新作シングル感想

ONE TIMES ONE/コブクロ

2018年4月11日
初登場2位 売上5.5万枚
初登場17位 売上0.4万DL
通常盤

C/W2曲は3月から先行配信されていた。初CD化。

初回盤はライブ音源5曲を追加収録(4~8に追加し、9~11に1~3のInstrumentalをスライド)。

1.ONE TIMES ONE

Orchestration Arrangement:小渕健太郎、笹路正徳総勢40名を超えるストリングス、ホーン隊を導入した超豪華絢爛な行進曲風のナンバー。00年代半ばから10年代序盤頃までJ-POPストリングスブームを引っ張ったアレンジャーもさすがにストリングス乱用を控えるようになったり、最近のロックバンドはストリングス使いすぎと警鐘を鳴らして使わないと宣言するバンドが現れたり、ストリングスを得意としていたアレンジャーを切ったり、四天王のうち3人使ってたグループが放牧したりと色々あったため、現在J-POPストリングス多用のピークは確かに去ったというのが個人的な認識としてある。コブクロだけがストリングスに対して変わらぬ姿勢を貫いている状況となってきている。そんな中で国際的な祭典でも行われるのかというほどのこの派手さ。

そもそもコブクロは初の2人だけのアリーナツアーを先に発表しており、必然的に小渕のアコースティックギター伴奏のみの弾き語りスタイルが予想される中で、こんなアレンジにしてしまうのだから凄い。インタビューによれば黒田も2人だけでツアー回るのにこんなアレンジにしてどうするんだと思っていたらしいが小渕曰く”頭の中で鳴っていた音をそのまま形にした”とか“正直2人でどうやるかは全然考えていなかった”とか語っているのでもう小渕が曲を作ってアレンジを考える際には無自覚にストリングスが鳴っているんじゃないかと思う。

ただもうここまでド派手にされてストリングス病も極まると逆に天晴すぎるほどの清々しさだ。久々にサビ部分のメロディーも気持ちが良く耳に残るし、歩んできた20年、迎える結成20周年に向けての晴れやかな気持ちが前面に出ていて一緒にワクワクできる。正直なところ結成にしろデビューにしろ20周年を迎えるタイミングで1曲に40名以上も招いてオーケストラ編成でレコーディングする予算を組めるなんて90年代バブル期みたいな芸当、相当限られた売れ続けている人たちしかできないんじゃないかと思う(しかもプロデューサー笹路さんまで起用してるし)。限りなく贅沢な1曲だ。そしてこの贅沢さの中で意外とボーカルや曲自体に強い力みが無いというのはかなり聞きやすい(曲自体もこれだけ派手なのに5分と10秒弱で終わる)。
★★★★☆

2.バトン

Strings Arrangement:小渕健太郎、笹路正徳。引き続き笹路さんを招いているがこちらは通常のストリングスアレンジとなっており、通常のストバラ。なんとなくではあるがセルフプロデュース以降でストリングスアレンジを小渕とコンビで手掛けてきた藤井理央よりも、笹路さんをストリングスアレンジに起用した方がストリングスの使い方が効果的(盛りすぎない)な印象が「流星」の時に芽生えたが、今回もまあそんなに盛っている感じではない。ただ曲自体が普通のバラードといった感じでさすがにこの手のバラードで新たに強いインパクトを感じるのは難しいキャリアになってきた印象はある。
★★★☆☆

3.君になれ

Strings Arrangement:小渕健太郎、漆原直美、松浦基悦。ストリングスアレンジに新鋭を招き、ストリングス演奏も上2曲は金原千恵子ストリングスだったがこの曲は漆原直美ストリングス…とストリングスアレンジと演奏に変化をつけてきているが、曲自体もいつもの感じではなく、アップテンポでスリリングさをより出すためにストリングスを効果的に使用する、といういつもとは違う使い方をしている。ここ最近はC/Wで実験的なアレンジを見せる事が増えているが、この曲もそういった攻めの姿勢が存分に感じられる。イントロでスリリングなストリングスと一緒に負けないくらいスリリングなギターソロが熱く展開するところとかもかなり新しい(ストリングス飽和以降ギターは相対的に遠ざかっていたので)。曲自体はアレンジの勢いに負けてしまっている感じも無くは無いが、いつもの感じの曲が出てくるよりもよほど刺激的で聞きごたえがある。
★★★☆☆

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