2022年7月の配信シングル(後編)

2022年7月の配信シングル(後編)

配信シングルを一挙更新、7月後半編。

異世界混合大舞踏会 (feat. おばけ)/星野源

2022年7月18日
配信限定だが公式に15thシングルとなっている。11th『ドラえもん』以降の配信曲はカウントせずに昨年久々のシングルCD『不思議/創造』を12thとしていたが続く配信「Cube」がデジタル扱いなのに何故か次の「喜劇」が14thシングル扱いとなり、「Cube」は13thだった事になった(表記上は13thが無い)。先日のリミックスはさすがにノーカウントというか掲載がそもそもなく、今作が最初から15thと銘打たれた事でシングルのカウントに配信も含むことを確定させた模様。

嫁(新垣結衣)が出演している映画『ゴーストブック おばけずかん』主題歌。feat. おばけというのは劇中で登場するお化けの声を担当した声優陣の中からの3人(釘宮理恵、下野紘、杉田智和)でクレジット上はChorusで参加している。

おばけが来るぞ♪をポップに聞かせ、覚えやすいフレーズを駆使しながらもサウンド自体はけっこう凝っててこだわっている感のある1曲。すっかりマニアックなトラックメイカー系ソングライターになってしまったところでイマヒトツ馴染めない曲が続いている。
★★★☆☆

meta meta love/TWEEDEES

2022年7月18日
昨年の勝手にサウンドトラック配信限定ミニアルバム『国境のエミーリャ』以来の新作。今回はアニメ『ユーレイデコ』3話コラボレーションソング。OP/EDとは別に各話をイメージしたコラボ曲を様々なアーティストが担当するという公式間接タイアップみたいな(主題歌は一貫して別にあるのであくまでイメージ曲)企画だが、TWEEDEESは第3話の担当という事らしい。今期ドラマでも似たような1話ごとに別の挿入歌っていうのがあるけど(後述の秦基博)流行ってんの?

前作同様に活動停滞状態が続く中で、それなりにいい曲ではあるんだけど、初期ほどの勢いはなく…。グループ自体にどうしても停滞感があるというか…。連続でコラボ先の漫画、アニメ見てないと分からないような深入りタイアップ曲というのは正直キツイ。しかもどっちもけっこうマイナーっぽくてこれで新規リスナー呼び込めているようにも見えない。

あと「TWEEDEES」で検索した時の公式サイトの説明文”25歳の新進気鋭のシンガー清浦夏実と沖井礼二(ex-Cymbals)によるバンド、TWEEDEESのWEBサイト.”っていうのデビュー当時のままで古すぎる。新進気鋭のシンガーももう32歳…。そうかもうCymbalsの活動年数だけならとっくに越えているのか。
★★★☆☆

この地球の続きを/コブクロ

2022年7月19日
2025年開催予定の『大阪・関西万博』テーマ曲。2021年から大阪の知事・市長が揃ってイベントでコブクロに直接テーマ曲を依頼するといった内定後の茶番一幕もあったが既定路線で今年になって正式にテーマ曲担当が発表され、7月18日の1000日前イベントで披露されると翌19日には配信された。

万博ってどうも昭和のイメージが強いのは『20世紀少年』のイメージも重なっているせいなのだろうか。曲としては「世界の国からこんにちは」な印象が強すぎるんだけど、コブクロにとってもやはり「世界の国からこんにちは」は意識にあった…どころではない勢いでサビでこんにちは連呼。また全体に万博特有の近未来への希望も大いに感じられる。20世紀に物心があったアラサー以上なら分かると思うんだけどあの頃思っていた21世紀に対する近未来感。「万博」という響きはどこかそれと重なるところがある。

今作のトピックとしてはノーストリングスで華やかなサウンドを実現。最早ストリングス中毒といっても過言ではなく、自身のアコースティックギター演奏だけのインストアルバムの制作でも音数を重ねる衝動を抑えられない旨をインタビューで語っていた小渕がなんと禁断症状に耐え(?)、ストリングスで盛るという当たり前にやっていた事をやっていない。これが万博の力なのか。小渕のストリングス中毒の禁断症状を抑えてストリングス抜きでのワクワク感を表現させるなんて。万博凄いぜ。凄いぜ万博。

もう1つの小渕の癖である曲が長くなってしまう癖。これは元来のもので初期のプロデューサー笹路正徳はそれをいち早く見抜き曲をコンパクトにまとめる事という指示を出し、当時の小渕はコンパクトにまとめる事に腐心し曲が短くまとまると喜んでいたという(1stアルバムの公式ギター本の笹路インタビューで証言)。しかしセルフになった途端、そういった試みをしている形跡は見られなくなり楽曲は長尺化当たり前になってしまっていた。近年はさすがにサブスクが短い曲を好んでいるという傾向が指摘されるようになってさすがに5分6分と盛らずに抑える曲も増えてきてはいるが、今作のような大型テーマ曲、5分なんて自然に越えてしまうだろうと思っていた。ところがこの曲、5分どころか4分にも届かずに終わってしまう(3分56秒)。フルサイズが7分あるのをショートサイズにして配信したとかではなくフルで3分56秒。かつて師に指導されたのにすっかり忘れていた曲をコンパクトにまとめる事を思い出させるなんて、万博凄いぜ。凄いぜ万博。
★★★☆☆

あなたがどこかで/安全地帯

2022年7月20日
2022年10月12日(CD+DVD)

2月以来の新作。Instrumental(カラオケ)とのバンドル配信。前作は10年ほど前の未発売曲だったが今回はNHK『みんなのうた』6月~7月の新曲として書き下ろされた模様。ドラムも普通に入っているが、田中裕二は復帰に至っていないと思われ特に何も発表されていない。既存の田中が演奏した過去のテイクを切り貼りして使用したという説なども出回っていたが安全地帯は公式に発信しているメンバーもいなくてオフィシャル情報もほとんど出てないため真偽は不明。

追記:10月にシングルCD化され、CDは配信版同様に1曲+インストの2曲。DVDには今作のNHK『みんなのうた』映像と玉置浩二ソロの「星路(みち)」の最新ライブ映像(billboard classics 玉置浩二35th ANNIVERSARY
LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2022 “Arcadia -理想郷-“河口湖ステラシアター公演)を収録。3300円とかなり割高である上に安全地帯メンバーは結局映像になっていない。

静かに歌い上げていくバラード。前半はソロ曲みたいだが、途中からドラムも入ってバンドっぽくなる。あまりインパクトの強い曲ではないが、田中氏の状況がほとんど伝えられていない=復帰できる状況になっていないであろうことが伺える中でも安全地帯名義で発表する事には意味があったのだろうとは思う。しかし…「みんなのうた」にしては渋くない?
★★★☆☆

人間ごっこ/RADWIMPS

2022年7月22日
3月の『余命10年』サントラの「うるうびと」以来の新曲。電子音多用の気配はあったが、今作は完全に今時電子音全開のエレクトロサウンドになっていて完全にバンドでは無くなってしまった。既にドラム山口氏が休養に入って回復しないまま7年が経過(研究者と共にジストニアの研究を進めている事を先日のインタビューで明かして久々に公の場に姿を見せた)、桑原氏が不倫報道による世間警察に逮捕(※犯罪はしていないしリアル警察に逮捕されたわけでもありません)されて事実上の追放謹慎状態となってしまい、正規メンバーの正規稼働が半分になってしまったのはエレクトロ全開へ振り切ってしまうきっかけとしてゼロではなさそうだ。ただ桑原氏は自身のインスタで新曲でこっそりギターを弾いている事は明かしつつ正式復帰は諸事情でまだ先になりそうと明かしてこういった発信をすることで世間警察がどれだけ大挙して再出現するかの観測気球を上げている。

しかしこっそり参加しているといってもエレクトロ強すぎてこの曲でギターの印象は正直あまりない。ここまで来るとソロ曲だよなぁ…。このままバンドから制作集団化してしまうのだろうか。
★★★☆☆

証言/ポルノグラフィティ

2022年7月25日
8月3日のアルバム『暁』からの先行配信1曲目。作詞:新藤晴一、作曲:岡野昭仁、共同アレンジャーは江口亮、ストリングスアレンジは江口亮と友野美里。貫禄のシリアスバラード。すっかりベテランの風格が漂うようになったなぁと思ったけど、よく考えたら立派な大ベテランだった。どうも先輩バンドがどれもこれも元気がありすぎるので永遠の中堅ポジなイメージが強いが20周年なんてとっくに越え、メンバー2人とも47歳で最早50代が見える位置まで時が進んでいる。諸先輩方がこの年齢の時を思えば貫禄も出て当然だろう。
★★★☆☆

摩擦係数/櫻坂46

2022年7月25日

上村莉菜、小池美波、小林由依、菅井友香、土生瑞穂、井上梨名、大園玲、関有美子、武元唯衣、田村保乃、藤吉夏鈴、松田里奈、森田ひかる、守屋麗奈、山﨑天

8月3日のアルバム『As you know?』リード曲(共通新曲)の先行配信。作曲は家原正樹、Giz’Mo (from Jam9)、編曲は家原正樹。センターは森田ひかる、山﨑天で初のWセンター。

櫻坂46というより欅坂46っぽい雰囲気の曲。どうしてもこの大人と戦うというか反抗路線、シリアスさを捨てきれないのか。ダークさに落ちすぎないところは加減されているものの、せっかく改名して雰囲気も明るくなったのに曲がこんなのばかりでは少々しんどく、アルバムリード曲なら新しい一面を見せてほしかったのが正直なところ。

もう2016年から6年経っているわけだ。当時魅了されたリアルタイムの10代だってもう成長して反抗していた大人に近づいたかもう大人になっているくらいの年数が流れた。当時リアルタイムだったリスナーでも正直なところいつまでもこんな感じで反抗し続けてたらそろそろ大人の世界では生きていけなくないか。1期生はだいぶ減ったが2期生だってみんな20歳を越えており、12月に20歳になる幸阪茉里乃、1人だけ高校2年生(16歳、9月で17歳)の山﨑天と10代は2人しか残っていないし、高校生以下は山﨑天1人だけ。割と多くのメンバーが以前ほど歌詞に共鳴できなくなってきた…と自覚し始めていてもおかしくない。基本的にずっと応援しているファンの方が多いと思うんだけど、もうそろそろ歌っている方も聞いている方も割と誰もがそこに共鳴できなくなってきているんじゃないのか。それとも当時まだ分からなかったくらいの新たな10代、新たな反抗者に向けているのだろうか。
★★★☆☆

僕の風景/熊木杏里

2022年7月27日
12ヵ月連続配信限定リリース第5弾。ピアノ弾き語りが続いていたが今作では初めて簡易なリズムとキーボードの音色による簡易デモっぽい仕上がりに。ここに来て変化が出てきたが、簡易リズムと簡易キーボードの音色だと弾き語りよりもむしろアレンジャーに渡す用のデモっぽさが強くなってしまいデモ感が増してしまった感もある。
★★★☆☆

残影/秦基博

2022年7月28日
ドラマ『六本木クラス』4話挿入歌。主題歌とは別に毎回放送時に前情報なしに解禁される挿入歌があり、4話にこの曲が使用されて情報解禁即配信となった。このためか配信ジャケットもドラマ仕様となっていて企画作品に近い扱い。また音数少なめのバラードかと思ったがサビはバンドサウンドっぽくそれなりに演奏も盛り上がるのでメリハリがついていて最近の曲の中では好印象。
★★★☆☆

暁/ポルノグラフィティ

2022年7月29日
「証言」から4日で新たに配信されたアルバムタイトル曲の先行配信。NHK『うたコン』に26日出演「証言」、NHK『SONGS』に28日出演「暁」とそれぞれTV披露しているのでNHKの番組出演に合わせた先行配信っぽい。ただ昨年8月に『新始動』を掲げたのに9月のシングルCDと12月までのツアーを指していただけだったので、ライブに行くファン以外には新始動とか言ってたのにシングル1枚出ただけで新曲が1年近く止まって見えている事を考えるともう少しちゃんとした形の先行シングルをもう少し前に出して存在感と久々のアルバム発売をアピールしておくべきところだったのでは…。

アルバム表題曲にしてスリリングなロックナンバー。作詞は新藤晴一だが作曲は岡野昭仁と共同アレンジャーtasukuとの共作になっていて新たな試みも見られる(アルバムではもう1曲岡野とトオミヨウの共作もある)。アルバムへの期待を煽るには抜群のリード曲だけに発売直前過ぎて全然一般に届きそうにない先行配信なのはもったいなかったなと思う。
★★★★☆

夏の”好き”はご用心/STU48

2022年7月31日
『花は誰のもの?公演「夏の”好き”はご用心」「そして人間は無力と思い知る」』としての2曲セット配信。3公演目となるオリジナル劇場公演(専用劇場だった船は2019年ようやく完成から1年で放棄決定になって昨年5月で無くなったので瀬戸内地方のライブハウス巡りという形で行っているようだ)で披露された新曲2曲の即日配信。それ以外に何も公表されておらず歌唱メンバーが誰なのかも不明だが、初日公演で歌っていたのは高雄さやか、内海里音、川又あん奈、兵頭葵の4人だった模様。固定なのか変わるのかは不明だが平メロがソロパート中心なので実際に少人数歌唱っぽい。

比較的派手なバンドサウンド風の歌謡ロック系。どこか懐かしい感じもある昔ながらのアイドルサマーポップといったところか。
★★★☆☆

そして人間は無力と思い知る/STU48

2022年7月31日
こちらも初日公演では今村美月、峯吉愛梨沙、小島愛子の3人だったようだが固定なのか変わるのかは不明。「花は誰のもの?」に近いアコースティックサウンドを生かしたバンドサウンド志向のシリアスなナンバー。思いのほか聞かせるメロディーの良曲。2曲とも割と懐かしい感じのメロディーラインで良曲ではあるが、劇場公演曲って全盛期AKB48もこんな感じで劇場アルバム聞くといいにはいいんだけどどんどん聞こうとはあまり思わない感じというか…。
★★★☆☆

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