新作シングル感想

BLUE WINGS/TUBE

2021年6月30日
通常盤
初登場6位 売上1.3万枚

3年ぶりのシングル。

わたせせいぞうによるイラストアートワークは1986年のアルバム『BOYS ON THE BEACH』から6度目で、2010年12月「空と海があるように」以来。これまで冬発売の作品に使用されていたため、夏作品への起用は初となる。

初回盤は7インチサイズスペシャルパッケージ仕様、わたせせいぞう描き下ろしコミック「BLUE WINGS」付属。
初回盤と通常盤では3曲目が異なる。
初回盤はライブ音源「BLUE WINGS (live take @厚木市文化会館)」
通常盤はメンバー4人がAメロ、Bメロで順番にソロボーカルを回す「BLUE WINGS (member’s vocal take)」。

1.BLUE WINGS

かなり異色のネイキッドな装いの楽曲。演奏がジャラジャラ鳴っているギターだけで始まり、1番サビからはベースも入るがドラムは入らずにクラップと簡易なパーカッションのようなリズムのみ。代わりに前田以外のメンバーがコーラス以上の存在感でボーカルを担当していてサビの一部も4人全員で歌唱。

あまりシングルっぽくないシンプルすぎる編成の楽曲だが、この時代を生きる辛いリスナーへの暖かいメッセージソングとなっていて4人全員の声で言葉を伝えよう、共に生きて行こうという心意気にがなりグッと来る1曲。さりげない名曲…だが、4人全員が出せるキーというのもあったにしてもメチャメチャキー低くなったな…。

あと最後の4行のみ”ツバサ”、”ヒカリ”、”ココロ”、”キズナ”と1ヵ所ずつカタカナで繋いでいるという仕掛けはこの時代に歌詞カードを手に取った人しか分からない仕掛けになっていて面白い(ヒカリとキズナはここで初出だが、ツバサとココロはこれ以前に同じ歌詞が出てきていてそっちでは翼、心と普通に漢字表記されている)。
★★★★☆

2.スマイルフラワー

クノール冷たい牛乳でつくるカップスープCMソング。2015年から毎年続くタイアップで前2年は「いただきSummer」を2年連続使用だったが、今年は再び新曲。7年連続6曲目となった。今回はC/Wに回されてしまったが、キャッチーで爽やかなバンドサウンドになっているので普通にシングル表題曲っぽいのは明らかにこっちだと思う。まあ普通にポップではあるがかなりマンネリ感もあって、シングルっぽいけどいざシングル表題曲にしていたら新鮮味は無かったかもしれない。

爽やかな朝というほぼ共通していた要素は残されてはいるが、今作は開けない夜は無い、必ず眩しい夏が来るという希望を前面に出しているのが特徴。「BLUE WINGS」が自粛によるいわゆるコロナ鬱状態にあるリスナーに翼を与えようとする曲であるなら、今作はその後で元の世界はまだ先になりそうだがそれでもいつか取り戻せるという希望を与えようとする曲だろう。2番平メロでは”ぼんやり見えていたなんとなく聴こえてたゴールも振り出しへ戻りそうなやりきれない嗚呼人生ゲーム”と現状をほぼド直球で指摘し、”もう少しかくれんぼ続きそう”とかくれんぼに見立ててこの現状がまだ終わりそうにない事を示唆。正直前田さん自身も相当堪えている状況ではあると思うんだけどそれでも希望を提示してくれる前向きさには本当に励まされる。
★★★★☆

通常盤のみ
3.BLUE WINGS(member’s vocal take)

初回盤はライブで既に披露している音源だが、通常盤にはメンバーの単独歌唱パートがあるテイクを収録。

と言っても、メンバー3人のボーカルが登場するのはAメロ、Bメロのみサビはオリジナルと同じで全員+前田ソロパート。A,Bメロを4人でソロパート回ししているというのがオリジナルバージョンとの違い。ボーカルが左右に振られていて左に前田・角野右に春畑・松本となっているが…右2人のは素人のおじさんボーカルなのに対して、左2人はタイプの異なる玄人なボーカルとなっている。このバージョンの方が4人からのメッセージ感は強く出るので表現方法としてはこっちの方が正解だった気もするが、さすがにA面にするにはクオリティ面でどうなんだという感じもあり、A面は全部前田という通常仕様にして、メンバーボーカルリレーはファン向けにC/Wに収録という事になったのかもしれない。

角野ボーカルは往年のフォークシンガーにいそうな味のあるボーカルをしていてなかなかいい感じ。2010年のアルバム『Surprise!』収録曲「風の街で」、2015年のC/Wで1曲ずつ全員ソロボーカル企画で『灯台』C/W「Back To Good Days」と2曲しか単独ボーカル曲は出ていないが、もっとあってもいいのでは。
★★★★☆

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