2023年9月の配信シングル

SPECIALZ/King Gnu

2023年9月1日(配信)、6日(CD)
昨年11月以来の新曲。アニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」OP。9月1日に先行配信されたが配信では9月1日単曲配信のままで、CDに収録されたC/Wのライブ音源2曲「一途(Live at TOKYO DOME November 20th 2022)」「逆夢(Live at TOKYO DOME November 20th 2022)」は未配信。期間生産限定盤はアニメ仕様ジャケットなだけで内容は通常盤と同じようだが期間生産限定盤は2200円、通常盤は1320円とおかしなことに…(いくらCD買うのが希少人種だからってテキトーすぎないか)。

ツインボーカル状態で進行していき、なんとなく雰囲気カッコいいんだけど、いよいよ全く理解できない感じになってきた。ユアマイスペェシャー(これだけ覚えた)
★★★☆☆

コトバリズム/スキマスイッチ

2023年9月6日
テレビ東京系『しまじろうのわお!』に書き下ろした新曲。7月の20周年ベスト以来の新作で、ベスト収録の新曲はNHKみんなのうただったので2連続で子供向け番組の曲という事に。確かスキマスイッチは一応結婚した際に公表した以外は家族の話は一切せず子供がいるかも公表していなかったと思うんだけどここに来てのこの突如の家庭向けソング連投は一体…。

スキマスイッチらしいポップソングで実際に聞いてみるとそこまで子供向けすぎないさじ加減は絶妙。現行最も新曲に期待できる存在になっているかなと思う。
★★★★☆

わたしの宇宙/SHISHAMO

2023年9月8日
2ヶ月ぶりの新曲。テレビ東京木ドラ24『姪のメイ』OP。

安定のポップロックナンバー。突き抜けた勢いはないが、バンドサウンド一直線で打ち込み電子音の無いストレートなロックサウンドを堪能できるバンドが珍しくなっているのでそれだけでも価値がある。SHISHAMOが電子音連発し始めたらいよいよ覚悟を決めた方がいいのかもしれない(何の覚悟だ)
★★★☆☆

硝子窓/King Gnu

2023年9月15日
映画『ミステリと言う勿れ』主題歌。映画公開日に合わせて配信を開始。11月29日に発売されるアルバム『THE GREATEST UNKNOWN』からの先行配信になるとアルバム発売告知時に予告されていた。

井口の裏声ボーカルで静かに進行していくというあまり盛りがらない「白日」というか地味にしたようなイメージの曲。元からついていけてなかったのが全くついていけなくなったところはあるがそれでも異質でも非売れ線でも売れるというのが彼らの立ち位置なのか。流行りのイマドキのバンドの音がどうなってるのかを確認する目的で髭男と共に聞き始めたもののSTだから聞いてるだけで完全に老いて枯れてるし、レンタルだったらアルバム明けの「三文小説」を最後にしてレンタルしてなかっただろうなぁ…。
★★★☆☆

花になれ(Ryu-Take 2023 ver.)/flumpool

2023年9月15日
10月9日のベスト盤『The Best flumpool 2.0 ~ Blue[2008-2011]& Red[2019-2023]~』からの先行配信。ちょうど1ヶ月前の「Over the rain~ひかりの橋~」に続くボーカル再録音の『Blue[2008-2011]』からの先行配信2曲目。メジャーデビュー配信シングルのセルフカバー。『Blue[2008-2011]』自体が全10曲とも”今回のアルバムのためにボーカルを再録音し、さらに2023年バージョンとして再度ミックス、リマスタリングした内容”と説明されており、演奏は当時のまま(再ミックス)となっている模様。前回も書いたようにボーカルしか再録音しないっていうのがなんだかなぁ…。あまり下積み経験もないまま大手事務所アミューズの超絶猛プッシュ(いわゆる「ごり押し」)でのド派手なデビューとなった経緯や完全提供曲でのデビュー、作詞作曲は1stシングルCD発売時にはもう自作に移行させてもらえたがアレンジはずっとアレンジャー名義のままでバンド名義の編曲にならないまま現在に至っているところからして最初期にメンバーの演奏でレコーディングさせてもらえていたのか謎なところがあるんだけど…。それでなくても初期の演奏なんて未熟で演奏し直したいと熱望しそうなもんだけどやりたがらないのかなぁ…。

声に年季が入った感じでだいぶ貫禄が増した。この曲に関しては若手新人ロックバンド感のあるフレッシュな曲というイメージが強かったので、当時のフレッシュさがベストかなとは思う。ただ「負けないで」「生きてゆけ」「あきらめないで」という三大J-POP前向きワードが登場するこの曲においてこの部分の根拠なき若き自信だけで言い放っていたキラキラ感が無くなった代わりに15年この世界で負けないであきらめないで生きてきたという確かな足跡は刻み込まれていて深みは増したようにも思う。
★★★☆☆

ケモノミチ/Mr.Children

2023年9月16日
10月4日発売の全曲新曲のアルバム『miss you』からの唯一の先行配信。前日15日にジャケ写とティザー映像で数曲の断片が公開されており、その中の1曲を16日に先行配信すると発表。今作配信と同時に“※なお、アルバム配信スタートは、2023年11月8日(水)の予定です。”と注意文も掲載され、アルバム配信はCDの約1ヶ月後と明記された(前作も遅らせていたがいつなのかは不確かだった)。

CD音質(16bit/44.1kHz)以上が事実上デフォルトになっているAmazon MusicにおいてもMr.Childrenは一貫して配信に圧縮音源しか提供しない姿勢を貫いており(Appleへのロスレス音源提供も拒否で圧縮のみと思われる)、今作も圧縮音源でしか配信していない(Amazon MusicではSD表記)。

3連の弾き語り風に始まるのが「NOT FOUND」を彷彿とさせるが、すぐにテンション高めのバンド演奏が入ってきた「NOT FOUND」と違ってこの曲ではストリングスがやってくるだけで桜井ソロ状態のままじっくり聞かせていく。いいメロディーだ。しかし1コーラス終わっても3人がやってこない。コバチルで遅れてバンドが来るパターンはあったがそれにしても来ない。コバチルの極みの1つとして記憶される「くるみ-for the Film- 幸福な食卓」パターン(最後のサビまでバンドが来ない)まで行くのかと思ったらそ の ま ま 3 人 欠 席 で 演 奏 が 終 わ っ た 。冗談キツイぜ。桜井が1人で作ったデモ音源が流出してしまったのかと一瞬思ったがどうやらマジらしい。

今回のアルバムは4人だけで集まりプライベートなスタジオで作られた。

この紹介文からコバチルゾンビは無いと安心していた。ただ4人でバンドサウンドを練り上げたのだと勘違いした。ストリングス大好きは桜井個人の嗜好でもあった。そしてよく読めば4人が集まったとしか書いていない。そうだ、”桜井のプライベートなスタジオに3人を呼び込んで新曲これで完成したからと桜井1人でストリングスと制作した曲を聞かせて3人が了承した”としても文章に嘘は無いのだ。アルバム全体にバンド感は薄めだったもののまさか全くいないこれを先行配信にするとは攻め過ぎでは。

なおいざアルバムが発売されてみればストリングスが使用されたのはこの1曲ポッキリという衝撃の事実が明らかとなった。さすがに前作からベストの新曲2曲に至るまでほぼずっと使いっぱなしだったので使い過ぎたのを気にしたか。
★★★☆☆

最高到達点/SEKAI NO OWARI

2023年9月17日
アニメ「ONE PIECE」OP。9月3日より使用されていた。

ここのところバンドサウンドや生の演奏を軸にした曲も増えていたが今回は打ち込みポップになっていてひたすら軽快。ただ最高到達点に向かってどこまでも高く突き抜けるというよりかは7,8割の力で余裕を持って飛んでいく、最高点に到達しないようにあえてセーブして飛んでいるようなイメージを抱いた。終盤でヨーソローな感じ(?)のブラスアレンジが入ってくるのは航海のイメージだろうか。
★★★☆☆

Relay~杜の詩/サザンオールスターズ

2023年9月18日
読み方は「りれーもりのうた」。3ヶ月連続配信の第3弾。楽曲自体は4月に最初に出来たとされ、身近な環境問題を取り上げた事から特設サイトではインタビューを交えたコラムも公開され真意を説明している。生前の坂本龍一が取り組んでいた問題の1つで亡くなる直前に都知事らに明治神宮外苑再開発見直しを求める手紙を送っていた事が亡くなった後に改めてメディアで大きく取り上げられ、坂本龍一の遺志を継ごうという動きもあって活性化。

「3月に坂本龍一さんが亡くなられて、テレビの特集などを通じ、あの方が仰っていたこと、想っていたことを改めて知ったんですよ。しかもそれは、自分の感覚と照らし合わせても何かしら響くものがあった。そもそも自分は、ビクター・スタジオに育てられた人間で、この界隈といえば、レコーディングの合間に散歩したりする大切な場所ですからね。再開発が社会問題かどうかという以前に、身近な話題でもあったわけなんです」

というインタビューの発言から坂本龍一が亡くなって初めてこの話題に触れて認識、色々調べて思いを曲にしたようだが、亡くなったのが3月28日なのにこの曲が4月に3部作の中で最初に出来た…と書いてある。知らなかった話を聞いて自分なりに調べて問題を認識して曲に落とし込むまで1ヶ月も無かったことになるので、かなりリアルタイムシンガーソングライターっぷりである。ちょっと生焼け感があるようにも思うが、同じように知らなかった人への周知、森林伐採反対とかよりも知って考えるきっかけになればいいという事でのスピード感なのだろうか。

曲は3曲の中でも最もシリアスで聞かせるナンバーになっているんだけど…相変わらずの桑田&片山感溢れるソロのサウンド。シンプルに円熟の演奏で聞かせるわけにはいかなかったのか。3曲通して果たしてメンバーはビクタースタジオでレコーディング作業に関わったのか…?という疑問は最後まで拭えないままになってしまった。
★★★☆☆

DIGNITY/Ado

2023年9月18日
初Ado。1曲きちんと再生して聞いたのは初(「うっせぇわ」「踊」「新時代」「私は最強」辺りはラジオ・店の中・TVなどあらゆる媒体で勝手にかかりまくっていたのでほぼフルで知っている状態ではあるが、自分から聞きに行ってはいない)。今回はB’z提供という事なので聞いてみた。各ニュースでは“B’zが日本のアーティストに楽曲提供するのは初”などとあれ?そうだっけ?というような見出しで煽りに煽ったが実は公式発表ではB’z提供という事実のみしか記載していない。日本人とか書いているという事は日本国外にはあるのかという事でこれはキム・ヒョンジュン「HEAT」(2012)を指す。

上木彩矢「ピエロ」(2006)はB’z版と同時発売で当時から提供ではなくB’zカバーと形容していたのでセーフ。これ以外にもB’z提供とかプロデュースっぽく騒がれたものがいくつかあったが、いずれも稲葉・松本のどちらかが単独で提供やプロデュースをしたものだった(七緒香は松本プロデュースだったし、宇浦冴香は稲葉プロデュース)。しかしB.B.クィーンズとして有名な坪倉唯子の1991年のアルバムに「GO-GO-GIRLS」という曲を思いっきりB’z制作で提供した事があり、知名度が無いせいかこの事はキム・ヒョンジュンの時も無視されていた。「GO-GO-GIRLS」はわずか3ヶ月後にB’zのセルフカバー(『ALONE』C/W(2nd beat))が発表されているので、B’zの曲認識になってしまったのだろうか…。というわけでB’zとしての提供は通算3曲目、日本人提供2曲目となる。

B’zらしいロックナンバーが来るかと思いきや映画『沈黙の艦隊』主題歌という事で大バラードを求められたっぽく、思いっきり「OCEAN」「永遠の翼」を彷彿・合体させたかのようなB’zバラード。「GO-GO-GIRLS」は初期過ぎるし、「HEAT」や「ピエロ」もB’zっぽいといえばB’zっぽいという程度だったけど、この曲はもうザ・B’z、マジB’z。B’z以外の何者でもないくらいウルトラビイズ

Adoは叫び倒す曲から突き抜ける高音の曲まで基本的にはパワーで圧倒するタイプのシンガーだと思うんだけど対応力はひたすら高いのでB’zでしかないこの曲もB’zの名カバーかのようにあっさり歌いこなしている印象で恐らく何を歌わせても名歌唱を繰り広げるのだろう。改めてスゴイシンガーだと思った。

ただここまでB’zなら普通にB’zで聞きたい
★★★☆☆

勇者/YOASOBI

2023年9月29日
アニメ『葬送のフリーレン』OP。初回が金曜ロードショー枠で初回2時間SPとして放送され、放送日当日に配信開始。例によって“小説を楽曲にする”という大前提があるため、原作者の山田鐘人監修の小説を基にして書き下ろした曲として今回も初期設定を徹底。たぶんタイアップ依頼とかドカドカ舞い込んできているんだろうけど小説を用意するのが絶対条件でこれをクリアしないとタイアップ引き受けてないんだろうな。今作までが『THE BOOK3』でまとめられるが、アルバムの方をメインで売ろうとしていないせいか、告知が同時だったが今作を特に先行配信とは宣伝していない。

標準的なYOASOBI王道な感じのナンバーといった感じ。普通以上にいい曲ではあるが「アイドル」がインパクトを残し過ぎた反動で埋もれてしまうのは避けられそうにない。
★★★☆☆

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