ジャパニーズポップス
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | セレモニー | 伊藤俊吾 | 伊藤俊吾 | キンモクセイ | 1st配信シングル |
2 | TOKYO MAGIC JAPANESE MUSIC | 白井雄介 | 白井雄介 | キンモクセイ | |
3 | 渚のラプソディ | HALIFANIE | HALIFANIE | キンモクセイ | |
4 | 都市と光の相対性 | 伊藤俊吾 | 伊藤俊吾 | キンモクセイ | |
5 | ベター・レター | 佐々木良 | 佐々木良 | キンモクセイ | |
6 | あなた、フツウね | 伊藤俊吾 | 白井雄介 | キンモクセイ | |
7 | ない! | 伊藤俊吾 | 後藤秀人 | キンモクセイ | |
8 | エイト・エイティ | 佐々木良 | 佐々木良 | キンモクセイ | |
9 | ダージリン | HALIFANIE | HALIFANIE | キンモクセイ | |
10 | グッバイ・マイ・ライフ | 伊藤俊吾 | 伊藤俊吾 | キンモクセイ | |
11 | 今夜 | 伊藤俊吾 | 後藤秀人 | キンモクセイ |
No | タイトル | 備考 |
1 | OP映像(「セレモニー」MVの老人たちがメンバーに扮したネタ的なインタビュー映像) | |
2 | 僕の行方 | 1stシングル |
3 | 二人のアカボシ | 2ndシングル |
4 | 人とコウモリ | 7thシングル |
5 | 風の子 | 2ndアルバム『風の子でいたいね』収録曲 |
リリースデータ
2019年12月25日 | 初登場51位 | 売上0.16万枚 | Produced by キンモクセイ Recorded & Mixed by 伊藤俊吾 Mixed by 佐々木良(5,8) |
Ariola Japan |
メンバー
Vo | 伊藤俊吾 |
Gt | 佐々木良 |
Gt | 後藤秀人 |
Dr | 張替智広 |
Ba | 白井雄介 |
キンモクセイ6thアルバム。『ベスト・コンディション+レアトラックス』が同時発売。当時の公式ディスコグラフィーではカバーアルバム『さくら』を5th扱いしていたが今作は「5枚目のオリジナルアルバム」と銘打たれている。2008年1月のツアーを最後に活動休止。2011年に東日本大震災復興支援コンピ盤に新曲「アシタ」を提供するために1度だけ再集結したのみであったが、2018年に地元相模原で開催されたイベント「はやぶさの故郷 潤水都市さがみはらフェスタ2018」に突如キンモクセイとして5人全員で出演すると発表。活動急始と銘打ち、2019年になると本格的に活動を再開するとして1年後の2019年10月にワンマンライブ「ちゃんとしたワンマン2019」の開催を発表、ライブに先駆けて「セレモニー」が配信リリースされ、ライブ当日に今作の発売が告知された。
活動休止後、ドメインが更新されずに間もなく公式サイトが消滅。活動急始後も何故かTwitterアカウントのみしか作られず公式サイトが無いままとなっている。ソニーのキンモクセイの情報サイトは残っていてそこに新作情報が追加更新されているものの既に「キンモクセイ」で検索しても上位に最新情報が出てこない状態となっていたため、SNSをフォローしてないと活動情報が得にくい状況が続いていたが、発売後は検索で上位表示されるようになった。今作では先行の「セレモニー」を除く10曲の書き下ろし曲をメンバーが2曲ずつ作曲している。HALIFANIEはキンモクセイの活動休止後に張替智広が小貫早智子と結成していたユニット(「渚のラプソディ」では小貫早智子がコーラス参加)。
各種インタビューを要約するとこんな感じ
・休止の原因は伊藤がメジャーの重圧にやられたためだった。
・再開に当たっては10周年や15周年などの節目でお祭り的にやるのもありだとして何年か前から話があったが、白井の同意が得られず流れていた。白井としては1度だけお祭り的に軽い気持ちでやるのは嫌だという思いがあり、全員で一丸となれる時が来ればその時再開したいという考えがあった。
・「ちゃんとしたワンマン2019」に向けて新曲「セレモニー」を書き下ろしたが、アルバムに関しては当初自主制作でミニアルバムを出す予定だった。
・「ちゃんとしたワンマン2019」はメンバー主導で会場を押さえたため、休止前のBMGの現在の姿であるAriolaにプロモーションのノウハウ等を聞こうと相談したところフルアルバムを出しましょうという話になって再契約。
・「はやぶさの故郷 潤水都市さがみはらフェスタ2018」出演時の物販で伊藤のソロアルバムのみ完売したため、著しくギャラ格差が生じた事を伊藤が気にしてしまい、アルバムを作るなら全員が曲を均等に書くこと(新曲10曲はメンバーが均等に2曲ずつ作曲)を主張した。メンバーは全く気にしてなくて全員曲は書けるとはいえ継続して作曲活動をしていたのは近年では伊藤とHALIFANIEで曲提供もしている張替だけだったこともあって普通に伊藤が書けばいいのにと思っていた。
・メジャー時代にプロデューサーを入れての制作での重圧がきつかったこともあって、メンバーの要望で音源は全て自分たちで自由に制作、完成した音源をAriolaに持ち込んでマスタリングするという制作スタイルになっている。
・先の伊藤俊吾のソロアルバム『THE SECOND LIFE』と同じ制作環境で伊藤俊吾が茨城に新たに引っ越して環境を整えた自宅スタジオにメンバー全員が集結してレコーディングが行われた。これに伴いエンジニアも入らず、伊藤自らがエンジニアを兼任して録音とミックスを担当(佐々木曲の5,8のミックスは佐々木良)。ミックスまで出来上がった音源がレコード会社に持ち込まれ、最終段階のマスタリングはプロのエンジニアの原田光晴が担当。
・「茨城には半年程度しか住まなかった」と今作リリース時には既に撤収して都内近郊に引っ越した事を明かしている。2ndソロアルバム制作時に離婚して1人になって茨城へ引っ越したが1人は寂しいと語っており、今作制作時も伊藤が寂しさを主張していたことをメンバーが語っている。「キンモクセイの活動が忙しくなり茨城からの通いが大変になった」との理由も語っている。現在の自宅にスタジオ環境は無いので新たに物件を探しているとラジオで発言していた。
・今後もマイペースに活動したいとしている。
2ndシングル「二人のアカボシ」が大ヒットしたもののほぼ1発屋状態となり、休止までほぼ下がる一方だったというのはやはりメインライターの伊藤の精神的負担がかなり大きかったようで、今作においてもまたそのように潰れてしまっては意味が無いのと、5人が集まって演奏すれば自然とキンモクセイになるという事に改めて気づけたことから自由にのびのびと健康的に活動するというのが第一の方針になっている模様。元々の方向性である日本のポップスをオマージュしたかのような楽曲群は当時をよく知らなくてもなんとなくあの頃っぽいし、今作では当時よりもさらに80年代っぽさが強く出ているように思う。特に後半はちょっとダサさも感じるようなノリの80's全開でこれは逆に少し新しいかも。一方でヒットを意識していないので率直にメロディーのインパクトは強くなくて、それこそシングルA面集である『ベストコンディション』に並んでくるような曲は無いかなと。案外聞き終えて残っている曲が無く、これといった強いリード曲が無い。アレンジや雰囲気は凝っているので聞いていて面白さやキンモクセイが帰ってきたという安心感や嬉しさはあるんだけど、これぞという曲が無かったのは少し残念だった。さらっとした再始動曲ではあったけど結局「セレモニー」が1番良かったな…。ギャラで揉めたくないからと1人2曲ルールにしたり、当時の苦い経験から気負いすぎないようにというのを逆に色々気にしすぎてしまったところもあるのかなと思う。まあ伊藤さん見るからに神経細そうだしなぁ。
この次があればまた変わってくるとも思うので相当先になりそうながら続けたい意欲は見せているので気長に次を待ちたい。
初回盤DVD
2ヵ月前に開催したばかりの「ちゃんとしたワンマン2019」から冒頭のOP映像も含めて4曲を収録。OP映像が「セレモニー」MVでのメンバーがメンバーに似ている老人に切り替わる演出の延長にあるものになっていてあの老人たちがメンバーに扮して回答するのがシュールで笑える。ライブパフォーマンス自体は10年以上に及ぶ休止を感じさせない変わらぬ雰囲気とレベルの高い演奏を堪能できる仕上がりで非常に高い安定感。派手なライブらしい盛り上がりは無く、「風の子」の前に感謝と最後の曲だという旨を伝えて普段よりも盛り上がる伊藤氏のテンション感も微笑ましいくらいの勢いでしっかりと曲を堪能できるようなライブだと思う。いつか1度行ってみたい。
印象度★★★★☆
2020.2.22更新