2022年10月の配信シングル(前編)

2022年10月の配信シングル(前編)

米津玄師はシングルCD発売が決定しているので11月のタイミングで取り上げます。

Endless Symphony/竹達彩奈

2022年10月5日
作詞作曲:沖井礼二、編曲:New Old Stock(沖井礼二&小林俊太郎)。昨年9月のコンセプトベスト(新曲も収録)以来の新作。アーティスト活動10周年記念デジタルシングルと銘打たれ、2012年4月のデビュー作「Sinfonia! Sinfonia!!!」と同じ作家陣となっている。

5周年でベストを出す頃にはリリースが鈍り始め、結局オリジナルアルバムはその前までの3作のまま、2019年30歳と同時に結婚発表も重なって後半5年は今作でようやく10曲目(結婚前のシングルCD2作、配信1曲で5曲+結婚後の配信1作(2曲)、コンセプトベスト新曲2曲と今作の5曲)。今年6月には妊娠を発表しているが産休には突入していないようで今作についての制作陣との対談動画など本人出演の動画もまだまだ公開され続けているものの、今作のMVは新規歌唱映像は無く歌手デビュー以降の歴代映像を駆使したものとなっている。

「Sinfonia! Sinfonia!!!」をかなり意識した10年後の「Sinfonia! Sinfonia!!!」のような楽曲。歌詞やアレンジ面でまさにあの曲の感じというのを意識しているが…10年経って落ち着いた大人な雰囲気を出そうとしたのかメロディーラインがどうにも地味で盛り上がり切らないままに淡々と進んでいきあまり印象に残らない。アレンジはいわゆる沖井節で盛り上がっているんだけどこれはわざとメロディーを落ち着いた雰囲気にしているのか、それとも加齢や妊娠を考慮して低めのメロディーにしたのか、TWEEDEESの活動も停滞気味になっていたここ数年で一気に沖井礼二がちょっと下り坂なのか…。雰囲気はいいんだけど、「Sinfonia! Sinfonia!!!」に寄せた雰囲気にしている分だけ越えられない、越えないにしても別の魅力を打ち出すにも至っていないようなちょっとビミョーな印象にはなってしまった。
★★★☆☆

ゴロワーズを吸ったことがあるかい/さかいゆう feat. Ovall

2022年10月5日
11月30日のカバーアルバム『CITY POP LOVERS』からの先行配信。Amazon Musicでは何故かアルバム枠配信(11月30日『CITY POP LOVERS』内で1曲だけ配信)になっているが、moraのDLやSpoifyなど他のST配信では普通に単曲配信されている模様。

1975年かまやつひろしのカバー。あの有名な吉田拓郎提供曲『我が良き友よ』B面曲。「我が良き友よ」は完全提供曲で自分のイメージに合わないとしてあまり気に入ってなかったようでB面は好きにやらせてくれと言って作られた曲とされる。ただし好きにやらせてくれと言ったものの曲など無く、来日していたタワー・オブ・タワーにバック演奏を依頼したところ快諾されたもののレコーディング直前まで曲が無く、それっぽいコード進行だけ渡して演奏してもらうというかなり突貫工事で作られた曲で評価も低かったが後年になって名曲として評価されるようになり、代表曲へと成長したとかなんとか…。

正直「我が良き友よ」しか知らなかったんだけど、これまでに複数カバーされており、2009年に本人の70歳記念で代表曲のセルフカバーを1曲ごとにゲストを招いてカバーした『1939~MONSIEUR』12曲のうちの1曲に選出されていてDef TechのMicroをゲストにセルフカバーしていたらしい(オリジナルは収録されたアルバム『あゝ我が良き友よ』がかろうじてST配信されているが、これ以外ほとんど未配信のまま放置されていてセルフカバーのST配信は無い)。

なかなかクセの強い曲だが不思議な魅力はあり、さかいゆうのアレンジ力も冴え渡りけっこう印象に残るカバーだ。
★★★☆☆

Subtitle/Official髭男dism

2022年10月12日
ドラマ『silent』主題歌。打ち込みっぽさとバンドが融合したようなOfficial髭男dism特有な斬新で攻めつつも一定のポップさもある高度な感じの楽曲。米津・髭男スゲーな流れはまだ続きそうだが、乗り遅れたまま弾き飛ばされてそろそろ置いて行かれ、いや老いて枯れそうである。サブスク導入してなかったらDLして聞く事はないだろうし、このタイミングで聞く事も無かっただろうしな…。
★★★☆☆

ALIVE(LycoReco Version)/ClariS

2022年10月12日
目下ヒット中のシングル曲だが、アニメ「リコリス・リコイル」最終話のために新たに制作された別バージョンらしい。2分45秒というアニメ主題歌としては長い(大体OP/EDだと1分半程度)が、オリジナルよりは短く最終回が特別編成で既定の枠外から流れていたという事だろうか。シンフォニックなアレンジから後半にかけて盛り上がっていくというもので原曲アレンジとはだいぶ違う。物語のクライマックスが盛り上がりそうではある。
★★★☆☆

愛のせい/大原櫻子

2022年10月12日
3ヶ月連続配信第2弾。前作同様に作詞は元ねごとの蒼山幸子、作編曲は小名川高弘。まさかの制作陣同じ。前作同様に落ち着いたラブソング路線。やはり今回のアルバムに向けてはこの落ち着いた大人路線へのシフトなのか。
★★★☆☆

海になりたい part.3/Base Ball Bear

2022年10月12日
アルバム『DIARY KEY』から1年ぶりの新曲。part.3となっているが、2005年のインディーズ時代のアルバム『HIGH COLOR TIMES』収録曲「海になりたい」、2009年の3rdアルバム『(WHAT IS THE)LOVE & POP?』収録曲「海になりたいpart.2」が過去に存在する。ただ無印とpart.2にこれといった繋がりは無く、今回も無さそうだが、締め以外でも「海になりたい」というフレーズが出てくる事と締めのフレーズが3曲とも「海になりたい」である点は共通している。

王道っぽいシンプルなロックナンバー。バンドの制作集団化が著しい昨今でアジカンなんかもそうだけど変わらぬ方向性を貫いているという安心感は確実にある。
★★★☆☆

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