2021年05月30日
配信限定
いきものがかり×日比谷音楽祭「今日から、ここから」プロジェクトによる亀田誠治といきものがかりの共作企画による楽曲。
2021年5月30、31日に開催される「日比谷音楽祭2021」に向けて「コロナ禍という未曾有の体験の中で、アーティストが⾃分たちに何ができるかをソーシャルディスタンスの中で考え、普遍的なうたを作ろう」という考えのもと、約1年にわたりリモート環境などを経ながら完成したとされている。
亀田誠治はいきものがかりのメインアレンジャーの1人で多数の編曲を手掛けているが、今作では編曲だけではなく初めて作詞作曲の段階からメンバーと共同制作を行っている点がこれまでとの決定的な違いとされる。
特設サイトでは制作の経緯も日記の形で公開された。
今日から、ここから
作詞作曲は⻲⽥誠治・⽔野良樹・吉岡聖恵・⼭下穂尊、編曲はいつも通り亀田誠治単独。
Drums:河村”カースケ”智康
Guitars:⻄川進
Piano:皆川真⼈
Bass:⻲⽥誠治
Strings:今野均ストリングス
Programming:豊⽥泰孝(makotoya)
Recorded & Mixed by 甲斐俊郎(ARLT)
とクレジットも公式に公開されている(正直CD出さないなら普段から配信ではこのくらいの表記はしてほしい)。
特設サイトに制作経緯が書かれており、4人全員が最初にデモを持ってきて全員で聞かせ合い、山下だけは2曲も持ってきたというが、結局亀田ジャッジにより水野デモのサビを採用、平メロは亀田が書くことに決定。歌詞担当が吉岡・山下になり、吉岡と山下がやり取りしながら山下が書いてきた仮の歌詞に水野と亀田が同じ箇所が気になると指摘、最終的にこのディスカッションを踏まえて吉岡の手に託され、吉岡が書いた歌詞にまた水亀が気になる箇所を指摘、山下は亀田に聞かれてようやく会話に入って指摘に賛同しつつも歌詞とは違う新たなアイデアを提案しつつ、吉岡の手で歌詞も完成。
またレコーディングの様子では水野・山下が全く演奏に参加していない事が改めて明らかになっている(サポートが演奏している)。
というわけで今回は亀田誠治がプロデューサー&制作者として入っているため、かなり踏み込んでいるという違いはあるが、山下がけっこういいアイデアを出したり随所でコメントしているもののあまり強い主張をしない一方で、水・亀が賛同しあいながら進めていっているような印象で、終わってみれば1人2曲も用意した山下のメロディーは全く採用されず、歌詞も開口一番にこの表現が良くないと水亀がこぞって指摘され、それを踏まえた上で吉岡がかなり書き換えてしまったので山下のエッセンスがかなり薄くなっていくという。作曲から追い出され(水野と山下と吉岡のメロディーを組み合わせて採用とかでもいいのに亀田単独ジャッジで水野サビだけ採用した挙句に平メロは自分で書きますとかちょっとさぁ…)、作詞に回されてからも共作なので気を遣って吉岡にかなり譲る形となり(普段こういう場面の時は吉岡と話し合って山下が主導で書いているっぽい)もしかして普段もこんな感じで山下の曲が採用されなかったりするのだろうか…。調和を取る意味でかなり重要な立ち位置でふるまっているのに、こうやんわりと不採用みたいな事が続くと率直にかなり損な立ち回りになってしまっていてこれが脱退の遠因になっていそうな気がしなくもない。3人を対等に扱っているようでも言葉数が多い水野の方が亀田氏の評価ポイントが最初から高く設定されているようなそんな感じもするし。
で、そんな初の共作で完成した今作だがタイトルを着実に繰り返すシンプルながら力強い楽曲で割と印象には残る。いきものがかりはこってりサビを長く聞かせる曲も多いが、今作はタイトルの繰り返しに全てを集約しているため、この部分はすぐに馴染めるし覚えやすい。普段の曲より聞きやすさは確かにあるが、それは背景を踏まえてじっくり聞いた場合にようやく感じる部分であり、パッと聞きは共作も分からないくらいいつものいきものがかり。この点においてはもう本・島・亀の3アレンジャーが関わる限り、そこからもうこれまで以上もこれまでと違う作風も生まれないというくらいはもう双方の作風がガッチリ固まっているのでどうしようもないような気がする。
結果的に山下成分は希釈されてしまっているが、しかしこのやり取りの中に山下がいなかったらこの曲は生まれていない。まあメロディーとアレンジは同じになっていただろうけど、水亀でガンガン話進めていって吉岡には適宜ちょっと意見聞くくらいになってしまい、なんだかんだ吉岡がやりにくくなってしまいそうな気がする。山下の脱退は表面的には影響は少ないと思われるが、存在感としての影響は計り知れないのではないかと改めて思った。
★★★☆☆