十九色

ストリングス編曲：久米大作(4)

リリースデータ

清浦夏実1stアルバム。03年12歳の時に女優(子役)としてデビューし、05、6年にはイメージDVDをリリースするなどアイドル的な活動も行っていたが07年に歌手デビュー。全てアニメタイアップのアニメソング系シンガーとしてシングル4枚をリリース後に今作が発売された。アニメのサントラ盤にショートサイズで収録されたのみだった「パレット」はフルバージョンで初収録。「悲しいほど青く」は冒頭のストリングスが無くなりピアノと歌のみのアルバムバージョン、「風さがし」はボーカルはシングルのままだが、アレンジをサンバ調に変更した演奏のみリメイクバージョンとなっている。初回盤は08年にインターネット配信されたスタジオライブの模様を収録。今作リリース後に1stライブを行うも、次のシングル「ホログラム」は1年9ヶ月後となり、結果的に単独リリースはこれが最後となりアルバム未収録となっている。その1ヶ月後にアニメ「たまゆら」のサントラ盤に今作時に候補曲になっていた「花火」が収録された。12年4月4日のライブをもって音楽活動休止を発表。実はこの時期にTWEEDEESの準備が開始されており、水面下での準備に3年費やし、2015年になって沖井礼二とTWEEDEESを結成を発表し、音楽活動を再開した。

竹達彩奈のデビュー曲があまりに良かったので作詞作曲をした沖井礼二に興味を持ち、Cymbalsを一通り聞いた後にTWEEDEESという新しいバンドが始まると知り、そのボーカルである清浦夏実はその時知った。というわけで遅ればせながら聞いてみた。

アニソンといってもいろいろジャンルがあるけど、レーベルの大先輩である坂本真綾とか、azusaとか、女性ソロシンガーを中心に取り扱っている音楽レビューサイトで取り上げられていそうな落ち着いたポップス系。タイアップ先アニメの色に合わせるという大前提があるので、曲によって歌い方にも幅はあり、アルバムとしてもけっこうカラフルな印象だけどそれでも全体的には落ち着いた印象が強い。地味といえば地味だし、この手のタイプの女性ソロシンガーってけっこういるので、かなりじっくり聞かないと良さがなかなか見えてこないような感じはする。TWEEDEESきっかけじゃなかったらやっぱり聞いてなかったと思う。ただ適度に落ち着きつつ、適度にかわいさも併せ持っている声はけっこう魅力的。さらに特技がフルートということで、数曲では本人がフルート演奏。1曲目の「十九色」は歌は最後に4行出てくるだけでアレンジャー窪田ミナのピアノと本人のフルートによるインストナンバー。ピアノに続いて今やギターも女性シンガーの個性付けとして当たり前になってきているけど、フルート吹き語りシンガーというのは他になかなかいないかなり際立った個性だ。ところがせっかくこんな面白い音楽スタイルを持っているというのにフルートをあまり強くアピールしていた形跡が無い。もったいない…。ソニー辺りだったらとっくに「フルートガール」とか形容してガンガン宣伝文句に

初回盤のDVDはこの時点で2年前のスタジオライブ映像。アコースティックギターとパーカッションのサポートと共に「風さがし」ではフルート吹き語り、「ネバーランド」ではピアノ弾き語りも披露するなどマルチな才能を見せている。08年というと17歳くらいの頃だったと思われ、今作のブックレット写真よりもちょっと幼い感じだし、たぶん後々からすればまだまだ未熟だったということになってくるとは思うんだけど、17歳にしては十分落ち着いているし、フルートもピアノも弾くとかなかなか才能豊かな風格が漂う。

初回盤DVD付　　通常盤　

印象度★★★★☆

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