Beautiful Dreamer Diary

ウチの娘は、彼氏が出来ない!! 全10話

日本テレビ「水曜ドラマ」(22時)枠。

菅野美穂単独主演扱いで、2番手が浜辺美波。

[Alexandros]ボーカル川上洋平が彼氏候補のレギュラー出演者として普通に本格役者デビューしている。
また沢村一樹はフジテレビの全く同じ時間帯のバラエティ『突然ですが占ってもいいですか?』レギュラー出演者のため、裏被りしており、今作放送期間中はレギュラーから一時外れて今作に出演。

1話

シングルマザーとして空(浜辺美波)を育てながらかつて恋愛小説家として大ブレイクした水無瀬碧(菅野美穂)はタワマンで豪華な母娘暮らしをしていたが、空は恋愛に興味が無いオタク大学生となったのが悩みの種となっていた。しかしそれ以上に新機軸で連載を開始したミステリー小説がシーズン1でまさかの不人気打ち切り。他の出版社からも続々契約を切られてしまう。恋愛から遠ざかって久しいためかつてのような恋愛小説も書けず、生活の危機に陥る中、親子喧嘩の果てに空は自分が恋愛をするからそれをネタにして小説を書けばいいと提案。喜ぶ蒼だったが、四十肩の治療で訪れた整骨院で蒼の小説のファンでもある若手イケメン渉(東啓介)に一目ぼれ。この前に空が転んだのを助けており、まさかの親子イケメン争奪戦が開幕して次回へ続く。

北川悦吏子が脚本という事でいかにもな感じはあったけど、そういえばこの人のドラマを見るのは実質『オレンジデイズ』以来だ。もう還暦間近(今年60歳)、90年代に恋愛ドラマをヒットさせて脚本家のヒットメイカーとして野島伸司なんかと並んで名前が売れた人でもあるけど、水無瀬碧の設定と境遇が少し被るような…。2018年の朝ドラ『半分、青い。』を除くと北川悦吏子が脚本で話題になってヒットしたのってまさに04年の『オレンジデイズ』辺りが最後だったけど、ちょうど水無瀬碧はその頃の年齢と近い。その前の02年の月9『空から降る一億の星』をサスペンス的な内容にしたらかなり微妙な内容になってしまったというのも恋愛の神様と称されて絶頂期だった後の流れとしてトレースされているし、『オレンジデイズ』の頃には北川悦吏子はもう古臭いとか90年代のまま止まってるとか若者ぶるの限界だとか酷評されるようになっていたのをけっこう目にするようになった時期だった。これは当時の境遇を思い出して水無瀬碧を設定しているかのような…。『オレンジデイズ』もその象徴で当時同世代の大学生だった視点からすると“想像の世界の理想の大学生活”を絵に描いたような設定が目立って全くリアルタイム感が無かった。しかし当時の高校生以下には『オレンジデイズ』は非常にウケが良かった。ここ10年くらいは若手俳優とかのインタビューで大学生を過ぎた当時の高校生以下世代が”『オレンジデイズ』が好きであのような大学生活にあこがれていたけど現実にあんな大学生活は送れなかった”みたいなことを言っていたりするのもお約束。

世間知らずな母と常識(だけどオタク)な娘、メタ台詞を連発して画面の視聴者に話しかけたりツッコミを入れる手法とからしくないようなギャグも繰り出してテンションは高いんだけど、オタク設定のテンプレっぷり、大体こんな感じが世間が思うオタクだろうみたいな人物像とか、メタツッコミギャグ入れれば面白いだろう、とかなんかこうすればいいだろうみたいなのが透けて見えてしまうようでやはりもうちょっとこういう軽いノリは厳しい感じが…。

恋をしないと話が始まらないとはいえ、母親が恋愛小説ネタ思い浮かばないなら私が恋をする!という発想に至るのも全く意味が分からない。いくら友達感覚の母娘だからって逐一母親に恋の進展具合と詳細な自身の心の揺れ動きを報告するつもりなのだろうか。

沢村一樹が菅野美穂の幼馴染設定もちょっと驚いた。沢村一樹がどういうわけか30代後半辺りから若々しいままなので2人が並んでの違和感はないが実年齢が実は10歳離れている。作中では“少し年上”と言及があり子供時代の回想では3,4歳くらい離れていそうな感じで描写していたが、母娘以外は年齢設定を出していない。碧44歳なので47くらいのつもりなのだろうか。幼馴染設定の役で10歳も離れているのに裏番組被りを一時降板させてまで沢村一樹じゃないといけない理由があったのか気になる。当然好待遇(碧の相手としてゴールイン)なんだよな…?

2話

母娘で知らずに渉(東啓介)に恋を…という締めで母娘の恋愛バトルが繰り広げられるかのように煽っていたが予告詐欺炸裂で開始数分で44歳なのに五十肩扱いされた碧は恋心が冷めたと言い出す。また若い整体師と40代女性の恋をネタに小説を書くという構想もぶち上げていたが速攻破棄。真面目に考えていた編集の漱石(川上洋平)がかわいそうになるレベル。ていうか実体験しないと書けないのかこの人。どう考えても設定上、小説家キャリアの大半は空の育児と執筆に追われていて奔放に恋愛している暇など無かったように思うんだけど…。

その後は再度渉と遭遇した空がデートを約束して、協力を依頼された事もありオタクの娘の初デートを心配しつつ作戦を考えるのに浮かれて全く仕事しない碧。いや本当にこの年までよく小説家やってこれたなこの人…。

空を面白がって何かと絡んでくるようになった同じゼミの光(岡田健史)は実は隠れオタクで変装してコミケに行っている時に空を見かけたという。さらに漫画原作をやるから絵の上手い空に作画をやってほしいと頼んでくるが空は拒否。

その過程よりも2人の間で繰り広げたオタク像の定義で決定的に脚本家北川悦吏子がもう感覚も初老の領域なのを晒しまくってしまったと思う。どうもこのドラマの世界観ではさわやか健全なイメージを崩したくないからと光が隠す理由を語ったりするようにオタクは隠すべき趣味であり、隠していないと恋愛はできない、概念は漫画アニメゲーム全般に及ぶようでこの辺りであまりに雑すぎないかとは思っていたが、分かりやすく言うところの『電車男』辺りのイメージのまま止まってしまっているようだ。

しかも下手に具体例を出しまくっているのがちょっと調べて使ってみました感全開で、陽キャがカラオケで歌うのは米津と髭男、アニソン縛りで歌いたいのにと光が言い出したり、後のシーンでは空がジャパリパーク歌えばいいじゃんと言い出したりとなんか本当になんも分かって無さそうな感じ。米津ってニコニコ動画出身でこのドラマが定義するオタクの中核から出てきたシンガーでしょ!というツッコミを入れるべきところでツッコミが入らずにジャパリパークて…。このドラマの世界観ではオタクはみんなジャパリパークを歌いたいのだろうか。髭男だって「イエスタデイ」はアニメ映画の主題歌でしかも浜辺美波・福原遥が揃って声優やってたので得意のメタネタぶち込みできたし、せめてみんな知ってる鬼滅LiSA辺りにできなかったのかここの台詞。

『空から降る一億の星』と『オレンジデイズ』でもうちょっときついな脚本家北川悦吏子…と思ったけど還暦前でますます悪化していた…。しっかり時代捉えてますよ感を全力で出してきて古い定義付で始めちゃったり、付け焼刃の知識とメタネタぶち込みまくってもうしっちゃかめっちゃかじゃないか。キャストの良さだけでどこまで見続けられるだろうか。

3話

渉との初デートに出かけた空だったが、冒頭いきなり鼻毛を発見してそのままショックを受けて終了。鼻毛しか覚えてなくて幻滅したと碧に報告している場面に飛んでしまい、なんと開始から2話連続で最後に引っ張ったエピソードを次回冒頭でへし折るという超展開。しかも実は付け鼻毛だった事が早めに判明、空がそれを知ったのは3話ラストで改めて真意を聞きにいって続くになってしまった。

その後特にこれといった物語の動きはなく、光の家の闇(光以外が医師のエリート一家で肩身が狭い)と光が付き合っていると思っていた同郷の遊び人年上女性が金持ちと本格恋愛を始めるのでフラれた、お見合いをするというゴンちゃん(沢村一樹)に結婚辞めればと言ったらマジトーンで碧がフラれる、沙織(福原遥)がゴンちゃんの父俊一郎(中村雅俊)と謎に交流を深める…とか登場人物の掘り下げはあったけどう~ん…。

でも良く考えらたらドラマタイトルがタイトルだけに空が本格的に彼氏が出来てしまうとタイトルが速攻嘘になってしまうので終盤まではのらりくらり、碧もうまくいかない…というので延々引っ張る事になるのか。

4話

碧の遥か昔の小説『私を忘れないでくれ』が大人気バンド「サイレントナイフ」の悠人(赤楚衛二)主演、指名で映画化される事になるが、態度のデカい悠人は碧のファンだと言いながら自分が死んだ方がウケがいいとしてナオコが死んでシュージが生きるという男女の設定を逆にして『僕を忘れないでくれ』に変更することを一方的に要求。当然断固拒否したいが前作が打ち切りで新作の構想すら出さないままの碧に拒否権は無く、編集長(有田哲平)からはこの話を無条件で受けないと新作小説も出せないと事実上の脅しを喰らってしまう。

担当の漱石は知らされていなかったのでなんとか納得できる道を探そうとするが、ナオコが死んでシュージが生きる物語だと駄々をこねる碧。それにしても文句言っているだけで全然仕事しねーなこの人…

その後、漱石はさらに悠人の改変要求が死んだシュージが冷凍保存で30年後の生き返り、ナオコの娘と結ばれてハッピーエンドというトンデモ展開になったと聞いて憤慨。改変脚本を担当しているはずの脚本家に事態改善の提案を行いに向かうもこいつはスタッフに代筆させている横暴クズ野郎でクズな主張を延々繰り広げる始末。誰がモデルになっているのだろう

漱石は悠人への直接抗議に向かうも悠人が主演主題歌用に書き下ろした新曲が社長により勝手に外部アレンジ発注されてしまい悠人の意図しないアレンジになってしまった。社長は拾ってやった恩義を盾に悠人の抗議をスルーするというこれまた横暴野郎で(実は売上が落ちてきていたらしい)、自身の作品を勝手に変えられたことで漱石の訴えが響いた悠人は同じクリエイターとして碧の心情に共感。フリーター時代にファンだったのは本当で漱石を通じて碧に謝罪。

そして一転して原作通りにしないと主演を降りると宣言するのだった。ていうかソロじゃなくて「サイレントナイフ」っていうバンドなのにアレンジ完全外部発注されるっておい…。しかも有名プロデューサーにアレンジさせたという内容は悠人曰くこんな薄い電子音まみれのアレンジにされたら曲が死ぬというもので、悠人がその後流していた自身のアレンジは普通のバンドアレンジだった。これは北川さんが昨今の電子音まみれのバンドがお好きではない?そういえば主題歌の家入レオも今回はフルバンド編成で電子音にまみれてないぞ…。

ていうかこの『私を忘れないでくれ』って北川悦吏子の『ビューティフルライフ』のセルフパロディだよな…?女の方は名前が変わっているものの男の名前シュージをわざわざ一致させてこれはシュージが生きる話なんだと主張するとか、自身最大のヒットドラマをもし男女入れ変えるとか言われたら?のIFをやっているみたいだった。

一方で付け鼻毛野郎だった渉は後日に空を呼び出して忘れられない人がいるから嫌われたかったと理由を話して余計に空を憤慨させる。さらに後日、光が間に入って理由を聞いたところ忘れられない人とは小学3年生の時の転校しちゃった初恋の人だったと判明。両親が亡くなったため家族とみて結婚の約束をしたが転校して消息不明になったとのことで、これを聞いた空はドン引きするどころか感銘を受けて再デートを申し込む。そんな姿を見た光は未羽への未練を断ち切るのだった。

5話

なんかあんまりやることが無いのか展開はダラダラ。沙織(福原遥)がゴンちゃんの父俊一郎(中村雅俊)とまさかのカップル成立で漱石がフラれてしまい、高熱でフラフラしている時に正式にお別れを言われた漱石はショックで高熱なのに夜の街を車で疾走してフラついて交通事故(次回へ続く)。

空は渉とやり直しデートをするが途中で腹痛を起こし、何故か渉のマッサージ術で回復するという謎展開に。

とメインのはずのラブストーリーは相変わらずののらりくらり。書けない書けないばかりで全く仕事していなかった碧はいよいよ新作構想の期限を設けられてしまい(前回の映画は原作通りに進行するらしい)、それでも書けない書けないと本格的に終わっている状態だったがゴンちゃんに空の事を、親娘の愛を書けばいいとアドバイスされてようやく空を題材にした親と娘の物語の構想を高速執筆。この後の展開も合わせて肝心なところは隠されていてドラマが始まってからは昔はヒットメイカーだったという説明以外はグータラしているだけなので碧のこれまでの積み重ねが全く見えない展開はしんどい。

光が原作で、空が作画を手掛ける漫画の構想も進んでいてキャラ設定を決める際の血液型決めで何気なく空が告げた母はO型、自分はAB型という話、その場ではさらっと流していたが帰宅して改めて思い出した光は「O型からAB型生まれなくね?」と実の親子じゃありませんでした展開を示唆して次回へ続く。ここまで来て親子じゃありませんでした展開でドタバタして最終的に血の繋がりよりも絆みたいな展開で中盤の話数稼ぐとかいくらなんでもネタ切れしすぎ。

6話

漱石は事故未遂で碧とのドタバタぎこちないやり取りで最初の20分ほどを浪費。加えて碧と空の知る前の最後の親娘の仲の良さでさらに時間稼ぎのようなやり取りが続く。

気づいたきっかけは結局は光からではなく、改めて登場人物の血液型設定を考えていた空が調べたところ、O型からAB型は生まれないと知ってしまったというもの。光は疑問を抱いたのでゴンちゃんと俊一郎にそれとなく血液型の話を聞きに行ったが、基本的に空の意思を尊重する形で寄り添うのに徹した。もう完全に空一筋になっているが、空は全く気付かずに渉とのデートの話をしたり、家に押しかけたりとある意味で都合のいい友人として利用しまくっていて無自覚だけに何とも光が切ない。

ゴンちゃんと俊一郎は事情を知っており、光とのやり取りから緊急事態だと察して碧の元に駆けつけて緊急会議を繰り広げるが最終的にもうごまかしようがなく、光が寄り添うので任せてくれというので任せる事に。

そんなこんなで半分以上は空と光だけで血の繋がりが無い事を知るまでと知ってからのショックを非常にご丁寧に描いてようやく帰宅して事情を聞き出そうとしたところで肝心の事情説明は全部次回へ丸投げして次回へ続く。稼いでんなぁ…とにかく話数稼いでんなぁ

『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』というタイトルのドラマで一応初彼氏である渉が完全に蚊帳の外というのが今回はかなり露骨だった。”知る前”である前半も渉は空が光にデートの内容を話すだけで本人は一切登場せずにデートシーンも一切描かれず、”知った後”にデートがあったのにほぼ描かれずに渉の出番は1カットのみでいつもと様子が違う事を渉が気に掛けるが空はつれない態度で今日はもう帰ると言ってその後光の家へ行ってしまう始末。このあんまりな扱い、もう渉は一思いに退場させてやってくれ…

7話

帰宅した空は碧に真相を問いただすと碧は自殺をしようと富士の樹海に行った際に樹海で拾ったとトンデモな事を言い出した。ひとまず信じた空は光や沙織には伝えるが相変わらず渉はスルー。段々かわいそうになってきた…。しかし渉は気晴らしのスキューバに出向いていた海で謎の男(豊川悦司)と知り合っていて…。

碧はまだ小説が1文字も書けていないと漱石に報告。しばらく書けないかもと言い出すも、そもそもずっと書けてないだろうと言う漱石がごもっとも。漱石が担当になってからは打ち切りの小説を無理やり完結させただけだしな…。理由として空が実の子ではないのがバレたとあっさりバラす碧だったが、当時から付き合いのあった編集長小西、前担当の松山も知っていたという。

その後、へその緒を発見した空は樹海話に無理があるのではないかと光に相談。光も先日打ち切りになった碧の小説に同じような樹海で拾った下りがあったと告げる(空は漫画しか読まないので碧の小説を一切読んだことがない)。空はまず前提としてあの碧が死のうとするか?という疑問を抱き、光と沙織も同席の上ですべてを知っているであろうゴンちゃんと俊一郎の元へ出向き、2人が言い逃れできないのを見ると嘘を確信。全員で出向いていき碧も観念。しかし漱石も打ち合わせで来ていて沙織と別れて以来の再会になったりと人間関係が錯綜しており、ドタバタコメディ感漂わせながらようやく一ノ瀬風雅(豊川悦司)という空の父親について語り出した。真相説明話なのに話し始めるまで30分も引っ張ったぞ…。

俳優をやっていた風雅と1週間恋に落ちるも風雅は姿を消し、家を探し出して出向くと元カノの鈴(矢田亜希子)が半年前に出ていったきりだと告げる。心臓が弱い鈴は妊娠していて助けた事をきっかけに仲良くなるも、無理をして出産したために空を出産後に亡くなってしまい、生前に何かあったら引き取ると決意した碧が引き取ったという。風雅はこの間にも複数の相手と関係持っていた遊び人だったらしい(鈴曰く半年の間に碧以外にも同様に探しに来た女性が複数訪ねてきたという)。

という事でなんだその勝手な女!?と当然の反応をする空。鈴さんがどんな思いで!と空を初めてぶった碧。これは小説家のくせに鈴さんの思いをちゃんと説明できずになんだその勝手な女としか思えない説明をした碧の説明の問題では。ていうか回想でも生んでいいか悩む鈴をたきつけて自分が引き取るから生むべきだとか深入りしすぎて暴走してたの碧の方だったし、やっぱぶっ飛んでんなこの人。

その後アフターフォローも入りようやく和解した親娘。空はその数々の女を捨てたクズ野郎一ノ瀬何某を殴ってやると決意。空を支えたのは光(と沙織)で丁寧にその様子が描かれたのに対して蚊帳の外が続いた渉だったが、先刻のスキューバで出会った謎の男=風雅であり、この実の父と知り合っていた最強のカードをもって次回ついに出番が!もう舞台装置の役割しか果たせていない。

8話

冒頭から渉が流木オブジェを持って登場。空は不在だったが、碧・ゴンちゃん・俊一郎・沙織が久々に対面。空が全然上の空で何も知らされていないのを自虐する渉に気まずい一行。もう空以外は全員空の相手は光が適任だが肝心の空本人だけが気づいていないという認識でいるため、本当に気まずい。その後、空と対面してようやく母親の話を聞かせてもらえた渉は何も話してくれなかった事を残念がるが、空から見せられた風雅の若い頃の写真を見た渉は海で出会ったあの男=風雅だと気づき、一気に話が進展。会いに行くぞという展開に。はい渉さん役目果たしましたお疲れさまで~す

これまでの無駄な引っ張りが嘘のように開始10分もしないで会いに行く急展開となり、開始10分で対面。風雅は碧を覚えていない様子で(1週間しか付き合ってないので当然だ)当然鈴の事も子供が生まれていた事も知らないと言うが、碧が経緯を説明。

何も覚えてないという風雅だが態度は割と紳士的で丁寧、それでいて自由人な雰囲気もあってあっさりと空と打ち解けていく。さすがトヨエツな存在感というか、これは確かになんかカッコいい。風雅が空と2人になって打ち解けていく展開に持っていくのに碧が「今日締切なのでここで仕事していいか?」と言い出して風雅の家でいきなり執筆し始めるのは強引だった。

前回の初登場時から空について意味深な発言をしていたり、渉に忘れられない人がいると語っていたり、最初の対面時にも意味ありげな表情をしたりとけっこう分かりやすく示唆されていた通り、言葉通りに覚えてない・知らないという事は無さそう。ただ…タイトルに関係ないんだよなぁこの展開。

翌朝謎のコント悪夢の末に目覚めた碧だったが、空は風雅と共にしばらく旅に出ると書置きを残して姿を消していて次回へ続く。

9話

空は風雅と共にしばらく旅に出ると書置きを残して姿を消してしまい碧は心配していたがなんと開始45秒で帰還。一応劇中では4日姿を消していたらしく、沖縄まで遊びに行っていたらしい。風雅も一緒に戻ってきていてしばらく近所に滞在することに。交流を深める中で風雅は鈴を覚えていて空を一目見て鈴と同じ目をしている事に気づいて動揺して覚えていないと言ったと告白。

子供が生まれた事は当然知らなかったと思われたが…鈴の墓参りも済ませて家族のように仲良い感じになるもさらに立て続けに風雅は空の存在を知っていたことが発覚。鈴からの手紙で空が生まれたのを知らされた風雅はやり直そうと返事を出したが断られ、鈴から新しい家族が出来ると嘘を言われたのでそれを信じていたという。

鈴が死ぬまで唯一親身になっていた碧はいつの間にか手紙が往復されていたのを知らなかったが、空の推測では気を遣ったのではないかというのと遊び人の風雅とやり直して碧を置き去りにするより、碧に空を託した方がいいと感じたのではないかと。その後風雅の前に鈴の亡霊(矢田亜希子)が出現して、本人から直接説明(大体空の推測通りだった)。

ゴンちゃんが風雅に対抗心を燃やし始める、漱石がNYが異動が決まる、これでようやく隠していたことが無くなった風雅が碧にやり直しもしくは始めないかと提案するといった碧関係、不良に絡まれてメガネが吹っ飛ばされて破壊され、光が手をつないで自宅まで連れていくという過程で空がようやく光を意識し始める(同時にメガネ無しの空の姿に改めて惚れる光)…ととりあえず最終回に向けて一気に本筋の恋愛フラグを色々立てまくって最終回へ続く。

渉も一応活躍はしていて風雅発見がまず渉きっかけの大手柄だったが、風雅が近所に滞在する事になるように仕事を依頼したのも渉だった。しかしドラマタイトルのはずの空の恋愛展開には最早ほとんど比重は置かれてなくて単なる便利屋で終わりそう。ゴンちゃん・漱石・風雅と母親の方が彼氏候補が3人もいて空はもうほぼ光で確定な空気が漂い(視聴者にもそれしか期待されていない)、渉は最終回既定のフラれ待ちか。

10話

風雅は沖縄で3年ほど流木の仕事(ホテル改装)が見つかったのでついてこないか、漱石もそれを聞いてNYへついてこないかと連続プロポーズされ、モテ期が来たと浮かれる碧。そんな中、最初からゴンちゃんが風雅に敵意を抱いている感じがあったためか、風雅はわざと碧は僕のところについてくるだろう、年の割にはいい女だなどとゴンちゃんを挑発すような言動を繰り返し、ゴンちゃんはブチ切れて殴りかかり、碧と空がどれだけ苦労したかを語りながら感情をぶつける。「嫉妬ですか?」とさらに挑発するとゴンちゃんは「2人はわたせねぇ!」などと言い出すので「あなたのものでもない」という風雅。ついには「あいつら俺が守る!碧と空は俺のもんだ!」とまで口走ってしまう。その場にいた漱石は風雅が殴られながら笑顔なのを見てどこかホッとしているようだと感じる。空に話したところによれば自分の罪をちゃんと責められて殴られたのでホッとしたところがあったという。さらにその後、空が風雅に母ちゃんとゴンちゃんがくっつけばいいと思っていると2人のつかず離れずの関係を説明していたため、風雅がわざとやった説は確定し、碧にもそれが伝えられた。風雅曰くゴンちゃんとうまくいけばいいと思っていたが半分以上はやり直せるならやり直したいと思っていた。

ていうかなんだこの超脚本。風雅がわざと挑発しているのは明白な中で、これまで全然その気を見せずに碧に対してものらりくらりしてきたゴンちゃんが見事にノセられて本音をぶちまけるまではいいけど2人は俺のものだ!まで言ってしまうのはサイコすぎる。DVとか平気でやりそうだし、色々いちいち口を出してきては守るためだなんだと正義面しそうだし、2人には暴力を振るわないかもしれないが精神的DVは確実にやりそうで危険人物極まりない。本名じゃなくて「ゴンちゃん」で定着している愛され系キャラだったのに…。

結局漱石には感謝をつげてサヨナラ。俊一郎と沙織は年の差カップルのまま特に何もなくおしまいになったので漱石は結局2人にフラれて孤独に終わるというかわいそうな役回りに。

そして碧は風雅も結局フッてしまい、ゴンちゃんと変わらぬやり取りを続けるだけ。モテ期だのどっちを選ぶだの最終回メインのように引っ張って何も変わらず。

空は渉に正式にお別れをお申込みで序盤で片づけられて出番終了。一応ドラマタイトルの「彼氏」に該当する作中唯一の立場になっていたはずの男だったはずだが…。少しでもフォローしようとしたのか風雅が旅立ちの準備をしている合間に突如として渉がSNSずっと片思いしていたクルミちゃんらしき人物から友達申請を受けているのに気づくというカットがぶち込まれた。良かったね(棒読み)。

空と光が描いていた漫画はついに完成し、ジャンプの新人賞へ応募したところ努力賞を獲得。空が渉と正式に別れた事を伝えているシーンは無かったが、光は彼女がいると言っていたのは嘘だといい空が嬉しそうな笑顔を見せたのみでこちらも大きな進展はなく終了。

という事で気がつけば俊一郎と沙織は年の差カップルが安定しているだけで後はのらりくらりで終わった…。

全部終わっての感想

やはり北川悦吏子はもう書きたい事も書けるものも何も残っていないのでは…。タイトル詐欺だったのに始まり、毎回ドタバタドタバタしているだけで各自の関係がほとんど進展せずにのらりくらりしているだけで前半が終わり、後半は実の親子じゃなかった展開でそれどころではなくなり、風雅登場からは風雅がほとんど持っていってしまい、しかし安直に風雅と3人で仲良く終われる設定でもないが、今更ゴンちゃんも動かせないのでゴンちゃんが2人は俺のものだ!と危険思想を激白する超展開となり…としっちゃかめっちゃか。俊一郎と沙織の謎の年の差カップルだけ早期成立安定のまま終わる始末。

風雅は設定上クズだったはずが終始カッコいい人物として描かれていてこれはもう全盛期の北川悦吏子の代表ヒットの1つ『愛していると言ってくれ』主演だった豊川悦司に友情出演で出てもらって最大限生かしたような起用だった。結局空の実父であることに変わりはなく、最後に碧も含めた3人で取った家族写真のような3ショット写真は碧と空の歴代の写真が飾られているリビングの1枚に加えられるなど、ゴンちゃんにはない待遇だった。

明らかにその場しのぎと評判を見ながら話を進めていて(本人が物語序盤頃にまだ後半は決めていないような事をコメントしている)、最も好評だった空と光は比較的丁寧に、しかしそのままくっつけて終わる予定調和は避けてほのめかし程度で終わらせるというひねりを加えてしまうところまで含めて北川劇場だった。さすがにもう今後起用されるのも難しいとは思うがそれでも数少ない脚本家として著名な2,30年前の元ヒットメイカー、また出てくるような事があればよほどキャストが良くない限りは全力で回避した方がいいかもしれない。

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