21世紀ベストセレクション『前途』
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 銀の龍の背に乗って | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 38thシングル 最高4位 売上21.4万枚 |
2 | 地上の星 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 37thシングル 最高1位 売上111.6万枚 フェードアウトを早く編集 |
3 | 泣いてもいいんだよ | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 44thシングルC/W ももいろクローバーZへ提供 セルフカバー |
4 | 常夜灯 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 39thアルバム『常夜灯』収録曲 |
5 | Nobody Is Right | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 35thアルバム『I Love You, 答えてくれ』収録曲 |
6 | 宙船(そらふね) | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 34thアルバム『ララバイSINGER』収録曲 TOKIOへ提供 セルフカバー |
7 | 倒木の敗者復活戦 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 39thアルバム『常夜灯』収録曲 |
8 | Why&No | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 41stアルバム『組曲(Suite)』収録曲 |
9 | India Goose | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 40thアルバム『問題集』収録曲 |
10 | 産声 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 40thアルバム『問題集』収録曲 |
11 | 麦の唄 | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 44thシングル 最高5位 売上6.2万枚 |
12 | ヘッドライト・テールライト | 中島みゆき | 中島みゆき | 瀬尾一三 | 37thシングル両A面曲 6thベスト『元気ですか』収録の完奏するバージョン |
※「Nobody Is Right」「宙船(そらふね)」には中村哲、「倒木の敗者復活戦」「India Goose」「産声」には小林信吾が共同編曲者として当時クレジットされていたが今作は一括で瀬尾一三の編曲表記になっている。
リリースデータ
2016年11月16日 | 初登場2位 | 売上17.6万枚 | Produced by 瀬尾一三、中島みゆき | ヤマハ |
中島みゆき7thベストアルバム。『Singles』シリーズ4作を除く現在の公式サイトに掲載されているベストアルバムとしては4作目。ただし今作は20年ぶりのベストアルバムと形容されており、具体的な作品名は出されていないがこれは『大吟醸』が該当する。このため選曲基準にコンセプトを掲げていた『大銀幕』『元気ですか』は正規のベストアルバムとしてはカウントされていないことが判明し、現存する純然たるベストアルバムは『大吟醸』と今作の2作品のみということになった。タイトルがややこしいが00年は20世紀最後の年で21世紀は01年からのため21世紀以降の楽曲という意味ではなく、ヤマハに移籍した"2000年以降の楽曲から「21世紀に聴いていきたい中島みゆきの楽曲」"という基準で選曲されている。「泣いてもいいんだよ」がアルバム初収録。「ヘッドライト・テールライト」は『元気ですか』に収録されたフェードアウトせずに完奏するバージョンで収録された。ただし厳密には最後の余白が長くなっているため『元気ですか』収録の音源よりも6秒ほど長い。自身初のセルフライナーノーツが付属する。ブックレットには英語詞が併記されているのはオリジナルアルバムと同様だが、演奏クレジット及び1曲ごとの作詞作曲編曲表記はカットされている。ライブアルバム『中島みゆきConcert「一会」2015〜2016-LIVE SELECTION-』及びライブDVD/Blu-ray『中島みゆきConcert「一会」2015〜2016』と3作同時発売。
『大吟醸』は95年までの選曲なので、96〜99年が抜けてしまい今作は厳密には続編ではない(続編的存在は『大銀幕』だがこれも98年発売)。それでも00年以降の最低限の代表曲は抑えることができる。多くのミュージシャンがオリジナルアルバム数枚〜多くて5,6枚程度で2枚組3枚組のフルボリュームベストアルバムを出すのが流行っている中で、オリジナルアルバム14枚からわずか12曲に絞って1枚ポッキリという潔さである。その選曲は基本的にド王道であり、キムタクが主演していたドラマ『南極大陸』の「荒野より」が無い…とかはあるけどひとまず聞いてみたいと思うような入口になりそうな有名曲はほぼ入っている。個人的にもオリジナルアルバムをざっと聞いてきて特に印象的だった曲が率先して選曲されているような印象を受けた。よって文字通りにこれぞベストアルバムだと思う。これだけでは全く終わらないが、ベストアルバムは本来このくらいでこれまでとこれから両方につながっていく橋渡しのような存在になればそれでいいし、最低限抑えておきたい曲が抑えてあるのでそれでいいだろう。
中島みゆきの音楽性は時代とは関係が無く、最早「中島みゆき」そのものであり、それゆえにいきなりオリジナルアルバムを聞くとうまくハマる場合はハマるが、濃厚すぎる部分もありとっつきにくさを感じることもある。このような気軽に聞きやすいベストアルバムの存在は入口として非常に重宝されるものだと思う。
作品数が膨大過ぎて何から手を付ければいいのか分からない場合、『大吟醸』と今作を聞けばかなり多くの有名曲を網羅できるようになったのは大きいと思う。まあこの2作だと現在有名曲の上位に位置するようになり今作のキャッチコピーでも"中島みゆきは「時代」と「糸」だけじゃない"扱いされるまでになった「糸」が聞けないので『Singles 2000』か『元気ですか』かオリジナルアルバム『EAST ASIA』で補完する必要はあるけど…。また当時ほぼ連続でヒットした「地上の星」と「銀の龍の背に乗って」が同じアルバムに収録されたのはライブ盤以外では初であり、個人的にはここにようやくという思いがある。
リマスターは2014年までにBOXやクリスタルディスクでのリマスター含めてオリジナルアルバム40作をコンプリートしたTom Bakerではなく、2015年の41stアルバム『組曲(Suite)』で初起用されたStephen Marcussenが2作連続で担当している。とにかくほぼ全面的にTom Bakerだったため、聞きこんでいるリスナーほど今作のリマスターに違いを感じる…かもしれない。元々Tom Bakerは迫力のある音に仕上げる印象があったものの、2013年の4thシングルコレクション『十二単〜Singles 4〜』で急に軒並み当時の音源よりも音圧を大幅に下げたリマスターを行うなど突如マスタリングの方向性が迷子になっていたので案外変えたのは正解だったかもしれない。今作は適度な迫力でこれまで以上にいい音で各楽曲を堪能できる印象。
印象度★★★★★
2016.12.25更新