ユーミン乾杯!!〜松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム〜(初回盤A)
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 原曲、備考 |
1 | 影になって /岡村靖幸 cheers 松任谷由実 |
松任谷由実 | 松任谷由実 | Reproduced by 岡村靖幸 | 8thアルバム『悲しいほどお天気』収録曲 |
2 | 中央フリーウェイ /YOASOBI cheers 松任谷由実 |
荒井由実/Ayase | 荒井由実/Ayase | Ayase | 4thアルバム『14番目の月』収録曲 |
3 | Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない)
2023 /桑田佳祐&松任谷由実 |
松任谷由実 | 桑田佳祐 | 桑田佳祐&片山敦夫 | 1986年当時未発売曲(「桑田佳祐&His
Friends」名義) 桑田佳祐3rdベスト『I LOVE YOU-now&forever-』収録曲 新録音リメイク シングル(同時発売) 最高3位 売上3.1万枚 11/27先行配信 |
4 | 今だから/松任谷由実 小田和正 財津和夫 | 松任谷由実/小田和正/財津和夫 | 坂本龍一 | コラボシングル 最高1位 売上36.7万枚 初CD化 | |
5 | 春よ、来い(Nina Kraviz Remix) /Nina Kraviz, Yumi Matsutoya |
26thシングル リミックス | |||
6 | SATURDAY NIGHT ZOMBIES /RHYMESTER cheers 松任谷由実 |
松任谷由実/ Mummy-D/ 宇多丸 |
松任谷由実 | Reconstructed by Mr.Drunk | 22ndシングル『SWEET DREAMS』C/W、 19thアルバム『ダイアモンドダストが消えぬまに』収録曲 |
7 | 真珠のピアス /YONCE cheers 松任谷由実 |
松任谷由実 | 松任谷由実 | 13thアルバム『PEARL PIERCE』収録曲 | |
8 | 守ってあげたい /乃木坂46 cheers 松任谷由実(produced by 小室哲哉) |
松任谷由実 | 松任谷由実 | Produced by 小室哲哉 | 17thシングル 乃木坂46は久保史緒里、井上和、林瑠奈、奥田いろは、中西アルノ、五百城茉央 |
9 | 輪舞曲(ロンド) /くるり cheers 松任谷由実 |
松任谷由実 | 松任谷由実 | 岸田繁 | 27thシングル |
10 | 真夏の夜の夢 /GLIM SPANKY cheers 松任谷由実 |
松任谷由実 | 松任谷由実 | GLIM SPANKY | 24thシングル |
11 | CD限定シークレットトラック「今だから(another
version)」 シングル『今だから』B面曲 初CD化 |
初回盤A(Blu-ray)/B(DVD)
“ユーミン返杯”参加アーティストへ〜ユーミンからのメッセージ〜
リリースデータ
2023年12月20日 | 初登場2位 | 売上8.0万枚 | Based on YUMING's works Produce & Direction:Takeshi Danno,Rutsuko Kaneko(KIRARASHA) All Original Songs Produce:松任谷正隆(Except 3,4) Supervisor:松任谷由実 |
ユニバーサル |
松任谷由実コラボベストアルバム。『ユーミン万歳!〜松任谷由実50周年記念ベストアルバム〜』から1年2ヶ月ぶりで今作も50周年記念作となっている。今回は既存の楽曲を指名した各ミュージシャンに委ねてリメイクしてもらうコラボ企画となっていて、基本的にユーミン側での新規参加はしておらず、過去のボーカルがそのまま素材として使用されている。新規での参加は「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」のみ。ブックレットには相手へのお礼の手紙が併記されているが、「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」と「今だから」の2曲は経緯が異なるため手紙の記載はない。
9月13日に発売が発表された時点では11月29日発売を告知し、全8曲と発表していた。11月6日に「春よ、来い(Nina Kraviz Remix)」追加収録が発表され全9曲へと改められていたが、11月13日に急遽新楽曲の追加収録が決定したとして12月20日への発売延期を発表。11月26日に追加曲が「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」だと大々的に発表され、翌27日から先行配信、さらに今作と同時発売でシングルCDとしても発売されることが発表された。これにより全10曲となったが、発売前のプロモーション段階でシークレットトラックの存在が示唆されており、実際に発売されてみると11曲目が存在し、「今だから(another version)」がCD限定で収録されていた。
「今だから」のみ当時の音源のままだがレコードのみだったため初CD化となる。音源への本人の新規参加は「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」のみでこれも桑田佳祐サイドの制作にボーカル参加しただけであるため、今作ではプロデューサーとしてA&R(『ユーミンからの恋のうた』)やCreative Planning & Production(『ユーミン万歳』)だったTakeshi Danno、マネージャーのRutsuko Kanekoの2人が連名でクレジットされ、松任谷由実本人はSupervisorとしてクレジットされている。松任谷正隆に関しては新規での関与が一切ないため原曲のプロデュース表記のみとなっている。
マスタリングは今回もGoh Hotodaが担当しているが「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」のみマスタリングも桑田サイドで行われ前年のベスト『いつも何処かで』に続いて吉良武男が担当。
「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない)」はシングル感想にて詳細記載。「春よ、来い(Nina
Kraviz Remix)」はリミックス表記があるように曲が完全に解体されておりオリジナル通りに歌唱されないためか歌詞やクレジットが無く、代わりに何故かNina
KravizのBIOGRAPHYが英語の長文で書かれている。読めんがな。乃木坂46は久保史緒里、井上和、林瑠奈、奥田いろは、中西アルノ、五百城茉央の6名のみの参加。6人の名前の並びはあいうえお順でも期別順(3,5,4,5,5,5)でもない謎の並びとなっている(ユーミンからの手紙にもこの並びで書かれているのでこだわりがあるのか特に理由なくこの並びで書いたのでクレジットもそれに従ったのかは謎)。
"コラボベスト"となっているが一般的にイメージされるコラボレーションは「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」、「今だから」の2曲のみ。「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」は今作で唯一現在のユーミンと桑田佳祐がデュエット歌唱しており、「今だから」は当時のコラボ楽曲そのままである。これ以外は一般的にはリミックスと一般に認識されている手法に近く、ユーミンの新規での歌唱は無く、当時の音源の素材を相手に渡して相手に自由にお任せしたものである。ボーカルトラック以外はリハーモナイズしてアレンジも変えてくれとか特徴的なリフは使わずにやってくれとか言われた事に若干の差異はあったようだが、基本的に相手側の受け取り方でやり方に差がある感じ。ボーカルの使い方で分けると主に以下の分類だろうか。
一部の歌唱パートを自分のボーカルに差し替えて疑似的に歌唱共演するパターン
→影になって、真珠のピアス、守ってあげたい、真夏の夜の夢
原曲には無い新たなパートを加えて歌うパターン
→中央フリーウェイ、SATURDAY NIGHT
ZOMBIES
ボーカルがいるが歌わずにトラックメイカーに徹するパターン
→輪舞曲(ロンド)
そもそも相手がトラックメイカー
→春よ、来い(Nina Kraviz Remix)
といったところ。元のユーミンボーカルのいじり具合も相手によって異なり、そこに面白さがあるのかなとは思う。
Nina Kravizだけは完全にトラックメイカーによるリミックス。完全にトラック主体になっていて1人だけ違う企画をやっている感じだが、延々と"は〜るよこい、は〜やくこい"の部分をリピートさせたりと、いやそこ童謡の引用パートじゃねーかよ…なんでそこ強調するんだよ…という…。海外の人でユーミンのオリジナルもよく分かってなくてオリジナルのサビよりもより日本的な童謡のメロディーにジャパニーズワビサビ(?)をより強く感じてしまったのだろうか…。
くるり岸田繁も本人歌唱は無く、トラックメイカーによるリミックスに近いが、こちらはリアレンジとしても普通に聞ける。RHYMESTERはラップパートを追加していてこの手法はラップグループがよくやる王道のコラボの仕方だが、YOASOBIは完全に新たなパートを追加(なので作詞作曲にもAyaseの名前が併記)するという今作の中で最も若いだけあって大胆な改変に打って出ていてその度胸に乾杯といった仕上がり。「守ってあげたい」は批判を浴びやすいアイドルグループ歌唱だけあってかなり守りの姿勢に入ってしまっていて乃木坂46はサビを合唱しているだけなので個性も何もない。誰が歌っているのかも分からない仕上がり。年末のTV出演時はもう少しコラボらしい歌唱パフォーマンスに変えて歌っていたらしいけど、確かにこの音源のままTVでパフォーマンスする意味は皆無だな…。
全体にはほとんど打ち込みトラックで加工感が強いリミックス寄りの作品なので万人向けではないというか、率直に分かりにくい作風ではある。特に"コラボベスト"を銘打つのであれば「今だから/松任谷由実 小田和正 財津和夫」のように双方のアルバムにも収録されていない歴代のコラボシングルを集めるだけでアルバム1枚になるくらい曲数があるのだからまずはそれをやって、リミックスはリミックスで別にやってほしかったところではある。複数のコラボ企画をごちゃまぜにしてそれでもようやく10曲に乗せた(当初は8曲発表)というのはボリューム不足だし、今回はユーミンによる完全指名となったが、参加者を募れば参加したい後輩ミュージシャンはたくさんいて豪華なアルバムにはなったんじゃないかなとも思う。まあリミックスと言うと売れない、コラボとした方が売れるという判断は当然あるんだろうけど…"コラボベストアルバム"ではないと思う、これは。
初回盤映像“ユーミン返杯”参加アーティストへ〜ユーミンからのメッセージ〜
本人が楽曲やゆかりのある都内を巡りながら各所で当時の思い出を語るインタビュー映像と各楽曲参加者への感謝の手紙の朗読の映像で構成されている。朗読している手紙(返杯)はブックレットに記載されているものをそのまま読んでいるだけだが、長い文章の場合は途中をバッサリ削って読んでいる。
今作で最も本人が稼働したのがこの映像という事になるが、逆に相手からのメッセージや制作風景などは収録されていない。そもそも今作自体が直接会ってコラボしたのではなく、音源を渡してお任せするやり方なのでどうしても実際に同じ画面に…というのが出来ないのは仕方ないか…。
印象度★★★☆☆
2024.2.3更新