SUMMER TRACKS-夏のうた-

No タイトル 作詞 作曲 編曲 原曲・備考
1 secret base〜君がくれたもの〜 町田紀彦 町田紀彦 虎じろう ZONE(2001年) 原曲オケをそのまま使用
2 Diamonds 中山加奈子 奥居香 重永亮介 プリンセス プリンセス(1989年)
3 タッチ 康珍化 芹澤廣明 湯浅篤 岩崎良美(1985年)
4 恋のバカンス 岩谷時子 宮川泰 丸山真由子 ザ・ピーナッツ(1963年)
5 Summer Delay 長沢知亜紀(CWF)、永野小織(CWF) 新曲

リリースデータ

2019年8月14日 初登場8位 売上0.7万枚 SACRA MUSIC

メンバー

クララ
カレン

ClariS2ndミニアルバム。18年11月の5thアルバム『Fairy Party』以来の新作で、2016年3月の1stミニアルバム『SPRING TRACKS-春のうた-』の3年5ヵ月ぶりの続編企画。前回同様にカバー4曲と新曲1曲を収録した構成。初回盤は各楽曲をイメージしたイラストポストカード6枚付属。同時発売で別の新曲「シグナル」が配信限定で発売された。

「secret base〜君がくれたもの〜」は事務所ランタイムの先輩となるZONEのカバーだが、演奏は当時のZONEのオリジナル音源をそのまま使用している。さらに演奏クレジットも記載されており、演奏に参加していた宮永治郎はこのようにツイートし、ZONEの演奏が影武者によるものだったと正式に明かした。ZONEは元々1st、2ndシングルではライブにおいても最後まで演奏せずに楽器を振り回して振付として使用していたが、楽器演奏は練習し続けていて3rdである「secret base〜君がくれたもの〜」以降はライブでは実際に演奏するようになったが、当時からCDにおける演奏クレジットは非公開となっていて、各種インタビューやメイキング映像においても演奏レコーディングについては一切触れない方針を取っていたため、当時のファンの間でもよほど純真な心の持ち主でない限りはZONEメンバーがレコーディングで演奏していないであろうことはほぼ周知ではあった。再結成時に『ZONEトリビュート〜君がくれたもの〜』で発表した「約束〜August,10years later〜」にスタジオミュージシャンの演奏表記がされたが表記されたのはこれが唯一であった。なお前述のように同期は使用していたもののライブではメンバーの担当パートは実際に演奏しており、「secret base〜君がくれたもの〜」は3rdアルバム『N』にライブバージョンが収録されているため、ライブDVDだけでなくCDでもZONEメンバー演奏による「secret base〜君がくれたもの〜」自体は存在する。

 

というわけで、ZONEはまさかの原曲オケでの文字通りのカラオケ。事務所が同じで最早ZONEメンバー誰1人事務所に残ってなくて楽曲の権利はソニーと事務所が持っているので本人放置で使いたい放題な状態という事なのか…。しかもこのタイミングで本当の演奏者を公開するなんていう反則技を繰り出してくるとは…。「Diamonds」「恋のバカンス」はアレンジャー1人オケ制作なのか一切演奏表記せずに省略しているので「secret base〜君がくれたもの〜」もしれっと無表記にして秘密を守り続けることは可能だったはずだが、わざわざ出してきたというのは明らかに事務所が意図的にバラしにかかっている。

まんま原曲カラオケな「secret base〜君がくれたもの〜」に関しては10代のもっと若いうちにカバーしていた方が味は出たかもしれない。今作の歌唱は確かにメンバーだいぶ大人っぽくなっていてたぶん若い頃に歌うよりは単純にうまいとは思うんだけど…。そういう意味で当時のZONEと同じオケで歌ったとなるとまあ普通に曲の主人公と同年代の頃に歌ったZONEの方が良かったとなってしまうのは仕方ないか。

残り3曲は一気に古い曲になるが、「Diamonds」「タッチ」に関してはほぼ原曲をそのままアレンジし直した感じでイメージもあまり変わらない。ていうか「タッチ」って夏の曲か?と思ったんだけど、野球=高校野球=夏の甲子園という連想で選曲しているようで、実際歌自体に夏っぽさは無い。これだったら抜けている90年代の夏のカバーがあった方が良かったかも。「恋のバカンス」まで行くと実に56年前という半世紀を軽く越えるほどの古典的領域であり、作詞の岩谷時子、作曲の宮川泰(原曲では編曲も)、歌唱者であるザ・ピーナッツ(伊藤エミ・ユミ)原曲関係者4人全員が既にこの世を去っている女性デュオのほぼ元祖として考えればClariSがここでカバーする意味もあるのかもしれないが、サマーソング企画で選曲してくるのもなかなか…。出来自体はいいので、こういった昭和カバーは昭和カバーでまた別の企画カバーがあっても面白いかもしれない。

最後に収録された「Summer Delay」は転がるようなピアノが鳴り響く疾走感のあるサマーソングでこれが思わぬ名曲。スタンダード性の強いカバー4曲の後でも全く別の角度から強烈な印象を残してくるシングルよりもシングルみたいな印象。これが予想以上に良かったのもあって、前回の春よりも全体にも非常に好印象な1作になった。

SUMMER TRACKS -夏のうた- (初回生産限定盤) (CD+オリジナルポストカードセット) (特典なし)初回盤ポストカード付  SUMMER TRACKS -夏のうた- (通常盤) (特典なし)通常盤 

印象度★★★★☆

2019.10.27更新

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