愛の戦友/安全地帯

2022年2月25日
初登場27位、最高18位 売上0.3万枚

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11年8月『結界/田園』以来10年半ぶりのシングル。安全地帯での新曲自体が13年3月の『安全地帯ⅩⅣ~The Saltmoderate Show~』以来9年ぶり玉置浩二ソロを含めても新曲は2014年のアルバム『GOLD』以来(以降はカバーとライブ盤のみ、曲提供はあった)。
安全地帯としては2017年の日本武道館ライブ、香港ライブ、2019年の甲子園球場ライブといったライブをほぼ単発で行うのみとなっていた。

2019年の甲子園ライブの前にドラムの田中裕二が公演決定の数ヶ月後に脳内出血により入院、出演できなくなり、以後公式発表が無いまま。本人運営のカフェのインスタの更新ではリハビリ中である様子は伝えられていたが2020年夏頃に閉店してしまい本人発信も途絶えていたが、矢萩渉&六土開正による今作発売インタビューにおいて田中裕二はまだリハビリ中で復帰していない事を明かしている。

内部に歌詞とクレジットを掲載する両面一体型の厚めの紙ジャケット仕様。1曲+インストゥルメンタル(カラオケ)で謎に1650円という高額設定となっていたが、配信に一切出さない(DLも不可)CDのみ発売となっている。コロムビアのディスコグラフィー部分で一時期的に一部のみが試聴音源が公開されていたが期間限定ですぐに消滅し、当然のようにYouTubeでMV公開などもされていないため、公式にインターネット上で聞ける音源は存在せず、CD入手以外に正規に聞く手段が存在しない

金曜発売だったためか、初登場は27位で翌週に18位に浮上した。

愛の戦友

矢萩渉&六土開正による今作発売インタビューによれば10年前『安全地帯XIV~The Saltmoderate Show~』制作時に作っていた曲、キーを2回くらい変えてその都度録音し直したのですごく時間が掛かって大変だったのに結局入らなかった、アルバムは遊びが多くてわりとポップな作品だったので「こういう本格的なロックの曲はちょっと入れられない」という玉置の意見で未収録になったと語られている。また当時はいろんな音を入れてアレンジが豪華になりすぎていたがそれを全部そぎ落としてすごくシンプルにした、プログラミング的な音はちょっと入っているが演奏としてはメンバー5人のバンドサウンドとも説明しているが、5人で録った音を今こうやって出せるというのは感慨深いともしているので、改めてレコーディングしたのではなく当時はもっと盛られた音源だったところをミックス作業でカットして5人のバンド演奏を中心にしたサウンドに編集し直したという事だと思われる。

ただ現在はコロムビアからの発売なのに何故か今作のパッケージにはユニバーサルの権利表記がされているのは気になるところ。というのも安全地帯は2011年の『安全地帯ⅩⅢ JUNK』までがユニバーサル2012年の『The Ballad House~Just Old Fashioned Love Songs~』からSALTMODERATEへ移籍、コロムビアに移籍したのは2019年にライブBlu-ray/DVDを出した時からとなっているので、この曲が本当に『安全地帯ⅩⅣ~The Saltmoderate Show~』制作時の曲ならその時はもうSALTMODERATEだったはずでユニバーサルの権利表記になるのはおかしい。

また10年前と言っているが『安全地帯ⅩⅣ~The Saltmoderate Show~』は9年前である。10年前になるのはバラードリメイクベスト『The Ballad House~Just Old Fashioned Love Songs~』だけで、ユニバーサル最後の『安全地帯ⅩⅢ JUNK』は玉置浩二のソロ曲を安全地帯でリメイクしたアルバム。オリジナルアルバムとしてはもう1つ前の『安全地帯ⅩⅡ』が2011年でこれは11年前という事になる。

10年前というのがおおよその年数で『安全地帯ⅩⅡ』の頃だったとしても1年ズレているのは同じで、入らなかった理由とされる「遊びが多くてわりとポップな作品だった」というのは『安全地帯ⅩⅣ~The Saltmoderate Show~』にも当てはまるが、かなりカオスでやりたい放題だった『安全地帯ⅩⅡ』にも遊びが多いという点は一致する。ポップかどうかではやや不利だが…。

と、ここまで考えていたところで『安全地帯ⅩⅡ』発売告知のニュースに今作の曲名が出ていた事が判明。実際に出来上がったアルバムはリード曲予定とされていた「愛の戦友」「SOS」共に未収録だった上にこの記事は4月で6月発売予定としているが、3ヶ月遅れて9月発売だった。その後「SOS」は『The Ballad House~Just Old Fashioned Love Songs~』に収録された。実はこの「SOS」もストリーミングでは謎にカットされていたりする。『The Ballad House~Just Old Fashioned Love Songs~』に権利表記は無かったが、「愛の戦友」「SOS」がユニバーサル時代に制作されてユニバーサルが権利を持っている関係で配信に支障があるとするならば今作が一切の配信がされていないのも分かるような…。

いずれにせよ『安全地帯ⅩⅡ』の告知時にリード曲として存在が明かされていたなら『安全地帯ⅩⅣ~The Saltmoderate Show~』の時というのは矢萩渉&六土開正両名の勘違いで、『安全地帯ⅩⅡ』の時のお蔵入り曲というのが正解なんじゃないだろうか。当時の記事で曲名出てるんだし。その後『安全地帯ⅩⅣ~The Saltmoderate Show~』まで手直しが行われて制作に時間がかかっていたにしてもユニバーサルが権利を持っている事になっているって事は大枠は『安全地帯ⅩⅡ』の時に作られているわけで…。

曲自体はロック色の強いミディアムナンバー。イントロ部分は妖しい雰囲気で「ワインレッドの心」「恋の予感」「蒼いバラ」辺りのような方向性を予感させるが歌が始まるとアコースティック系で穏やかな雰囲気となり、サビになるとロックバンド色が前に出てくる…と段階的に変化していき、最終的に安全地帯の中ではけっこう熱いロックナンバーという印象。あくまで安全地帯としてはであって、90年代以降の一般的なロックバンドのようなギターギャンギャンベースズンズンドラムドッカンドッカンなロックではない。6分越えのかなりの大作となっているがインタビューにあるように5人の音を中心にしていて、比較的シンプル。これで外部の音が大量に盛られていたら長さがネックになってこってりになっていたかもしれないのでそぎ落としたというのは良かったのかもしれない。またこれはやはり5人が揃わない状態が続いている事からも5人のサウンドをこの40周年のタイミングで強調していきたい思いもあるのではないかと思った。

一方で田中裕二の病気に関係が無く玉置浩二ソロにしてもすっかり新曲が出なくなっているのは気になるところで(提供はしていたので『Chocolate cosmos』のような近年の提供中心のセルフカバーアルバムは出せている)、この様子だと40周年での更なる新曲は期待できそうにないか。既に夏のファン投票ベスト発売までは告知されている。
★★★☆☆

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