Wormhole / Yumi AraI
| No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
| 1 | DARK MOON | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 | 10/10先行配信 |
| 2 | CINNAMON | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 | |
| 3 | 星の物語 | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 | |
| 4 | 岩礁のきらめき | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 | |
| 5 | 天までとどけ | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 | 10/16先行配信 |
| 6 | 烏揚羽 | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 | 10/23先行配信 |
| 7 | 小鳥曜日 | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 | |
| 8 | LET'S GET IT STARTED! | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 | |
| 9 | Let It Rain | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 | |
| 10 | 文通-album version- 松任谷由実 × imase |
Yuming and imase | Yuming and imase | 松任谷正隆 | 松任谷由実 × imase 5/30配信シングル リアレンジ |
| 11 | ひとちがい | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 | 麗美へ提供(1985) セルフカバー |
| 12 | そして誰もいなくなった | Yuming | Yuming | 松任谷正隆 |
初回盤のみ[CD 2]
Instrumental
本編と同一曲目の全12曲インスト集
初回盤のみ[Blu-ray]
Wormhole‐Visual Version
本編と同一曲目の全12曲映像集
リリースデータ
| 2025年11月18日 | 初登場2位 | 売上8.2万枚 | Produced by 松任谷正隆 | ユニバーサル |
松任谷由実40thアルバム。『ユーミン万歳!』『ユーミン乾杯!!』を経て5年ぶりのオリジナルアルバム。『ユーミン乾杯!!』からも1年11ヶ月ぶりで2024年は新作のリリースは無かった。2025年になってimaseとのコラボシングル「文通」を配信。この配信版は冨田恵一によるサウンドプロデュースだったが、今作ではalbum versionとなりいつもの松任谷正隆アレンジで収録された。10月に3曲先行配信された。当初10月29日発売予定とされていたが9月1日に早々に"特典映像ならびに特殊ジャケットにつきまして、細部に至るまで完成度を高めるため"を理由として11月18日発売へと延期された(男性ダンスグループが4組(&TEAM、ZEROBASEONE、TWS、BE:FIRST)も発売を予定しており、1位どころかトップ3も厳しそうな見込みになってきたために回避したのではないかという説もあるが実際10月29日発売だったら5位相当であった。その翌週だとSnow Manに続く2位。)。延期したもののNiZiUに大差で及ばず初登場2位となり結局1位は逃したが、初動売上は直近20年のオリジナルアルバム7作(2004年『VIVA! 6×7』以降)の初動を上回る快挙となった(+ついでに2007年の季節ベスト2作は当時のオリジナルより低かったのでこれも突破))。
タイトルに"Yumi AraI"とあり、パッケージ上の表記には松任谷由実の文字は無く、"Wormhole Yumi AraI"とだけ表記されている(スラッシュも無い)。このため今作は"荒井由実"名義のように見えるが、パッケージの袋には"松任谷由実"と最も大きい字で書かれており、通販サイトやチャートなど登録上は"松任谷由実"名義で扱われている。またIが大文字なのはAIと引っかけているため。
オールメディア盤【CD+アナログ2枚組+カセットテープ】(完全生産限定)はCD、レコード、カセットの3種セットで大型3Dジャケットパッケージ、大型ブックレット仕様。22000円。
初回限定盤【2CD+ Blu-ray】は本編CDと同一曲目のInstrumental(CD)とVisual
Version(Blu-ray)が付属する。3Dジャケット三方背ケース、デジパック仕様。7700円。
通常盤は本編CD1枚のみ。3600円。
オールメディア盤は上位互換にはなっておらず、オールメディア盤にはインストCDとBlu-rayが付属しないため、レコードとカセットとインストとBlu-rayと真オールメディア網羅をしたいなら初回盤との2種買いが必須となる。オールメディアとか名づけるなら最上位盤は全部入りにすれば良かったのに…高額なアナログ&カセットを惜しまないファンなら全部入り3万でも買うでしょ。
今作ではボーカルに全面的にAIを使用した事を公言。あらゆる時代の声を再現しており、荒井由実時代の声を再現した部分がある事と"AraI"の表記にAIが含まれていることからこのようなタイトルになったようだ。一方で作詞でAIを試したが本人判断でそれっぽいのは出てくるが新しいものは生まれないとして全面却下しており、作詞作曲においてはAIは使用していない事も明言している。
声の制作過程は基本的には本人が歌ったものをMIDI化してAIに置き換えていると大まかに説明されており、完全にゼロからAIに歌わせているわけではない事も強調している。このMIDI変換をどう捉えるかが難しいところで、元の声の補正というよりは置き換えだろうし、結局のところ音源に現在の歌唱は入っていないという事なのか、使い方に波があったりして部分的に残されているのか…。前々作とか前作の頃にもボイストレーニングで声が出るようになったと言いつつそれでこれかというところはあったし、今作の制作過程を追ったドキュメント番組の中でもMIDI化するためのフラットな歌い方をボイストレーニングしてだいぶ歌えるようになったような事を言いつつ、現在のリアルな歌声は正直相当ヨボヨボだったみたいなので声に関しては本当に難しいところではあるんだろうけど…。実際松任谷正隆は今回AIを駆使する事でキーに縛られずに今回すごく自由に曲を作れたと割と正直な話をしており、出す事が難しい高音域も気にせず自由に作曲できる感覚はあったようだ。一方で結局今作のライブではAI音声を使うとなるとただの口パクになってしまうし、リアルタイムAI変換の技術はさすがにまだ無理みたいで(最終的にはABBAのアバターみたいな前例を参考に全てバーチャル世界みたいな演出になるかもしれないが)、結局ライブでは生で歌う事にしているようだ。キーに縛られずに作ったのに現在出せない音域はどうカバーしているんだろうか…。
で、実際の楽曲だがここ数作のアルバムにあったおばあちゃん感が軽減され、声が綺麗に聞こえるという印象。コアなファンはここはAIでここは生声でと分かるらしく、それどころかここは90年代、ここは荒井由実時代とまで判別できるらしいが、ただ全部聞いただけであるにわかリスナーにはそんなのはさっぱり分からない。全て"ユーミンの声"という認識であり、少なくともコアなファン以外に機械の声と思わせず、"ユーミンのようなロボ声"ですらない、完全に"ユーミンの声"と思わせられるのならそれで成功なんじゃないかと思った。AI技術凄い。強いて言うなら低音部分の安定感や語尾で音が上がる時の感じが近年よりもスムーズになっている部分はAIで、ちょっと低音が引っかかり気味だったり張り上げた時におばあちゃん感が少し感じられる時は生の声なのかなと思わなくもないが違うかもしれない。曲自体は安定のポップスが並んでいる印象ではあるが、前述のキーに縛られずに曲を作れた影響で近年よりは広がった感じのイメージはある。突出したリード曲は無いが、全体の流れや1曲1曲の印象は前2作よりは強いかなと。
Instrumentalは生演奏の部分も多いんだけど、演奏だけで聞いて聞き応えがあるなと感じる部分は個人的にはユーミンにはあまり無くて面白味を感じなかった。
Apple MusicのPC配信(モバイルはWALKMAN A300では非対応)とAmazon Musicのモバイル配信(WALKMAN A300対応)では空間オーディオでも聞く事ができるが、これは正直イマイチ分からなかった。ただ「小鳥曜日」のピウピウピの部分はステレオでも左右に移動する処理が施されているような分かりやすい音の動きがある曲なので空間オーディオでは左右ではなく回っている感じに聞こえる処理が比較的分かりやすく感じられた。
Blu-ray
全曲収録。といってもちゃんとした実写MVは「DARK
MOON」「天までとどけ」、スマホの縦型サイズの白黒アニメーション「烏揚羽」、imaseと共演の「文通」(YouTubeで配信当時公開されたMVと映像は同じで音源をalbum
versionに差し替え)の4曲だけで他の曲は基本的にはモーショングラフィック映像(一部が動くイメージCG画像)に歌詞が表記されていくいわゆるリリックビデオ的な内容。映像を楽しむというよりはステレオ(リニアPCM
48KHz/24bit)音源)と5.1ch(DTS-HD Master Audio
5.1ch 48KHz/24bit)音源の2種の音源を環境さえ整っていれば楽しめるという部分にあるのかなと思う。ただBlu-ray再生機からHDMIで繋げる再生機が無いと自動的にダウンコンバートしてしまう問題があるため、適応できる環境は限定的。映像視聴専門のホームシアター環境を5.1ch対応で整えているくらいの人ならサウンドバーからそのままスペック通りに音が鳴る環境になっているはずだが、基本的にBlu-ray再生機から一般的な音楽再生機へ音声を繋ぐ場合には再生機側にHDMI入力が無い事がネックになるので難しい。使用しているEX-HR99も光ケーブル、同軸ケーブル、Bluetooth(aptXまで)、USBなど音声入力の選択肢は揃っているもののHDMI入力は搭載されていない。そんなわけでBlu-ray再生機からHR99へは光ケーブルか同軸ケーブルで繋ぐのが最高スペックとなるが、この2つの接続ではダウンコンバートされた「48kHz/16bit」になってしまっている上、5,1chはスピーカーが無いためステレオに強制変換&ダウンコンバートのWパンチである。よってハイレゾ相当の音源や5.1chを用意されても全く意味がなく、映像も大半がリリックビデオで面白くない…という事でまあこれは1度見れば十分…。
今回こういう内容よりもAIを駆使したという説明を兼ねた制作ドキュメント映像をしっかり見せてくれた方が明らかに良かったと思うんだけど…。特番やインタビューで断片的に語られるものでは話を捉えきれないし、そういう話こそ形として残しておくべきでしょう…。
オールメディア盤(CD+LP+CT)
初回盤Instrumental+Blu-ray付
通常盤
印象度★★★★☆
2025.12.28更新