飾りのない明日
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | ハルイロ | 熊木杏里 | 熊木杏里 | 扇谷研人 | |
2 | くちびるの魔法 | 熊木杏里 | 熊木杏里 | 扇谷研人 | |
3 | ライナーノーツ | 熊木杏里 | 熊木杏里 | 扇谷研人 | |
4 | 飾りのない明日 | 熊木杏里 | 熊木杏里 | 扇谷研人 | |
5 | 白き者へ | 熊木杏里 | 熊木杏里 | 扇谷研人 | |
6 | 夏の日 | 熊木杏里 | 熊木杏里 | 扇谷研人 | |
7 | 幻 | 熊木杏里 | 熊木杏里 | 扇谷研人 | 3rdデモ配信曲 8thアルバム『生きているがゆえ』初回盤A付属DVDにライブ映像収録 |
8 | 灯び | 熊木杏里 | 熊木杏里 | 扇谷研人 | |
9 | 今日を壊せ | 熊木杏里 | 熊木杏里 | 扇谷研人 | |
10 | 忘れ路の旅人 | 熊木杏里 | 熊木杏里 | 扇谷研人 |
リリースデータ
2016年3月16日 | 初登場32位 | 売上0.2万枚 | Sound Produced by 扇谷研人 | ヤマハミュージック |
熊木杏里9thアルバム。1年3ヵ月ぶりのアルバム。シングルリリースは無く、全曲が初CD化曲。「幻」は当時在籍していたワーナーで2013年12月まで行っていた公式モバイルサイト限定配信デモ楽曲のうちの1曲で、前作『生きているがゆえ』初回盤A付属DVDにはライブ映像としても収録されていた曲で今作唯一の既発曲となる(元がデモだった曲を扇谷研人が新たにアレンジしているのでもちろん別音源)。今作では新たに扇谷研人がサウンドプロデューサーとして初参加しており、全曲でピアノ・キーボード演奏も担当。このため熊木杏里本人は演奏なしで今回はボーカルに専念している。事務所はワーナーミュージックエージェンシー在籍のまま前2作はレコード会社はワーナーを離れてインディーズでのリリースとなっていたが、今作ではヤマハミュージックへ移籍しメジャーレーベル復帰を果たした。依然として事務所はワーナーのままで、ワーナーミュージックエージェンシー在籍の4組のミュージシャンのうちレコード会社が他社なのは熊木杏里のみとなっている。初回盤Aは2015年4月11日に行なわれた『LIVE TOUR 2015「生きているがゆえ」@Billboard Live TOKYO』を収録したライブDVD付属。初回盤Bは2015年11月22日に行なわれた『LIVE in autumn「歌が姿を見せる日」@日本橋三井ホール』を収録したライブDVD付属。3種2パターン複数商法となる。今回は通常盤のみの入手。
1曲目「ハルイロ」はかわいらしい歌声のガールポップでCD間違えたかと思った。いつもの熊木杏里であることを信じて疑わずに再生したリスナーを驚かせてやろうという狙いがあったと思われるが、まるで花澤香菜辺りを目指そうとしたかのようなかわいらしさは既存リスナーほどインパクト絶大だ。2曲目以降は安心感のあるいつもの熊木杏里に戻り、そのまま概ねいつものバラード中心の熊木杏里で最後まで貫かれている。アレンジャーが変わったものの、今作でも生演奏主体でシンプルなバンド演奏時々ストリングス、もしくはピアノのみかそれに近いシンプルバラードで構成していて大きな変化はない。予算的に厳しそうだけど打ち込み処理にならないでいるところは個人的には安心感がある。思えば吉俣良を離れた後のキング末期が最も打ち込み連発だっ
初期のような暗い側面を打ち出そうとするなど熊木杏里らしさにややこだわっていた感もある前作に対して今作では吹っ切れたようで今の熊木杏里を自然体で表現しているように思う。暗さも前向きさも振り返った感覚で書いたようなラブソングも子供に向けたような曲もあり、あまりこうあるべきというのに捕らわれてはいない。まあ「ハルイロ」はかなり"作り"っぽいけど、表題曲「飾りのない明日」の歌詞は久々に目を引いた。結婚・妊娠後もなんだかんだ長期のブランクにはならずに作品をリリースし続けていたが、『光の通り道』を最後にずっと目指すところが見つかってない感じがして、その結果が『無から出た錆2』なんていう前作の着想にも繋がったように思うけど、この曲では"惨めなくらい私はもう現実にいるけれど"と現状を受け入れながら"望むことがある以上この席を空ける訳にはいかないんだ"とこれからも歌い続ける決意を示していて印象的だ。
ただこの曲含めて曲自体がどうにも普通、アレンジも曲に寄り添っているものの大きな起伏は無しで、アレンジ含めて聞かせる側面もほとんど無し…なので、これで「ハルイロ」が無かったら全体通して平坦な印象で終わってしまっていたような勢い。前作よりはそれでも持ち直したというのが個人的な印象だけど…う〜ん…"普通にいい"以上は…。今回はあくまで自然体になっただけで、キング中期の最も売れていた時期やワーナー移籍時のように既存リスナー以外にも広く届けていきたいという意識は正直あまり無さそうだし。
あとインタビューでステージで歌っている自分と子供と過ごしている自分がいて後者の方に対してこれが今の自分だと思うと「惨め」という発言をしているのはえ?ナニソレ?という感じ。子供と過ごしている母としての普通の自分、これを普通に幸せな時間だと感じられず、普通の主婦の生活を「惨め」と感じてしまうのかと。インタビュアーは「老い」そのものがそういうことで誰もが感じる感情だとさりげにフォローしていているけど、インタビュアーの分析説明に対して本人「わかります」「そっか」としか答えてないのでインタビュアーの言っているような意味合いはあんまり無くて本当に言葉通りだったみたいでフォローになってないという…。正直結婚して子供生まれたばかりで普通の主婦生活を「惨め」なんて言っちゃうのはいかにもスター・芸能人的な発想か、過去の栄光を引きずっているかであって、ここ数作があまり響かなくなったのってこういう部分のズレなのかもしれないと思った。
印象度★★★☆☆
2016.5.26更新