小松未歩6th〜花野〜

リリースデータ

小松未歩6thアルバム。前作以降の3シングルとC/W2曲を収録。さらに1stと2nd以来となる提供曲のセルフカバーが3曲収録されている。これにて97〜98年に立て続けに提供した楽曲群はDEENへ提供した「遠い空で」を残すのみとなったが、2ヶ月後の次のシングル「翼はなくても」C/Wにて「遠い空で」もセルフカバーされ全てセルフカバーが完了した。。また5thシングル「チャンス」は麻井寛史によるリミックスで収録されている。参加アレンジャーのほかにも、新津健二(10)、岩井勇一郎(12)がアコースティックギターを担当(新津は前年解散したthe FIELD OF VIEWのベーシストだったはずだが、解散ライブのアンコールではギタリスト小田ではなく新津のアコギ演奏で「君がいたから」を急遽披露するなど公の場でギター演奏する機会は過去にあった)。売上はさらに下がったが、シングルは30位で5000〜6000枚前後、2週目100位圏外というパターンで次回作の時期までほぼ固定された。アルバム売上はリミックスアルバムをかろうじて越えたものの前作よりさらに低迷した。

今作では大賀好修メイン体制から、これまでも参加していた古井、池田に加えて徳永暁人、岡本仁志、小林哲が初参加。アレンジャー陣が過去最高に多彩になっている。それに加えてギターも大賀固定ではなくアレンジャーによって複数のギタリストが参加した。しかし大量のギタリストが参加していてわざわざアコースティックとエレキで別々に演奏表記されているものの、大半がシンプルな打ち込みの音で構成されているようにしか聞こえない(曲によってはギターソロもあるが…)。よって今作にそこまでギターが使われている印象が無い。

また今作はこれまで以上に音が軽い。これまでの小松未歩はサウンドが軽くなってからも湿気を含んだようなしみじみとした部分があったんだけど、今作は比較的カラッとしていて開放的。しかしこれがどうにも軽いという以外にあまり残るところがない。セルフカバーは97,8年に提供した楽曲なのでどれも厚みのあるサウンドでのロック系だったが、大空へはばたくどころか吹き飛ばされそうな軽さの「大空へ」、どんな勝負にも負けそうな気がする軽さの「君さえいれば」、今作で1番リズムがドッシンドッシン鳴っていて貫録があるもののテンポが落ちて間延びしていてくじけそうな胸にそのまま突き刺さってくじけそうな「渇いた叫び」、さらにセルフカバー3連発に続けて小松未歩作品の中では最もロック色が強かった「チャンス」も軽いサウンドでリミックスされてしまうなど、中盤のセルフカバーがことごとく軽すぎて残念に感じてしまうのが今作の印象も決定づけてしまった。

アレンジャーが多彩ゆえに"軽め"という共通点はあるものの全体には8作のオリジナルアルバムの中でも最も散漫な印象だがこれはある程度意図して拡散していくようなイメージではあったようだ。ジャケットも今までより明るい感じだし「花野」というサブタイトルは確かにしっくりくるような開放的な雰囲気を狙った作品だとは思う。

印象度★★★☆☆

2022.10.19修正

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