謎

リリースデータ

小松未歩1stアルバム。97年5月に「謎」でデビュー。この1ヵ月前にFIELD OF VIEWに提供した「この街で君と暮らしたい」がリリースされており、先に作家デビューを果たしていた。自身の歌手デビュー作「謎」がアニメ『名探偵コナン』OPとしていきなりヒットを飛ばした。続く「輝ける星」は大きなヒットにはならなかったが、楽曲提供した「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」「君がいない夏」はトップ10ヒットを記録。2作のシングルA面とC/W1曲を収録。さらに提供した4曲のセルフカバーを収録。またシングル「謎」はZAIN RECORDSからのリリースだったが、「輝ける星」以降はAmemura O-town Recordが設立され、そちらに移動した。初動9万で初登場5位を記録、2週目にはトップ10落ちしたもののロングヒットとなり100位以内に24週ランクイン。シングル「謎」を上回る売上を記録して、現在は2ndに続く自身ダントツ2番ヒット作。

アルバムタイトルはジャケットやブックレットでは『謎？miho komatsu』と表記されているためO社では『謎？』で登録されているが、公式サイトでは『謎』としており、「？」は付属していない。参加アレンジャーは明石昌夫、古井弘人の2人だけだが、後に参加する葉山たけし(ギター、キーボード)、大賀好修(ギター)演奏に参加している。

ディレクターを自身が担当、プロデュースはROCKAKUとなっているが長戸大幸の変名と明かされている(というか後に長戸大幸が自分がプロデュースしたとして自ら当時の秘話を語っている)。

今作ではビーイング在籍時最晩期の明石昌夫が古井弘人と共にアレンジを担当しており、キーボードをメインにしつつ、90年代ビーイングサウンドがメインになっている。3rdを過渡期として4th以降は完全にGIZA化してサウンドが激変するので全8作を振り返った時、実はこの初期の派手なバンドサウンド風アレンジの方が異色という感じになってくるんだけど、個人的には適度に派手なアレンジで楽曲にも勢いもあったから聞くようになった。特に冒頭3曲のキラキラというか夢の世界へいざなってくれるような、どこかドリーミーで不思議な勢いは今作くらいしかでしか体感できない。ビーイングはあまりメディア露出はしないとはいえ、全くしないというアーティストは実際ほとんどいなかったんだけど、小松未歩の場合は徹底して全くメディア露出はせず、存在自体が文字通り「謎」で、そのミステリアスな感じもまた1つの魅力だ。セルフカバーはFOV、WANDS、DEENのバンド系はバンドアレンジがされている提供バージョンの方が好きだけど、セルフカバーはセルフカバーで味があっていいと思う。1stながら個人的には最高傑作。

当時の公式サイトや雑誌インタビューでは両親が音楽好き、兄の影響もあって3歳の頃よりエレクトーンを始めた、中学時代に作詞作曲を始める、初めて組んだバンドにキーボードで参加、高校時代にバンドのボーカルとして京阪神のライブハウスに出演するようになった…と過去の経歴が語られていた。しかし小松未歩が消息不明になった後の2011年に寺尾広が『music freak Es Vol.20』のコラムで大手航空会社勤務で中途採用の面接に来た際に長戸大幸に作曲を勧められるまで作曲デモを作成した事が無く、歌いながらキーボードを指1本、または指2,3本で弾いていたと過去に音楽活動の経験がない事を示唆する新事実をさらっと公表。2021年4月にはFM滋賀『OLDIES GOODIES』にて長戸大幸本人から同様の説明がされたという。中途採用の面接というのも長戸の秘書の面接試験であり、長戸が「楽器弾ける？」と尋ねたところ「いえ、弾けません」と答えた事も明かされた。

しかしヒット曲に詳しいからと秘書面接に来た楽器の弾けない素人女性に作曲を勧めるのも凄いが、そこから数年でシンガーソングライターとしてデビューして一躍ヒットメイカーになるって…。

印象度★★★★★

2022.8.10修正

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