君 想ふ〜春夏秋冬〜

※それ以前も配信限定シングルはあったが公式のディスコグラフィーは「SAWAGE☆LIFE」以降をデジタルシングルとして記載しているのでその次である「WE ARE HAPPY WOMEN」を2ndとした。

リリースデータ

倉木麻衣、初のコンセプトアルバム。ミニアルバム形式での作品は初。コナン主題歌を集めたベスト盤『倉木麻衣×名探偵コナン COLLABORATION BEST 21-真実はいつも歌にある!-』から1年ぶり、オリジナルアルバム『Smile』からは1年8ヵ月ぶり。「渡月橋〜君 想ふ〜」の和のテイストや季節感を拡大した春夏秋冬をコンセプトとしているため、コナンベストに収録された「渡月橋〜君 想ふ〜」はそのままリード曲として収録されている。以降にリリースされていた配信シングル4曲を初CD化で収録、新曲を3曲収録している。初回盤は「今宵は夢を見させて」「花言葉」「渡月橋〜君 想ふ〜」のMV3曲を収録したDVD付。CD/DVDの内容は同じだが春夏秋冬それぞれをモチーフにしたジャケットが異なる4種の初回盤が発売されており品番も異なる。通常盤はCDのみ。

まさか久々にヒットしたからといって次の年まで「渡月橋〜君 想ふ〜」で引っ張ってくるとは思わなかった…とまず誰もが思いそうな1作。色々と中途半端なのは否めず、春夏秋冬をコンセプトにしながらも収録された配信シングルはどれも別のテーマで制作されたタイアップソングであり、季節感も当然全くない。たぶん今作の制作が決まってから書いた「花言葉」1曲に「渡月橋〜君 想ふ〜」に続く和風テイストのアレンジ、春夏秋冬の季節が歌詞に全て登場するというこれみよがしにコンセプトを全部詰め込んでいる以外は「真っ赤な傘〜京都の雨〜」が紅葉の季節を盛り込んでいるくらいなので、正直今作に季節感は無く、季語を入れずとも季節が浮かぶみたいな感じもない。

ただ「渡月橋〜君 想ふ〜」がヒットした影響もあってか、『Smile』以前よりもどこかしっとりとした和風なテイストというのを改めて強みにしようとしていたようなところはあったのでそういった何となくな和の雰囲気はミディアム〜バラードになった時に今までよりも漂っていて、さらに「今宵は夢を見させて」はタイアップ先アニメが江戸を舞台にした和風テイストの作品だったので主題歌もそのまま和風なアップテンポになっているので、和のテイストの方がある程度コンセプトっぽくなっている。

割と早い段階で外部作家を取り入れたり、初期のクールなイメージよりも明るい方向性を見せたりと変化はしてきたけど、なかなかこれぞ倉木麻衣という感じはずっと無く、どうしても初期イメージが強かった。「渡月橋〜君 想ふ〜」や今作に関しては初期とは違うんだけどそれでも久々に聞いても倉木麻衣だなと思えるようなしっくり来る感じがあって、非常に聞きやすい。季節のコンセプトは皆無だが、改めてこれぞ倉木麻衣といった装いが今作にはある。

ていうかよく考えたら最初期ってむしろ帰国子女イメージとか海外制作チームとかR&Bで売ってて和風とは真逆な事やっていたわけで、「Time after time〜花舞う街で〜」で京都とか和のテイストはもうやってたわけだけど当時は別にそれを拡大しようとはしなかったわけで、ここに来てこの和風テイストが初期と同等にしっくりくるというのも面白い。「渡月橋〜君 想ふ〜」って正直コナンの映画の舞台がまた京都になって「Time after time〜花舞う街で〜」のテイストで久々にやってみるか程度でそんな狙っていたわけではなかったのがたまたま当たったラッキーパンチだったと思うんだけど、和風テイストは今後年齢を重ねていく上でもとても大きな倉木麻衣の持ち味になるかもしれない。

初回盤DVD付春　　初回盤DVD付夏　　初回盤DVD付秋　　初回盤DVD付冬

通常盤　

印象度★★★★☆

2018.12.25更新

戻る