君とのDistance
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 夏を待つセイル(帆)のように | 坂井泉水 | 大野愛果 | 葉山たけし | 40thシングル両A面2曲目 |
2 | サヨナラまでのディスタンス | 坂井泉水 | 大野愛果 | 葉山たけし | |
3 | かけがえのないもの | 坂井泉水 | 大野愛果 | 小林哲 | 38thシングル 最高4位 売上4.6万枚 |
4 | 今日はゆっくり話そう | 坂井泉水 | 大野愛果 | 徳永暁人 | 39thシングル 最高5位 売上3.3万枚 |
5 | 君とのふれあい | 坂井泉水 | 大野愛果 | 葉山たけし | |
6 | セパレート・ウェイズ | 坂井泉水 | 大野愛果 | 古井弘人 | |
7 | Last Good-bye | 坂井泉水 | 多々納好夫 | 葉山たけし | FIELD OF VIEWへ歌詞提供(95年) セルフカバー |
8 | 星のかがやきよ | 坂井泉水 | 大野愛果 | 葉山たけし | 40thシングル 最高2位 売上8.0万枚 |
9 | 月に願いを | 坂井泉水 | 大野愛果 | 小林哲 | |
10 | あなたと共に生きてゆく | 坂井泉水 | 織田哲郎 | 小林哲 | テレサ・テンへ歌詞提供(93年) セルフカバー |
11 | I can't tell | 坂井泉水 | 栗林誠一郎 | 葉山たけし | |
12 | good-night sweetheart | 坂井泉水 | 徳永暁人 | 葉山たけし | |
13 | 君と今日の事を一生忘れない | 坂井泉水 | 徳永暁人 | 徳永暁人 |
リリースデータ
2005年9月7日 2021年9月15日(リマスター) |
初登場3位 初登場45位 |
売上15.2万枚 売上0.1万枚 |
Produced&Directed by IZUMI SAKAI | B-Gram Records |
ZARD11thアルバム。前作から1年8ヶ月ぶり。前作以降の3シングル4曲を収録。さらに原曲から10年近く経過していた歌詞提供曲のセルフカバー2曲も収録。「I can't tell」はストック曲であると明言されているが、これにより栗林誠一郎は99年以降消息不明になっていたにも関わらずオリジナルアルバム11作全てに最低1曲は参加した唯一の作家となった。最初からデジパック仕様。ブックレット最終ページにはライナーノーツが掲載されている。また店頭チラシでは坂井泉水によるセルフライナーが記載されており、これをさらに長くしたものが購入者限定特設サイトにて9月末までの期間限定で見ることができた。一方で『永遠』以降1曲ごとに表記されていた演奏クレジットは今作では一括表記に変わっている。またExcutive Producerとして長戸大幸がクレジットされた。氏の名前が表記されたのは『揺れる想い』以来でこの頃からGIZAにおいてもKANONJI名義ではなく徐々に長戸大幸名義でクレジットされる事が増えた。
今作以降、06年前半にもシングル2作をリリースしたが新曲発表はこれが最後となり、07年5月に突如坂井泉水の死去が発表され、結果的に今作が最後のオリジナルアルバムとなった。2021年に30周年を記念してオリジナルアルバム10作のリマスター盤と『時間の翼』のリアレンジ盤が一斉発売。『ZARD ALBUM COLLECTION』以来、単独では初のリマスターとなる。
葉山たけし復帰。これにより厚みのあるバンド風の王道サウンドが復活した。それに合わせるように前作では薄味の極みだった今作では唯一のGIZA以降のアレンジャーである小林哲も奮闘、これまでより派手目なサウンドにしており、薄味GIZAサウンドから全体的に脱却した。というかこの頃になるとGIZA全体で00年代初頭のR&Bブーム流れからのチキチキ軽いアレンジが古くなってきて厚みのあるサウンドへ変化してきていたのでZARDに限った話でもなかったのかも。
一方で前作で見せていたような少し大人なZARDの一面も見せていて、単に過去に回帰したわけではないような印象。歌われている世界もこれまで以上に深みがあるというか、少し年齢を重ねた夫婦だったり、はたまた母性を感じさせたりと割と色々な年齢ごとの愛情が描かれている感じがして幅広さを見せ、この先(40代以降)の可能性を見せた内容になっている。ただボーカル面では全体的にやや声が苦しげに聞こえる点は気になる。加齢に加えて長引く体調不良もあって昔のイメージのままの声を保つのも徐々に苦しくなってきているところはあったのかもしれない。しかし「かけがえのないもの」のラスト部分のようにこれまで以上に熱度の高い力の入った歌唱をしている部分もあって、多少苦しげでも真に響くようなところもある。また「I can't tell」の声が震えまくりに聞こえるのは遅いテンポで歌ったものを早送りにしてトラックにはめ込んだからでありコンディションとは関係が無い。解説には「機械の妙ともいえる独特の仕上がりになったためそのテイクをあえて選択、収録」などと書かれているのだが機械の妙どころか本当に妙なだけである。せっかくの栗林未発表作品が王道アレンジで蘇ったというのになんともったいないことを…。
それにしてもテテレサ・テンが亡くなる2年前に歌った「あなたと共に生きてゆく」を、結果的に坂井泉水も亡くなる2年前にセルフカバーしていた事になったり、サビでの竹井詩織里と思われるコーラスが坂井泉水を押しのけるように存在感を発揮するなど厚みのあるコーラスで大エンディングのような盛り上がりを見せる「君と今日の事を一生忘れない」だったりするのは、結果的に最後になってしまった後に聞くとまたなんという偶然だったのか…。
というわけでここまで来たからこその到達点的な1作。大野・徳永の現2トップ、特に大野愛果に頼りまくりだったり、葉山たけしを再起用して多用しまくるなど作家不足に陥っていた感があるのも否めず、そこまでしても全盛期ほど強烈なメロディーのインパクトが無いのも現実であるかもしれない。それでも聞き込みがいのある1作で個人的には「永遠」に続く2番目に印象的な1作にはなった。
この先があったとしたら年齢を重ねての新たな魅力が出せていたかもしれない。本当にこれで最後になってしまうとは思いもよらなかった。
印象度★★★★★
2021.7.6修正