新作シングル感想

アンチテーゼ/夏川椎菜

2020年9月9日
初登場6位 売上0.8万枚

『Ep01』以来1年ぶりの新作。シングルとしては2年2ヶ月ぶり4作目。

初回盤はMV+TV SPOT収録のDVD付。

1.アンチテーゼ

ボーカロイドのクリエイターいわゆるボカロPのすりぃの作詞作曲編曲。氏にとってメジャーでの初書き下ろし曲とされている。忙しない演奏に早口でまくしたてるという聞いたことなくてもなんかミクってる感じ(ボーカロイド=初音ミクという安直なイメージ)のロックナンバー。シャウト気味の歌い方含めて「パレイド」以降の延長の方向性のようにも思えるが、どっちかというとかわいいのよりも人間味を出していきたい本人の意向とすりぃの作風に近いところがあって本人がそっちに寄せていったといった感じ。

新曲というよりかはなんかカバー曲みたいになってるのは歌詞の文体(~じゃねぇ、~ねえ等乱暴な語尾を多用するなど完全に野郎調)もあるとは思うんだけど、これを見て余計に確信した。これはすりぃの代表作らしき曲「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」なんだけど、7月に夏川椎菜がカバーバージョンを公開していてそのバージョン。すりぃ氏のYou Tube公式に行くとトップ表示されるので正真正銘彼の代表曲のようだ。で、イントロの瞬間からあれ?間違えた?「アンチテーゼ」再生した?と思うほどこの「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」という曲、「アンチテーゼ」そっくり。別の作家だったら確実にパクリ騒動になるレベル。イントロ部なんか全く同じだし。何度か聞いているとどっちがどっちか分からなくなるぞこれは…。

本人がそもそも提供を意識せずにすりぃの作風そのままでと強くお願いしたっぽいことがインタビューから伺えるが、それにしたってそもそも氏の作風が非常に狭いのもありそうだし、乱暴な語尾や歌詞の内容も含めてそのままでと言われても多少は提供を意識するところ本当に全く意識しないで「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」みたいな曲を渡してきた…っていうこれが”メジャーでの初書き下ろし曲”だという提供不慣れ感、なんかそんな感じがカバーに聞こえる原因っぽい。

この手のカバー企画とかあれば面白いかもしれないが、ここまで「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」そのままだとわざわざ兄弟曲みたいな書き下ろしは必要なかったように思う。何故か踏切警報器をカッコよく抱えているジャケ写やMVはなんかシュールでじわじわ来る。
★★★☆☆

2.RUNNY NOSE

こちらは本人作詞だが感情をまくしたてるような方向性は同じで、こっちの方がギターもハードロックっぽくなっていてより重め。今作の方が明らかに歌詞を自分のものとして歌っているようには聞こえるが、一部”見もしねぇ”と語尾が乱暴になっているほか、中盤の”今しかない”という歌詞もなんか”今しかねぇ”と実際には歌っているように聞こえ、「アンチテーゼ」に明らかに引きずられた感がある。本音ぶちまけ、人間味を押し出していく方向性はいいと思うんだけどなんか暴力的で変な方向に向かってしまったような印象もあり、これがさらに激化するとちょっと明確に違ってくるかなぁと。
★★★☆☆

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