深海の街(初回盤)
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 1920 | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | |
2 | ノートルダム | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | |
3 | 離れる日が来るなんて | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | |
4 | 雪の道しるべ | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | 11th配信シングル |
5 | NIKE〜The goddess of victory | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | |
6 | What to do? waa woo | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | |
7 | 知らないどうし | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | 10th配信シングル |
8 | あなたと 私と | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | 9th配信シングル |
9 | 散りてなお | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | 手嶌葵へ提供 セルフカバー |
10 | REBORN〜太陽よ止まって | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | |
11 | Good! Morning | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | |
12 | 深海の街 | YUMING | YUMING | 松任谷正隆 | 8th配信シングル 別Mix(配信シングル音源も差し替え) |
CD/LPのみシークレットトラック(「1920」のリプライズ) 配信版ではカット |
No | タイトル | 備考 |
1-3 | Documentary of 深海の街 | アルバム制作ドキュメント映像 |
4 | 深海の街 | Music video |
5 | 知らないどうし | Music video |
リリースデータ
2020年12月1日 | 初登場3位 | 売上8.1万枚 | Produced by 松任谷正隆 | ユニバーサル |
松任谷由実39thアルバム。ベスト盤『ユーミンからの、恋のうた。』から2年8ヵ月ぶり、オリジナルアルバムとしては4年1ヵ月ぶり。前作以降の4作の配信シングルを収録。前作以降しばらく新作リリースは無く、前作を引っ提げてのツアーが16年11月〜17年9月、『ユーミンからの、恋のうた。』発売後の45周年ツアーを18年9月〜19年4月まで行い、19年9月に久々の新曲「深海の街」を配信限定でリリース。20年8月に「あなたと 私と」を配信限定でリリース後、今作の発売が告知されて、10月に「知らないどうし」、11月に「雪の道しるべ」が先行配信された。「雪の道しるべ」に関しては専用ジャケットではなくアルバムと同じジャケットが使用されている。「Good! Morning」が今作最古の曲で2018年4月よりテレ朝の『グッド!モーニング』テーマ曲として2年間(〜2020年3月)使用されていたが、一向に発売されずにタイアップも終了しており今作でようやく音源化となり、歌詞も変更されボーカルも改めてレコーディングし直されている模様。「雪の道しるべ」も『北海道シチュー』CMソングとして19年から使用されていて2年連続のCM起用及び1年越しの音源化となった。
今作発売とほぼ同時期にフジ系の特番『出川と爆問田中と岡村のスモール3』のテーマ曲として出川哲朗、田中裕二、岡村隆史と作詞を共作、共に歌唱したコラボ曲「きみのためにSuperman」も番組内で発表され、『FNS歌謡祭』でも歌唱したが今作には未収録で音源化もされていなかった(翌年3月に配信)。
初回盤は「深海の街」「知らないどうし」のMusic
video2曲+「Documentary of 深海の街」を収録したDVD付。三方背ケース仕様。
豪華完全限定盤クリスマススペシャルBOXはユニバーサルショップ限定でCD+Blu-ray+2LP+36P豪華アートブック仕様のアナログレコード大ボックス仕様豪華限定パッケージ。Blu-rayの内容は初回盤DVDと同一。これはCDとBlu-ray+2LP+36P豪華アートブックが別々のセット商品という扱いになっており、予約した場合はCD発売日にCDのみ先に発送され、クリスマス付近にBlu-ray+2LP+36P豪華アートブックが発送される分割2段階発送だったようだ。
1980年12月1日発売の『SURF&SNOW』からピタリ40周年である2020年12月1日に発売日を合わせたため、水曜ではなく火曜発売となった。このため初日のみデイリー1位となった。週間ではMr.Children、ENHYPENに及ばず3位となったが中島みゆきのセレクションアルバム『ここにいるよ』は約1400枚差で上回った。TV出演の連発など派手にプロモーションされたものの売上は前作からやや下げており、2週目以降には中島みゆきにも逆転された。
CD/LPではラストの「深海の街」終了直後に「1920」のリプライズが収録されているが、配信版ではカットされている。また「深海の街」は微妙に変更されており、イントロ部分が若干フェードイン気味になっている(たぶんその部分以外は同じ)。2019年9月に配信されていたシングル音源は配信サイトから削除され、アルバムミックスに差し替えて再配信された。2019年オリジナルシングルバージョン「深海の街」は当時DLしていなければ新たに入手不可となった。
今作では録音はGOH HOTODAと藁谷義徳、ミックス&マスタリングはGO
HOTODAが単独で自身のスタジオSTUIDO GOH HOTODA
and NOKKOにて手掛けている(REBECCAのNOKKOの名前が入っているのは夫婦の自宅スタジオのため)。長年Bernie
Grundmanがマスタリングをほぼ一貫して担当していたが(『Road
Show』以外のアルバム全て)前作『宇宙図書館』でGO
HOTODAをAl Schmittと共にミックスエンジニアの1人として起用。この時に松任谷正隆はGOH
HOTODAを絶賛するコメントを残していたが、ベスト盤『ユーミンからの、恋のうた。』ではリマスターをGO
HOTODAに任せ、さらに2018年のサブスク含めた配信用リマスター、2019年のハイレゾ配信用リマスターもGO
HOTODAへ一任(この時のインタビューでも大絶賛していた)、GO
HOTODAの音作りに全面的な信頼を寄せたようで新作においてもついに全面起用となった。さらばバーニーグランドマン…。
当初の『SURF&SNOW Vol.2』を目指すという構想はそんな気分じゃないとして破棄されて新コロ直下の2020年という時代を映し出した作品として方向性が変わったとされている。母親が存命で100歳を迎えた(!!)事をきっかけに当時スペインかぜが大流行していたのが2020年と重なって制作されたという100年前の1920年を取り上げた冒頭の「1920」など厳かな雰囲気の曲が目立つので全体にはシリアスな雰囲気だがタイトル作である「深海の街」やタイアップ先でOAされていた「雪の道しるべ」「Good! Morning」など新コロ騒動以前の曲もあり、「ノートルダム」も2019年のノートルダム大聖堂の火災から着想を得て書いたとされているので今作が全面的に新コロ直下の2020年という時代の影響を受けているわけではなく、当初の名残も少しはあるようだ。また『SURF&SNOW』からピタリ40周年の12月1日に発売日を合わせたり、そもそもジャケットのアートワークにも強い名残がある。『SURF&SNOW Vol.2』は長年何度か構想はあったようで、実際に02年『Wings of Winter, Shades of Summer』の時はけっこう本格的に作ると宣言していたが、リゾートの概念が崩壊した事を理由に結局異なる形となり、この時に掲げていた精神的リゾートという概念を改めて今作では脳内リゾートとして展開する予定だったようだが…どうも巡り合わせが悪いのか…。
そんなわけで全体には厳かな雰囲気であり、どうしたって明るくはなりようがないが、それでも静かに確かに響いてくるような深みはあり、じわじわと良さを感じられる1作だ。当初の『SURF&SNOW Vol.2』構想で脳内リゾートとして展開していた場合は恐らく同じ曲でも立ち位置が変わっていたとは思うが、今作でラストに置かれた「深海の街」は結果的に最後を飾る曲として妙に納得できるような立ち位置になっているように思う。一方で前作以上におばあちゃん感が増して最早出ている音程ですら抜けてしまわないように何とか絞り出すようにしている感じで声の衰えは誰の耳にも明らかであるが(TV出演時の過去曲だともっと厳しい)、決してそれをコーラス重ねまくったりあかさらまな加工でごまかしたりはしない。直接言及はしていないが(ボイトレをしたというコメントはある)ありのままで出来ることを最大限やって楽曲に生かすというスタンスになっているようで、ちゃんと聞き手に響くものにはなっていると思う。今作は若い頃の声で響くようなアルバムではない今の声だからこそというのもある。
初回盤DVDはパッケージも実際のDVDのメニュー画面の表記でもMusic Video2曲→ドキュメントの順番になっているが実際に再生するとドキュメント→MVと逆に収録されている。ドキュメントは制作現場やインタビューで構成されていてユーミン撮影で完成後の松任谷正隆との会話など興味深い部分も収録されているんだけど、わざと古いフィルム映画のようなザラザラ加工が全編にわたって施されているのがちょっと余計。しかもこのドキュメントの映像、NHK『SONGS』出演時に無加工の綺麗な状態で一部を流していた(ボーカルレコーディングと松任谷正隆との会話部分)ので、今作では雰囲気出すためにそうしたのかもしれないが…無加工なのを出されてしまうと余計な劣化加工施さずに全編それで見たかったとは思ってしまう。MVは相変わらず奇抜でアートな世界観だなぁと。あとドキュメントでも新コロ騒動の中での作品という印象が強くなってくるが「深海の街」MVに関しては配信された19年秋時点で既に出ていたので実は関係なかったりもするのが不思議な感じ。
印象度★★★★☆
2021.1.11更新