシにもURLが書いてあるのでそれでIDとPASSを獲得することができるし、ポイントが付与されるコードが記載されているのはこのチラシだった。ポイントを駆使することでメイキングや待受画像を期間限定で見ることが出来たようだが、当時通常盤を買っておきながら完全スルーしていたので利用していない。長期を見据えた会員制ポイント制度だったと思われ、次回作以降でも制度が継続した。

華麗なる逆襲
作詞作曲:椎名林檎、編曲:村田陽一
草g主演ドラマ『銭の戦争』主題歌。末期は90年代のSMAPを現状で再構築した大人アイドル路線と枠に縛られずに新たな人材や流行の音をどんどん取り入れる攻めの路線の2軸になっていた印象があるけど今作は大人アイドル路線。楽曲椎名林檎提供だが、TOKIOに東京事変として提供した「雨傘」に比べると独特の色は薄め。村田陽一によるブラスサウンドでコテコテに彩ったゴージャスさの方が印象に残る。「Mistake!」「シャレオツ」と並ぶこれぞSMAPといえる金字塔的な楽曲は結果的に今作が最後となっているが、まだまだ聞きたかったなぁ…。

『SMAP 25 YEARS』ではこれが最終曲となり、最後は勝ち逃げ宣言で終わるという仕様に。それもまたSMAPらしいのかもしれない。
★★★★☆
6thベスト『SMAP 25 YEARS

ユーモアしちゃうよ
作詞:権八成裕、作曲:市川喜康・マシコタツロウ、編曲:ha-j
カラオケ「シダックス」のタイアップにより12月からレコチョクやシダックスのカラオケ限定で1番だけ配信する形で先に世に出ていた。カラオケで先行配信されても歌えなくないか?今の人たちはCDと歌詞カード無くてもスマホで繰り返し再生しながら曲を覚えてさらっとカラオケで歌えるのか?(古い考えの人)。年始の『CDTV』では新曲として披露していた楽曲だが当時発売は未定とされていた。SMAPの発売未定がアテにならないのはいつものことだが、ほどなく発売が告知された。楽しいノリの曲でこれはこれで好きではあるんだけど、少し前に「Joy!!」で思いっきり楽しくはじけていた記憶がまだ強く、なんとも中途半端でユルく感じてしまったのは仕方なかったか。
★★★☆☆
アルバム未収録

通常盤C/W 華麗なる逆襲 (tofubeats remix)
Remixed by tofubeats
音楽ファンの間で期待されていたトラックメイカーtofubeatsによる生っぽい質感の原曲とは対照的に打ち込み全開という対比が鮮やかなリミックス。いかにもリミックスとかDJ的な作風ではなく、ポップな歌モノで勝負できるトラックメイカーだっただけに近年展開していたリミックスの中では1番面白いかった。ゴージャスな原曲とは正反対の打ち込みでアレンジすればこういう風になるというのをもののみごとにやっていて(イントロとアウトロ部分はいかにもリミックスだけど)、リミックスというより好みはともかくどっちもアレンジとしてありだなと思えたのでこれはなかなか凄かったなと思う。
★★★★☆
アルバム未収録

華麗なる逆襲/ユーモアしちゃうよ(初回限定盤A)
華麗なる逆襲/ユーモアしちゃうよ(初回限定盤B)
華麗なる逆襲/ユーモアしちゃうよ(通常盤)
ユーモアしちゃうよ/華麗なる逆襲 (SHIDAX盤)

2016.10.2更新


55th Otherside/愛が止まるまでは
15年9月9日
A面ひっくり返した初回盤A,BとC/Wに新曲が追加収録の通常盤の3種発売。水曜日が9月9日だったのでピタリ25年目突入の記念日でのリリースとなり、1年前倒しではあったが、当時の雑誌では25年をアニバーサリーする形でインタビューが進められたりもしていた。あくまで本格的な25周年は2016年のつもりだったと思われるが…。またシングルでは演奏者が表記されないのがほとんどだったが、今作は詳細な演奏クレジットが記載されている。

Otherside
作詞:Leo Imai、作曲:MIYAVI、編曲:MIYAVI・鈴木Daichi秀行
「Top Of The World」の続編のような攻めの楽曲。電子音全開だった「Top Of The World」に対して今作は生のバンドサウンドを導入したロックテイスト強めの仕上がり。相変わらずメロディーが覚えにくくてカッコよさ重視。この頃には移籍話が進んでいたはずで当時は飯島マネに5人でついていく形で進んでいたと思われ、もしそうなっていればジャニーズでのラストシングルだったかもしれない。そうなれば「Otherside」とはまさにジャニーズを出て新天地へ向かう決意表明だった…という解釈が一般的になっていたはずで終わりの始まりの象徴のような全く違う印象の曲になっていたかも…。全シングル振り返ってきたが未だこれが最後のシングル表題曲とは信じられない。
★★★☆☆
アルバム未収録

愛が止まるまでは
作詞作曲:川谷絵音、編曲:鈴木Daichi秀行
自身の歌を会見で口ずさんだ某大臣がスキャンダルで失職し、自身が不倫したタレントが全レギュラー番組を失い休業を余儀なくされ、元妻は不倫されて離婚、過去に楽曲を提供した山下智久は書類送検騒動を起こし、チームしゃちほこはメンバーが1人療養で休止になり、新たな恋人が報じられると速攻相手が未成年飲酒で謹慎になり、SMAP最後のA面曲が今作になった(以前にもアルバムに提供している)事から、デスノートを文字った「ゲスノート」呼ばわりされてしまっている川谷絵音の提供楽曲。偶然にしても特に2015年末〜16年にかけての川谷絵音周辺環境の著しい変化はプラスもマイナスも確かにすさまじいものがあった。しかし楽曲のカラーはハッキリしているし、多作の中においてもサビメロでキャッチ―なメロディーをしっかり持ってくるヒット曲を書ける作家としては優れた人だと思う。たぶん。

アレンジを外部が担当している割に非常に忙しない演奏&キャッチ―な歌メロというゲスの極み乙女。の出来上がりつつあったパブリックイメージを綺麗になぞったような印象の楽曲。むしろ提供者の色が強すぎるくらい強く出ているので、クレジットを見たらゲスの極み乙女。だったというよりかは、これでむしろ違う人が作詞作曲してたらクレジットを疑うくらいのレベル。
★★★★☆
アルバム未収録

通常盤C/W Breaking Dawn
作詞:MiNE、作曲:Susumu Kawaguchi・MiNE・Atsushi Shimada、編曲:Atsushi Shimada
事実上の最後の新曲となってしまうとは思いもよらなかったシングル最終収録楽曲。SMAPでは珍しく嵐みたいな横文字ばかりが並ぶクレジットとなったが、他のジャニーズでは割とC/Wやアルバム曲で多めの方向性ながらSMAPでは意外とそんなにやってこなかったクール系ナンバー。クールさがカッコいいというよりかは地味…。最後…これ…?
★★★☆☆
アルバム未収録

Otherside/愛が止まるまでは (初回限定盤A) (DVD付)
Otherside/愛が止まるまでは(初回限定盤B)(DVD付)
Otherside/愛が止まるまでは (通常盤)

2016.10.2更新

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