新作シングル感想

~種~/LINDBERG

2020年3月9日
配信限定

MV集DVD『ALL TIME MUSIC VIDEO HISTORY』に収録する新曲として配信でも発売された2017年7月「Fresh」以来の新曲
渡瀬マキの機能性発声障害により18年4月以降活動休止となり、デビュー30周年を迎えた2019年も回復に至らずコメント発表のみとなったが、その後復活を宣言し、2020年に1年遅れての30周年ツアーを行いそのツアー開始に合わせての新曲…だったはずが、ツアーはひとまず全中止となってしまった。

~種~

ミディアムなロックバラードで終盤は観客との合唱を想定しているような盛り上がりも見せる。これまでの楽曲の中でも非常に渡瀬マキのパーソナルな部分が前面に出ていると思われる内容でほぼそのまま機能性発生障害により歌えなくなり一時絶望していた際の心情が綴られているので前半は特に重い。LINDBERGの中でもここまで絶望的な言葉が並ぶのはそれこそ解散前の「you were there」くらいだったと思うけどかなり異色な歌詞だ。「花」に関しては12thアルバムのリード曲「花」で力強く咲いている花にたとえた応援歌があったが今作では”花のようにまっすぐ上を向いていつの日か咲けるかな”と歌っていて弱々しさを感じさせるところに大きな違いがある。ただそれも受け入れて進んでいくという点でさらに1歩進んだ内容になっているのかなと思う。

そして消えない希望と静かなる復活を感じさせて曲は終わっていく。締めのフレーズ“魔法は解けたんだ”はこれ単独で見ると夢から醒めたとか何か目指していた目標が潰えて終わったみたいな印象にもなりかねないがこれは冒頭の歌詞”悪い魔法にかけられて”に呼応していて、悪い魔法=機能性発声障害とすれば、その魔法は解けた=歌えるようになった→30周年ツアーやれるよ!という事になったわけで、これをツアー会場で歌った時に本当にそこから始まる…という事だったんだと思う。

偶然にもこの歌詞は自粛まみれの現状の中で多くの人々の心情に呼応するところもあり、この曲がライブで歌われる際には会場全員が噛みしめる楽曲になる…はず…。
★★★★☆

~種~
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LINDBERG
インペリアルレコード (2020-03-09)
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