Time Flies...1994-2009

リリースデータ

メンバー

Oasis2ndベストアルバム。2009年に決定的な兄弟ゲンカの末にノエルが脱退を宣言し、残されたメンバーは別の名義(後のBeady Eye)で活動を継続すると発表したため、Oasisの活動は事実上終了(解散)となった。今作はノエルと残されたメンバー双方がそれぞれの活動の準備を進めている中で発売された。イギリスで発売された全シングルA面を収録。「Sunday Morning Call」のみ曲目に記載されていなかったが、シークレットトラック(ヒドゥン・トラックと表記）として収録され、日本語解説の曲目にはそれが明記されている。「Whatever」「Lord Don't Slow Me Down」がアルバム初収録。また日本盤には日本限定でシングル発売された「Don't Go Away」が追加収録、アメリカ・カナダ盤には「Champagne Supernova」が追加収録されている(最終曲ではなくDISC-2の1曲目に収録)。「Champagne Supernova」が長いためアメリカ・カナダ盤には隠しトラックの「Sunday Morning Call」が収録されていない。EXILEに及ばず日本では初登場2位だったが3週連続でトップ10入りした。イギリスでは1位を記録。また日本では2013年に「Don't Look Back In Anger」がauのCMに起用された影響で再度トップ100入りを果たした。

初回盤はビデオクリップを網羅した185分に及ぶDVD、結果的に最後のオフィシャルライブ音源となる2009年7月21日のロンドン公演の模様を収録したライブCDが付属する。BOXケース仕様。各ディスクは紙ケース収納。DVDの本編には副音声でメンバーコメンタリーも収録されている。これはリアム作曲の2曲をリアムが担当している以外は全てノエル1人のコメントになっている。このDVDは9月に単独でも発売された。

DISC-1,2
以前のベスト『Stop the Clocks』はかなり選曲が初期に傾いていたが、今回は全シングルを収録した総括的な内容。曲順はバラバラになっているがリリース順だとどうしても後半にかけてパッとしない印象になってしまうというのもあったのかも…。洋楽となるとシングルの扱いが小さいのでアルバム単位で聞くのが中心となり、あまりシングルを意識することが無いのでシングルじゃなかったのかという曲とこれもシングルになってたのかという曲が出てくるんだけど前者は前半に後者は後半にやはり多い。いずれにせよ割といい感じに各楽曲が割り振ってあるのでバランス良く聞く事はできる。

気になったのは今回は前ベストと違ってリマスターの表記が無く、実際に「Whatever」など若干音割れしているように聞こえる部分がそのままになっていたり、時期によって音量にばらつきがあるように聞こえる。時期が違うどころか兄弟以外は演奏者も変わっているような楽曲をバラバラに収録するのであればもう少しきちんと整えて収録してほしかった。

DISC-3　DVD
185分はボリュームたっぷり。こちらではリリース順にシングル曲を楽しめる。メニューからの設定でアルバムと同じ曲順にも出来るほか、トラックインフォをつけたり、コメンタリーをつけたりもできる。ただし、コメンタリーに日本語字幕をつける設定にするとそっちが優先されるので、トラックインフォを設定していてもトラックインフォは出ないので注意。最大のポイントはやはり本編26曲のノエル(とリアム2曲)のコメンタリー。曲やPVの思い出話が聞けるだけでなく、曲によってはひたすら酷評してたり、映像に「なんだこれ？」「わけが分からない」「最悪だ」と強烈なツッコミを入れまくったりとボロクソに言いたい放題。爆笑必至である。DISC-2で「Sunday Morning Call」が隠しトラック扱いになっているのもノエルの酷評を聞いていると何だか妙に納得してしまう。

DISC-4　ライブCD
2009年7月21日のライブ音源を収録したライブアルバム。代表曲中心のベスト選曲のセットリストだが前のベスト『Stop The Clocks』の選曲に近い。演奏は概ね最高なのだが、リアムのボーカルの調子はガラガラ気味であまりよろしくない。初期と声質が変わってしまい声が出なくなったとか、これまでにも調子が悪いことが多くて場合によってはライブ途中で帰ってしまうこともあったというが、これは調子が悪い方なのか、まだマシな方なのか…。特に序盤はまともに歌っていなくて（歌えていない？）、段々と調子は上がっていくがそれでもCDと比べると明らかにライブ感とかそういう問題ではなく、声が出てない。ノエルがボーカルをしている曲はあまりCDと変わらず、ノエルボーカル曲の方が安定感がある。

2025年リマスター盤
通常盤(2CD)の内容でのリマスター盤。日本盤は完全生産限定盤とされており、7インチ紙ジャケット仕様、歴代ロゴステッカーシート封入となっているほか、日本語ブックレットは一新され、解説と訳詞も新しくなっている。日本盤ブックレットやパッケージにはリマスターの表記があり、配信版にもRemastered表記があるのでリマスターされているのは確かながら、オリジナルブックレットにリマスターエンジニアの追加表記は無く、担当者は不明。日本語解説は一新され最新の情報(解散後〜現在まで)も含めて総括されているほか、1曲ごとの解説も書き下ろしとなっている。

初期3作のリマスターを担当していたIan Cooperは引退したとされており、1stの30周年盤、この後発売の2ndの30周年盤共に2014年のIan Cooperのリマスター音源の使い回しである事を公表しており、今作で一体誰を新たなエンジニアとして起用したのかは気になるところ。2024年の日本独自企画の7インチBOXも最新リマスターとされていたのでその時に日本国内で行ったリマスター音源をCDにも転用したのだろうか…。近年のリマスターの傾向らしく、以前の音源よりも少し綺麗な感じで整えられたように聞こえ、個人的にはかなり音が良くなったと感じられる仕上がり。というか当時の今作の印象ってこれリマスターされてんのかな？『Stop The Clocks』と被っている曲は『Stop The Clocks』の方がなんかシャッキリしてない？という感じで元があまり印象が良くなかったのもある。

リマスターだけでなく、国内盤においてはもっと大きな新たなる目玉としていしわたり淳治による新たな日本語訳詞が作成された。オリジナルと見比べるとかなり表現が変わっている箇所が多く、正直こんなに英文の解釈って変わるの…？と思った。オリジナルの方が直訳っぽく、いしわたり淳治がだいぶ意訳したっぽい部分もあれば、オリジナルが意訳っぽかったのをいしわたり淳治が直訳に近くしている部分もある感じ。ただいしわたり淳治の訳の最大の特徴は全曲に渡ってオラついたいかにもロックスターっぽい口調で統一されている部分だろう。元の訳もそれなりにオラついていて少なくとも一人称"俺"は統一されていたものの、複数の翻訳者が都度担当していた事もあって、担当者によっては語尾も普通でオラついていない曲もあったのでだいぶ凸凹はしていた。今作では全曲に渡って語尾がオラついているので統一感はある。

また"英語歌詞はオリジナルのものを記載しておりますが〜"という定型文注意書きが記載されているが、なんか英語詞長くなってね？と思ってよく見たら当時のブックレットに掲載されていた英語詞ではなく現在の公式サイトに掲載されている新たな公式歌詞に差し替えられているようだ。30周年盤でもそのままだったためCD媒体では初掲載となったこの新たな公式サイト掲載の英語詞は元の歌詞から大幅追記修正が施されている。元のオリジナル英語詞は繰り返しが省略されていたり、どう聞いても歌っている歌詞が表記されていなかったりしたが、新公式歌詞は歌唱通りの英語詞が省略無しで全て記載されている。

分かりやすいところだと「Live Forever」の2番の冒頭は明らかに"セイ、メイビー"と歌っているのに元の歌詞では"Maybe"としか書かれていなかったのが今作では"I said maybe"とちゃんと書かれている。最後のGonna Live Foreverを繰り返すくだりも新歌詞ではちゃんと繰り返して表記されている。「Don't Look Back In Anger」のサビで"エン ソーサリカウェー"と歌っているところも全部"So Sally can wait"になっていたのがちゃんと該当箇所は"And So sally can wait"になっている(さらに"So I start a revolution"だったところが"So I'll start a revolution"になったりも…)。「Stand by me」なんかオリジナルではサビ部分は1回だけStand by me nobody knows the way It's gonna be Stand by me nobody knows the way It's gonna be Stand by me nobody knows the way It's gonna beとコピペ3行書いているだけだったのが、サビの締め"yeah nobody knows the way It's gonna be"までちゃんと書かれている。yeahとかまでちゃんと拾っているし、間奏突入部分も全部補完されている。「All Around The World」なんかオリジナル歌詞は省略しまくりで4ブロックしかなかったのに、今作ではna-na-na-naまで律儀に全部記載したため、足掛け5ページにわたる超長尺歌詞になっている(最初と最後のページは半分ずつなので実質4ページ分)。しかも前半はナナナだったのが後半はラララに変わっているのもしっかり反映しており、na-na-na-naは後半Laa laa la-la-laに変わっているという芸の細かさ。

公式サイトのアーカイブをざっと辿ったところ現役当時は当然歌詞のコーナーなんてなかったようだし、少なくとも歌詞掲載のアドレスは2023年後半頃までは確認できない。前述のようにこの新歌詞がブックレットに記載されたのが今作はは初めてであり、既にこのページが存在していた2024年リリースの1stの30th記念盤では反映されず英語詞は以前のままだった。今回はいしわたり淳治による新たな日本語詞という大きなプロジェクトになったため、正式な歌詞でやろうという事になったのかも。

初回盤DVD+ライブCD付　通常盤　　2025年リマスター盤 　　DVD単独発売

印象度★★★★★

2009年当時の感想に2025.8.10リマスター盤追加更新

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