Godzilla vs. Kong
ゴジラVSコング
2021年公開。モンスターバースシリーズとしては2014年の『GODZILLA ゴジラ』、2017年の『キングコング: 髑髏島の巨神』、2019年の『Godzilla: King of the Monsters(ゴジラ キング・オブ・モンスターズ)』に続く第4弾。前作から5年後の2023年が舞台となっていて2021年公開時より未来となっている。『キングコング: 髑髏島の巨神』にて1973年に存在が確認されていたコングは前作では存在が示唆されたのみで行方不明扱いだったが、今作では成長した姿でより巨大になって登場する。
前作で生き残った主人公マーク(カイル・チャンドラー)はモナークの研究員として復帰して続投しているが今作では脇役で活躍はない。同じく前作でヒロインとして活躍した娘のマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)はメイン級で続投している。前作でゴジラを復活させるために犠牲になった芹沢博士の息子芹沢蓮(小栗旬)が登場するが…?
前作でギドラを倒したゴジラがキング・オブ・モンスターとなって5年の間にコングとの間に古代から因縁があったらしいことが判明。コングではゴジラには勝てないと思われていたためモナークによってコングは髑髏島に設置した巨大ドーム内に収容されて保護されていた。しかしコングは以前より巨大化しており、施設内で管理するには限界が来ていた。コングは髑髏島の先住民一族の生き残りで耳の不自由な少女ジア(カイリー・ホットル)とは手話で意思疎通ができ、ジアにだけは心を許していた。
どうやら前作と今作の間に『Kingdom Kong』という日本未発売のコミック版があり、ここでギドラ出現の影響で髑髏島が異常気象に見舞われた挙句に怪獣の襲撃と嵐によって先住民が全滅、コングが怪獣を撃退するも生き残ったのはジアだけというストーリーが展開していたらしい。モナークのコング担当の研究員アイリーン(レベッカ・ホール)はジアを養子にして面倒を見ていた。
元モナークの研究員で地下空洞世界探検を夢見ていたネイサン(アレクサンダー・スカルスガルド)だったが、南極の地底深くにある地下空洞世界は特殊な重力になっていて侵入が困難で共同研究者の兄も事故死した過去があり探検をあきらめていた。しかしエイペックス社のCEOウォルター(デミアン・ビチル)に説得され、ゴジラを倒す力の源があるであろう地下空間への案内人としてコングを南極の入口へと輸送する計画を担う事になる。
エイペックス社を怪しんでいた陰謀論者のバーニー(ブライアン・タイリー・ヘンリー)は会社に潜入して調査を進めていたが何か巨大な計画が動いているのを察する。そこにゴジラが襲撃してきた。前作で生き残り、ゴジラが急に暴れ出したのには理由があると考えて突き止めようと動き出したマディソンは友人のジョシュ(ジュリアン・デニソン)と共にバーニーと接触。3人でエイペック社の陰謀を暴くために再度エイペックス社に潜入するがそのまま香港へ運ばれてしまう。
一方でネイサン、アイリーン、ジアはウォルターの娘のマイア(エイザ・ゴンザレス)と共にコングを輸送していたがゴジラに襲撃されてしまう。拘束状態でなすすべがなく、溺死させられそうだったコングだが拘束を解かれて難を逃れる。しかし水中でも活動できて放射熱線もあるゴジラと違って、水中で呼吸できず突撃して殴り掛かるしかないコングは何度か殴る事には成功するも大劣勢でほとんど相手にならず、完全にノックダウンされてしまう。全ての電源を切って死んだふりだ!というネイサンのおバカな作戦が地味に効いてゴジラは引き上げていった。
船で移動するのは無理だと判断した一行は『キングコング対ゴジラ』のオマージュで巨大な網にコングを入れて大量の飛行機で釣って運ぶという作戦で南極へ到着。ここまでの被害が大きくてもう帰る事は出来ないが南極では恐らく生活できないという行くしかない状況に追い込み、当初拒否していたコングだが仲間がいるかも?とジア経由で聞かされて一転して地下世界へ突入。一行も地下空間の重力に対応できるヒーヴに乗って同行。地下空間の怪獣に襲撃されながらも退けたコングと一行は謎の宮殿に到達。ここには巨大な斧があり、コングはこれを手にして武器とする。
香港のエイペックス社を襲撃しようとしていたゴジラは地下空間に向かって熱線を放ち、熱線は地下空間に到達。コングも呼応してこの大穴から再度地上へと向かおうとしたが…。
マイアは地下空間のエネルギーのサンプルデータをウォルターの元に送信したが、地下空間の怪獣に襲撃され、とっとと逃走を図ろうとして進行方向にいたコングが邪魔だから攻撃しろとバカな命令を出したせいでコングに握りつぶされてしまい退場(ジア(と保護者のアイリーン)がいないのはコングも確認してから容赦なく握りつぶしている)。もう1台のヒーヴでネイサン、アイリーン、ジアも後を追う。
香港では届いた地下空間のエネルギーサンプルのデータにより、前作で死んだギドラの残った首を使って作り上げたメカゴジラの出力を上げることに成功。40%しか力を出せていなかったメカゴジラだがウォルターによればこれでゴジラを上回ったという。精神を繋げてメカゴジラを操作するのは芹沢博士の息子芹沢蓮(小栗旬)の役目だったが、蓮はテストもなしに危険だという。
駆け付けたコングとゴジラは2度目の戦闘を開始。相変わらず不利なコングだったが、先ほどゲットした斧を使ってうまく立ち回り、熱線も斧で防いだ。しかし衝撃で斧を手放してしまい、ビル群を逃げ回って熱線ラッシュをかろうじて回避しながらスピードで上回る事で致命的なダメージを受けずに済んでいた。最終的には斧を再度手にして一撃でゴジラを一時ノックダウンする事に成功。
コングの勝利に思われたが満身創痍のコングは力尽きてしまう。ゴジラはすぐに復活し、今度はコングを圧倒。コングは敗死寸前へと追い込まれた。
ウォルターの命令でメカゴジラを即起動させようとしたが、案の定制御不明となる。白目を剥いたままエネルギーの逆流で蓮はあっさり感電死。ウォルターもバーニー、ジョシュ、マディソンに演説をしていたところ制御を失って動き出したメカゴジラに瞬殺されてしまう。すぐにゴジラとの戦闘になったため、ウォルターの演説を聞かされていたバーニー、ジョシュ、マディソンだけ生き残り、とりあえずメカゴジラのシャットダウンを試みる。
メカゴジラは連戦で疲弊しているゴジラを圧倒。今度はゴジラが追い込まれるが、ネイサンがヒーヴを爆破させての強制ショック療法でコングを復活させ、ジアの敵はメカゴジラという説得により、コングはゴジラと共闘してメカゴジラと戦闘を開始。それも厳しい戦況だったが、あきらめて酒を飲もうとしたバーニーの酒をジョシュがコンピューターに流し込んだところバチバチとショート。メカゴジラの機能が一部停止し、この隙に反撃に出たコング。例の斧にゴジラが熱線をぶつけてパワーアップさせるとコングが斧をふりかざしてメカゴジラをザックザクと切り刻んでバラバラにして粉砕、勝利。
戦いを終えて、バーニー、ジョシュ、マディソンがマークと合流。ネイサン、アイリーン、ジアも生き残る中で、コングとゴジラはなおいがみ合おうとしていたがコングは斧を下ろし、ゴジラも静かに去っていった。コングは地下空間の一部でアイリーン、ジアらの監視の下で生活するようになっておしまい。
と、登場人物がゴチャゴチャしている割にかなりテキトーな人間ドラマが展開するので過去2作と比べても人間ドラマにげんなり。いや酒を流しただけでバッチバチショートで弱体化って何…?最終局面がなんでコメディシーンなんだよ…。そして共闘して倒すにしてもこれで動きが停止したところを素早い連携で倒すっていうのもイマイチ達成感のない…。
小栗旬に至っては黒歴史級の扱いで、芹沢博士の息子である必要が全くない小悪党であった。それでもメカゴジラの操縦者、しかも直接操縦ではなく、脳波をリンクさせて操るみたいな感じでまともに話が展開すればそこそこ存在感のある役回りだったはずだが…。実際にはほとんど出てこないうちから練習で飼育されていた怪獣を撃破する際に恍惚としていたり、バーニー、ジョシュ、マディソンに目撃された時も絶賛メカゴジラとリンク中で対話できる状態に無かったりと散々。最後は止めたのにCEO命令で仕方なく乗り込んだところオーバーヒート。元々操っている時は白目状態というヤバい状態だったのが、逆流感電により白目のままビリビリビリビリ!!!!!…ガックシコテン、チーン(死去)というあんまりなギャグEND。
しかも英語が不安だしスケジュールも詰まっていたので1度断ったのに熱烈なオファーで引き受ける事にしたというのに出番の半分以上はカットされてストーリーも変わって追加撮影まであったというし、これ以外にも出番が全カットされた出演者もいたという。前作主人公のマークがほぼ何もしないのも二転三転して迷走した影響?
コングとジアの意思疎通を中心としてコングを人間っぽく描くのに集中した感じで、それ以外はかなりおざなりだった。
怪獣バトルには迫力はあったものの、ヌルヌル動きすぎて意外と見難いし、前作のゴジラ愛が凄すぎた監督に比べると今作は明らかに監督が違うなという…。一応『キングコング対ゴジラ』のオマージュっぽい部分があったりと一定のリスペクトもあったらしいんだけどどうなんだろう。ゴジラのデザインも顔が小さすぎて巨大イグアナ感が強くなってしまった。メカゴジラに至っては思ってたのと全く違うデザイン…。前々作→前作でだいぶデザインも良くなったと思ったのに今までで1番ゴジラっぽくない造形・作風になってしまった。モンスターバースシリーズこれで一気に暗雲が漂ってきた。前作が最高過ぎた反動もあるけど今回はいくらなんでもストーリーが練られて無さすぎだった。
★★★☆☆