Start over!/櫻坂46

2023年6月28日
Type-A,B,C,D,通常盤
初登場1位 売上47.6万枚
初登場15位 売上0.4万DL
初登場3位 売上0.3万DL(Special Edition、アルバム扱い)

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4ヶ月ぶりのシングル。

昨年9月に体調不良で休養し、12月に復帰した遠藤光莉だったが4月に再度活動休止となったため今作には全面不参加。前回休養時はCDリリースとリリースの合間の期間だったため、作品不参加となるのはこれが初めてとなる。Type-A,BのBlu-rayに収録されている『2nd YEAR ANNIVERSARY~Buddies感謝祭~』は遠藤光莉が復帰した12月8,9日に開催されたため、今作ではA,Bの映像にのみ遠藤光莉が参加している。

2作連続で3期生は合流せず、3期生曲のみの参加となったが、今作には3期生曲が2曲用意された。

また前作で関有美子が卒業し、今作では遠藤光莉が不参加となったために今作での1,2期生は全17名となった。19名だった前作では表題曲を13人にまで減らして6人不参加にして櫻エイトシステムを強引に継続したが、さすがに限界が生じたのか今作では初めて櫻エイトシステムが廃止され、表題曲は1,2期生全17名参加となった。

Type-A,B,C,D,通常盤で3曲目が異なる。Type-A,B,C,D付属のBlu-rayは内容が全て異なる。

配信限定Special Editionは全7曲セット。

1.Start over!

武元唯衣、齋藤冬優花、幸阪茉里乃、大園玲、上村莉菜、大沼晶保、井上梨名
増本綺良、小池美波、小林由依、土生瑞穂、松田里奈
守屋麗奈、田村保乃、藤吉夏鈴、山﨑天、森田ひかる

センターは藤吉夏鈴。1st,2ndでは1列目3人のうちの1人としてC/Wでセンター曲を与えられていたが、3rdでは突如BACKS(3列目)送りとなり(ただし表題曲には参加)、4th5thでは2列目でエイト復帰、今回一気に表題センターへと躍進した。櫻エイトシステムが廃止され、表題曲では初の1,2期生全員参加(遠藤は休業で不参加)。作曲はナスカ、編曲はmellow。

ダーク過ぎない欅坂的世界観を再構築したような再スタートナンバー。なんでこれが1stじゃないんだと思うくらい直結で欅坂46の壊れなかったIFの未来といえるような世界観を継承しており、一貫しているのは自分の道を進めその他大勢になるな(超訳)的なメッセージなんだけど、いちいち「風に吹かれ」「ガラス窓」と欅坂時代のタイトルの一部が登場したりするのは策士なのかただの作詞(たまたま被っただけ)なのか…。Start overを連呼しているものの、現実的には初のエイトシステム無しの旧メン全員参加表題曲にして、それも続くものではなく、3期生合流を前にしているわけでどちらかというと区切りの立ち位置になりそうではある。

曲はそこまでダークではないのにMVはすっかり欅坂的世界観が戻ってきている感じ。オフィスで仕事中に鼻血を出して卒倒(脳卒中かというような危ないやつだよこれ)した藤吉が起き上がると周囲のものを破壊し始める狂人と化し、唖然とする周囲だが何故か乗せられて一緒に狂人ダンスを繰り広げるという欅坂の呪いを感じさせる”全開”な作風。櫻坂以降は一貫して特に終盤は笑顔全開で狂気に染まっているのではなく、あくまで架空の世界観として狂気を楽しんでいるような方向性に持っていくことでコントロール可能な状態にある事を示すのもお約束となっているところには安心感がある。
★★★☆☆

2.静寂の暴力

石森璃花、遠藤理子、小田倉麗奈、小島凪紗、谷口愛季、中嶋優月、的野美青、向井純葉、村井優、村山美羽、山下瞳月

3期生曲。センターは山下瞳月。作編曲は辻村有記,伊藤賢。

静寂の中での感情をひたすら綴った作詞家の本領発揮のような欅・櫻坂の洗礼とも言うべき特有のシリアスナンバー。アレンジも世界観重視で特殊な構成になっていて随所でバックの演奏を絞ったりオフにしたり、2番サビはほぼピアノ1本→台詞→リズムも入る→最後のサビ無しでソロパート回しのCメロでそのまま唐突に演奏終了→台詞、と、後半の展開が全部特殊なので特に終わり方に驚く(元乃木坂46の山崎怜奈がラジオでかけて唐突な台詞締めに「…え?終わりっ!?なにこの終わり方!」と驚きと賛辞を述べたというのが記事になるほど)。

やはり曲自体はシリアスなだけでそこまでダークでは無いんだけどMVは曲に合わせて激しいダンスシーンのみでほぼ構成(2番以降ソロでのロケカットはいくつかある)。終始笑顔無し、メインのダンスシーンは地味な衣装で髪もビショビショグシャグシャでひたすら激しさを表現。前半は歌ってすらいないので歌詞が無い状態でダンスだけ収録したのかと思ったら最後の方では歌っているので単に演出か。激しさは伝わるものの、取り立ててビシッと揃っているようには見えず、バラバラにも見えるが迫力はあるので迫力インパクトでダンスがスゲーという評価になるのか、ダンスプロには見向きされないのかは良く分からない。
★★★☆☆

Type-Aのみ
3.風の音

上村莉菜、小池美波、小林由依、齋藤冬優花、土生瑞穂

1期生曲。作曲はSoichiroK,TomoLow、編曲はTomoLow。歌い出しのソロパートは小池美波のようなのでセンターも小池美波か…?

もう5人しか残ってないという事でユニットのようになってしまった。どこか懐かしい雰囲気の楽曲でダークでも爽やかでもアイドルっぽくもないがアーティストっぽくもないという絶妙に中間を行く仕上がり。授業中に屋上にエスケープしていった君の様子から始まるので一応高校生(?)っぽくなっている。ただ屋上で風の音を聞いているが、主人公にはそれが聞こえず聞こえた振りをするという内容で”若さはいつも気づかぬうちに通り過ぎる風”とあるので若さを風に見立てて青春の痛み、大人になっていくことを詞的に表現しているものと思われる。作詞家の本領発揮である。

もうとっくに教室で授業を受ける時代が過ぎ去り、大卒の年齢(22)さえ過ぎ去った20代半ばの1期生(23~26歳)にこれを歌わせるところがまたなんとも絶妙な…。
★★★☆☆

Type-Bのみ
3.コンビナート

井上梨名、大園玲、大沼晶保、幸阪茉里乃、武元唯衣、田村保乃、藤吉夏鈴、増本綺良、松田里奈、森田ひかる、守屋麗奈、山﨑天

2期生曲。作曲は長沢知亜紀,barbora,TomoLow、編曲はTomoLow。エイトシステムの弊害の1つで期別曲をやれていなかったので(エイトシステム以外は「全員」か「ユニット」しかパターンが無かった)2期生曲というのは初。しかし遠藤休業に伴い1人不参加となる。

歌謡テイストも漂うファンキーな感じのダンスポップ。特有のメッセージソングではなく、普通のラブソング。しかしクラブで踊るより工業地帯の方がグルーヴじゃね?(超訳)という理由で夜のコンビナート地帯に集まってくる恋人達という斬新なテーマになっている辺りは作詞家らしいトリッキーな発想である。この発想のアイドルラブソングはかつてないのでは。
★★★☆☆

Type-Cのみ
3.Anthem time

石森璃花、遠藤理子、小田倉麗奈、小島凪紗、谷口愛季、中嶋優月、的野美青、向井純葉、村井優、村山美羽、山下瞳月

3期生曲。作編曲は本田正樹。

「静寂の暴力」は準・表題曲の立ち位置で、今作は「風の音」「コンビナート」と並ぶ期別曲の1つといった立ち位置と思われ、こちらはド王道の48・46系量産型元気アイドルポップ

歌詞が3期生を新たに応援しているファン目線となっているのが最大の特徴。今作では誰か1人なんて選べるものかとしょっぱなから言い放ち、“たった一人ではなくみんなで頑張っている花たちを僕は応援する”凄く当たり前の事が歌われているが、個別握手会や「推し」とかいう言葉が浸透し、同じグループでも個別の誰かしか応援しないのが主流となって久しいだけにわざわざこういうことが歌詞になってしまうのか…。”卒業するまで見届けさせて”とかも当たり前のような気がするが、凄く誠実なファンっぽく描かれているので何かあるととっとと他に行ってしまうとかで主流ではないのだろう。まあ全体にわずかながらファンの域を越えてP目線入ってしまっているところがあるようにも思うのでこういう奴が本格的に一線を越えるとP気取りで説教始める厄介になるんだろうなとは思った。色々ファン側の心構えについて改めて考えさせらる曲になっているのかもしれない。いずれにしても3期生ファンのアンセムにそのままなりそうな重要曲。
★★★☆☆

Type-Dのみ
3.一瞬の馬

上村莉菜、小池美波、小林由依、齋藤冬優花、土生瑞穂、井上梨名、大園玲、大沼晶保、幸阪茉里乃、武元唯衣、田村保乃、藤吉夏鈴、増本綺良、松田里奈、森田ひかる、守屋麗奈、山﨑天

表題曲と同じ歌唱メンバー。作編曲は河原健介。

日向坂46「青春の馬」の兄弟曲?と思うようなタイトルだが、若者向けの信じた道を突き進め(超訳)的なテーマ自体も近いものがある。ただ熱さが全く無くて何故か一定のトーンで抑えられたボーカルになっているのでどこかクールなままというか。それがグループカラーだという事なのか。「一瞬」なので儚さを表現して儚い感じのボーカルなのか。3分10秒しかないのでするっと終わってしまう印象。
★★★☆☆

通常盤のみ
3.ドローン旋回中

上村莉菜、小池美波、小林由依、齋藤冬優花、土生瑞穂、井上梨名、大園玲、大沼晶保、幸阪茉里乃、武元唯衣、田村保乃、藤吉夏鈴、増本綺良、松田里奈、森田ひかる、守屋麗奈、山﨑天

表題曲と同じ歌唱メンバー。作編曲はA-NOTE,S-TONE。乃木坂・日向坂と合わせてBlu-rayへのMV収録が廃止された事でこれまでMV無し枠だった通常盤C/Wに狙いすましたかのようにMV制作を持ってくることが相次いでいるが今作もMVが制作され、それによると田村保乃がセンターの模様。

櫻坂46では意識的に避けていたような元気アイドルポップロックナンバー。徹底して避けようとしているのかと思ったら結局やるのね…とは思ったけど、まあ無条件でファンが沸いて盛り上がるような曲がとにかく無かったからなぁ…。2期生は明るい子も目立つが、田村保乃の明るい雰囲気はなかなか生かす機会が無いので(1度表題センターはやっているものの狂気路線だったし、乃木坂・日向坂ならメイン曲もっともらえていたのではと思う)ここぞというところでの起用か。

ただそこは策士家、ただ明るく元気なだけの曲は作らない。元気な勢いに圧倒されてあまり気にならないがよく見るといつもの全力で恋に燃えている純情少年目線化と思いきやストー化ーしている事に気づいていない危ない少年が主人公という策士家モード炸裂のトンデモ歌詞。ドローンドローン連呼しながらドローンで彼女を探して「君を探してどこへでも…」「僕の目の代わりにどんな遠距離だって操作しよう」というマジやべぇ思考でドローン駆使して追跡を試みるという完全にストーカー案件…というツッコミどころ全開の歌詞が凄い。何が「カモーンカモーンカモーンカモーンカモーンカモーン片想いこれって恋だ恋だ恋だ恋だこっちを見てくれよ」だよ…ドローンで追跡しながらこのテンションで1人叫んでるコイツ怖すぎるよ。策士家、最後まで策士の手を緩めず、締めの言葉は「ここから恋したい」どこからなんだよ…これ間もなく事件になるよ…。

MVは前半はソロシーン主体で各々室内や屋外で楽しそうにしているかしっとり佇んでいるんだけど随所で変な描写があったり(メンバーがそれぞれ能力者設定?)、室内の映像はやたら照明が暗く、ロケ映像は全て今にも振り出しそうな超絶曇天。ラストシーンで全員で海に飛び込んでいくシーンでは曇天+日が沈んで薄暗いという暗黒映像で結局終始暗くて不気味。どう考えても精神状態がまともじゃなくなっている主人公のストーカーの闇に触れているのか、アイドル全開な明るいアレンジと映像のミスマッチ感が凄い。曇天を狙ったのか、一向に晴れなかったので全部薄暗く仕上げたのかは不明だし、悪天候による撮影時間遅延に伴ってラストシーンが薄暗くなってきた中で海に飛び込むことになったのか、狙い通りなのかも良く分からない。テンションの高さ(純情ソングっぽい)に対してのこの背景の暗さ(実際はドローン駆使したストーカー)も狙い通りならやはり怖い曲だ…。
★★★☆☆

Blu-ray

Type-A
2nd YEAR ANNIVERSARY~Buddies感謝祭~<前編>

Opening
4チーム対抗!櫻坂46 2nd YEARクイズ
TAKAHIRO先生による櫻坂46見どころ解説~条件反射で泣けて来る~
TAKAHIRO先生による櫻坂46見どころ解説~Nobody’s fault~

2023年12月8、9日に日本武道館で開催された2周年イベントの前半の模様を収録。坂道系恒例の周年ライブではなく、前半はトークイベント、後半はライブパートになっており、こちらはメンバーが4組に別れのクイズ大会と例の振付師が登場しての楽曲解説をメンバーの前で講義するコーナーを収録。この解説は9日、10日で曲が異なっていたため2日分収録されている。

前半のクイズ大会はいつものバラエティノリ。櫻坂46のノリって他の2坂道と違って冠番組の司会がいてもいなくてもあまり変わらないんだなと。2期生中心に盛り上げるのが好きなメンバーが複数いるのも大きいが、欅坂46時代に比べると結果的に不穏分子がみんな辞めて排除され、闇堕ちしかけていた山崎天のようなメンバーも持ち直すほどの空気の良さは確かに生まれていたのだと改めて思う。

例の振付師は奇抜なモコモコ仕様で登場すると面白マシンガントークを繰り広げるというバラエティ番組で見せている面白キャラを全開に出しての登場。歌詞世界への理解を深く掘り下げすぎて表現のためのメンバーへの共有、共鳴をうながしすぎたのが欅坂46時代にまだ若かった複数の不安定なメンバーの精神状態を悪化させた(世界観に共鳴させたまま戻れなくなった)という負の側面も確かにこの熱量だとそうなるよなと改めて。カリスマ性も強く、教祖的なまでの信頼感は確かに得られるだけの魅力的な人物ではあるんだけど初期の若すぎる頃にはこの振付師の存在感は絶対的過ぎたように思う。現在はメンバーも成長して本当にいい関係、理解が築けているのかも。

Type-B
2nd YEAR ANNIVERSARY~Buddies感謝祭~<後編>

Overture
思ったよりも寂しくない
君と僕と洗濯物
最終の地下鉄に乗って
条件反射で泣けて来る
Nobody’s fault
僕のジレンマ
Buddies

後半のミニライブを収録。セットリストから8日公演のみの収録となっている模様。表題曲は「Nobody’s fault」のみでC/W中心、当時最新作のアルバム新曲からもリード曲ではなく「条件反射で泣けて来る」を披露するという割とファン向けな選曲。「Nobody’s fault」もあるにはあるけど、明るいアイドルナンバー的な楽曲が多めになっているので、普段よりもアイドルらしくアイドルしているような印象。ファンへの感謝祭、お祭りというのを意識しての明るめの選曲なのだろうか。

Type-C
櫻坂46三期生「おもてなし会」<前編>

Opening
2minutes SHOW
DANCE TRACK
MC
バラエティーコーナー
私服ファッションショー

先日の日向坂46の特典映像に続いてこちらも初めておもてなし会の模様がほぼ全編にわたって2分割で映像化された。司会進行は冠番組ナレーションの庄司宇芽香が担当。ていうかこの人ナレーターじゃなくて本業声優だったのか。初めて姿を見たけど同い年だったとは知らなかった。

内容は音楽面は全て後編なのでこちらはバラエティー方面中心。自己紹介的な内容から始まり、初々しいメンバーが続々と…ていうかさすがに覚えられなくなってきたな…。日向坂の4期もだけどほとんど同じようなタイミングで10人以上増量されるとどうにもならん…。

OPがいきなり小島凪紗のピアノソロなのはインパクトが強かった(1人ずつ自己紹介や特技披露する「2minutes SHOW」でも別にピアノを弾いているので個人コーナーとは別に実力を認められてのOP起用)。

Type-D
櫻坂46三期生「おもてなし会」<後編>

Opening VTR
Overture
Nobody’s fault
五月雨よ
Buddies
夏の近道
VTR
BAN
MC
櫻坂の詩
夏の近道 -Encore-

後半のライブパートを全曲収録。「夏の近道」しか持ち歌が無いので先輩カバー+アンコールでもう1回「夏の近道」という構成。曲数的にはフルでやっても1時間弱で終わるような内容だが、最後のMCで1人ずつ泣きながら挨拶するのが11人もいるとなんだかんだかなり長くなったりするので70分越えの内容。

ライブ自体はどうというものでもないが、唯一の持ち歌「夏の近道」が爽やかで明るい雰囲気の曲だったのは結果的に爽やかな終わり方になって良かったのかなと。アンコールでのもう1度披露だけでなくエンディングの去り際のBGMとしてインストバージョンを使用しているので、これが今作収録の「静寂の暴力」みたいなのしか無かったら暗い終わり方になってしまっていた。

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