35年で35曲“夏と恋”〜夏の数だけ恋したけど〜
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 発売年、備考 |
1 | Only You 君と夏の日を | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1996 23rdシングル、16thアルバム『Only Good Summer』収録曲 |
2 | Beach Time | 亜蘭知子 | 織田哲郎 | 織田哲郎 | 1988 7thシングル、7thアルバム『Beach Time』収録曲 |
3 | いただきSummer | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 2020 34thアルバム『日本の夏からこんにちは』収録曲 発売前新曲 |
4 | 夏を抱きしめて | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1994 18thシングル、14thアルバム『終わらない夏に』収録曲 |
5 | あー夏休み | 前田亘輝 | 春畑道哉・ 前田亘輝 |
TUBE | 1990 11thシングル、10thアルバム『N・A・T・S・U』収録曲 |
6 | だって夏じゃない | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1993 17thシングル、2ndベスト『TUBEstU』収録曲 |
7 | 灼熱らぶ | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 2010 51stシングル、30thアルバム『Surprise!』収録曲 |
8 | 夏番長 | 増子直純 | 上原子友康 | 野間康介 | 2015 33rdアルバム『Your TUBE+My TUBE』収録曲 |
9 | ノッてけ'92 | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1992 12thアルバム『納涼』収録曲 |
10 | LOVE BEACH | TAKURO | TAK MATSUMOTO | TAK MATSUMOTO, HIDEYUKI TERACHI |
2015 33rdアルバム『Your TUBE+My TUBE』収録曲 |
11 | 僕達だけのSummer Days | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1996 16thアルバム『Only Good Summer』収録曲 |
12 | I'm in love you,good day sunshine | 前田亘輝 | 春畑道哉 | 徳永暁人 | 2002 37thシングル、22ndアルバム『good day sunshine』収録曲 |
13 | 海の家 | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 2004 24thアルバム『夏景色』収録曲 |
14 | Let's go to the sea〜OASIS〜 | 前田亘輝 | 春畑道哉 | 大島こうすけ ・TUBE |
2003 40thシングル、23rdアルバム『OASIS』収録曲 |
15 | SUMMER DREAM | 亜蘭知子 | 織田哲郎 | 織田哲郎 | 1987 5thシングル、5thアルバム『Summer Dream』収録曲 |
16 | ひまわり | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1999 29thシングル、19thアルバム『Blue Reef』収録曲 |
17 | ゆずれない夏 | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1995 21stシングル、15thアルバム『ゆずれない夏』収録曲 |
18 | Horizon | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1994 14thアルバム『終わらない夏に』収録曲 |
19 | きっと どこかで | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE・ 池田大介 |
1998 28thシングル、3rdベスト『TUBEstV』収録曲 表記は『TUBEstV』に合わせて2000年扱い |
20 | あの夏を探して | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1995 22ndシングル、2ndベスト『TUBEstU』収録曲 表記は『TUBEstU』に合わせて1996年扱い |
21 | 抱きしめてAgain | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1993 13thアルバム『浪漫の夏』収録曲 |
22 | ビコーズ・アイ・ラブ・ユー | 亜蘭知子 | 長戸大幸 西村麻志 | 長戸大幸 | 1986 4thシングル、4thアルバム『BOYS ON THE BEACH』収録曲 |
23 | サザンクロス | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 2001 21stアルバム『Soul Surfin' Crew』収録曲 |
24 | 夏を待ちきれなくて | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1993 16thシングル、13thアルバム『浪漫の夏』収録曲 |
25 | Remember Summer | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1992 1stミニアルバム『Smile』収録曲 |
26 | シーズン・イン・ザ・サン | 亜蘭知子 | 織田哲郎 | 織田哲郎 | 1986 3rdシングル、3rdアルバム『THE SEASON IN THE SUN』収録曲 |
27 | 月と太陽 | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE&大島こうすけ | 2001 34thシングル、21stアルバム『Soul Surfin' Crew』収録曲 |
28 | さよならイエスタデイ | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1991 13thシングル、2ndベスト『TUBEstU』収録曲 表記は『TUBEstU』に合わせて1996年扱い |
29 | 恋してムーチョ | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1994 19thシングル、2ndベスト『TUBEstU』収録曲 表記は『TUBEstU』に合わせて1996年扱い |
30 | -純情- | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1998 26thシングル、18thアルバム『HEAT WAVER』収録曲 |
31 | ガラスのメモリーズ | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1992 15thシングル、2ndベスト『TUBEstU』収録曲 表記は『TUBEstU』に合わせて1996年扱い |
32 | それでも恋は素敵 | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1994 14thアルバム『終わらない夏に』収録曲 |
33 | MADE IN SUMMER | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1990 10thアルバム『N・A・T・S・U』収録曲 |
34 | Naturally | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1996 16thアルバム『Only Good Summer』収録曲 |
35 | 夏よありがとう | 前田亘輝 | 春畑道哉 | TUBE | 1994 14thアルバム『終わらない夏に』収録曲 今作のみフル収録 |
リリースデータ
2020年6月24日 | 初登場7位 | 売上2.4万枚 | Compiled & Non-stop mixed by DJ 和 | Sony Music Associated Records |
メンバー
Vocal | 前田亘輝 |
Guitar | 春畑道哉 |
Bass | 角野秀行 |
Drums | 松本玲二 |
TUBE1stノンストップミックスCD。2枚同時発売でどちらも35周年で35曲を収録している。ノンストップリミックスアルバムは過去にあったが今作は初のMIX CDで各楽曲がオリジナル音源そのままで概ね1コーラス程度でノンストップで繋がれている。担当したのはJ-POP人気No.1 DJとなっているDJ和。ブックレットに記載されている歌詞は収録部分のみ。また各楽曲解説は音楽ライターの藤井徹貫が担当。サブタイトルの"夏の数だけ恋したけど"は「あー夏休み」のサビのフレーズで今作はラブソング中心の選曲となっている。初登場7位から2週目10位と2週連続トップ10入りを果たし、ヒット曲が多かったこともあり初登場時は並んでランクインしたが2週目以降は大きくかけ離れて今作の方がヒットした。
各楽曲の出典はアルバム単位で記載されており、シングル曲であっても最初に収録されたアルバムと該当アルバムの発売年が併記されている。例えば「きっと どこかで」は98年発売のシングルバージョンを使用しているが『Blue Reef』収録時は別バージョンであったためシングルバージョンで最初に収録された『TUBEstV』が出典アルバムとして記載され、初出より2年ズレて『TUBEstV』発売年の2000年で記載、といった具合。「いただきSummer」は7月8日発売のニューアルバムからの先行収録(楽曲自体はクノールタイアップで2019年から使用され2019年のライブ・TV出演時も新曲として披露するも何故か未発売のままになっていた)。
DJ 和については現在確固たるJ-POP No.1 DJの地位を確立しきっており、名前だけで仕事がドンドン来る状態。広瀬香美の時に書いたが広瀬香美同様にTUBE側がミックスCDを作るにあたって知名度の高いDJ和の名前を使って売りたかった以外に今作のような状況でDJ和を起用する理由は無い。前回のノンストップリミックスアルバムを作ったピストン西沢のようなトラックメイカーとしての技術を持ったDJであれば繋ぎの部分の加工含めた多様な編集も出来るが、唯一の技術である繋ぎ方においてDJ和が飛び抜けたセンスを持っているわけではなく、そもそも繋ぎ方がうまくてNo.1になったわけでもない。DJ和の本来のメイン業務は年齢的にも90年代をいち学生リスナーとして過ごしてきたリアルタイム経験を踏まえたヒット曲ばかりの絶妙な選曲に加えてレコード会社社員としての楽曲の使用権利交渉の優位性、そしてクラブ文化であるDJの常識を越えての(たぶんDJ界隈では悪質なセルアウト扱いされてそう)一般人への販促パフォーマンスにある。世渡りの上手さにおいて右に出る者はいない(=J-POP
No.1 DJ)。
このため最初からアーティストが指定されていて交渉の必要も無く販促パフォーマンスもいらないとなるとDJ和のメイン業務は最初から終了している状態。しかもTUBEクラスとなると35年でシングル61枚、アルバム34枚、ミニアルバム3枚とその数は膨大であり、元から全作チェックしているファンだったのでない限りDJ和は選曲すら出来ない。繋ぎやすいように並べたというあんまりな理由であったとしてもせめて曲順くらいは考えているのであればまだマシだが…知らない曲も含めてちゃんと35曲(×2)聞きこんで曲順を考案するといった手間をかけているのか、今作にはDJ和のコメントも無いので分からない。
繋ぎの部分に関しては切り貼りで繋いだ部分は少ない。これはTUBEの曲で特に80〜90年代半ば頃までの曲は間奏でもギターソロやサックスソロなどロングトーンでびっしり鳴っている箇所が多いため、ジャストタイミングを見極めての切り貼りが不可能な箇所が多かったためだろう。こうなっている場合は大半がクロスフェード処理をして繋いでいる。広瀬香美の時は切り貼りが多く、確か『ラブとポップ』シリーズなんかでもそんなに多用していなかったので今回はDJ和にしてはいつもよりクロスフェード処理ばかりしているようにも思う。しかもよく聞くと一部明らかに加工を施した上でクロスフェードさせている箇所もあり(1曲目→2曲目が1番分かりやすいが波形をいじって音を連打させていたり、「シーズン・イン・ザ・サン」の始まりのクリック音などオリジナルに入ってないような音を被せて処理している部分がチラホラ)、DJ和ってそこまでやる(出来る)んだっけ?と謎な部分も。
これに関しては何故か今作にはミキシングエンジニアとして山浩也、相原雅之がクレジットされている。DJ和がオリジナル音源をただ繋いだだけのCDならばマスタリングエンジニアだけでミックスエンジニアは必要無い。実際にDJ和の代表作である『ラブとポップ』は録音とマスタリングのエンジニアのみでミックスエンジニアは表記されていなかった。一方でビーイングが関与した4月に出たばかりの『キミが好きだと叫びたい〜Love&Yell〜』ではビーイングのミキシングエンジニアがクレジットされていた。またオリジナル音源のミックスエンジニアを乗せるのであれば35年でたった2名なわけがない(「いただきSummer」が収録された『日本の夏からこんにちは』のミキシングエンジニアも早速この両名ではない)。そしてDJ和が多少の加工も行っているのだとすればやはりミキシングエンジニアが別枠で2名もクレジットされている理由が無い。
ではクレジットされている2名は今作で何をしているのか?となれば音源に新たに手を入れているとしか考えられないわけで、DJ和のノンストップミックスに追加編集・加工・ミックス変更などを2名が行っているのだろう。TUBEと付き合いの長い藤井徹貫によるライナーにも「夏を待ちきれなくて」の項目で"ギターのうねりがオリジナルより目立っている気が…気のせい?"という言及をしている。なお事前にミキシングした音源をDJ和がNon
Stop MixしたというパターンとDJ和からNon
Stop Mixが納品されてからこのままじゃ商品として出せねーよとなって追加の繋ぎ目の編集を加えたというパターンも考えられる。後者っぽい気はするが…いずれせよかなりの謎だ。ミキシングエンジニアの2人はいつどこに手を加えたのだろうか。
選曲に関してはこちらは「夏の恋」という事でラブソング主体。TUBEはシングルではラブソングが主流だったのでおなじみのヒットシングルは概ねこちらに偏ってほとんど収録されている。よって2枚のうち最初に聞くのであればまずは今作がいいと思う。一方でバラードはMIX CDでやるのに繋ぎにくいという事情もあってか、TUBE得意のバラードがほとんど選曲されず「十年先のラブストーリー」「Purity〜ピュアティ〜」「プロポーズ」などのラブソングの極みのような筆頭人気バラードは選曲されていない。
いかんせんアルバム数も膨大なので35周年を機に聞き返そうにも相当な時間がかかってしまうが、今作ではベスト盤に入らなかったようなマニアックな曲から有名ヒットシングルまでごちゃまぜで一挙に聞けるので2作合わせて2時間程度で70曲を駆け抜けて一気にだいぶ聞いたような満足感は得られる。ここから各アルバムへ旅立っていくためのガイド的なダイジェスト、もしくはざっと振り返るためのダイジェストとして、夏のドライブのお供としても良いと思う。個人的には加工リミックスよりは好きではあるけど、こうも工夫が無いとなるとやはりもう少し繋ぎに演出を加えるとか山下達郎の『COME ALONG』シリーズのようなラジオDJによる演出など、企画作品ならではの一工夫は最低限入れてほしいところではあった。次々と色々聞けるのでダイジェスト音源としては楽しめる1作ではあるが、こういうのこそ各アルバムの有料DLもしくはCD購入リンクを貼った上で販促としてサブスクでもYouTubeでも無料でガンガン流せばいいわけで売り物にするのではなく、売り物への販促アイテムというのがいいところなんじゃないかとも思う。
印象度★★★☆☆
2020.8.15更新