ユンナ シングルレビュー

K-POPをマスコミ全体がブームとして取り上げまくり、一時的にブームのような状態を巻き起こす前の00年代半ば。「冬のソナタ」などが大流行するも、あくまで中高年女性層を中心にした韓流ブームと呼ばれるムーヴメントが巻き起こっていた中で、J-POPシーンではBoAや東方神起を筆頭に、この時期はKなどもそうだったが、韓国人アーティストたちはJ-POP歌手としてのデビューをしていた。ユンナもその1人だった。K-POPとジャンル分けされた2010年以降はTVに出てくると日本語を習得してはいてもカタコトな韓国アーティストも多いが、ユンナの場合は小学生の頃から日本のドラマに興味を持ち独学で日本語を習得していたらしく、けっこう流暢に喋っていた。デビュー作に関しては恐らく急に決まったと思われ、名前表記が「ユナ」だったり、韓国語でデビューして1ヵ月で日本語で歌い直してもう1回リリースするなどかなりゴタついていたが、年明け05年からはソニーアニメタイアップを駆使してソニーの王道に乗っかっての活動が開始された。

しかし順調だったのは05年だけ。1stアルバムまでは順調で大型タイアップも来ていたが、06年は思ったようなヒットが出せなくなると07年年明けを最後に凍結。06年には韓国でもデビューしたため、韓国メインの活動となり日本では1年2ヶ月も放置された挙句にようやく出たのがまさかのベストアルバム。現在のソニー公式サイトはこのベストアルバムの告知のまま凍結しているが、実はこの告知が出たのはベストアルバム発売からしばらく経過してからの事であり、発売時点では告知すら行われていなかった(1年2ヶ月前の「儚く強く」の宣伝のまま)。

こうして日本での活動は終了になったかと思われたが、09年に突如復活。09年にシングル2枚、1年後の10年にアルバム1枚を出したものの、新公式サイトのSEOが弱く、検索しても引っかからず、ソニー時代の公式サイトがトップに君臨したままとなるなど活動再開がほとんど周知される事無く、またしても契約終了。サイトごと消滅してしまった。

日本で2度も撤退を余儀なくされ、韓国での活動もあるので今度こそもう帰ってきてはくれないと思っていたが、2014年に再々デビューが決定。今回はそれを記念してこれまでのシングルを振り返る。

なおデビュー当初からピアノを前面に押し出して、PVやTV等でもピアノの弾き語りスタイルが定番だったが、クレジットを良く見ればピアノ演奏を担当した事はほぼ無い。ただし弾けるのは本当であり、末期にはピアノクレジットされた曲や作曲を担当した事もある。

1st ゆびきり
04年9月1日
04年10月20日(日本語version)
月9ドラマ「東京湾景」挿入歌。原作小説には韓国要素は皆無にも関わらず、仲間由紀恵演じる在日韓国人が主人公と設定して韓流色を取り入れるという、おそらく「冬のソナタ」以降の韓流ブームに便乗した謎改変が行われた事により、主題歌挿入歌も韓国人アーティストによる韓国語楽曲が採用された。恐らく05年に向けてデビュー準備をしていたユンナに急遽タイアップの話が舞い込んだものと思われ、2ndシングルまでかなり期間が離れている。このため表記すら安定してなくて「ユナ」と表記されている。またユンナの誕生日は4月であり、とっくに16歳だったにも関わらず「15歳」と誤表記されていた。1ヶ月後にはアレンジそのままに日本語で歌い直して再度発売。この際には年齢が「16歳」に修正され、わざわざPVまで作り直している。かなりゴタゴタした感じがするが、楽曲自体は、16歳にしては大人びたユンナのボーカルの魅力は伝わる普通にいい曲。またK-POPではなく日本人制作なので普通のバンド風スタイルのJ-POPバラードナンバーで韓流色はあまり感じられない。
★★★☆☆
1stアルバム『Go!Younha』(日本語version)
ベスト『
SONGS-teen's collection-』(両バージョン)

ゆびきり  ゆびきり-日本語version-  


2nd ほうき星
05年6月1日
アニメ「BLEACH」ED。激しいピアノと爆音バンドサウンドが炸裂する強烈なピアノロック。乱打されるピアノの音は爆音ロックに呑まれずに響き渡り、まさに流れ星が大量に流れていくような物凄い勢いが痛快な1曲。そこそこの位置にまでチャートインしたこともあり、偶然耳にして1発で持っていかれた(実際聞いたのは次回作発売時)。ピアノロックサイドのユンナの最高峰。アルバムではアレンジはそのままだが何故か音を整理してしまった感じで爆音感が薄れてしまったので何か勢いが無くなった感じがする。ベスト盤付属のDVDには韓国語バージョン(アレンジそのまま)のPVも収録されている。
★★★★★
1stアルバム『Go!Younha』(album mix Version)
ベスト『
SONGS-teen's collection-

ほうき星  


3rd もっとふたりで
05年7月13日
スペースシャワーTVで確かパワープッシュとしてけっこうかかっててそれを聞いて気に入り、そういえば前作も良かったなと思ってここからリアルタイムで聞き始めた。深夜音楽番組のタイアップしかつけなかったらいきなり100位圏外に吹っ飛んで大コケしてしまった…。前作から一転してピアノポップ調でかなりワクワクする曲調。当時、少し前にピアノロックとして売り出していた星村麻衣がピアノでもロックでも無くなってしまったので、彼女に期待していた路線を全部ユンナがやってくれてる!という印象があった。ピアノポップサイドのユンナの最高峰
★★★★★
1stアルバム『Go!Younha
ベスト『
SONGS-teen's collection-

もっとふたりで  


4th タッチ/夢の続き
05年9月7日

タッチ
長澤まさみ、斉藤祥太、斉藤慶太で実写化された映画「タッチ」挿入歌。有名なアニメ版主題歌をそのまま持ってきたが、あくまで挿入歌としての起用で主題歌はYUKIの新曲だった。そのYUKIがかつて在籍していたJUDY AND MARYの恩田快人がプロデュースを担当。80年代アニソンが、現代風のアレンジで蘇った!という感じで、特に原曲に思い入れが無い若い世代ほどすんなり聞けたんじゃないだろうか。個人的にも「タッチ」は作品名しか知らず、この実写化の際に初めてストーリーを把握したくらい原作やアニメには何の思い入れも無く、この曲はかろうじて聞いたことのある"大昔のアニソン"にして年上の世代が妙に懐かしがっているものという印象だった。よってわりとフラットな状態で聞いたんだけど歌詞とメロディーがやっぱなんか昔っぽいなと思うと同時に(おい)、ユンナが歌ってもけっこうサマになってるなと思った。
★★★☆☆
1stアルバム『Go!Younha
ベスト『
SONGS-teen's collection-

夢の続き
同じく挿入歌でこちらはオリジナル曲。「ゆびきり」と同系統のく普通という以上の印象が抱けない普通にいいバラードナンバー。「タッチ」強し!というか、「タッチ」カバーの前じゃ「ほうき星」並の勢いがあるナンバー持ってこないとどんな曲だって霞むしかないだろう。
★★☆☆☆
1stアルバム『Go!Younha』(album version)
ベスト『
SONGS-teen's collection-

タッチ/夢の続き  


5th マイ☆ラバ
05年12月7日
ゲーム版「BLEACH」OP。タイアップがついたので10月にリリースしていた1stアルバムからのシングルカット。よりによってこの曲かよ…と愕然としたのを記憶している。この曲はそうっとしておくか、封印しておくべき曲だったろうと。その答えはサビを聞けば一目瞭然だが、サビがラルクの「DIVE TO BLUE」。キー変えてちょっと音外して歌ったような圧倒的トレース感。1stアルバムも今作もあまりヒットしなかったのでそこまで大きな盗作騒動には発展しなかったのは幸いだったか。しかしあんな有名大ヒット曲のサビメロをほぼ丸パクリして誰も気づかないなんてことはありえない。「DIVE TO BLUE」を知っている人が今作を聞けばほとんど全員が「DIVE TO BLUE」を思い浮かべるレベルの分かりやすさだけに、分かっててやったとしか。なお「DIVE TO BLUE」のパクリなのでイマイチな曲なわけがなく、いい曲だがやはり本家には及ばない。
★★★☆☆
1stアルバム『Go!Younha
ベスト『
SONGS-teen's collection-

マイ☆ラバ  


6th 手をつないで
06年6月7日
アニメ「獣王星」。やけに貫録のあるシリアスなナンバー。前作から半年を経て少し新たなユンナを見せようという感じだったのだろうか。今作以降タイアップが弱まり、一気に低迷してしまったが、個人的には妙にハマった曲だった。打ち込みドラムはいい味出してるような出してないような感じで、なんかもっと生ドラムでドッカンドッカン叩いた方が良かった気はする。
★★★★☆
ベスト『SONGS-teen's collection-

手をつないで  


7th 今が大好き
06年9月6日
アニメ「少女チャングムの夢」OP。今しか出来ないことをしようと歌う10代らしいポジティブ応援歌。気持ちよく響くピアノとギターをメインにしたバンドサウンドが気持ちいい。「今しかできない事」というのは今が過去になった時の方があれも出来たこれも出来た…と思う事の方が多かったりもする。「今」では出来ない事もある。年を重ねるごとに素直に響きにくくなっていくので、簡単なようで難しい曲だ。当時の俺はわりと励みにはなったのを記憶している。ただ今はちょっとこの若さが眩しくなった。日本での活動が実質頓挫を繰り返し、長い年月を経た後のユンナ本人はこの曲をどう思うのだろうか。なおC/W「祈り」はEDタイアップに起用されたためか、ベスト盤にも収録されている。
★★★★☆
ベスト『SONGS-teen's collection-

今が大好き  


8th  儚く強く
07年1月17日
アニメ「牙」OP。結果的にソニー時代のラストシングル。江口亮が作編曲を担当したJ-POP的な爽快ロックナンバー。これまでと違ってピアノは使わずにギター押しなのが特徴。けっこうかっこいい曲だったが、なんとPVすら制作してもらえない始末で、シングルA面1曲目10作の中で今作だけPVが世に出ていない。アニメタイアップは続いていたものの、強力なタイアップ効果を持つアニメがさっぱり回ってこなかったのでヒットも程遠かった。結局1年以上放置された挙句に2枚目にしてもうベスト盤という投げっぷりで日本での活動は1度目の終了を迎える。8枚のシングル、最後まで極端なクオリティ低下も無く、どれもヒット性があっただけにソニー典型アニメパターンに陥ってしまったのは残念。つーかこの時期のソニー新人は大概そうなんだよな。今はスマッシュヒットすら出せないからまだこの頃の方がマシだったのか…。
★★★★☆
ベスト『SONGS-teen's collection-

儚く強く


9th Girl
09年7月22日
GReeeenを手がけていたJINと大塚愛を手がけていたIKOMANによるJIKOMANのサウンドプロデュースでの日本再デビュー作。レコード会社が一気に弱くなったため、せっかく作った新公式サイトは今作発売当時は全く上位表示されない始末。SEO対策くらいしろよ…という状態だったため、今作も全くヒットせず。その後多少改善されて少なくともトップ3くらいには表示されるようになったものの、墓場化しているソニー公式サイトに検索順で最後まで勝てない始末だった。サビのメロディーの広がりがけっこう好きだったんだけど、サビ以外は弱くてあまり印象に残らない着うた仕様楽曲。
★★★☆☆
2ndアルバム『ひとつ空の下

Girl  


10th 好きなんだ
09年11月18日
レンタル追放により、後追いで入手したため、リアルタイムで聞けなかったシングル。前作同様のJIKOMANプロデュースでそれなりにヒット性もあるポップソングだったけど前作より弱いかなという気もする。やはり前作同様にサビ以外が地味でサビだけ妙にキャッチーで勢いがある。着うた全盛時代にGReeeeNを成功させたJINだけに着うた仕様の楽曲制作が得意なのだろうか。この後10ヵ月もかかってなんとか2ndアルバムをリリースできたものの、アルバム曲でJIKOMANは不参加。どうやらこのシングル2作だけの契約だったようだ。またアルバムもさっぱり売れなかったため、2度目の日本撤退となった。
★★★☆☆
2ndアルバム『ひとつ空の下

好きなんだ  

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