花は誰のもの?/STU48

2022年4月13日
2022年11月2日(劇場盤Extra Edition)
初登場2位 売上28.8万枚

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半年ぶりのシングル。AKB48岡田奈々の兼任が終了し、純メンバーのみとなった。

石田千穂、瀧野由美子、中村舞の3人がトライアングルセンター、楽曲を披露する場所や場面によってセンターが入れ替わる制度として史上初前代未聞という言葉が躍り、メンバー自ら聞いた事が無いと繰り返していたが、2010年にAKB48「Beginner」で6パターン(7人)のセンター入れ替え制度を実施した事があり、制度としてはほぼ同じものである。既に12年前であるため、STU48メンバーは誰1人この事を知らないという事と思われる。一応今作発売時点の「Beginner」参加者で唯一柏木由紀が今も現役ではあるが当時の7人のセンターには入っていなかった上にSTU48メンバーとの接点も現在無いので過去に同じような例があったことを伝える機会も無いだろう。ただし「Beginner」の6パターンのうちの1つで渡辺麻友・松井珠理奈のWセンターとして当時センターに立っていた松井珠理奈と瀧野由美子は同じ1997年生まれ(学年は瀧野が1つ下)なので加入時期は10年近く離れているとはいえかけ離れて別の世代というわけでもなかったりはするので、知っていても不思議ではないが、知らなくても不思議ではないといったところか。

Type-A,B,劇場盤の3種発売、A,Bは初回・通常でジャケットが異なり、初回盤は応募抽選シリアルナンバー、通常盤は生写真ランダム1種封入。
3種でC/Wが異なる。MVは1曲しか制作されていないが、30分のショートムービーが別に制作された。AのDVDに「花は誰のもの? Music Video」、BのDVDに「ドラマミュージックビデオ「光は君に、あの日々に。」~主題歌:「花は誰のもの?」~」を収録。どちらもYouTubeで公開されており、これ以外の特典映像は無い。)

7月に劇場公演「花は誰のもの?」で披露した未発売新曲2曲を配信リリースしていたが、楽曲のロングヒット、好評を受けて新たに劇場盤のC/Wに新たにその2曲を収録した劇場盤Extra Editionを11月2日に追加発売。これによりO社では3位6.8万枚(浮上扱い)を記録した。

1.花は誰のもの?

石田千穂、石田みなみ、今村美月、岩田陽菜、沖侑果、甲斐心愛、川又あん奈、小島愛子、高雄さやか、瀧野由美子、中村舞、福田朱里、峯吉愛梨沙、吉崎凜子、吉田彩良、立仙百佳

この世界から国境が消えたら?と問いかけるサビが印象的な平和へのメッセージソング。秋元系アイドルで平和ソングにまで拡大してしまうのは珍しく、しかもロシアとウクライナの件と妙にドンピシャなタイミングとなった。さすがに2月末頃から騒がれ始めて連日報道されるようになってか緊急で書き下ろしてCDにするにはスピーディーすぎるので関係なく書かれたとは思うんだけど…。それにしたってSMAP「Triangle」が再度ピックアップされるほど国内でも関心が高い状態だったのに、リアルタイムで発表されている反戦歌として今作が全く話題にならなかったという事はファン以外48系を最早聞こうともしてないという事なんだろうな…。

STU48は船が頓挫した分だけ楽曲で差別化、違う方向性でいい曲を出してくる傾向があるが、歌詞が歌詞だけに曲自体もシリアスだがかなりメロディーも良く、普通以上に名曲。一体どの作家が…と思ったら作曲は鶴久政治、編曲はHiroya.T。鶴久政治ってえ?元チェッカーズの人?正直ヒットメイカーの印象は皆無だったが今もライブ活動はしていたらしい。新作はあまり出せていないようで提供も特にしていなかったようだが以前に吉本坂46に提供していた。それ以上に最近どっかで見たなと思ったらそういえば昨年『乃木坂スター誕生!』『乃木坂スター誕生!2』にも1回ずつ登場していた(番組自体はほぼ早送りしてしまってまともに見ていない)。ここのところ秋元案件と繋がりが深くなっていたようだ。それにしてもこんないい曲書ける人だったとは…今まで何をしていたんだ…。

30分のドラマ作品「光は君に、あの日々に。」が制作されており、MVはドラマをダイジェストにしただけなので、トライアングルセンターどころか本来の歌唱パフォーマンスはMVでは一切披露されない(その後ダンス映像を別に公開)。ドラマは2018~2020年の3年間の高校生活が描かれており、中学時代合唱部で仲良しだった石田千穂、瀧野由美子、中村舞の3人が高校でも合唱部に入ろうと約束していたが瀧野が突如写真部に入ると言い出して険悪になってしまう。その後は写真部、合唱部それぞれの日々を送り、2年生までは平和だったが3年生になるとマスクに支配されマスクで生きるマスク世界となってしまう。この現実リンクから容易に想像できるように運命は一転し、写真コンクールは開催継続が決定したが合唱コンクールは中止が決定してしまう(この際に中止を知らせる紙に2020年度と明記され時代設定が明らかになる)。瀧野は合唱部の記録を残したいとして石田・中村に写真部として撮影させてほしいと提案、同時に突発性難聴により合唱をあきらめた事を初めて告げる。海辺での合唱を撮影し、最高の思い出を作れた忘れられない3年間を胸に現代ではマスクの無い世界線で3人が久々にあの海辺で再会していた。

…という現実リンク型のストーリーが展開する30分ドラマとなっていて、合唱部の課題曲が「花は誰のもの?」なので、クライマックスの海辺での合唱シーンでフル尺で歌唱されるもののこれはピアノ伴奏による合唱バージョンとなっていて、CD音源は黒バックエンドロールでかかるのみ

Music Videoは前述のようにこの30分ドラマの最初と最後の現代のシーンと終盤で瀧野が難聴で合唱を断念した事を初めて明かす場面のみが音声ONでそれ以外はドラマダイジェスト映像にCD音源を被せた内容。映像としては新しいものは無いのでこれをA,Bで分割収録するのは水増し極まりない…。

選抜16人のうち4人が写真部、残りが合唱部という事で基本的に出演生徒は選抜16人のみに絞り、それ以外の生徒は出てこない。写真部も顧問不在だが、合唱部の熱血な先生だけはさすがにメンバー以外を起用、この顧問の音楽教師がなんだか亜麻色の~♪とか歌いだしそうな顔してんなと思ったらマジで島谷ひとみ本人だったので驚いた。島谷ひとみがSTU48(瀬戸内)の活動範囲の広島出身という縁があっての起用か。
★★★★☆

2.船から降りた僕たちは…

Type-Aのみ

池田裕楽、内海里音、尾崎世里花、川又優菜、工藤理子、迫姫華、信濃宙花、清水紗良、鈴木彩夏、田中美帆、谷口茉妃菜、原田清花、兵頭葵、宗雪里香、森下舞羽、矢野帆夏、渡辺菜月

特に名称は無いようだがいわゆるアンダーメンバー曲と思われる。ようやく完成したはずの船があっさり頓挫して終了してしまったのは記憶に新しいが、策士家お得意のドキュメントに落とし込む作風…かと思いきや、内容自体は少年主人公が夢を信じてもう1度走り出す系の前向きナンバー。冒頭にタイトルが来る以外は1ブロックだけやたら海関係のワードが連発されるブロックがあるだけでそれ以外は海や船の要素は無い前向きソングになっているので、なんか別のテーマで進めていた仮歌詞をSTU48の船終了を意識して一部だけ船や海を用いて書き換えたみたいな感じが…。

曲自体は流麗なストリングス風の音色が駆け抜けていくさわやかポップ。
★★★☆☆

3.ポニーテールをほどいた君を見た

Type-Bのみ

石田みなみ、沖侑果、瀧野由美子、中村舞、福田朱里

ギラギラ感のある歌謡ポップナンバー。今回のシングル、1曲1曲のコントラストがハッキリしていて発売時期が近い櫻坂46とは対照的だな…。

ある意味で歌詞もギラギラした少年の妄想片想い系。電車通学で見かける女子高生に話しかけられもせずに見ているだけで相手に恐らく認知もされていない主人公が偶然別の場所(線路沿いの道)で遭遇するといつもの髪形ではなく…とここでタイトルが出てくるといったストーリー。ただ1番サビの段階でタイトルに達しており以降は延々妄想がエスカレート。勝手な相手へのイメージを垂れ流した挙句に“すれ違って何かを感じ合った”だの“僕に気づいてくれたのかそれだけでも胸がキュンとするよ”と相手が認知しているかどうかも正直怪しいというのにひたすらに勝手な解釈と妄想を繰り広げてすっかりやべぇ奴にしか思えなくなっていくというけっこう怖い曲だった。ストーカー化するまでのドキュメントソングじゃ
★★★☆☆

4.Sure、じゃあね

劇場盤のみ

石田千穂、岩田陽菜、甲斐心愛、立仙百佳

意図的な80’sダサポップ風ナンバー。ポンポンした80年代特有の打ち込みリズム音を再現したりと花澤香菜も先日のアルバムでやっていたが、いよいよ80’sサウンドのリバイバルが始まるのか、とっくに始まっているのか。歌詞はドライに彼氏を振る女性の心情を歌った女性目線のもの。妄想少年系の歌詞の方が多いだけにこの女性主人公の容赦のなさ、妙にシビアだ…。「ポニーテールをほどいた君を見た」の主人公みたいなのにこういうことすると低くない確率で凶行に及ぶかもしれないので注意し
★★★☆☆

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