X-MEN
00年公開。アメリカの人気コミックの実写版。大ヒットしたため、数年おきに続編が制作されスピンオフ展開までしている。近未来、特殊能力を持ったミュータントが出現し、彼らが迫害を受けている世界観になっている。ミュータントには一般人と変わらない者もいれば、動物の特性が強い者、完全に異形の姿の者などがいる。人類を信じて守ろうとする側と、人類を憎み滅ぼそうとする側の対立が描かれる。
国会ではケリー上院議員を中心に危険なミュータントを法律で規制して管理下に置こうとする動きが強まっていた。これに危機感を抱くマグニートー一派は人類に対してある計画を仕掛けることを決意する。自らの能力におびえて家出したローグは同じミュータントであるウルヴァリンと出逢う。そこにセイバートゥースが襲撃を仕掛けるが、ストームとサイクロップスが駆け付けて2人を保護。プロフェッサーXの学園へと案内する。マグニートーが何故ウルヴァリンを狙ったのか不明だが、プロフェッサーXはウルヴァリンの記憶を探る手伝いをする代わりに、マグニートーの計画を探る手伝いをしてくれと依頼する。だがマグニートーの本当の狙いはローグの能力だった。マグニートーの計画を止め、ローグを救うため、X-MENが出陣する。
アクションよりも、差別や迫害に関しての主張が強く、ミュータントというフィクションを通してこの問題を強く訴えている側面も強い。本編が100分ちょいしかなく、かなり駆け足で話が展開するのでサクサク見れるが、ミスティークがあちこちで変身能力を駆使してかき回す展開は、このスピードだとやや混乱を招くような気がする(アイス少年がローグに出ていけというところなどはちょろっと目が怪しく光るだけなので分かりにくい)。ていうか便利だな変身能力。今回のストーリー、この能力でかなり一気にかき回して進めているし。
能力バトルという点では次回作の方がアクションが増えてより迫力があるが、世界観の説明を含めた1作目としてみれば分かりやすいし、何よりストーリーが面白い。
2018年発売Blu-ray版 1,2,ファイナル・ディシジョン,ファーストジェネレーション,フューチャー&パスト5枚組Blu-ray BOX
★★★★☆
以下ネタバレ含む、登場人物のまとめ
ウルヴァリン…本名はローガン。主人公。全身に超合金アダマンチウムが埋め込まれており、指の隙間から爪が出る。元々は生の爪が出る能力だったが何者かに改造されたもの。メインの能力は肉体の自己治癒能力。これにより老化が著しく遅く、プロフェッサーXより年上かもしれないとジーンは推測している。また通常だったら死ぬような改造手術を施されても生きているのも能力ゆえ。15年前より以前の記憶が無く、答えを求めて15年放浪生活を続けていたが、ローグと出会い、ブラザーフッドに急襲されたのをサイクロップスとストームに助けられて学園へ運ばれる。プロフェッサーXの能力で記憶を探る手助けをしてもらうのと引き換えに協力を頼まれるも、一匹狼な性格でサイクロップスにはケンカを売り、サイクロップスとジーンが付き合っているのを把握したうえでジーンへアプローチをする。出会った当初は邪険にしていたがローグの事は気にかけており、ミスティークの罠で学園を飛び出したローグを追いかけて学園へ戻るようにアドバイスをしたうえで守るとも約束するなど保護者目線で優しさを見せる一面も。ローグ救出のためにX-MENへ一時加入し、ユニフォームに文句を言いながら救出作戦に参加。ミスティークと戦い、倒す。その後はセイバートゥースと戦うが劣勢に追い込まれ、みんなの協力で撃破。ローグを救出する。プロフェッサーXとの約束により、過去の記憶の手がかりを求めて北へと旅立つが、ローグにはいずれ戻る約束の証として自身がつけていたプレートを渡した。
ローグ…本名はマリー。高校生の少女。触れた相手の生命力を奪い、ミュータントの場合はその能力を一時的に奪う能力を持つ。長く触れ続けると相手は死んでしまう。触れるだけで能力が自動発動してしまうため、キスはおろか相手に触れることもできず、恋人を死なせかけてしまったため家出。道中でローガンもミュータントだと知り、自分を理解してくれるに違いないと勝手に追いかけ、最初は邪険にされるが最終的に信頼関係を結ぶ。自身の能力がマグニートーの計画に必要とされ狙われていたが、当初ローガンが狙われていると思われており、ローグはノーマークだった。このためミスティークの策略で学園を飛び出した際に拉致される。最後はマグニートーの計画した装置の影響で前髪が白髪化。以降そのままとなった。ローガンの能力を吸収することで作中2度致命傷から回復している(ローガンはその後しばらく回復不能になって気絶)。
プロフェッサーX…本名はチャールズ。つるっぱげで車椅子に乗っているおじいさん。人類に迫害されたり、能力をもてあましている子供たちを集めて表向き天才が集まる教育施設として、保護。能力の制御を教えて正しい道へ導いている。人類を信じており、かつての親友であるマグニートーが率いる反人類の勢力とは対立している。能力はマインドコントロールで強力なテレパシーを使うことができる。特殊な機械セレブロとこの能力を生かしてミュータントの現在地を探るだけでなく、本気出せば他人を操ることも可能だが基本的に行使しない。ミスティークが仕掛けた罠に気づかずにセレブロを使用した事でこん睡状態に。最終決戦では昏睡状態に陥っていたため出番が無かったが、ラストシーンでは目を覚ましている。
サイクロップス…本名はスコット。常に特殊なサングラスをかけた青年でX-MENのリーダー。能力は目からビーム光線。裸眼だと山を1つ吹き飛ばすほどの威力があるらしい。目を開けている間は常にビームを発射し続ける特性を持つため、サングラスで能力を制御している。戦闘時は戦闘用のサングラスを調整することでビームを放出するが、サングラスを破壊されたり、取られたりするとに目をつぶるしか抑える方法が無く、ふいにサングラス破壊をされると味方や周囲にまで危険が及ぶ。ラストバトルではこの弱点を突かれて身動き不能になったが最終的にはセイバートゥースを仕留めて吹き飛ばしたほか、マグニートーにもちょっと当てて倒す、トードの粘液攻撃で呼吸を封じられたジーンの粘液部分だけを調整したビームで吹き飛ばすなど活躍した。
ジーン…スコットの恋人。ヒロイン。学園ではドクターとして医者のような役割をしている。能力は主に念動力が作中で使用されている。さらにテレパスも使えるがプロフェッサーXほどではないと言っている。相手の動きを止めるなどするが、能力まで止めたりできず、トードの粘液攻撃を受けて窒息しかけた。ストームとの連携で念動力を生かしてローガンを捕えられたローグの元へと飛ばした。DVD/Blu-ray特典の未公開映像では「最近力が強まっている」と発言、さらに次回作でも同様の発言をしており、それが2,3作目への伏線となっている。
ストーム…本名はオロロ・マンロー。長い銀髪の女性。他のメンバーは親しいメンバーには本名で呼ばれるが、彼女だけは本名で呼ぶ相手がいないので本編を見ているだけでは本名が記憶に残らない。天候を操る能力を持つ。主に風と雷撃を駆使するなど攻撃力は極めて強力で見た目も派手。トードと単身戦闘し、風と雷で海へと吹き飛ばした。またジーンが制御する形でウルヴァリンを風で吹き飛ばし、ローグの元へ強制的に運んだ。
アイスマン…本名はボビー。学園の生徒の1人。最初にローグに声をかけて少し親しくなる。その後、突如ローグに暴言を吐いてローグが飛び出すきっかけを作ってしまうがこれはミスティークが化けたものだった。当人は知らずにいた。
マグニートー…本名はエリック。かつて人類に迫害された経験から人類を恨んでおり、ミュータントを迫害しようとする人類に対して戦争を起こそうと画策。金属と磁力を操る能力を持つ。この能力を応用して宙に浮いたり、警官隊が構えた複数の銃器を瞬時に奪い去り、相手に向けさせた上に引き金を同時にひかせることも可能。骨格が金属のウルヴァリンはこの能力の前には身動きが取れなくなる。プロフェッサーXとはかつての親友で、お互いを名前で呼び合う。袂を分かった現在でも、殺したいほど邪魔には思っておらず、直接プロフェッサーXに対して攻撃を仕掛けることは無い。自身を動力源にして人間をミュータント化させる放射能を発生させる装置を開発。自身が使った場合は周囲そこそこしか広がれられないがローグを媒介・犠牲として国連サミット会場とその周辺に効果を拡大させようとしていた。しかし実際にはミュータント化に耐え切れずに多数の人間は死んでしまう事は気づいてないっぽい。ローグに能力を一時的に吸わせて弱った後はセイバートゥースに護衛を頼んでいたが、実際の現場では既にやられてしまったので味方ゼロでヨボヨボに。老体に鞭打って飛んできたローガンを止めるが、スコットのビームで気絶。そのまま逮捕される。
ミスティーク…全身青色の女性。1度見た相手に化ける能力を持つ。さらにウルヴァリンと互角の格闘を演じるなど戦闘力も高い。あちこちに出没し、様々な人間に化け、X-MEN側や政府をかく乱、混乱させる。ローガンに倒されたが実は生きており、ラストでは死んだケリー議員に化けてミュータント法案を廃案にさせた。
セイバートゥース…獣の特性を持ったミュータント。登場するたびに獣の鳴き声が入る。大柄な体で強力な戦闘力を持ち、ウルヴァリンに貫かれてもピンピンしていた。ただ命じられたターゲットを取り逃がすことが多く、ケリー議員を落としてしまった時はマグニートーに閉じ込められた。最終的にスコットのビームで吹き飛ばされるも直接死んだ描写は無いが、次回作以降には出演していない。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』ではウルヴァリンの兄として登場し、キャラクター名は同一だが演じている役者は別人で、今作への繋がりも特に意識されていない。
トード…カエルの特性を持つミュータント。舌が伸びる、飛び回るなど動物的で調子のいい男。直接殺される描写は無いが、次回作以降には出演しない。『X-MEN:フューチャー&パスト』には若き日の姿が登場しているが
ケリー議員…ミュータントを規制する法案を強く推し進める政治家。マグニートーの怒りを買い拉致され、計画の実験台にされてしまい、自身をスライム化させる能力を持つミュータントになってしまう。ミュータント化した自身に絶望しながらもその能力ゆえ捕えられていた孤島の檻から脱出。学園を頼ってやってくるが、ミュータント化への拒絶反応に体が耐え切れずに細胞が崩壊寸前となっており、まもなく全身が液体となって融解してしまった。