ROMANCE(初回盤)
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 原曲、備考 |
1 | あなた | 小坂明子 | 小坂明子 | 小坂明子(1973) |
2 | 異邦人 | 久保田早紀 | 久保田早紀 | 久保田早紀(1979) |
3 | 二人でお酒を | 山上路夫 | 平尾昌晃 | 梓みちよ(1974) |
4 | 化粧 | 中島みゆき | 中島みゆき | 中島みゆき(1978) |
5 | ロマンス | 阿久悠 | 筒美京平 | 岩崎宏美(1975) |
6 | 赤いスイートピー | 松本隆 | 呉田軽穂 | 松田聖子(1982) |
7 | 木綿のハンカチーフ-ROMANCE mix- | 松本隆 | 筒美京平 | 太田裕美(1975) 3rdシングル『P.S. I love you』C/W |
8 | 喝采 | 吉田旺 | 中村泰士 | ちあきなおみ(1972) |
9 | ジョニィへの伝言 | 阿久悠 | 都倉俊一 | ペドロ&カプリシャス(1973) |
10 | 白いパラソル | 松本隆 | 財津和夫 | 松田聖子(1981) |
11 | 恋人がサンタクロース | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 松任谷由実(1980) |
12 | First Love | 宇多田ヒカル | 宇多田ヒカル | 宇多田ヒカル(1998) |
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 原曲 |
1 | September [2020年5月中旬録音] |
松本隆 | 林哲司 | 竹内まりや(1979) |
2 | 思秋期 [2020年4月20日録音] |
阿久悠 | 三木たかし | 岩崎宏美(1977) |
3 | 私は泣いています [2020年4月23日録音] |
りりィ | りりィ | りりィ(1974) |
4 | あばよ [2020年4月19日録音] |
中島みゆき | 中島みゆき | 研ナオコ(1976) |
5 | 二人でお酒を [2020年4月18日録音] |
山上路夫 | 平尾昌晃 | 梓みちよ(1974) 本編に完成版収録 |
6 | 翼をください [2020年4月25日録音] |
山上路夫 | 村井邦彦 | 赤い鳥(1971) |
リリースデータ
2020年11月18日 | 初登場1位 | 売上19.8万枚 | PRODUCE:小林武史、蔦谷好位置(6) | ユニバーサル |
宮本浩次1stカバーアルバム。エレファントカシマシのボーカリストのソロ2作目のアルバム。前作『宮本、独歩。』から8ヶ月でのリリース。全曲女性ボーカルの70〜80年代の楽曲のカバーを収録(「First Love」のみ1998年)。9月に発売されていた3rdシングル『P.S. I love you』C/Wとして先行発表されていた「木綿のハンカチーフ」はROMANCE mixとしてミックスを変更して収録。編曲表記は無いが、プロデュースは小林武史が担当、「赤いスイートピー」のみ蔦谷好位置が担当した。本人はVOCAL&PERFORMANCEとクレジットされ楽器演奏は行っていないが、「First Love」のみギターを演奏している。発売時には『スッキリ』や『あさイチ』など朝の情報番組にも出演して収録曲を歌唱、昭和歌謡の独自カバーが話題となり前作はおろかエレファントカシマシも遥かに上回る好調な売上を記録し、初動4.7万枚でエレファントカシマシ含めて初の1位を獲得。その後もロングヒットを記録して、前作を10万枚以上上回った。エレファントカシマシが「今宵の月のように」で最大ヒットを記録した直後の1997年の『明日に向かって走れ-月夜の歌-』以外のすべてのアルバムを大幅に上回る売上となった。なおエレファントカシマシは直近10年以上1〜2万程度、30周年のベストは10万近くまで伸ばしていたがソロでの前作『宮本、独歩。』は7万枚を越えるなど元々ソロになってから売上が爆上がりしていた。
初回盤は弾き語りデモ音源を6曲収録したボーナスディスク付属、スリーブケース仕様。5曲は本編未収録になった楽曲で、「二人でお酒を」のみ本編に完成版が収録されている。
次にカバーアルバムを出すという構想はあり、2019年11月には「あなた」「恋人はサンタクロース」のレコーディングは済んでいたが、当初は『宮本、独歩。』リリース後はソロツアーを予定していた。このツアーが新コロ中止となり、さらに緊急事態宣言にもなったため、自身の作業場での配信や今作の選曲作業、弾き語りデモの制作を開始。選曲に当たっては自身が生まれた1966年からエレファントカシマシがデビューした1988年までの昭和歌謡曲を150曲ほど聞いて30曲ほどを弾き語りでカバー。30曲の中には男性ボーカル楽曲も含まれていたが、小林武史と15,6曲聞いた1週間後に小林武史が仕上げてきたアレンジ10曲が全て女性ボーカルでこれをたたき台にして今作を制作したため女性ボーカルばかりになったとも語っている。
通常であればもう少しキーを下げるようなところをキーが高いまま歌って地声と裏声スレスレを行くという独特のボーカルスタイルはパッと聞き声が出てない、無理しすぎ、苦しすぎに聞こえてしまい、実際『あさイチ』始めリリース時に出演した番組をたまたま見ていた原曲のヒットをリアルタイムで記憶している両親はなんだこの怪カバー…という感じで唖然としていたが、数回見ているうちに派手なパフォーマンス含めて慣れてきたようで好印象に変わっていたようだった。
今作では普段のようにがなりながら高音をひねり出していくよりも細く綺麗な高音を出して無理に張らずにファルセットに持っていくような比較的落ち着いた丁寧な歌い方をしている印象でこの辺りは今作におけるボーカル表現の大きな変化と特徴かもしれない。とはいえそんな高いキーに設定しなきゃいいのにとはどうしても思ってしまう部分も多く、まだ音程が低いAメロから早くも地声ギリギリかファルセットに行ってしまうほどキーが高いので独特である事には変わりがない。女性ボーカルの昭和歌謡曲というこれまた独特の世界観と独特歌唱法が合わさってかつてない昭和歌謡カバーアルバムにはなっていて新鮮さはある。また今作における小林武史のアレンジは概ねいつも通りのピアノストリングス中心で原曲とはだいぶ変えてはいるようだけど古くも新しくも無い普遍的なところを狙ったかのようでそこまでこってりはしていない。とはいえ蔦谷好位置も含めて12曲中8曲ストリングス(2,4,6,7,8,9,10,11)は相変わらず使い過ぎではあり(ブラス系はゼロ)、宮本の歌唱だけで引っ張れるのだからもっとシンプルで使うのは数曲程度で良かったのではないかとは思う。
初回盤のデモ曲集は宮本がギターをコード弾きしながらためしに歌ってみたという感じの録音が並んでいる(本編の「First Love」も宮本のギター中心なのでほぼ同じスタイルだがこっちはもう少しラフ)。インタビューで語られている制作の経緯からして30曲ほど作ったという連日制作していたデモがまさにこれだろう。「二人でお酒を」だけは小林武史のアレンジ版と聞き比べることができるが残りは本編未採用。「September」なんかは元がけっこうオシャレな感じだったので小林武史のアレンジでどうなったのか、ちゃんとしたやつを聞いてみたかった。
印象度★★★☆☆
2021.5.19更新