プラチナムベスト 松原みき
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 真夜中のドア〜Stay with me(Single ver.) | 三浦徳子 | 林哲司 | 林哲司 | 1stシングル 最高28位 売上10.4万枚 |
2 | 愛はエネルギー | 三浦徳子 | 林哲司 | 林哲司 | 2ndシングル 売上不明 |
3 | あいつのブラウンシューズ(Single ver.) | 島エリナ | 杉真理 | 鈴木茂 | 4thシングル 売上不明 |
4 | It's So Creamy | 中里綴 | 佐藤健 | 佐藤健 | 1stアルバム『POCKET PARK』収録曲 |
5 | 青いボールペン | 三浦徳子 | 佐藤健 | 大村雅朗 | 3rdアルバム『-Cupid-』収録曲 |
6 | 街はいつもパーティーね | 三浦徳子 | 大村雅朗 | 大村雅朗 | 3rdシングル『ハロー・トゥデイ〜Hello Today』B面 |
7 | Paradise Beach(ソフィーのテーマ) | 松本隆 | 細野晴臣 | 細野晴臣 | 10thシングル 売上不明 |
8 | 気まぐれコラージュ | 竜真知子 | Dr.STRUT | Dr.STRUT | 10thシングルB面 |
9 | WANGAN High Way | 田口俊 | 佐藤健 | 鷺巣詩郎 | 11thシングル『Sweet サレンダー』B面 |
10 | Jazzy Night(Single ver.) | 三浦徳子 | 林哲司 | 林哲司 | 7thシングル 売上不明 |
11 | -CUPID- | 三浦徳子 | 伊藤銀次 | 大村雅朗 | 3rdアルバム『-Cupid-』収録曲 |
12 | DREAM IN THE SCREEN | 松原みき・ 三浦徳子 |
松原みき | 大村雅朗 | 3rdアルバム『-Cupid-』収録曲 |
13 | Rainy Day Woman | 松本隆 | 亀井登志夫 | 松任谷正隆 | 2ndアルバム『Who are you?』収録曲 |
14 | Manhattan Wind | 及川恒平 | 惣領泰則 | 惣領泰則 | 1stアルバム『POCKET PARK』収録曲 |
15 | Cryin' | 森田由美 | 佐藤健 | 佐藤健 | 1stアルバム『POCKET PARK』収録曲 |
16 | ニートな午後3時(Single ver.) | 三浦徳子 | 小田裕一郎 | 大村雅朗 | 5thシングル 売上不明 |
リリースデータ
2017年7月19日 | 300位圏外 | ポニーキャニオン |
松原みきベストアルバム。高音質CDのHQCDを進化させたUHQCDでのポニーキャニオンの企画ベスト『プラチナムベスト』シリーズの1作。今回もポニーキャニオン在籍時1979〜1985年までのシングル14作、アルバム8作の中から選曲されている。2009年に1st〜4th+リマスター&HQCDで再発、1988年のビクター移籍後の9th『WiNK』も2014年にタワーレコード限定でリマスター再発、遅れて2015年に残りの5th〜8thアルバムをリマスター&UHQCD仕様で再発となり、オリジナル&カバーアルバムのCDリマスター発売は完了していたが、各アルバムでの追加収録は行っていなかったため、アルバム未収録のB面曲は救済されておらず、これまでのベスト盤数作に分散されて小出しにCD化が進んでいた。今作では「街はいつもパーティーね」「気まぐれコラージュ」「WANGAN High Way」が初CD化となった。
1988年ビクター移籍後のアルバム『WiNK』が最後の新作で、1990年のライブを最後に自身の歌手活動は停止し、CMやアニメへの提供など裏方作家として活動を継続していたが、2001年に闘病のために療養に入り、2004年に子宮頸癌により44歳で亡くなった。ベストアルバムは現役時代は1983年『Paradise Beach』、1985年『松原みき ベストセレクション』がポニーキャニオン在籍時LPの時代にリリースされており、移籍後は1986年『松原みき スーパーベスト』などがCDに移行してリリースされていたようだがカセットでの企画作は他にもあったとされる。
現役での歌唱活動を退いた1990年代はベスト盤は無くやや忘れられた状態にあったが、2000年代になって療養のための活動休止以降はポニーキャニオンの企画ベストシリーズがあるとこぞって毎回のように取り上げられていた。
2002年『Anthology BEST』
2008年『ベスト・コレクション』
2011年『ゴールデン☆ベスト』
2013年『ザ・プレミアムベスト』(唯一の2枚組)
2014年『Light Mellow』
2017年『プラチナムベスト』(今作)
と、2000年代後半からはさらに加速して数年おきに企画ベストがリリースされていた。一方で移籍後のビクターはアルバム1枚のみであったため、1度もベスト盤対象にされた事がない模様。今作で「街はいつもパーティーね」「気まぐれコラージュ」「WANGAN High Way」が初CD化となったようにB面曲の初CD化を一気に行わずに小出しにしたり、ベスト初選曲楽曲を売りにしたりと、連投してきた過去のベスト盤の存在はある程度意識されているようだ。今作の選曲はシングルは意識されていないがかなり前半に寄った選曲になっていて、後期からはほとんど選曲されていない。
1990年代は何も無かったのに2000年代以降にベスト盤が連投されるようになったのは「真夜中のドア〜Stay with me」のカバーが細々と続いていて00年代になってカバーブームも相まって取り上げられる機会が多かったためと思われる。といってもベスト盤がチャートインするほどの需要は無かったようだが、2020年に海外のシティポップブームでストリーミングで「真夜中のドア〜Stay with me」がリバイバルヒットというか当時を遥かに超える世界的ヒットを記録した事で改めて注目を集めた。これを受けて作者である林哲司も再注目され、2021年には林哲司の楽曲のみを集めた企画ベスト『松原みき meets 林哲司』が発売され、現役時代以来初となる企画シリーズベストではないオリジナル企画のベスト発売が実現した。結局600枚程度しか売れなかったものの初登場91位を記録し、現役時代以来のO社チャートインを果たしている。また「真夜中のドア〜Stay with me」シングルEP、1stと2ndアルバムのLP再発、初ベスト『Paradise Beach』LP再発なども相次いでいる。
松原みき=「真夜中のドア〜Stay with me」みたいな認識になっているが、この曲を最初に聞いたのは2021年のDEENだと思っていたら広瀬香美のカバーで最初に聞いていたらしい。オリジナルアルバムと違ってバックアップも取っていなかったのですっかり忘れていた。DEENバージョンが好印象だったのとなんか原曲がブームになっているらしく、さいたま市の図書館には松原みきのCDは1枚も置いてなかったのにブームに乗じて今作が入荷されたので聞いてみた。
この時期の林哲司の作風がシティポップであり、林哲司の曲が再評価されている節もあるが、確かに「真夜中のドア〜Stay with me」の完成度は非常に高く今聞いても古さを感じない。今作の中でもやはり林哲司作品がシティポップとされる方向性のど真ん中に接しているような感じだが、他の曲も全体に80's特有の古さはあまり感じない。ジャズ、ファンク、ソウル、フュージョンなどと形容されるような洋楽テイストを取り入れつつもサウンド重視にならずに日本のポップスとして普遍性のある楽曲が並んでいる印象。ギリギリ10代でのデビューながら若さを感じさせない最初から確かな落ち着いた歌唱力があったので、あまりアイドル方面で売り出そうとしていなかったようだが、レコード会社側は手っ取り早くアイドル売りしたかったのか当時のジャケ写が今見るとちょっと合ってないようなアイドルっぽい明るいイメージのものがあったり、楽曲面でも明るいポップ寄りに行かせようとしている形跡がやや感じられる部分もあった。年齢を重ねても恥ずかしくならない、むしろ深みが増しそうな楽曲が多く、2020年の再ブレイクで存命なら60代前半になっていたはず。カバーは相次いでいたので歌い続けていればもっと早く国内で再評価され、そして2020年以降60代で第一線に返り咲ける可能性もあったかもしれない。
ベスト盤乱発の影響で恐らく選曲はベストオブベストというわけではなさそうではあるが(初期寄りだし、2000年代以降毎回ある程度は被りを意識してレアなB面持ってきたりベスト未選出曲を選んで調整しているっぽいし)、ひとまず聞いておく1作としては良かった。
印象度★★★★☆
2023.3.22更新