CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection-30th Anniversary BOX-
DISC 1 CYCLE HIT 1991〜1997 Spitz Complete Single Collection
DISC 2 CYCLE HIT 1997〜2005 Spitz Complete Single Collection
DISC 3 CYCLE HIT 2006〜2017 Spitz Complete Single Collection
リリースデータ
2017年7月5日 | 初登場1位 | 売上28.4万枚 | ユニバーサル |
メンバー
Vocals,Guitar | 草野マサムネ |
Guitars | 三輪テツヤ |
Bass Guitar | 田村昭浩 |
Drums | 崎山龍男 |
スピッツ、シングルコレクションBOX。1987年の結成から30周年を記念して(デビューは91年)06年に同時発売された『CYCLE HIT 1991〜1997』『CYCLE HIT 1997-2005』、続編となる『CYCLE HIT 2006-2017』の3作をセットにしたBOX作品。それぞれ単独でも発売(2作はリマスター再発)された。リマスターを担当したのは前と同じStephen Marcussen。06年の『CYCLE HIT 1991〜1997』『CYCLE HIT 1997-2005』もStephen Marcussenだったため同じエンジニアによる11年後の再リマスターという事になる。BOXは2017年末までの期間限定生産。しばらくは店頭在庫も豊富に残っていたが、2019年の『見っけ』発売時に発生した特需で一気に品切れ・高騰した。バラ売り3作は継続販売されていて、BOXのみの特典も特に無いが、BOXケースと中身が3枚組のCDケースになっている点はBOX盤のみの仕様となる。ブックレットは3作別々になっていて単独発売盤と同じ仕様になっている。共通してディスコグラフィーページのDVD『ジャンボリー・デラックス』の説明部分に誤植がある(「2000年まで」なのに「2010年まで」になっている)。
『CYCLE HIT 1991〜1997』『CYCLE HIT 1997-2005』に関してはブックレットは旧盤と全く同じ見た目になっている。ただし旧盤から今作までの間に新たにタイアップ等のトピックがあった場合はその情報が加えられたり、追加事項が無く前と同じ内容でも言い回しを変える等、巻末の楽曲解説に細かい文章の変更が行われている。
シングル1曲目を一挙網羅できる資料的価値の高いBOX作品。いきなりスピッツを聞くのにはヘビーな内容だし、あくまでシングルコレクションでありベスト盤ではないのでこれだけでスピッツの代表曲が揃うわけではない。しかし世間一般に知られる有名曲は一時期のシングル曲のみに集中しており、これはヒット曲だけ入れたという『RECYCLE』がメガヒット作となってしまい皮肉にもスピッツというバンドのイメージを一時期だけで固めてそれを強固なものにしてしまったことにも起因している。このためスピッツファンと三大ミリオンを始めとした一時期のヒット曲が好きだというリスナーの間には驚くほどにスピッツに対して抱くイメージにも差がある。
そんな中でシングルコレクションである今作はひとまずスピッツを聞き始める上では最も一気に曲数を押さえられる作品だ。売れる前のシンプルなロックサウンド、売れてからのポップでかわいいイメージのサウンド、ロックバンドとして試行錯誤を重ねたサウンド、亀田誠治と出会い方向性が安定したサウンド…とスピッツの変遷を辿れる作品はベスト盤が存在しない以上は今作が最大規模の作品である。3枚組がしんどい場合はばら売りされているので1作ずつゆっくり聞いていくこともできるのも親切な設計だ。
『醒めない』でエンジニアが録音やミックスを長年手掛けていた高山徹に変わったが、今作では再びStephen Marcussen。9年後の再リマスターがどう変わるかは興味深かったが、予想としては全体に迫力重視だった前回より綺麗に仕上げてくるだろうなと予想していた。だけどなんかそのままストレートにデカい音でガツンと迫力全開で仕上げてきたような印象。9年経って色々進歩したのか、デカい中でも各楽器がより立って聞こえる感じもしなくもないんだけど…綺麗な音とというよりはあくまで迫力重視のままであり、劇的に変わった!という感じは正直無かった。
中盤頃までの曲は02年オリジナルアルバムリマスター、06年旧盤に続いてもうStephen Marcussenによるリマスターも3回目になる。同時発売のアナログ盤一斉再発では『RECYCLE』を担当した小鐵徹がマスタリングを担当しているそうで、たぶんそっちだともっと異なる仕上がりにしているんじゃないかと思う。『RECYCLE』ってStephen Marcussenによるリマスターとはかなり雰囲気違っていたし。今作も小鐵徹だったらもう少し違いが分かりやすくなったのになぁ…。
印象度★★★★★
2017.9.7更新