愛の爆弾=CHERISH〜アインシュタインからの伝言〜

No タイトル 作詞 作曲 編曲 備考
1 A BRA CADA BRA〜道標〜 森友嵐士 森友嵐士/五味孝氏 五味孝氏  
2 NO CONTROL〜警告〜 森友嵐士 大島こうすけ 大島こうすけ  
3 愛の爆弾=CHERISH
〜アインシュタインからの伝言〜
森友嵐士 五味孝氏 五味孝氏  
4 ずっと君を 森友嵐士 森友嵐士 葉山たけし/T-BOLAN 7thベスト『T-BOLAN〜夏の終わりに BEST〜LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』収録曲
5 祈りの空 森友嵐士 森友嵐士 小島良喜  
6 京恋唄 森友嵐士 森友嵐士 池田大介
(Pf.倉田信雄 Vc.四家卯大)
石川さゆりへ提供(元々は森友ソロライブで歌っていた未発売曲) セルフカバー
7 Re:I 森友嵐士 五味孝氏 T-BOLAN DVDシングル 初CD化
8 俺たちのストーリー 森友嵐士 五味孝氏 T-BOLAN ライブDVD『T-BOLAN 30th Anniversary LIVE Tour「the Best」〜励〜』付属CD収録曲
配信シングル『俺たちのストーリー/My life is My way 2020』(カット)
9 ひとつの空-no rain no rainbow- 森友嵐士 五味孝氏/森友嵐士 T-BOLAN(St.池田大介)  
10 声なき声がきこえる 近藤房之助 森友嵐士 増崎孝司 B.B.クィーンズへ提供(近藤房之助×森友嵐士) セルフカバー
11 Crazy Me Crazy U 森友嵐士 森友嵐士 T-BOLAN  
12 My life is My way 2020 森友嵐士 森友嵐士 T-BOLAN 3rdアルバム『SO BAD』収録曲のリメイク
ライブDVD『T-BOLAN 30th Anniversary LIVE Tour「the Best」〜励〜』付属CD収録曲
配信シングル『俺たちのストーリー/My life is My way 2020』(カット)
13 ありがとうのうた〜あいのたね〜 森友嵐士 森友嵐士 五味孝氏  

リリースデータ

2022年3月14日 初登場37位 売上0.3万枚 Sound Produced by 森友嵐士 Being

メンバー

Vocal 森友嵐士
Drums 青木和義
Guitar 五味孝氏
Bass 上野博文

T-BOLAN6thアルバム。2017年の『T-BOLAN〜夏の終わりに BEST〜LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』以来のアルバムとなるが、オリジナルアルバムとしては『LOOZ』以来28年3ヵ月ぶり。メンバー稼働のアルバムとしても『夏の終わりにU〜Lookin'for the eighth color of the rainbow〜』以来27年7ヶ月ぶりとなる。2012年の再結成〜2014年の休止までは新曲の発売が無いままだったが、上野が2015年にくも膜下出血で倒れ長期の意識不明の状態から回復するも高次機能障害を患い、ステージに立ちたいという上野の意向を聞いて2016年末に一夜限りの復活ライブを開催、この際に2017年に活動を再開すると発表し、2017年以降ライブを中心に活動を再開していた。今作にはT-BOLAN〜夏の終わりに BEST〜LOVE SONGS+1 & LIFE SONGS』に収録していた新曲「ずっと君を」、DVDシングル「Re:I」、ライブDVD付属CDに加えて配信でシングルカットした「俺たちのストーリー」「My life is My way 2020」と再結成以降に発表されていた新曲を全て収録。加えて提供曲2曲のセルフカバーも収録。『HEART OF STONE』『LOOZ』『夏の終わりにU』『1999 REMIXES』に続いてライナーノーツも封入されている。3月14日月曜日発売のため早いところでは11日金曜入荷となり(通販では発売日前日の日曜到着指定で発送していたところもあったようでジョーシン通販はそうだった)、金土日の3日分集計で初登場37位となった。わざわざこんな変則発売日設定にしたのはアインシュタインの誕生日に発売日を合わせたためのようだ。2週目の上昇も無く、順位売上共に大不振となり、完全に埋もれた形となった。DL配信は1ヶ月遅らせて4/13開始、ST配信は無しだったが7/10のデビュー記念日(31周年)で今作だけではなく歴代全楽曲配信を開始、DLだけでなくSTでも全曲が配信された。

T-BOLAN 30th Anniversary SPECIAL EDITION(初回生産限定メモリアルパッケージ)はシリアル番号付CD+プレミアムアイテム16500円の高額BOX仕様。DVDなど映像付属は一切なく特典は全てグッズとなっていて、シリアルナンバーカード(メンバー直筆)、T-BOLAN 30th Anniversaryフォトブック(A4サイズ・全40ページ)、アートデザインポスター(B3サイズ・四つ折り)、メンバー直筆サイン(プリント)入りフォトカードがCDと共にA4サイズ専用BOXに収められている。FC限定特典としてTEARS INFOMATION 会報 VOL.001(復刻版)も付属する。
通常盤はCDのみ。入手したのは通常盤(さすがに初回盤の内容は価格と見合ってなさすぎてそこまでお布施出来なかった)

上野はライブにおいては現在も数曲の参加で基本的にはベースのサポートメンバーが帯同してメインで参加しているため今作にどこまで関与できているかは不明。また青木は持病があるので医者に止められたとして新コロ下でのツアー参加を見送っていたが2021年8月には今度は実家の家業に集中するためとして活動休止を発表して完全に離脱。このため既発以外の新曲に休止中の青木がどこまで関与しているかは不明。今作のアーティスト写真は普通に4人のものが使用されている。各インタビューでも上野・青木のレコーディングについてほとんど触れていないが森友のこのインタビューでは上野がレコーディングに参加した事を明言している。

「Crazy Me Crazy U」『LOOZ』以後に制作されていた解散前90年代の未発表曲をボーカルテイクはそのまま残して演奏を作り直したと説明されている。ライナーではミックス手前まで完成していた、当時のボーカルのままとしか書かれていないが森友のインタビューでは『LOOZ』の後に作った曲でレコーディングも終わった状態でお蔵入りになっていた、ほとんどの未発表曲はソロアルバムに収録したが唯一この曲だけ世に出していなかったと説明している。

「声なき声がきこえる」は『B.B.QUEENS LEGEND〜See you Someday〜』に近藤房之助×森友嵐士の名義で提供参加した楽曲のセルフカバーとされているが、アレンジはそのままで近藤房之助もそのまま参加している。原曲では近藤房之助にギターのクレジットがあったが今作では消されており、間奏ギターソロが変わっている事から五味のギターに差し替えされているものと思われる。しかしベースは原曲と同じで増崎孝司のままとなっている。ドラムクレジットは原曲にも無く、今作での青木の参加状況も不透明なため不明だが打ち込みと思われる。森友のクセのあるウォウウォウォウなど10年ぶりに再現するには難しそうな細かい歌い回しも同じに聞こえるためボーカルがセルフカバーされているのかは良く分からない。

タイトルは森友が10数年前に読んだというアインシュタインが娘に遺した手紙の話に改めて感銘を受けてタイトル曲を制作して今作のコンセプトとして掲げたとされている。これに伴いジャケットにはアインシュタインの末裔であるマーク・アインシュタインがアインシュタイン風に仮装した写真が起用されている。マーク氏は元々は森友の釣り仲間で今作のコンセプトが明確化していく中でも普段はマークと呼んでいたためアインシュタインとは忘れていてデザインまで考えた時点でマーク氏が末裔だったと思いだして声をかけたとしている。一方でそもそもこの手紙エピソード自体がインターネットで広く流布されているものの相手とされる娘のリーゼルは1歳で亡くなっている手紙自体がガセ、デマであるというのが現在は通説になっているようで(内容は素晴らしいとして紹介している個人ブログやサイトが多いが、多くは真偽不明もしくはガセの可能性を注記しているくらいには信憑性が薄くなっており、wikiでも明確にデマとして扱っている)、このためか森友の説明とは別にスタッフによる公式説明には「諸説あり」という注記が加えられている。

というわけである程度分からない感じの真偽不明ならわざわざ書かないと思われる「諸説あり」をいちいちスタッフが今作の公式説明文、封入ライナーにまで記載している事から森友が相当感銘を受けて停滞していたアルバム制作が一気に進んで盛り上がっているために周囲がその話はデマかもしれないというかたぶんその話デマですよとあまり言い出せない感じになってしまったとか真偽はどうでも良くメッセージ自体が重要だと判断したと思われる。それでもマーク氏を起用してアインシュタインそのままなジャケ写にするなどアインシュタイン連想させまくっておいて実は手紙の話は嘘でした、アインシュタインそんなことしてません…となってしまってはいくら内容が素晴らしくてもどうなのかとは思うが…。またこの話が流布される事にも繋がってるわけで。

まあ真偽はともかくあまりアインシュタインが言ったからどうこうよりもメッセージ性のみに注目して受け取っておいた方がいいのかもしれない。手紙の内容を今更引っ張り出すまではいいにしても真偽不明のエピソードなのにアインシュタインをタイトルやアートワークに大々的に使いすぎた感はあるし、ここまでしないほうが伝えたいメッセージは伝わったんじゃないかとは思う。ファンが聞きたいのはアインシュタインのメッセージではなく、森友さんの言葉なわけで。

全体にはさすがに当時の延長ではなく、渋めのロックナンバー静かなバラードを中心に現代のサウンドに進化した現在のT-BOLANといった趣き。ただ思った以上に歌い方のクセが強くなっている上にコーラスやエフェクトがかけられまくっていて変な感じ。あと全然高いところにいかないで低いところで終始歌っているのでサビでも地を這うような低空飛行みたいな感じの曲が多く、盛り上がりきらない復活以降昔の曲はずっとキー下げで歌っていたので歌えるようになっても加齢等もあって全盛期のキーはもう出せないんだろうなとは思っていたんだけど、それにしても今作はまだ余裕がありそうなのに全然音が上がってこないのとエフェクトかけているみたいな歪みコーラス被せまくってくるので終始スッキリしない。バラードでのクセの強さもやや増しているがバラードではエフェクト感がないだけまだ普通に聞けるがこれも渋めのものが多く、かつてのような名バラードっぽさはあまり感じられなかった。

ソロで復活した時はここまで気にならなかったんだけど今回は歌い方や作風がどうにも気になってしまった。ソロでは未発表曲の再利用も多かったようで、今作は書き下ろしが多いので年月を経ての作風の変化が反映されたのだろうか。いずれにせよこんな感じだと強く突き抜けるインパクトあるサビが全く出てこないのでどうしても渋めで地味な印象にはなってしまう。復活してからはこんなものだったかなぁ…と思って2015年のソロアルバム『PEACE ROCK』を引っ張り出してちょっと聞いてみたところ全盛期よりは低くても違和感は無く、ロックナンバーで普通に声を張り上げて歌っていて今作ほどの違和感は無かった。今作に至るまでの間にクセが強くなりすぎてしまったのかちょっと個人的に合わなかった。それなりにいい曲は揃っているし、T-BOLANの新作オリジナルアルバムが2022年に聞けたというところには確かな喜びと価値はあった

B09R2CC6K5初回盤   B09R2CF5NC通常盤 

印象度★★★☆☆

2022.4.9更新

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