素晴らしい世界(初回盤)
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | カク云ウボクモ | 森山直太朗 | 森山直太朗 | 世武裕子 | 21/10/27配信シングル |
2 | 花(二〇二一) | 御徒町凧 | 森山直太朗 | 森山直太朗/櫻井大介 | 中孝介へ提供 セルフカバー(2度目) |
3 | 愛してるって言ってみな | 森山直太朗 | 森山直太朗 | 櫻井大介 | 22/2/14配信シングル |
4 | 素晴らしい世界 | 森山直太朗/御徒町凧 | 森山直太朗/御徒町凧 | Akiyoshi Yasuda | |
5 | boku | 森山直太朗 | 森山直太朗 | 森山直太朗 | |
6 | papa | 森山直太朗 | 森山直太朗 | 森山直太朗/田中庸介 | |
7 | 落日(Album Ver.) | 森山直太朗/御徒町凧 | 森山直太朗 | 小田朋美 | 20/10/7配信シングル Album Ver. |
8 | すぐそこにNEW DAYS | 御徒町凧 | 森山直太朗 | 山田拓斗/森山直太朗 | 20/7/17配信シングル |
9 | 最悪な春(Album Ver.) | 御徒町凧 | 森山直太朗 | Michael Kaneko | 22ndシングル両A面曲Ver.のAlbum Ver. |
10 | さくら(二〇一九) | 森山直太朗/御徒町凧 | 森山直太朗 | 世武裕子 | 19/10/30配信シングル 「さくら」のリメイク |
11 | されど偽りの日々 | 御徒町凧 | 森山直太朗 | 森山直太朗 | |
12 | それは白くて柔らかい | 御徒町凧 | 森山直太朗 | 櫻井大介 | 21/11/24配信シングル |
Bonus Tracks(初回盤&FC限定盤、配信版収録) | |||||
13 | ありがとうはこっちの言葉 | 御徒町凧 | 森山直太朗 | 河野圭 | 20/1/24配信シングル |
14 | 最悪な春(弾き語り) | 御徒町凧 | 森山直太朗 | 森山直太朗 | 20/5/29配信シングル |
15 | さくら(二〇二〇合唱) | 森山直太朗/御徒町凧 | 森山直太朗 | アベタカヒロ | 22ndシングルVer. 最高位 売上万枚 「さくら」のリメイク |
初回盤付属
詩歌集(全100曲222ページ)
リリースデータ
2022年3月16日 | 初登場13位 | 売上0.7万枚 | Produced by 森山直太朗 | ユニバーサル |
森山直太朗11thアルバム。前作から3年7ヶ月ぶり。前作以降配信で新曲やリメイク作を連発、シングルCDは1作のみ発売していた。フルバージョンの前に配信されていたショートサイズの「ありがとうはこっちの言葉(TV version)」を除くオリジナルの新曲は全て収録(通常盤は3曲未収録)。2021年9月29日に配信されたカバー曲「遠くへ行きたい」のみ完全未収録。初出の新曲は4曲のみとなる。また本編は12曲扱いで初回盤・FC盤・配信版にはボーナストラック扱いで本編未収録の配信曲3曲が追加収録される。
初回盤はボーナストラック3曲追加収録の全15曲、インディーズ時代2001年から今作までの全曲の中から100曲を抜粋した「森山直太朗
詩歌集」(222P)付属、紙ジャケット&スリーブケース(192mm
× 141mm)仕様。
ファンクラブ限定盤は初回盤の内容に加えて森山直太朗ファンクラブツアー2020「十度目の正直」ツアーファイナル配信公演を完全収録したライブDVD付。
通常盤は全12曲、初回プレスはダブル紙ジャケット仕様。通常盤初回プレスと通常盤は品番が分けられていて初回プレス出荷終了次第、同価格の通常仕様に切り替わるとされているが、CDが売れない昨今で通常盤がその段階にまで至るのかどうかは不明。
配信版(DL/ST)も初回盤準拠でボーナストラック収録の15曲仕様。このため初回盤ボーナスというよりもCD通常盤だけ3曲抜かれているという事になる。
「花」は中孝介への提供曲で3rdアルバム『諸君!!』でセルフカバーしていたが今回2度目のセルフカバー。
「さくら」は元々ヒットした「さくら(独唱)」の時点でリメイクだったが、2019年にドラマ主題歌として起用されて「さくら(二〇一九)」としてリメイク、さらに2020年には「さくら(二〇二〇合唱)」として更にリメイクしてシングルCDとして発売していた。今作では「さくら(二〇一九)」を本編に収録して初CD化となった一方でシングルCDになっていた「さくら(二〇二〇合唱)」はボーナストラック送りとなった。
「最悪な春」は元々緊急事態宣言下で御徒町凧により書かれた歌詞に森山直太朗が速攻でメロディーをつけて発表していたもので弾き語りで発表された楽曲でバージョン名は無表記だったがその後22ndシングル両A面曲としてバンドアレンジで改めて制作されそちらが無表記になり、最初に発表されていた弾き語りバージョンのタイトルは「最悪な春(弾き語り)」に改められた。今作では本編に収録されたのはシングルカットされたバンドアレンジのバージョンのAlbum Ver.で、初回盤ボーナストラックに初出バージョンの「最悪な春(弾き語り)」が収録された。
「ありがとうはこっちの言葉」のみバージョン重複なしで唯一初回盤ボーナストラック送りとなった。またカバー曲「遠くへ行きたい」のみ完全未収録となったが、実際にはボーナスまで含めて15曲で79分10秒に達していてもう収録の余地が無かったため収録しようにも不可能であった。
今作では御徒町凧の関与していない曲が増加し、ほぼ初となる単独作詞も存在するが、これはツアー終了後に今後を考えた時に双方話し合いの末に一旦距離を置いて常時共作を辞めるということになったためのようだ。ただ緊急事態宣言直下で御徒町が書き下ろした「最悪な春」の詞を見た直太朗が曲をつけて「最悪な春(弾き語り)」が完成したというエピソードがあったり、完全に決別してきっぱりと共作を辞めたわけではなく、寝かせていたそれ以前の曲があったりもするので作詞における御徒町の関与は多い。しかし作曲はほぼ単独に戻った(1stベスト『傑作撰』の頃から作曲も共作名義になっていた)。また「されど偽りの日々」のガットギターを石川鷹彦が担当しているが、『あらゆるものの真ん中で』〜『自由の限界』まで関わっていた頃のストック曲を手直ししたものだと明言されている。石川鷹彦は『自由の限界』から2年後の2016年に脳梗塞で倒れて以降は活動しておらず、今作のインタビューにおいても森山直太朗から既に一線を退いて引退している事が語られている。
いわゆるこってりストバラ(フルバンド+ストリングス)は無いんだけど、音数を減らしたピアノやアコギとストリングスだけでほぼ進行するような厳かに聞かせるバラード曲ばかりなので、気軽にさらっと聞ける曲があまりない。車で移動中に聞くのには向かず、ウォーキング等にも向かず、今作に関してはとにかくながら聞きするには不向きでコンポの前でじっくり集中して聞いて浸らないと良さが見えてこない。先行配信された「愛してるって言ってみな」はポップで明るいアップテンポだし、「すぐそこにNEW DAYS」も軽快でノリのいい曲なのでこういう曲はさらっと聞けていいんだけど、まさかバンドアレンジされた「最悪な春(Album Ver.)」が今作の中でそれに続く盛り上がる曲になっているとは思いもよらない(ボーナスも入れるとミュージカル調の「ありがとうはこっちの言葉」も今作の中ではド派手な部類)。
タイトル作にして1番長い「素晴らしい世界」は今作を象徴する1曲ではあると思うし、もう少しさらっとした曲が多い中で今作が配置されていればもっと輝いていたと思うんだけど、いかんせん同系統が多すぎた。「花」も「さくら」もいい曲だけどわざわざバラード増やさなくても…という感じになってしまっている。あと今までずっとやってこなかったのに短期間でタイアップ依頼があったからって「さくら」を2連続セルフカバーは擦りすぎだ。とはいえこの2曲ほど強いメロディーの曲が無いので無かったら無かったでメリハリのない直太朗のボーカルは美しいけど曲自体は地味なバラードしかないってことになってしまうしで難しいところ。デビュー以来の共作体制を解消して直太朗単独プロデュースで1人立ちし始めた再デビュー作のような意味合いも持つ1作となったが…この厳かさは新コロの影響が大きいのか(自身も昨年夏にかかって1週間ほど高熱が続いてしんどかったらしい)、どうにも構えてじっくり浸って聞く必要があるアルバムでそう何度も気軽に流せるアルバムではないかな…。フォークの軽快なノリの曲がもう少しあると良かったのだが、「boku」「papa」「されど偽りの日々」といったその役割を担えそうなポジションの曲がことごとく地味なバラード系だったのがもったいなかった。
詩歌集は1.5p程度の厚み、カバーも無く、真っ白な文字だけの表紙裏表紙という装飾アートワーク一切なしの簡易な冊子。歴代の歌詞がひたすら並んでいるのみだが序文は森山直太朗、あとがきは御徒町凧が新たに書き下ろしているが御徒町の方は詞を提供する形。正直直太朗のコメント部分以外はあまり面白いものではなく(そもそもこれまでのCDブックレットに全部載っている歌詞だし)、改めてざっと眺めてみるとやはり詩的な表現や小難しい言い回しが目立ち、詩人だなぁと思う。詩人体質なのはやはり御徒町凧の方が強いとは思うんだけど。
印象度★★★☆☆
2022.4.10更新