2023年8月の配信シングル(前編)

ハルノオト-With ensemble/miwa
片想い-With ensemble/miwa

2023年8月2日
4月にYouTubeチャンネル「With ensemble」にて披露していた音源の配信。「ハルノオト」はピアノ・5本の弦楽器(バイオリン2・ビオラ・チェロ・コントラバス)、「片想い」は4本の弦楽器(バイオリン2・ビオラ・チェロ)とされる。

歌をしっかり聞かせる構成になっていて改めてアイドル的なイメージからけっこう歌唱売りに変わってきている感じ。初期の頃はなんとなく若さに任せた勢いでそのうち声がパワーダウンしていきそうな印象があったんだけど、いつの間にか歌の力が強くなったなと思った。
★★★☆☆

歌えニッポンの空/サザンオールスターズ

2023年8月2日
3ヶ月連続配信の第2弾。ほのぼのとした王道ポップス路線。派手さはないがしみじみ普通にいい曲というこれも近年のソロ作っぽい雰囲気。今回も一応は編曲:サザンオールスターズ&片山敦夫のクレジットになっていて、前作よりはそのままバンドサウンドで演奏できそうではあるがやはり軽めの打ち込みっぽい響きで桑田&片山の2人で作ってそうな感じはする。
★★★☆☆

怪獣のサイズ/back number

2023年8月4日
1月のアルバム以来の新曲。小林武史プロデュースアレンジ。コバタケ感溢れるストリングスは御愛嬌のように入ってはいるが(ていうかなんかクリスマスっぽくなっちゃってない?)、モータウン調のノリの妙にウキウキした曲調になっている上にメンバー3人のギターベースドラムもちゃんと前に出ていてストリングスが目立ちすぎる感じはない。少なくともメンバーが上げたギターの音量をギターで音の壁を作りたくないなる迷言を放つとギターを絞ってしまうという伝説的行動を繰り返している気配は感じられず、適度な距離感でプロデュースしてそう。アルバムも良かったし、ここに来てちょっと今までよりも好印象になってきた。
★★★★☆

その結婚、正気ですか?/SARD UNDERGROUND

2023年8月7日
作詞:神野友亜、作曲:小澤正澄、編曲:麻井寛史
TOKYO MXドラマ『その結婚、正気ですか?』OP。やべぇ相手と結婚しようと盲目になっている相手へ投げかける言葉…ではなく、ドラマのテーマは格差婚らしく、歌詞の内容もズボラな30代女性が20代の年下のイケメン社長にプロポーズされて…というドラマの内容に合わせたのか、相手が好きながらも相手との格差から迷いがあって思いのままに踏み切れずにいる心情を綴った歌詞になっている。とはいえ“その結婚、正気ですか?”が唐突にパワーワードとしてサビ途中で繰り出されてくる感じはあり、この歌詞の前後の流れから出てくるようなフレーズでは無いようなチグハグな感じはした。そもそもドラマタイトルがこれじゃなきゃこんなフレーズは持ってこないだろうし…。

そしてこのジャケットは狙ってやっているのかという絶妙なダサさはナンダコレ。役所とかに貼ってある詐欺注意の啓発ポスターにしか見えないようなデザインである。実際ちょっと言葉を加えたら本当に啓発ポスターになってしまったぞ…。

兎にも角にも”その結婚、正気ですか?”がパワーワードすぎるところはあるが、曲自体はZARDを継承したSARD UNDERGROUND王道の爽やか良メロポップス。小澤正澄なのでもっと攻めた感じかと思いきやド王道の爽やかメロディーで麻井寛史も手堅くまとめたZARD風SARD流王道ポップスさて、この後シングルCD発売が発表されているプロデューサー御乱心っぽい曲はどうなるのか…。
★★★☆☆

FREEKY(蔦谷好位置より)/大塚愛

2023年8月9日
9月9日発売を告知している豪華オリジナル”コラボ”アルバムとされる20周年ミニアルバム『marble』からの先行配信2曲目。やはり「○○より」という一風変わったコラボ表記で統一される模様だが、Apple Musicだけはこの表記を拒絶・勝手に削除して曲名だけにしているという…。

蔦谷好位置というとYUKIやエレファントカシマシを再ブレイクに導き、ゆずを新たな次元に導くなど新人プロデュースだけでなく、キャリアのあるアーティストに新風を吹き込んで再生させる手腕を持った2000年代以降を代表するプロデューサーという印象がある。今作でももう少し化学変化を期待していたのだが大塚愛らしいポップ感を残しつつもイマドキエレクトロ路線は堅持。前作の大沢伸一ほどマニアックにならずに仕上げる辺りはさすがだが…。今回のコラボ自体がエレクトロポップ路線なのかなこれは。
★★★☆☆

シューティングスター/家入レオ

2023年8月9日
キャッチーでポップな勢いを感じるロックナンバー。「シューティングスター」というタイトルをつけるにはこれくらい煌めいていてほしいという煌めきもちゃんと感じられる。作詞作曲はKANA-BOONの谷口鮪でまさに最も得意な方向性でそのまま提供してきた感じ。編曲は違うようだが、KANA-BOONでやってもこんな感じになりそう。
★★★★☆

生命体/星野源

2023年8月14日
1年1ヶ月ぶりの新曲。配信移行後も通算シングルカウントになっていて「16th SINGLE」扱い。TBS『世界陸上』『アジア大会』テーマソング。1997年~2022年まで25年間番組を担当していた織田裕二がテーマソングも担当しており、当初は大会ごとに交換していたが、2005年に書き下ろした「All my treasures」(2005~2006年は新曲発売が無かったのでこの曲が発売されたのは次の2007年大会に合わせてのタイミング)はその後歌手活動が停止して以降も固定して2005~2022年まで使用された。その後任のテーマ曲が今作となる。

シンプルにバンドサウンドで仕上がっているが、ブレイク期ほどの分かりやすいポップさはなく、玄人色の強い作風寄り。星野源の歌声ってもう少し低いところで歌って響く声だと思うんだけど、今作はかなり高めで裏声連発しているのでその点が気になるところではある。世界陸上とかスポーツ系のテーマソングとしては地声でもっと熱く勝負してほしいというか。歌詞において精神性は合わせてきているにしても、裏声連発っていうのはなんかクールすぎて違う気がするんだよなぁ。25年続いた「All my treasures」の織田裕二は本人の熱度も高く、歌も上手いわけではないが楽曲自体に熱量はあっただけに違うところで新たなテーマソングを作ろうとしたのかな。
★★★☆☆

Over the rain~ひかりの橋~(Ryu-Take 2023 ver.)/flumpool

2023年8月15日
10月9日発売のベスト盤『The Best flumpool 2.0 ~ Blue[2008-2011]& Red[2019-2023]~』からの先行配信で、デビューした2008年に2曲目(配信)として発表された楽曲のセルフカバー。三浦春馬の出世作となったドラマ『ブラッディ・マンデイ』主題歌だったこの曲だが完全な新録音ではなく、“ボーカルを再録音、2023年バージョンとして再度ミックス、リマスタリング”とされているので演奏はそのままのようだ。Ryu-Takeというのもボーカル山村太とリテイクをかけている…のかな…たぶん…。

まあ確かに声だけ年季が入ったっていう感じで…。リテイクするなら演奏もリテイクで今の演奏を聞かせてほしかった。デビュー当初なんて演奏力もまだまだだろうし、彼らのように最初から売れ線全開提供曲でほぼ言われるがままにプロデュースされて派手に売り出された状況からして、あまり自由に演奏できたとも思えない(それどころか最初期はスタジオミュージシャン使われててもおかしくない)。ボーカルだけ歌い直したっていうのが謎。
★★★☆☆

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