X-MEN:アポカリプス
2016年公開。シリーズ通算6作目。若き日のプロフェッサーXらが活躍する新シリーズとして過去を描く形で始まった『X-MEN:ファーストジェネレーション』、『X-MEN:フューチャー&パスト』との3部作完結編と銘打たれている。60年代、70年代と来て今回は前作から約10年後の1983年が舞台となり、前2作でのキャラクターはそのまま続投、1〜3作目のメインキャラだったジーン、スコット、ストームらは若き頃という設定で新キャストが演じている。また今作が1作目の『X-MEN』に時間軸的につながっていくとされている。ただし前作で歴史を改変しているため、立ち回りや運命そのものが変わったキャラクターもいて、そのまま繋がるわけではなく、『X-MEN:フューチャー&パスト』のエピローグで描かれた死んだ主要キャラクターも全員生き残った未来へと繋がっていく形となる。
古代エジプトで最初のミュータントとして君臨していたエン・サバー・ヌールことアポカリプスはあらゆる能力を持ち、他人に転移することで寿命で死ぬのを回避し、さらに能力を持ったまま転移しした相手の能力を使用可能になる事で能力さえも無限に増やしていくことが出来る最強のミュータント、神として君臨していた。
その日も自己治癒能力を持つ相手への転移の儀式を進めていたが、密かに反乱の好機を狙っていた一味が計画を発動。儀式が行われていたピラミッドを崩壊させてしまう。従者である4名が死守しようと能力を駆使するが崩壊するピラミッドや内部にまで反逆者がゴロゴロいた事で守り切れず全員死亡。最後の従者1人がピラミッドの奥底に落ちたアポカリプスにバリアを施した事で、アポカリプスはそのまま死亡せずに長年の眠りについた。
1983年、前作から約10年後。前作での出来事でミスティークは「英雄」として世間に認知され、マグニートーは国際手配されていた。プロフェッサーX、ハンクは学園の運営を軌道に乗せており、かつての仲間であるハボックの弟スコットが能力に目覚めたので学園へ連れてきていた。そこには若き日のジーンもいて能力を御しきれていないという共通点から2人は徐々に親しくなる。
ミスティークは学園には参加せずに、表向きには英雄とされミュータントが認知されている世の中でも裏では迫害を受けているとして単身でそんなミュータントを救っていた。カート・ワグナーことナイトクローラーもその1人だった。
『X-MEN:ファーストジェネレーション』でプロフェッサーXと恋人だったが、危険を恐れたプロフェッサーXに記憶を消されたCIAのモイラはミュータントを神と崇める集団の1つを調査していて、アポカリプスの復活をもくろむ集団を尾行している中でアポカリプスの復活を目の当たりにする。世界に異変が起き始める中で、モイラと合流したプロフェッサーXらは、彼を訪ねてきたミスティーク、ナイトクローラーとも合流。
マグニートーは身分を隠し、ポーランドの鉄工場で働いて、妻と娘にも恵まれていた。しかしアポカリプス復活の際に起きた地震により危険にさらされた仕事仲間を能力を駆使して助けたことから足がついてしまう。おとなしく捕まろうとしたマグニートーだったが妻と娘が死亡してしまい悲しみと怒りに燃える。
アポカリプスは若き日のストーム、サイトック、エンジェルに続いてマグニートーもスカウト。直属の配下である「黙示録の四騎士」を再結成させ、いよいよ世界を作り変えようと行動を開始しようとしていた。そこにマグニートーの事情を聞いたプロフェッサーXがテレパシーでコンタクトを取ってきたことからアポカリプスはプロフェッサーXに目をつけ…。
今回は最終作というだけあってラスボス感ハンパない敵が登場。『X-MEN:ファーストジェネレーション』は元々リブート目的だった事もあり、旧シリーズとの繋がりはあまり強くなかったので一気にシリーズを繋げようとした『X-MEN:フューチャー&パスト』は10年間でキャラクターにもやや強引な変化があったように思うけど、今回は前作の時点で既に想定していたためか同じように10年経過したがキャラクターが地続きになっていた印象。
しかも前作で歴史を改変しているので、厳密に1作目に繋がっていかなくていいというのは大きい。設定の矛盾などに気を取られなくて済むというのもかなりうまい事やったなと思う。最終展開へ向けての各キャラの活躍、若き日のおなじみのキャラクターも含めて最終作としてふさわしい1作になったと思う。どうしても旧三部作に愛着があるので違う役者というのは残念なところではあるんだけど、さすがに4,50代になってきている旧三部作の役者じゃ若き日を演じるのは不可能だしなぁ…。
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以下ネタバレ含む、登場人物のまとめ
プロフェッサーX…『X-MEN:ファーストジェネレーション』『X-MEN:フューチャー&パスト』に続いてジェームズ・マカヴォイが演じている。前作でウルヴァリンに救われたので、学園を再建。しかしX-MENを組織して戦力増強をするのには消極的でハンクとはやや意見に相違がある。スコットを学園に新たに受け入れ、アポカリプス復活に伴う異変を調査するために記憶を消したモイラと接触。さらに久々にやってきたミスティークからマグニートーが妻と娘を失い大量殺人を行ったことを聞かされ、セレブロでマグニートーと連絡を取るが、アポカリプスに目を付けられてしまい、セレブロを乗っ取られ、世界中の核兵器を宇宙へ向けて発射・破壊させてしまう。ハボックにセレブロを破壊させて何とか乗り切るも今度はアポカリプスが直接乗り込んできてさらわれてしまう。その後はアポカリプスの意思を世界中の人間に伝える道具にされた後、アポカリプスの次の肉体として乗っ取られかける。最終的に救出されたが一瞬遅かったため、儀式の影響で頭髪が消失。スキンヘッドのプロフェッサーXがこの瞬間に誕生した。そのまま精神がつながった状態だったため、アポカリプスに逆に乗り込んで倒そうと精神世界で勝負を挑み、最初は連続攻撃を加えるも地力の差が出てボッコボコに。消される寸前だったがジーンの力を解放したことで勝利を掴む。抜けた頭髪は2度と生えてこなかったらしく、スキンヘッドのままX-MENを指揮するところで物語は終結する。前半ではX-MENを組織することに消極的だったものの今回の危機で必要な戦力は準備しておくべきという考えに変わった模様。
この人は歴史が改変されても立ち位置がそんなに変わっていない。老齢期を演じたパトリック・スチュワートのスキンヘッド頭になった経緯が見事に明かされ、単にハゲたわけではなかったことが判明。前作を経てもまだ前半では理想的すぎるところがあったが今回の事件を経ての最後の佇まいはパトリック・スチュワートが演じるプロフェッサーXへ繋がっていく凛とした雰囲気があって感動的。
マグニートー…『X-MEN:ファーストジェネレーション』『X-MEN:フューチャー&パスト』に続いてマイケル・ファスベンダーが演じている。前作にて一躍悪人として有名な手配犯になってしまっていたが、心変わりはしており、ポーランドで人間として身分を偽って静かに暮らしていた。しかしアポカリプス復活の際に世界各地で起こった異変の1つである地震による危機から仕事仲間を救ったところを別の仕事仲間に見られて通報されてしまう。妻は正体を知ったうえでマグニートーと一緒にいた。妻と娘のためにおとなしく捕まるつもりだったが、父を連れていこうとするのを嫌がった娘が叫ぶと鳥たちが集まって襲撃してくるという何らかの能力覚醒を示唆する現象(動物を操る能力という設定だと明かされている)が起き、警察の人たちもパニックに。パニックの中で警官の1人が矢を誤射してしまいこれで娘が絶命。娘を抱きかかえていた妻も矢が貫通していて死んだ模様。怒りに任せて警官を殺害し、工場仲間を殺害しようとしたところでアポカリプスにスカウトされる。悲しみと怒りの中でアポカリプスによって能力を増強され、地中深くまで能力を行き届かせて世界中の磁気を操ってアポカリプスと共に世界中の建造物を破壊しつくそうとするなど過去最大の規模の力を発揮。一方で増強に伴って容姿まで変わった3人とは異なり、見た目に変化は出ていなかった。最終決戦時も単身破壊行為を続け、駆け付けたミスティークの説得にも耳を貸さなかったが動揺はしており、戦うX-MEN達を見て仲間を裏切っていたことに気づき、アポカリプスへ牙を向く。…が、延々攻撃を与えるも物質を砂状に粉砕するアポカリプスの前には無力で苦戦。それでも他の仲間が倒れる中でも最後まで攻撃を続け、弱ったところで決定打を与えるなど活躍した。戦いが終わり、木っ端みじんになっていた学園の修復を手伝ったのち、学園を去っていった。
相変わらず生真面目かつ極端かつ不安定な性格ゆえか不幸に見舞われ、怒りのままに暴走して説得されて反省するトラブルメイカーっぷりは健在。両親が殺害されたことが能力の目覚めのきっかけゆえに家族への情は厚く、妻と娘を失う今回の悲劇はただただ悲劇だが…。とはいえ昔の家族をすっかり忘れているなど自分勝手な部分もあるし…。さすがに歴史改変の影響でもうおとなしくなるかとも思うけど、でもこの後もまだ『X-MEN』1作目の老齢期まで間があるので旧三部作に近い事件を起こすのかな?起こすんだろうな、この人は。
ミスティーク…本名はレイヴン。変身能力を持つ。ジェニファー・ローレンスが続投。前作の歴史改変の渦中にいた人物だけに歴史改変により最も歩みが異なった。単身で過酷な状況下にあるミュータントを救出し続けていた。世間的には英雄とされていたが本人は変わってないミュータントの扱いに憤りを感じている。ミュータントの裏世界では「傭兵」と呼ばれている。格闘技場でエンジェルと戦わされていたナイトクローラーを救出。それっきりのつもりだったが、情報屋からマグニートーが妻と娘を殺されて暴走していると聞き、ナイトクローラーの移動能力を駆使してプロフェッサーXの元へ向かい、以降は行動を共にする。アポカリプスとの戦いでは実質的なX-MENリーダーとして出向き、マグニートーを説得。アポカリプス相手にサイロックに化けて近づき、一撃で喉を切り裂いて殺害しようとするがアポカリプスの再生能力を知らなかったため、逆に返り討ちに合う。戦闘終了後はX-MENリーダーとして戦闘訓練の指揮を執っていた。
歴史改変で最も運命が変わったのがミスティーク。そもそも前作の時点でも「トラスクを殺害して捉えられてミスティークの細胞を基にセンチネルが制作された」という設定で資料によっては「解剖された」とまで書かれていたのでそれじゃ死んじゃってて旧三部作につながらないじゃないかというところはあったけど…。いずれにせよ今作でX-MENサイドへ突き進んだミスティークは旧三部作のようにマグニートーの忠実なしもべみたいにはなりそうにない。前作まではどっちつかずだったけど一気にいいキャラになったなぁ…。
アポカリプス…オスカー・アイザックが演じる新キャラクターでラスボス。古代エジプトで神として君臨していた最強のミュータント。何度も魂の転移を繰り返していたのでいろいろな能力が使えるらしい。
・物体も人も分子レベルで分解して組み立て直す能力。
あらゆる攻撃も無効化し、相手を壁にめり込ませることも可能。人間相手だと人間も瞬時に砂に変えてしまうが、ミュータント相手には砂化させる能力は使っておらず(使わないのか使えないのか不明)、ビーストを壁にめり込ませて動きを封じるくらいしかやっていない。街を大規模破壊して砂にした際はそこからピラミッドを新たに構築した。・球状の空間を作ったのち、空間内にいる人々含めて瞬間移動する能力
移動するには球体を出現させ維持して球体内の全員を移動させるがこれにはやや時間がかかるようで、一瞬で発動することはできない模様。最後はこれで逃げようとするもストームの雷撃など相次ぐ攻撃で球体を維持できずに移動失敗、敗北した。・相手の能力を強化増強する能力
ストームの能力を強化し、ストームは白髪化。サイロックは光の剣がより強度を増し、また何故か衣装がエロくなった。エンジェルに関しては羽をもいで全面的に金属に作り替え、その後も追加で装甲を施すなどかなり手を入れて自ら装飾していた。一方でマグニートーに対しては能力は増強したが、容姿に変化はなかった。・瞬間自己治癒能力
冒頭のシーンでギリで転移自体は完了していて会得した今のところ最新の能力。ただしウルヴァリンよりは再生能力が弱いのか、フェニックスの粉砕能力には再生が全く追いつかずに消滅した。・TVから歴史を読み取る能力
紀元前から現在までの歴史、主に現在の世界情勢をストームの家のTVに触れることで概ね読み取り、現在の言語も理解習得していた。・転移能力
ピラミッド内部でお互い寝っ転がり、ピラミッドの力を使う事で相手へ魂を転移(乗っ取る)する能力。乗っ取ると今まで獲得した能力を保持したまま、乗っ取った相手の能力を新たに会得できる。やたらめったら時間がかかる上にアイテムとしてピラミッドが必要なのと、自身も眠りにつかないといけないので完全な無防備となり、古代ではその隙をつかれて目覚めたら地中深く封じ込められていててそのまま長い眠りに入った。今回もプロフェッサーXへの転移を試みて儀式に入ったが目覚めたら転移失敗していて怒り狂った。・セレブロ代わりの能力
プロフェッサーXとセレブロを介して1度操った影響か、その後全世界へ意思を表明する際はセレブロの代わりの役割を果たしていた。アポカリプスとしてはマイクと拡声器もしくは世界同時中継回線代わりにプロフェッサーXを使用した扱い。基本的にチート能力で単独で勝負を挑んでも攻撃が通じない。復活の際は街をさまよっていたが、ストームが能力を使用していたところを目撃。窃盗をして追われていたストームを助けたことでストームの家へ通され、そこにあったTVから封印されていた間の歴史をおおまか読み取り、核兵器まで作り出した人類に絶望。正さねばならないと行動を開始する。
その強さと圧倒的な信念ゆえにカリスマ的な魅力がありそうなものだが、仲間を大事にしないせいであまり人望が無いのか、古代エジプトで裏切られたように今回も終盤は裏切られて敗北を喫する。ただ古代エジプトでは側近4人は最後まで味方だったが今回はちゃんと人選せずに付け焼刃だったせいか2人に裏切られる始末。終盤はかわいそうになってくる。
ビースト…本名はハンク・マッコイ。今作も途中までは青年の姿だったが、途中で薬が切れたので青い姿に。プロフェッサーXと共に学園を運営する一方で、戦力も必要だと考え、学園の地下には戦闘機やX-MEN用戦闘服ををこっそり準備していた。最終決戦ではサイロックと激しい戦闘を繰り広げた。アポカリプスへの最終攻撃の際は飛び道具合戦になっていたが、飛び道具を持たないにも関わらず果敢に挑んだ。あまり役には立たなかったが、スコットや間近で身動きが取れなくなっていたクイックシルバーを救出。
歴史改変でそんなに影響は受けてなさそうだけど、今作では若手から頼られる側になってきて頼もしさが増した印象。
ジーン・グレイ…新たにソフィー・ターナーが演じている。若き日のジーン。既に学園で生活しているが能力を御しきれず悩んでおり、生徒からも怖がられている。前作でジーン、スコット、ストームの名前をウルヴァリンから聞いていたためか、プロフェッサーXは3人の中で最初に見つけたジーンは能力含めて特に気にかけていた。アポカリプス復活で共鳴し、世界崩壊の悪夢と自分の中の恐ろしい悪意を恐れていた。学園爆破の際はスコットやナイトクローラーと街で映画を見に行っていた帰りだったので難を逃れ、またストライカーによる主要メンバー拉致の際も逃れ、侵入して救出作戦を決行する。その渦中に捕えられていたウルヴァリンを解放、拾えた記憶の一部(ローガンという名前)を与えた。最終決戦時危機に陥ったプロフェッサーXに助けを求められて力の開放を決意。フェニックスの圧倒的な力を解放してほぼ勝ちが決まっていたアポカリプスのガードをブチ破る大活躍。さらに装甲も次々粉砕し、これに伴いマグニートーの金属攻撃やスコットのビーム、寝返ったストームの雷撃も直撃してダメージを与えることができるようになった。最後は圧倒的な力でアポカリプスを粉みじんにした。
フェニックスの力というと『X-MEN ファイナル・ディシジョン』で暴走して悲劇を生んだが、歴史改変の影響で早期覚醒&御し切れたという流れに。『X-MEN ファイナル・ディシジョン』だけ監督も違っていたし、この機会にフェニックスの出し方も変えてきた感じだろうか。それにしても複数ミュータントと交戦中とはいえ、その時点でノーダメージだったアポカリプスのガード突破して最終的に粉砕って強すぎ…。
スコット・サマーズ(サイクロップス)…新たにタイ・シェリダンが演じている。能力に目覚めて兄のハボックに連れられ学園へやってくる。目を開けているだけでビームが出続けるので正直かなり困惑状態にあったが、ビームを封じるサングラスを用意してもらい、ジーンとも交流を深めていく。学園爆破の際はジーンやナイトクローラーと共に難を逃れた。捕えられた主要メンバーは最終的にスコットのビームで助け出されている。最終決戦時も強力な攻撃で活躍した。この時点まではビーム発射のためにサングラスを外していたが、ラストカットでは手動で切り替えるサングラスが完成している模様。
まだ頼りない若者だったスコットという文字通りの若き日が描かれた感じ。しかしスットコ呼ばわりされるほどだったリーダーやってた旧三部作よりずっと活躍で来ていたような…。ジーンとの恋仲のきっかけも盛り込まれ、これはそのまま旧三部作へ繋がっていく感じだろうか。
ハボック…腹部からビームを出す能力を持つ。『X-MEN:ファーストジェネレーション』での仲間の1人だったが、『X-MEN:フューチャー&パスト』ではミスティークに救出されるだけで出番が終了していた。今作では弟のスコットが能力に目覚めたので学園に連れてきて、以降はプロフェッサーXの側近的存在として行動していた。しかし、アポカリプス襲撃の際にプロフェッサーXが捕えられ、逃げるアポカリプス一行を攻撃した際にアポカリプス一行はワープ能力で消えたので背後の機材に引火、大爆発炎上を招いてしまう。たまたま学園へ向かっていたクイックシルバーがいち早く気づいて学園にいた全員を高速移動で救出したが、爆発の最前面にいたハボックだけは間に合わず(駆け付けたクイックシルバーは「全員助けた」と主張しており、気づかないレベルで手遅れだった)、そのままご臨終してしまった。
前作で出番が無かった時点で不遇だったけど、彼の役目はスコットを連れてくるという1点だけだったのか。能力も被るしなぁ…。
カート・ワグナー(ナイトクローラー)…エンジェルと格闘場で強制戦闘させられていたところをミスティークに救出され国外逃亡の手引きもしてもらう。マグニートーの事を聞いたミスティークが早い移動手段を必要としたことから当初はそれっきりのつもりだったが、そのまま行動を共にすることに。学園爆破の際はスコットやジーンと共に難を逃れ、救出へ至る過程の中でも瞬間移動能力が大いに役立った。最終決戦ではその能力ゆえにプロフェッサーXの奪還を託され、エンジェルと再対戦。能力を駆使して勝利し、プロフェッサーXを救助(ちょっと間に合わなくて髪が抜け落ちてしまったが)、さらに戦闘を継続していたメンバーも全員救助。そのまま戦闘機でトンズラを図るも、追いかけらた際は能力の上限を超えてその場にいた全員を一斉に移動させることにも成功するなど大活躍。しかしこれで力を使い果たし、アポカリプスとの最終決戦には参加できなかった。
ナイトクローラーは『X:MEN2』にのみ登場したキャラクターで、一応若き日の姿という設定のようだが、ミスティークの歴史が改変された事で、ミスティークがナイトクローラーを助けたので結果的にナイトクローラーがX-MENと接触を持つ事になったのも『X:MEN2』よりも20年近く早くなった、ということになる。1作で終わってしまうにはもったいない能力者だったし、実際今作でも活躍しまくり。いい歴史改変だった。
クイックシルバー…『X-MEN:フューチャー&パスト』で登場した超高速移動能力者。前作時は知らなかったがマグニートーの息子だと知り、真実を知るために10年ぶりに学園へ向かう。学園到着間近で異変を感じ取り(ハボックの攻撃からの学園大爆破)、高速能力を駆使して前作以上のスーパープレイで全員を学園外で逃がす大活躍を見せる。直後のストライカー襲撃時はさすがに能力発動する間もなくやられてしまった。最終決戦ではミスティークと共に父マグニートーと再対面するも、息子だとは名乗らなかった。その後、プロフェッサーX乗っ取りに寸前で失敗して外に出てきていたアポカリプスを高速移動能力で連続タコ殴りにする大活躍を見せる。しかし片足を固められて動きを止められると腕と足を折られる大ダメージを受けて敗北。その後、アポカリプスへの総攻撃の際は身動きが取れずに間近で巻き添えの危機に晒されるが、寸前でビーストに助けられた。学園再建のシーンではギブス姿と痛々しい戦闘の後遺症を見せながらもマグニートーに息子だと今は告げないと語っていた。その後X-MENのメンバー入り。
能力的にかなりチートかつ映像的に愉快なだけに今回も魅せてくれる。学園全員救出劇は前作の文字通りパワーアップ版であり、見ごたえ抜群。また最終的に活躍はできなかったものの、アポカリプス相手に単独攻撃で連続タコ殴りをヒットさせたのは彼だけであり、それだけでも十分存在感は示していたと思う。
ストーム…新たにアレクサンドラ・シップが演じている。エジプトで能力を駆使して窃盗しながら極貧生活を送りつつ、ミュータントとして英雄のミスティークに憧れている。追われていた自分を救ってくれたアポカリプスが同じミュータントと知り、さらにアポカリプスにより能力を増強してもらう。この際に髪が白くなった。まだ若いせいかなんかスゲー人に力引き出してもらって、スゲー人がスゲー事しようとしてて仲間にしてくれたから(しかも1番最初に)ついて行こう的な軽いノリでついていったと思われ、他のメンバーのように率先しての破壊行為はやっていない。最終決戦時は先陣を切ってX-MENに雷撃を仕掛けたが、ビーストとスコットと2人相手にするのは分が悪く、早速やられかける。しかもビーストも情けかけてる余裕が無く、巨大ながれきを本気で投げてきてつぶされて死ぬところだったが、サイロックに助けられ、以降は分断して戦闘を続行。その後、エンジェルとサイロックが救出作戦を終えて逃げるX-MENに追撃を仕掛けた際は参加していなかった。隠れて様子を伺っていたが、追撃の果てにエンジェルが死亡したところにアポカリプスが「役立たず」と吐き捨てたため、初めて自身の立ち位置に疑念を抱く。さらにサイロックがアポカリプスに切りかかったので驚くが、それが化けていたミスティークだと分かるとさらに動揺。憧れの英雄ミスティークが敵対している相手側にいる自身の立場に本格的に揺らぎ、土壇場の総攻撃ではついにアポカリプス相手に雷撃を放ち、戦いに貢献。そのまま学園入りを果たしてX-MEN入りした。
ミスティークが憧れの人というところは歴史改変の影響だけど、最終的にこれが寝返るきっかけになった。改変前だとどういうきっかけだったんだろうか。まさかアポカリプス側で出てくるとは思ってなかったので驚いた。髪が白い理由も明かされたし、ジーン、スコット、ストームは役者を変えつつも丁寧に繋がるように描いたなぁ…。
サイロック…今作が初登場。ミスティークが利用していた情報屋の用心棒で、片手から光の剣を出すことができる。この件はムチなどの形状変化も可能。真剣との二刀流。情報屋を訪ねてきたアポカリプスとストームに剣を向けるが、能力を増強してもらい、本能的についていくべきボスを見抜いたのかそのまま情報屋を裏切ってアポカリプスの2番目の仲間入りを果たした。最終決戦時はストームを助けて登場し、戦力を分断してビーストと戦う。プロフェッサーX奪還に成功して、ナイトクローラーの能力で全員回収して戦闘機で逃走する際もエンジェルと共に戦闘機まで飛び込んできたが、ナイトクローラーの全員ワープで全員逃亡し、戦闘機を墜落させられ空中に放り出されてしまう。能力を駆使して剣でビルを削って減速して何とか生き残るも力尽きる。アポカリプス撃破時は助力せず、そのまま姿を消した。
1番信念が見えないキャラだったけど、元が用心棒なので強いヤツにつくだけ、ということなのか。
エンジェル…白い翼を持ち飛行能力と高い格闘能力を持つミュータント。格闘場で連戦連勝していた。対戦相手のナイトクローラーが戦うのを嫌がる中で、率先して仕掛けていき反撃を食らった結果、逃亡防止用の壁の電撃により羽が黒焦げになってしまう。ミスティークが混乱を起こした際には早々に自力で逃亡したのと、ナイトクローラーが能力を使って助けに来たミスティークと外へ脱出したため直接会う事は無くナイトクローラーだけが救出される事になった。その後、アポカリプスのスカウトを受けるが、黒焦げになった羽を見たサイロックからはこれじゃもう駄目だといわれる。しかしアポカリプスはエンジェルの羽を全て生体金属に変換して3番目の仲間とする。その後、マグニートーが仲間になった後にも追加改造が施されており、すっかりメタリックな見た目に。最終決戦時ではナイトクローラーと再戦。激闘の末に、瓦礫が檻のようになっていた場所へ閉じ込められてしまう。脱出して逃げる戦闘機を追い詰めるが、戦闘機を落とされ、強烈なGにより脱出できずに墜落大炎上して死亡してしまう。
エンジェルは『X-MEN ファイナル・ディシジョン』に若い青年として登場しているので、全くの別人か、歴史改変の影響で20数年早く誕生して全く違う人生を送る事になっていた…としか。死亡ということでなんともそっけない扱い。やはり自身の監督作品ではない『X-MEN ファイナル・ディシジョン』へはキャラを繋げる気は全くないということだろうか。
モイラ…CIAの普通の人間。『X-MEN:ファーストジェネレーション』ではプロフェッサーXと恋仲になり、X-MENに全面協力していたが、最終的に彼女に危害が及ぶのを恐れたプロフェッサーXが記憶を消していた。このため記憶は消えていたが、プロフェッサーXの事は知っていて尊敬もしていた。今回はCIAとしてミュータントを宗教的に崇拝している集団を調査している過程で、アポカリプス復活現場に遭遇。この事からプロフェッサーXがコンタクトを取り、そのまま行動を共にした。ストライカー襲撃の際は一緒に拉致されてしまい、最終決戦にも参加したがさすがに戦闘機内で待機。戦い自体はその後最後まで見届け、彼女の尽力でマグニートーも世界の危機を救った人物の1人として扱われた。
個人的にシリーズの中でもリブート色が強かった『X-MEN:ファーストジェネレーション』だけは別物感があったので、そこに出ていたこの人の事も半ば忘れていてほとんど思い入れが無い。ただ再登場とラストでのプロフェッサーXとのシーンはやっぱり熱い。ていうかアポカリプス復活のきっかけが太陽光がピラミッドの最上部の一部に降り注いだ事っぽく描写されてて、そうなったのってモイラが地下への扉をあけっぱなしで降りてきてたからなんだよな…。宗教の連中はこっそり活動してたので毎回地下への扉を見張り建ててまで封鎖していて、祈りを延々唱えていたのは全くの無意味だったわけで。そうなるとアポカリプス復活させたのモイラ→アポカリプス復活の地震でマグニートーの正体がバレたので奥さんと娘死んだのもモイラきっかけ…とけっこう酷い事に。
ストライカー…役者は『X-MEN:フューチャー&パスト』と同じジョシュ・ヘルマン。学園爆破事件直後にやってきて主要キャラ一行を拉致監禁する。場所は『X-MEN2』でおなじみの雪深いダムの内部の秘密基地。前作でマグニートーに海中深くに沈められたウルヴァリンを救出したのはストライカー…に化けたミスティークというオチがついていたが、結局ウルヴァリンを確保したらしく、既にアダマンチウム製への改造も完了していた。
この展開になるなら前作ラストのストライカーが実はミスティークでした!とかいらなかったんじゃ…。さすがにアポカリプスの危機が迫っている中で今回のストライカーの行動は的外れもいいところだったけど、出てくるだけでこの憎たらしさというのはさすがの存在感。
ウルヴァリン…本名はローガン。シリーズ全作に出演。前作では未来のローガンに意識を事実上乗っ取られていたので、気がついたら海中に沈められていた状態だった。ミスティークに救出されたはずだったが、結局ストライカーに拉致されてしまったらしく、既に爪も改造済みで封印されていた。仲間救出への突破口を探していたジーンにより、鍵が外されて飛び出すと施設の警備兵を暴れまわってあらかた殺害。この混乱に乗じてジーン、スコット、ナイトクローラーは他の仲間を救出することに成功した。ジーンにより記憶の一部を取り戻したがローガンという名前程度で雪深い外へと逃亡していった。
今回は記憶喪失状態で台詞なし。しかし下手したらシリーズ最多の勢いで殺害しまくるという暴れっぷり。アダマンチウム製の爪にならないとウルヴァリンにならないとはいえ、ミスティークなんかは歴史改変で素直に人生が変わっていっているのに、ウルヴァリンにだけに歴史の修正能力が強く働きまくっているようなストーリーになったな…。結局『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』に近い出来事へ巻き込まれていくのか。
うまいのがウルヴァリンは時系列上初対面の3人(ジーン、スコット、ナイトクローラー)にしか遭遇してなくて、前作で会っていて未来から来ていたことも、未来の魂と過去の魂の記憶が相互に引き継がれないらしい事情を詳しく知っているであろうビースト、詳しくは聞かされていないが未来から来てた事はゆるっと知ってるはずのミスティーク、クイックシルバーとは遭遇せず、かなりドサクサだったので初対面の3人から話を聞かされる事もなかったのでウルヴァリンがここにいたことを前作で出会っていた面々は知る由もなかったという事。それでも『X-MEN』『X-MEN2』でウルヴァリンと初対面のはずの3人がここで遭遇していたことは、改変前の歴史で初遭遇するときよりだいぶ変化が出てくるはず。いろいろ想像できて面白い。