POP IN CITY〜for covers only〜
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 原曲(発売年)、備考 |
1 | 悲しみがとまらない | 康珍化 | 林哲司 | 大平勉 | 杏里(1983) 1/5先行配信 |
2 | 埠頭を渡る風 | 松任谷由実 | 松任谷由実 | 侑音 | 松任谷由実(1978) 1/11先行配信 |
3 | 恋するカレン | 松本隆 | 大瀧詠一 | 侑音 | 大滝詠一(1981) |
4 | プラスティック・ラブ | 竹内まりや | 竹内まりや | 大平勉 | 竹内まりや(1984) |
5 | DOWN TOWN | 伊藤銀次 | 山下達郎 | 侑音 | シュガー・ベイブ(1975) |
6 | バカンスはいつも雨 | 杉真理 | 杉真理 | 侑音 | 杉真理(1982) |
7 | 真夜中のドア/Stay With Me | 三浦徳子 | 林哲司 | 大平勉 | 松原みき(1979) |
8 | RIDE ON TIME | 山下達郎 | 山下達郎 | 小川清邦 | 山下達郎(1980) 山根公路ボーカル曲 |
9 | 君は1000% | 有川正沙子 | 和泉常寛 | 侑音 | 1986オメガトライブ(1986) |
10 | 恋は流星 | 吉田美奈子 | 吉田美奈子 | 侑音 | 吉田美奈子(1977) |
通常盤・配信版BONUS TRACK(アナログ盤にも収録) | |||||
11 | 夢で逢えたら with paris match | 大瀧詠一 | 大瀧詠一 | 杉山洋介 | 吉田美奈子(1976) 2度目のカバー |
初回盤Blu-ray
DEEN
Summer Resort Live〜7th wave〜
2020/9/16 大さん橋ホール
リリースデータ
2021年1月20日 2024年2月17日(アナログ盤) |
初登場33位 初登場237位 |
売上0.27万枚 売上0.02万枚 |
Produced by DEEN Co-Produced by 山口育孝 |
Epic Records |
メンバー
Vocal | 池森秀一 |
Keyboards,Back-up Vocals,Vocal&Chorus Arrangement | 山根公路 |
DEEN3rdカバーアルバム。公式通算カウントでは33rdアルバム。02年『和音』、14年『君がいる夏』以来となる3作目のカバーアルバムで、"幅広い世代のアーティストや音楽ファンから再評価の進む「ジャパニーズ・シティポップ」"のカバーを収録。シティポップと現在評されている70〜80年代の楽曲群をカバーしている。アートワークは大瀧詠一作品のイラストを担当していた永井博を起用。共同プロデューサーとして初めて山口育孝がクレジットされたが、これは今作の企画が山口氏の発案だったことに起因している。今作でも引き続きA&Rのスタッフとしてもクレジットされている(※)。
※山口育孝は長年DEENのA&RスタッフとしてBMGからAriora、さらにEpicへとレコード会社が変わっても一緒にレーベル移動して担当を続けてきた人物でトークイベント、ニコ生、YouTube配信等の際には大概司会進行役をしていて表にもよく出ているためイベントや配信を見ていればファンにも馴染みの"山口さん"である。BMG時代にはキンモクセイやブラックビスケッツも過去に担当していてこの縁がDEENとの共演に一役買っている。またキンモクセイのMV集DVDのオーディオコメンタリーで司会進行していたのも彼である。今作の場合は元々シティポップ系のオリジナルアルバムを制作してほぼ完成に近づいていた段階でその前にシティポップのカバーをやろうという発案があったとされている。
完全生産限定盤はジャケットと同じ永井博のイラストデザインのオリジナルTシャツ付属スペシャルBOX仕様。Tシャツ屋さん商法は初となる。
初回盤は2020年9月16日大さん橋ホールで行われた「DEEN
Summer Resort Live〜7th wave〜」の模様を収録したライブBlu-ray付、スペシャル紙ジャケット仕様。この紙ジャケは『クロール』初回盤、『バタフライ』初回盤Aと同じタイプのものとなっている。
通常盤は11曲目に「夢で逢えたら with
paris match」を追加収録。「夢で逢えたら」は02年に原田知世とのデュエットでカバーして『和音』に収録、DEEN&原田知世名義でシングルカットもしていたが今作では2度目の新たなカバーとなっている。今回は09年のシングル『negai』以降何度か共演しているparis
matchとのコラボでメンバーの杉山洋介がアレンジ、デュエットボーカルでミズノマリが参加している。
アナログ盤は3年後の2024年2月に発売(『DEEN The Best DX 〜Basic to Respect〜』アナログ盤の2週間後で発売告知は同時だった)。2枚組仕様で全11曲をDISC-1のA,B面、DISC-2のA面に4曲ずつ収録して余った最後の1曲には『DEEN The Best DX 〜Basic to Respect〜』に収録されていた「スタンダード・ナンバー」(南佳孝)を追加収録、DISC-2のB面には『TWILIGHT IN CITY 〜for lovers only〜』初回盤・通常盤・FC盤・配信版に別々に追加収録していた今作収録曲のライブ音源4曲をまとめて収録した内容に変更されている。「夢で逢えたら with paris match」含む全11曲+「スタンダード・ナンバー」(南佳孝)+「悲しみがとまらない Live at Zepp DiverCity Tokyo」「埠頭を渡る風 Live at Zepp DiverCity Tokyo」「プラスティック・ラブ Live at Zepp DiverCity Tokyo」「君は1000% Live at Zepp DiverCity Tokyo」となる
大平勉は02〜04年のAOR時代にメインアレンジャーとして参加していてシティポップ系のこういうオシャレな感じのアレンジもいかにも得意そうで納得の人選。小川清邦というのはDEENには初めて表記された名前だが以前のサポートドラマーHIDEが所属しているバンドcan/gooのベース(2016年脱退)のKIYOの本名(HIDEが2013年のブログで「小川清邦」というタイトルのブログを上げながら本文ではキヨと書いている)。KIYO名義でHIDEと共に02年の「今日の日はさようなら」でベースで初参加、05年の「このまま君だけを奪い去りたい」のセルフカバーでもベースを弾いていたのはKIYOであった。するなどDEENとは過去に関わりがあり久々の参加となった。
そしてメインで6曲担当しているのは侑音。田川伸治の後を引き継ぎサポートギターとして起用されると、通常のバンドアレンジ、ギター入ってないピアノストリングスだけの『Ballads in Love』、打ち込みデジロックの「そばにいるだけで」、そしてシティポップの今作と方向性に関係なく全部お任せ状態となっている。適応力が凄すぎる。
選曲は世代じゃないと全く知らない曲ばかりになってくるところはあるが、ある程度は再評価されながら今でも愛聴されている有名どころばかりのド王道となっているようだ。メンバーは10歳前後から10代までに該当しているので当時好きで聞きにいっていたというより単純に10代の頃のヒット曲として耳に入っていたという程度の認識だった曲が多いようだ。YouTubeの番宣トークでバラしていたが基本的にスタッフ推薦中心でよく知らない曲もあった模様。YouTubeの番宣トークでは池森さんが「プラスティック・ラブ」は知らなかったような事を言っていて、竹内まりやの「駅」とか「元気を出して」とか有名な曲のゆったりしたイメージと違って意外だったとか語っていたのでけっこう認識がズレていて驚いた。「プラスティック・ラブ」って竹内まりやの割と上位に来る代表曲じゃないのか…。
演奏も「RIDE ON TIME」のみギター・ベースが違う人(ベースはアレンジャーの小川清邦がそのまま担当)ながら、基本は2人になって以降の新バンドメンバーによるバンド演奏。ストリングスは使わずホーンセクションを招き、チャッカチャッカしたギターが刻まれてグルーヴィーなリズム隊、頻繁に彩ってくるホーンアレンジという物凄くざっくり書けばそんな感じの都会的でオシャレな感じのサウンド、現在定義されているシティポップの何となくイメージされるど真ん中を突いたような作風といった印象。とにかく聞き心地がいい。適宜新しい解釈でのアレンジも入れているがどうしてこうなったというようなアレンジはなく、徹底してシティポップっぽいイメージを貫いている安心安定のシティポップカバーアルバム。DEEN流にカバーとかそういう感じは正直ないが、これは実際アレンジも全部外部でカバー曲となればDEEN要素はほぼボーカルのみになってくるわけでそりゃいつものDEENっぽい印象にはならないよねっていう。元々の曲の良さと外さないアレンジの良さもあって非常に好印象な1作。
通常盤のみ収録の「夢で逢えたら with paris match」はDEEN&原田知世でカバーした際のシングルC/Wのみに収録していたafternoon cafe styleに近いボサノヴァ風。明らかに本編10曲のシティポップとは違うというかいや普通にボサノヴァですよね?という状態で浮いている。原曲自体がそもそも男女デュエットの曲でもないのに何故2度目も女性ボーカルとのデュエットにしてパート分けも原田知世の時と同じでアレンジも重複するようなカバーをしたのか謎。しかもDEENアレンジでそうしたのではなくparis match側のアレンジになっているのでparis matchがカバーやるのでゲストボーカルで池森さんが呼ばれたらこうなったという音源なら分かるんだけど…。デュエット相手の声質含めて当時の池森&原田のコンビの方が癒し系で良かった。
一方で気になるのが『Ballads in Love』に続いて今回もメンバーがアレンジにも完全不参加。初期の提供ヒット中心の頃も自作はあったし、過去のカバーアルバムでもアレンジは自分たちでやっていたため、作詞作曲編曲に一切メンバー表記が無いのはアルバム通算33作目にして初である。2人になってから山根さんのクレジットからプログラミングも消えてしまったのでアレンジは本当に丸投げしているっぽい。ただ本当に何もしてないわけではなくいつもはやっててもそんなに強調していない山根さんのコーラスアレンジを今回はガッツリ表記。実際にいつも以上にコーラスを入れまくって力を入れたと語っており、コーラスが目立つようにはなっている。
外部に任せるのは大いに歓迎なんだけどアレンジ丸投げは極端すぎるというか…。率直に侑音になんでもかんでもやらせすぎていて負担が大きすぎるし、田川脱退でアレンジの要を失ったダメージが大きくけっこうギリギリの制作状況なのかなと色々な側面でちょっと心配になってくる。単に新しい空気を入れようという事でやれるけどあえて任せているならいいけど、いつの間にか池森さんが作曲しない事になってて10年経つし、今回も編曲という手札が減っていく事になるなら寂しいなぁ…。
初回盤Blu-ray付 完全生産限定盤Tシャツ付 通常盤(1曲追加) アナログ盤
印象度★★★★☆
2021.3.14更新