小松未歩8〜a piece of cake〜

リリースデータ

小松未歩8thアルバム。前作から1年3ヵ月ぶり。シングル3作とC/W2曲、前年に岩田さゆりに提供した「不機嫌になる私」セルフカバーを収録。結果的にGIZA歌手への提供曲でセルフカバーしたのは「不機嫌になる私」1曲のみとなり、同じく岩田さゆりのアルバムに提供していた「ひとりじゃない」はセルフカバーされずじまいとなった。GIZA以降の提供は少なくこれ以外に作詞作曲での提供は無く、作曲での提供は愛内里菜に2曲、三枝夕夏 IN db、北原愛子に1曲ずつであった。今作も最初からデジパック仕様。今作までは大きなブランクも無く、定期的なシングルリリースとアルバムリリースという順調な活動が続いていたが、今作を最後に新作リリースが停止し、結果的にはこれが最後のオリジナルアルバムとなった。

安心安定の8作目といった感じで特に最後を意識していたり集大成的な感じは無い。ただ変化の兆しはあって、前作でも少し見えていた初期のようなポップで勢いある派手なアレンジへの回帰が今作ではもう少し見られるようになった。既出のC/Wではあるがいきなり「蒼い夏」でエレキギターがガンガン鳴って、打ち込みドラムがバシバシ鳴り響く爽快ロックバンド調になっていて驚く。ここまでロック系の派手なアレンジは「チャンス」以来じゃないだろうか。2曲目以降はシンプルなGIZAアレンジに戻ってしまうので落差が物凄いことになっているけど、ミディアム中心ながら統一感よりもサブタイトルから連想されるようにカケラ的というか割とバラエティ感があり、地味な曲は多いが4th以降の中ではけっこうポップな部分も随所で垣間見える。ここに来てポップな作風やある程度派手なアレンジが戻る片鱗が見え始めたのは嬉しいところで、当時他のビーイングGIZA勢もGIZA以降のチキチキタカタカしたアレンジから徐々に派手な作風を取り入れつつあり、途絶えていたロック系の新人アーティストをデビューさせたり、ZARDも王道回帰、GARNET CROWもポップ色を取り入れたりし始めていたので確実に新しい流れもあったと思う。そのGARNET CROWの古井弘人が手がけた「あなた色」なんかもかなりポップな感じになっているし、やはり1st2ndを支えた古井弘人が再び大きな鍵になりそうだなと思っていた。加えて『コナン』タイアップでも持ってくれば久々に若干でも動きのあるチャートアクションも期待できたし、ヒット戦線復帰の片鱗を見せた…と思ったらこれで活動が終わってしまったのは残念だ。

印象度★★★☆☆

2022.12.1修正

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