ポルノグラフィティ全書〜ALL TIME SINGLES〜

リリースデータ

メンバー

ポルノグラフィティ6thベストアルバム。『暁』から2年1ヶ月ぶり。2013年の『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary"ALL TIME SINGLES"』以来となるベストアルバム。デビュー15周年を1年前倒した前ベスト時と異なり、今作は1999年9月8日のデビューから25周年に合わせたタイミングでリリースされた。前ベストとタイトルが重複しており、前ベスト同様に全シングル表題曲をリリース順に収録。過去5作のベストには必ず新曲が1曲収録されてきたが今回初めて新曲が無い。「アビが鳴く」「解放区」がアルバム初収録。特にリマスターを宣伝してはいないが、Randy MerrillがマスタリングにクレジットされているのでRandy Merrillによるリマスターと思われる。DISC-1(1st〜14th)で脱退したTamaもメンバークレジット直下にきちんと表記された。

初回盤AはライブBlu-ray『19thライヴサーキット “PG wasn't built in a day” Live at TOKYO ARIAKE ARENA 2024』付属。
初回盤Bは同ライブDVD付属。DVDは2枚に分割されている。
通常盤はCDのみ。
ライブ映像作品『19thライヴサーキット “PG wasn't built in a day” Live at TOKYO ARIAKE ARENA 2024』は単独Blu-ray、DVDとしても同時発売。
3種全てに全シングルの発売当時のインタビュー記事を抜粋した分厚い冊子が付属する。これに伴い通常盤でもトールケース仕様のCDに冊子を重ねた分厚いパッケージになっていて6000円と高額アイテム化しており、単独発売されるライブBlu-ray/DVDが付属する初回盤はAが15000円、Bが14000円と超高額化した。歌詞の記載はなく、QRコードが代わりに記載され、Web上で歌詞を見れる仕様。

『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary"ALL TIME SINGLES"』同様にリリース順にシングルを並べただけのため「ひとひら」をカットしてその後のシングルを追加したという拡大版的な内容となり、"ALL TIME SINGLES"というタイトルも重複する事態となった。特にDISC1,2は丸被りしているため、データベースでは今作が表示されず『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary"ALL TIME SINGLES"』が表示されてしまったりも…。DISC-3の13曲目「東京デスティニー」までが丸被りで、14曲目「俺たちのセレブレーション」以降が続きとなる。

よってDISC-3の13曲目「東京デスティニー」までの感想は『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary"ALL TIME SINGLES"』と同じにしかならない。一応国内エンジニアによるリマスターだった前回からRandy Merrillによるリマスターという新しくなった部分はあるが…。DISC-3の時期はさすがに常に名曲連発というほどの勢いではなくなってきたものの、完全に勢いが無くなりマンネリ化してしまったak.hommaを離れて新たなアレンジャーと組んだことで新鮮さが戻り、「ワンモアタイム」「2012Spark」などak.homma末期を越えていく勢いも見せていたが、その後再度イマヒトツパッとしない時期が続いていた印象。前ベストではそこに渾身の新曲「ひとひら」があったものの、「俺たちのセレブレーション」「ワン・ウーマン・ショー〜甘い幻〜」と続く流れ「青春花道」「東京デスティニー」の歌謡路線から引き続きの試行錯誤を感じさせる。

DISC-4の時期では久々にラテン路線で挑んだ「オー！リバル」がコナン映画主題歌で久々に外にも聞かれるヒット曲になった(紅白落選からのTV出演も減ってきて売上にも出ていないが、いつもより好評が飛び交っていた記憶)。リースペースがかなりゆったりになったり、ついにCDリリースから配信シングルに移行(シングル枚数カウントは継続)するようになったりしつつ、打ち込みを生かした曲が増えたり、ちょっとここのところパッとしないなと思った頃に目が覚めるようなストレートな1発が来たりして(ここだと「テーマソング」「解放区」辺りは強い)、まだまだこの先も期待できる…はずだったが、今回ベスト盤で初めて新曲の収録が無く、これからを示すものがないのは気になるところ。総括というよりも『全書』って完結のようなタイトルや商品構成だしなぁ…。

ブックレットは歴代のインタビュー記事を集めた分厚い冊子となっているが、作詞作曲編曲と巻末スタッフクレジットのみで歌詞の掲載が無い。歌詞はURLとQRコードが表記されていてWebサイトで閲覧する仕様になっているが、演奏クレジットは完全カットになってしまった。この歌詞掲載サイトでは「オー！リバル」のアレンジャーがak.hommaに誤植されていたりも…。『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary"ALL TIME SINGLES"』の歌詞ブックレットには1曲ごとの演奏クレジットがあったのでこの点で情報としてはグレードダウンしたといえる。また巻末のスタッフクレジット部分では通常盤にも初回盤のライブ映像『19thライヴサーキット “PG wasn't built in a day” Live at TOKYO ARIAKE ARENA 2024』のクレジットが消されておらずライブサポートメンバーがクレジットされたままになっていて、初回と通常で印刷データを分けなかったようだが、そのくらいはちゃんとチェックしてほしい。

というわけで分厚い冊子はシングル1作ごとに当時のインタビュー記事+「Winding Road」まではほとんどの曲で田村充義による当時のライナーノーツの羅列という資料集に特化した内容。一応全曲にメンバー直筆の今作書き下ろしの付箋コメントも併記されている。しかし本当に一言だけで抽象的で意図が分からないコメントもあるし、何より2人とも字が汚くて判読困難で特に新藤晴一の文字は判読困難どころか判読不可能な部分がある。過去記事はたたでさえ小さい雑誌記事を雑誌より小さな冊子にコピーしているので極小で読みにくい(25年もやってるんだから老眼入り始めたファンも多いだろうに…)し、収録されていないC/Wについて語っている部分もそのまま。田村充義による各シングルの制作総括のようなまとめ文は何故か「Winding Road」までで完全に途絶えてしまい、「リンク」以降は完全にインタビュー記事+付箋コメントだけになってしまう。さらにはDISC-3のラスト4曲は4連続でインタビューを受けていなかったのかジャケ写アー写のイメージ図+付箋コメントだけで処理されてしまう。

過去記事はシングル全体のものなのでC/Wへの言及も多い。表題曲しか収録してないあくまでベストアルバムの体裁である今作とは少しばかりズレていてシングルBOXみたいな企画なら最適だったのかもしれないが…。「ラック」に当時のインタビュー記事が無いのは残念だが(田村ライナーしかない)、現在の新藤コメントが"「ビタースイート」やこれやこういう曲ばかりやるバンドになりたかったな"という意味深なものになっているのは気になる。

全書とまで大それたタイトルにしたわりにはアイデアだけで満足してしまったのか実にビミョーな内容でこれならアジカンスタイルでメンバーが振り返る対談形式の方がよかった。過去インタビュー記事の羅列はGLAYのアンソロジーシリーズのブックレットに近いやり方だが、通常盤でもイマドキなかなかない6000円の高額設定なだけに歌詞をWeb送りにした挙句に演奏クレジットをカットしてしまうとは思わずとても残念。歌詞ブックレットだってディスク収納だけで空白のあるトールケースの方になんとか収納できたんじゃないのか…？

永久保存版になりうる1作だったが、前ベストと重複が多いのにアイデアが練り切れずに生焼けのまま出してしまった感じ。歴代インタビューを載せよう！→イイね！！だけで満足してしまったのではないか。結果こんなパッケージで新曲も無いし、歌詞も無いし、全書は読みにくいわでRandy Merrillによるリマスターというのが今作最大の価値となるが、それだけならサブスクで聞けば十分だったな…というのが正直なところ。

初回盤ライブBlu-ray付　　初回盤ライブDVD付　　通常盤　 ライブBlu-ray単品　　ライブDVD単品

印象度★★★☆☆

2024.11.2更新

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